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第13話:あの女、一体どういうつもりだ~ブライン視点~
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貴族学院3年になった僕たち。相変わらずオニキスはクラスの人気者だ。毎日楽しそうに令嬢たちと話をしている。
もちろん僕も、オニキスとの距離を少しでも近づけたくて、毎日お茶に誘っている。律儀に僕の誘いを受けてくれるオニキス。やっぱりオニキスも、僕の事を大切に思ってくれているのだろう。
ただ、相変わらず僕はオニキスを見ると鼻血が出そうになる為、思う様に話しが出来ないのが悔やまれる。この問題を、早急に何とかしないと。それでも僕は、オニキスと同じ空間に入れるだけでも十分幸せだ。本当は夕食も2人きりで食べたいのだが、なぜか父上と母上が邪魔しに来るのだ。
「僕の邪魔をしないで下さい!」
と、一度文句を言ったのだが
「あら、夕飯の時くらい、いいじゃない。大勢の方が楽しいわ」
と、母上は言っているのだ。父上は僕の邪魔をしている事を申し訳なく思っている様だが、母上に強く言えないらしい。
今日もオニキスをお茶に誘う様にヴァンに依頼し、一足先に王宮へと戻ってきた。いつもの様に、オニキスの好きなカモミールティとお菓子を準備して待つ。オニキス、早く来ないかな。そう思っていると
「殿下、先ほどオニキス様から伝言がありました。今日は用事が出来たから、行けないとの事です」
「用事とは一体何だ!僕とのお茶以上に大切な用事なんて…もしかして、オニキスは他に好きな男でも出来たのか?」
そう思い、急いでモニターをチェックする。するとそこには、ミレィシャル伯爵令嬢と一緒にいるオニキスの姿が。この女、僕にずっと絡んできた女だ。3年生になってからは、あしらっていたのだが。
もしかして、僕に相手にされないものだから、オニキスに文句でも言おうとしているのか?
そう思って様子を見ていると、この女が急にオニキスに暴言を吐きだしたのだ。それもあろう事か、自分と僕が愛し合っていると大嘘をオニキスに吹き込んでいる。
「おい、何なんだこの女は!許せない。どうして僕がこんな女を好きにならないといけないんだ。国家反逆罪で、今すぐ捕らえいないと!それに、オニキスを処刑するとか言っているぞ。なんて恐ろしい女だ。可哀そうに、オニキスが泣いているではないか!」
完全に頭に血が上った僕は、すぐにヴァンにあの女を捕まえる様に伝えた。でも…
「殿下、少し落ち着いて下さい。どうやらこの女、訳の分からない作り話を、オニキス様に話している様です。それにしても、こんなバカげた話を、なぜオニキス様は真剣に聞いていらっしゃるのでしょう…」
確かにこの女の話は、嘘八百で、どこをどうしても信頼できるものではない。それなのにオニキスは、真剣にこの女の話を聞き、さらに協力するとまで言ったのだ。
そして
“私はどうすれば婚約破棄が出来るのですか?お願いです、教えてください!”
そう言って必死に頭を下げているのだ。オニキス…君はまだ僕と婚約破棄をしたがっていたのだね…ショックでフラフラとソファーに座り込んだ。
その後もあの女とオニキスの話は続く。それにしてもあの女、伯爵令嬢の癖に、オニキスを呼び捨てにするだけでなく、あんなにもオニキスに暴言を吐いている。聞いているだけで、イライラする。
それでもオニキスは、こんなバカげた話を必死に聞いて、あの女に協力する代わりに婚約破棄を手伝ってもらう事にした様だ。
「ヴァン、僕は絶対にオニキスと婚約破棄なんてしないよ。それからあの大ほら吹き女、今すぐ捕まえよう。僕の可愛いオニキスを騙そうとしたんだ。ただじゃおかないぞ」
「落ち着いて下さい、殿下。今あの女を捕まえたところで、オニキス様の殿下との婚約破棄したい病は収まらないでしょう。一旦2人のやりたいようにさせてみてはどうでしょう」
こいつ、何をふざけたことを言っているんだ!
「そんな事をさせて、万が一オニキスにもしもの事があったらどうするんだ!それに、もしオニキスが本当に僕から離れて行ってしまったら…」
そう考えただけで、めまいがしてその場に倒れ込む。
「大丈夫です、あなた様の気持ち悪いほどの嫉妬深さのお陰で、これほどまでにオニキス様の行動は筒抜けなのです。それから念のため、ミレィシャル伯爵令嬢にも盗聴器を仕掛けましょう。一応公爵と陛下には話を通しておきましょうか」
ヴァンがどんどん話を進めていく。
「本当に大丈夫なのか?僕はオニキスが心配だ。それに、まだ婚約破棄をしたがっていただなんて、ダメージが大きすぎる」
「落ち着いて下さい、殿下。本当に普段は非常に優秀なのに、オニキス様の事になると、途端にダメ人間になってしまうのですから。そうそう、これ。昨日の夜オニキス様が使った寝具です。本当は渡さないでおこうと思ったのですが、今の殿下には必要かと」
そう言ってヴァンが僕に寝具を手渡してくれた。
「あぁ、オニキスの匂いがする…オニキス、どうして君は僕から離れていこうとするんだい?こんなに愛しているのに」
寝具を抱きしめる。あぁ、やっぱりオニキスの匂いは落ち着くな…
そんな僕を、気持ち悪いものを見る様な目で見つめるヴァン。本当に失礼な奴だ。
「それでは殿下、くれぐれも暴走しない様にお願いしますね」
そう言ってヴァンが部屋から出て行った。それにしてもこの女、本当に図々しい女だな。それにオニキスの事を、悪い奴の顔だと言っていたし。
ヴァンが様子を見ろと言うから、仕方なく様子を見てやるが、絶対にただじゃおかないからな!
