悪役令嬢ですが前世で推しの当て馬王太子は私が絶対守ります!

Karamimi

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第24話:貴族学院へ入学する前に確認しておきたいことがあります

「お嬢様、また制服を着ていらっしゃるのですか?そんなに頻繁に着なくても、明日から毎日着られますよ」

メイドのアンナがクスクス笑っている。

あれから月日は流れ、私は14歳になった。そしていよいよ漫画の舞台となった貴族学院へ、明日入学するのだ。

鏡に映る制服姿の自分をチェックする。もうどこからどう見ても悪役令嬢エイリーンね。
それにしてもさすがヒロインのライバル役、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。


14歳とは思えないほどのナイスボディだ。


明日いよいよヒロイン、リリーに会えるのよね。不安も大きいけれど大好きな漫画のヒロインに会えるのは正直ちょっと楽しみでもある。

ちなみに第二王子のフェルナンド殿下には、式典の時会った以来、一度も姿を見ていない。まあ、彼は離宮に住んでいるから、会わなくても不思議ではないのだが…


そんなことを考えながら、もう一度鏡に映った自分を見る。

やっぱり、悪役令嬢のエイリーンだわ…
前世では大っ嫌いだったエイリーン、まさか自分がなるなんてね。でも私は絶対ヒロインをいじめたりしないわ!

絶対に…

そうだ、今日は必ずやりたいことがあったんだわ。

「アンナ、悪いんだけれど今から出かけたいの?馬車の手配と着替えを手伝ってくれるかしら?」

「今からお出かけですか?一体どこに?」
アンナが不思議そうな顔をする。

「貴族学院よ」

「貴族学院なら先日お坊ちゃまと行かれましたよね?」

アンナに不審がられてる!
これはヤバいかも?

「ちょっと見忘れたところがあるから、入学前にどうしても見ておきたいのよ」

私はアンナの目を見て、真剣に訴える。

「そういうことでしたか。わかりました。すぐに手配いたしますわ」

そういうとアンナは馬車の手配へと向かった。
そして、手配を終え戻ってきたアンナに手伝ってもらい、着替えを済ませる。

「お嬢様、1人で大丈夫ですか?私もご一緒しましょうか?」

「いいえ、大丈夫よ、あなたも知っているでしょ?貴族学院はセキュリティーがかなりしっかりしているから、今は新入生しか入れないわ」


「それはわかっていますが…」

「ありがとう、アンナ、でも本当に大丈夫よ、じゃあ行ってくるわね」

私は馬車に乗り込み、貴族学院へと向かった。


貴族学院は今、基本的に在校生は休み。学校見学したい新入生のみ入れるようになっている。
入学を終えれば、メイドも学校についてくることが出来るようになるのだが、入学前は入れない。


ちなみに貴族学院は基本的に家から通うのが一般的。どうしても家から通えない貴族向けに、寮もあるが入る人はまずいない。


貴族学院に着くと、受付で身分証明書を提示し、見学許可申請書にサインする。
そうすると、院内に入れるのだ。


さすがアレクサンドル王国の全貴族+王族が通う学院。とにかく広い。


ちなみに今回私がここに来た目的、それは漫画での重要な場所を自分の目で確認するため。
悪役令嬢エイリーンにならないためにも、現場をしっかり確認しておくことが大切だと考えたからだ。


