婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません

Karamimi

文字の大きさ
13 / 51

第13話:あの女、一体どういうつもりだ~ブライン視点~

貴族学院3年になった僕たち。相変わらずオニキスはクラスの人気者だ。毎日楽しそうに令嬢たちと話をしている。

もちろん僕も、オニキスとの距離を少しでも近づけたくて、毎日お茶に誘っている。律儀に僕の誘いを受けてくれるオニキス。やっぱりオニキスも、僕の事を大切に思ってくれているのだろう。

ただ、相変わらず僕はオニキスを見ると鼻血が出そうになる為、思う様に話しが出来ないのが悔やまれる。この問題を、早急に何とかしないと。それでも僕は、オニキスと同じ空間に入れるだけでも十分幸せだ。本当は夕食も2人きりで食べたいのだが、なぜか父上と母上が邪魔しに来るのだ。

「僕の邪魔をしないで下さい!」

と、一度文句を言ったのだが

「あら、夕飯の時くらい、いいじゃない。大勢の方が楽しいわ」

と、母上は言っているのだ。父上は僕の邪魔をしている事を申し訳なく思っている様だが、母上に強く言えないらしい。

今日もオニキスをお茶に誘う様にヴァンに依頼し、一足先に王宮へと戻ってきた。いつもの様に、オニキスの好きなカモミールティとお菓子を準備して待つ。オニキス、早く来ないかな。そう思っていると

「殿下、先ほどオニキス様から伝言がありました。今日は用事が出来たから、行けないとの事です」

「用事とは一体何だ!僕とのお茶以上に大切な用事なんて…もしかして、オニキスは他に好きな男でも出来たのか?」

そう思い、急いでモニターをチェックする。するとそこには、ミレィシャル伯爵令嬢と一緒にいるオニキスの姿が。この女、僕にずっと絡んできた女だ。3年生になってからは、あしらっていたのだが。

もしかして、僕に相手にされないものだから、オニキスに文句でも言おうとしているのか?

そう思って様子を見ていると、この女が急にオニキスに暴言を吐きだしたのだ。それもあろう事か、自分と僕が愛し合っていると大嘘をオニキスに吹き込んでいる。

「おい、何なんだこの女は!許せない。どうして僕がこんな女を好きにならないといけないんだ。国家反逆罪で、今すぐ捕らえいないと!それに、オニキスを処刑するとか言っているぞ。なんて恐ろしい女だ。可哀そうに、オニキスが泣いているではないか!」

完全に頭に血が上った僕は、すぐにヴァンにあの女を捕まえる様に伝えた。でも…

「殿下、少し落ち着いて下さい。どうやらこの女、訳の分からない作り話を、オニキス様に話している様です。それにしても、こんなバカげた話を、なぜオニキス様は真剣に聞いていらっしゃるのでしょう…」

確かにこの女の話は、嘘八百で、どこをどうしても信頼できるものではない。それなのにオニキスは、真剣にこの女の話を聞き、さらに協力するとまで言ったのだ。

そして

“私はどうすれば婚約破棄が出来るのですか?お願いです、教えてください!”

そう言って必死に頭を下げているのだ。オニキス…君はまだ僕と婚約破棄をしたがっていたのだね…ショックでフラフラとソファーに座り込んだ。

その後もあの女とオニキスの話は続く。それにしてもあの女、伯爵令嬢の癖に、オニキスを呼び捨てにするだけでなく、あんなにもオニキスに暴言を吐いている。聞いているだけで、イライラする。

それでもオニキスは、こんなバカげた話を必死に聞いて、あの女に協力する代わりに婚約破棄を手伝ってもらう事にした様だ。

「ヴァン、僕は絶対にオニキスと婚約破棄なんてしないよ。それからあの大ほら吹き女、今すぐ捕まえよう。僕の可愛いオニキスを騙そうとしたんだ。ただじゃおかないぞ」

「落ち着いて下さい、殿下。今あの女を捕まえたところで、オニキス様の殿下との婚約破棄したい病は収まらないでしょう。一旦2人のやりたいようにさせてみてはどうでしょう」

こいつ、何をふざけたことを言っているんだ!

「そんな事をさせて、万が一オニキスにもしもの事があったらどうするんだ!それに、もしオニキスが本当に僕から離れて行ってしまったら…」

そう考えただけで、めまいがしてその場に倒れ込む。

「大丈夫です、あなた様の気持ち悪いほどの嫉妬深さのお陰で、これほどまでにオニキス様の行動は筒抜けなのです。それから念のため、ミレィシャル伯爵令嬢にも盗聴器を仕掛けましょう。一応公爵と陛下には話を通しておきましょうか」

ヴァンがどんどん話を進めていく。

「本当に大丈夫なのか?僕はオニキスが心配だ。それに、まだ婚約破棄をしたがっていただなんて、ダメージが大きすぎる」

「落ち着いて下さい、殿下。本当に普段は非常に優秀なのに、オニキス様の事になると、途端にダメ人間になってしまうのですから。そうそう、これ。昨日の夜オニキス様が使った寝具です。本当は渡さないでおこうと思ったのですが、今の殿下には必要かと」

そう言ってヴァンが僕に寝具を手渡してくれた。

「あぁ、オニキスの匂いがする…オニキス、どうして君は僕から離れていこうとするんだい?こんなに愛しているのに」

寝具を抱きしめる。あぁ、やっぱりオニキスの匂いは落ち着くな…
そんな僕を、気持ち悪いものを見る様な目で見つめるヴァン。本当に失礼な奴だ。

「それでは殿下、くれぐれも暴走しない様にお願いしますね」

そう言ってヴァンが部屋から出て行った。それにしてもこの女、本当に図々しい女だな。それにオニキスの事を、悪い奴の顔だと言っていたし。

ヴァンが様子を見ろと言うから、仕方なく様子を見てやるが、絶対にただじゃおかないからな!


※次回、オニキス視点に戻ります。

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~

浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。 (え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!) その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。 お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。 恋愛要素は後半あたりから出てきます。

自称ヒロインに婚約者を……奪われませんでした

影茸
恋愛
平民から突然公爵家の一員、アイリスの妹となったアリミナは異常な程の魅力を持つ少女だった。 若い令息達、それも婚約者がいるものまで彼女を一目見た瞬間恋に落ちる。 そして、とうとう恐ろしい事態が起こってしまう。 ……アリミナがアイリスの婚約者である第2王子に目をつけたのだ。

姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています

もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。 ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。 庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。 全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。 なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?