※次回、オニキス視点に戻ります。
もちろん僕も、オニキスとの距離を少しでも近づけたくて、毎日お茶に誘っている。律儀に僕の誘いを受けてくれるオニキス。やっぱりオニキスも、僕の事を大切に思ってくれているのだろう。
ただ、相変わらず僕はオニキスを見ると鼻血が出そうになる為、思う様に話しが出来ないのが悔やまれる。この問題を、早急に何とかしないと。それでも僕は、オニキスと同じ空間に入れるだけでも十分幸せだ。本当は夕食も2人きりで食べたいのだが、なぜか父上と母上が邪魔しに来るのだ。
「僕の邪魔をしないで下さい!」
と、一度文句を言ったのだが
「あら、夕飯の時くらい、いいじゃない。大勢の方が楽しいわ」
と、母上は言っているのだ。父上は僕の邪魔をしている事を申し訳なく思っている様だが、母上に強く言えないらしい。
今日もオニキスをお茶に誘う様にヴァンに依頼し、一足先に王宮へと戻ってきた。いつもの様に、オニキスの好きなカモミールティとお菓子を準備して待つ。オニキス、早く来ないかな。そう思っていると
「殿下、先ほどオニキス様から伝言がありました。今日は用事が出来たから、行けないとの事です」
「用事とは一体何だ!僕とのお茶以上に大切な用事なんて…もしかして、オニキスは他に好きな男でも出来たのか?」
そう思い、急いでモニターをチェックする。するとそこには、ミレィシャル伯爵令嬢と一緒にいるオニキスの姿が。この女、僕にずっと絡んできた女だ。3年生になってからは、あしらっていたのだが。
もしかして、僕に相手にされないものだから、オニキスに文句でも言おうとしているのか?
そう思って様子を見ていると、この女が急にオニキスに暴言を吐きだしたのだ。それもあろう事か、自分と僕が愛し合っていると大嘘をオニキスに吹き込んでいる。
「おい、何なんだこの女は!許せない。どうして僕がこんな女を好きにならないといけないんだ。国家反逆罪で、今すぐ捕らえいないと!それに、オニキスを処刑するとか言っているぞ。なんて恐ろしい女だ。可哀そうに、オニキスが泣いているではないか!」
完全に頭に血が上った僕は、すぐにヴァンにあの女を捕まえる様に伝えた。でも…
「殿下、少し落ち着いて下さい。どうやらこの女、訳の分からない作り話を、オニキス様に話している様です。それにしても、こんなバカげた話を、なぜオニキス様は真剣に聞いていらっしゃるのでしょう…」
確かにこの女の話は、嘘八百で、どこをどうしても信頼できるものではない。それなのにオニキスは、真剣にこの女の話を聞き、さらに協力するとまで言ったのだ。
そして
“私はどうすれば婚約破棄が出来るのですか?お願いです、教えてください!”
そう言って必死に頭を下げているのだ。オニキス…君はまだ僕と婚約破棄をしたがっていたのだね…ショックでフラフラとソファーに座り込んだ。
その後もあの女とオニキスの話は続く。それにしてもあの女、伯爵令嬢の癖に、オニキスを呼び捨てにするだけでなく、あんなにもオニキスに暴言を吐いている。聞いているだけで、イライラする。
それでもオニキスは、こんなバカげた話を必死に聞いて、あの女に協力する代わりに婚約破棄を手伝ってもらう事にした様だ。
「ヴァン、僕は絶対にオニキスと婚約破棄なんてしないよ。それからあの大ほら吹き女、今すぐ捕まえよう。僕の可愛いオニキスを騙そうとしたんだ。ただじゃおかないぞ」
「落ち着いて下さい、殿下。今あの女を捕まえたところで、オニキス様の殿下との婚約破棄したい病は収まらないでしょう。一旦2人のやりたいようにさせてみてはどうでしょう」
こいつ、何をふざけたことを言っているんだ!
「そんな事をさせて、万が一オニキスにもしもの事があったらどうするんだ!それに、もしオニキスが本当に僕から離れて行ってしまったら…」
そう考えただけで、めまいがしてその場に倒れ込む。
「大丈夫です、あなた様の気持ち悪いほどの嫉妬深さのお陰で、これほどまでにオニキス様の行動は筒抜けなのです。それから念のため、ミレィシャル伯爵令嬢にも盗聴器を仕掛けましょう。一応公爵と陛下には話を通しておきましょうか」
ヴァンがどんどん話を進めていく。
「本当に大丈夫なのか?僕はオニキスが心配だ。それに、まだ婚約破棄をしたがっていただなんて、ダメージが大きすぎる」
「落ち着いて下さい、殿下。本当に普段は非常に優秀なのに、オニキス様の事になると、途端にダメ人間になってしまうのですから。そうそう、これ。昨日の夜オニキス様が使った寝具です。本当は渡さないでおこうと思ったのですが、今の殿下には必要かと」
そう言ってヴァンが僕に寝具を手渡してくれた。
「あぁ、オニキスの匂いがする…オニキス、どうして君は僕から離れていこうとするんだい?こんなに愛しているのに」
寝具を抱きしめる。あぁ、やっぱりオニキスの匂いは落ち着くな…
そんな僕を、気持ち悪いものを見る様な目で見つめるヴァン。本当に失礼な奴だ。
「それでは殿下、くれぐれも暴走しない様にお願いしますね」
そう言ってヴァンが部屋から出て行った。それにしてもこの女、本当に図々しい女だな。それにオニキスの事を、悪い奴の顔だと言っていたし。
ヴァンが様子を見ろと言うから、仕方なく様子を見てやるが、絶対にただじゃおかないからな!
※次回、オニキス視点に戻ります。
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