私がまず向かった先は、校舎の裏手すぐの場所。木々が生えていて、あまり人が来ない所だ。

ここはエイリーンがヒロインをイジメていた場所だ。
頻繁に呼び出しては、取り巻きたちと一緒に、ヒロインに暴言を吐いていたのだ。
しかし、ヒロインも負けてはいない。

エイリーンに言い返すこともあった。ヒロインの態度に増々怒り狂うエイリーン。
時にはヒロインの頬を打つこともあった。

エイリーンってホント嫌な女よね。でもそのエイリーンは私。もちろん、ヒロインをイジメるつもりは毛頭ないけどね。


次に向かったのが、中庭だ。ここは晴れた日にゆっくり過ごせるよう、机やイスがいくつも置いてある場所。ちょっとしたカフェテラスにもなっている。

この場所は、エイリーンがヒロインを毒殺しようとし、断罪された場所だ…


エイリーンの取り巻きの1人を使い中庭に誘い出し、毒入りの紅茶を飲ませようとしたところで、カルロ様やフェルナンド殿下、エイドリアンに断罪されるのだ。

最初はしらを切るエイリーン。エイリーンはあろうことか、ヒロインを誘った取り巻きに罪を擦り付けようとするのだ。

でも、エイドリアンによって決定的な証拠を突き付けられ、もう逃げられないエイリーン。

護衛騎士に引きずられるように連れて行かれながらも


「離しなさい!私を誰だと思っているの?ちょっとカルロ様、あなた私の婚約者でしょ!早く助けなさい!これは命令よ!誰のおかげで王太子になれたと思っているのよ~」


そう叫ぶエイリーン。前世の私は、このシーンがものすごく好きだった。もっとやれ~、徹底的にやれ~なんて、叫んでたくらい。

でも…何度も思うけれど、エイリーンって私なのよね…
なんだか複雑だわ…
もちろんヒロインに毒を飲ませようなんてしないけれどね。


こんなところで断罪されて死んじゃったら、カルロ様を助けられないから絶対回避しないといけない!
そのことは肝に銘じておこう。


そして最後に向かったのが、校舎の裏手をしばらく進んだ、小高い丘になっている場所。
丘の上にはそれは立派な木が1本生えている。


この場所は…カルロ様がヒロインに告白したところだ。
悪役令嬢エイリーンが断罪され、自由になったカルロ様。ずっと抱いていた気持ちを、ついにヒロインに伝える。



「リリー、急に呼び出してすまない。エイリーンがいなくなった今、僕を縛る人は誰もいない。今まで僕は自分の存在価値が見いだせず、ずっと孤独だった。そんなとき、リリー、君に出会ったんだ。

君は言ってくれたよね。カルロ殿下はそのままでいいんです。十分素敵ですよって。その言葉にどれほど僕が救われたか

リリー、僕は君を愛している。どうかこれからの人生、僕と歩んで行ってくれないだろうか」

カルロ様渾身の告白。


でも、すでにフェルナンド殿下を気になりだしているリリーは、言葉に詰まる。

そんな姿をみて
「今すぐ返事をくれなくてもいい。でも知っておいてほしい。僕は必ず君にふさわしい男になるよ」
そういうと、カルロ様は笑った。


前世の私はこのシーンが一番好きで、何度も何度も読み返しては胸キュンしていた。

カルロ様のヒロインへの思いが痛いほど伝わってきて、絶対2人くっついて~って、願っていた。


でも…カルロ様は結局、ヒロインの返事を聞く前に、自ら身を引くという形で命を落とす。


大好きな人を守るため死んでいったカルロ様…
一体どんな気持だったんだろう…


私は木の下に座り込む。


もしかすると漫画の世界同様、カルロ様はヒロインを好きになるかもしれない。
その時、私はどうすればいいのだろうか…


ヒロインとカルロ様が結ばれるのならともかく、カルロ様は当て馬だ。
そのことを解っていて、カルロ様を応援することはできない。


それに…私はいつの間にか、カルロ様に恋心を抱くようになっていた。
最初は好きというより憧れの方が強かった。


でも今は…カルロ様を誰にも取られたくない…


もし、カルロ様がヒロインを好きになったら、私は耐えられるのだろうか…
漫画の世界のエイリーンのように、ヒロインをイジメたりしないだろうか…

怖い…

カルロ様を守るって決めたのに、私はなんて弱いのかしら…



「…リーーン」

ん?カルロ様の声?

「エイリーン」

今度ははっきり聞こえた、間違いないカルロ様の声だ。

私は顔を上げて辺りを見渡すと、向こうからこちらに向かって走ってくるカルロ様が目に入った。
あっという間に私の前へとやってくるカルロ様。

「エイリーン、随分探したよ。君に会いに公爵家に行ったら、貴族学院へ見学に行ったっていうから僕も来たんだ」

カルロ様は辺りを見渡す。

「へ~こんな素敵な場所があるんだね」

何もしゃべらない私を不審に思ったのか

「エイリーンどうしたの?浮かない顔をして。もしかして誰かに何かされた?エイリーン、正直に話して!」

すごい勢いでカルロ様が詰め寄ってきた。

その姿を見ていたら、なんだか笑いが込み上げてくる

「クスクス、誰にも何もされていませんわ、カルロ様。でも、心配してくれたことはとっても嬉しいわ。ありがとう」

私は笑いながら答える。
カルロ様はなぜ私が笑っているのかわからず、首をかしげている。

「何はともあれ、エイリーンが元気になってよかったよ。さあ、帰ろう。もうすぐ日が暮れるよ」

カルロ様はそういうと私に手を差し出す。
私はその手を取り、立ち上がった。
そして、正門へ向かって歩き出す。


いつかカルロ様の心はヒロインに奪われてしまうかもしれない。
でも…今だけは、カルロ様を独り占めしてもいいわよね…


手の温もりを感じながら、今ある幸せを噛みしめるエイリーンであった。



~あとがき~
いつもポジティブなエイリーンが、珍しくネガティブな感情を抱くシーン+タイトルにもある「当て馬王太子」要素を出したくて書いてみました。

次回から学院編に入ります。

引き続きよろしくお願いしますm(__)m

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