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第36話:私、思いっきり勘違いをしていた様です
「オニキス、僕は初めて君を見た時から、一目で恋に落ちた。見た目が美しい事はもちろん、いつも僕に笑いかけてくれるその笑顔、聖母の様な慈悲深さ、そしてその絹の様な柔らかそうな肌…僕は君を好きになるあまり、感情が上手くコントロールできなくなっていたんだ。でも、これだけは分かって欲しい。僕は誰よりも、君を愛している…」
真っ赤な顔をしてそう伝えてくれたブライン様。その瞳には、嘘偽りは感じられない。
「ブライン様…私をその様に思っていて下さっていたのですね。嬉しいですわ。でも、それなら…」
ブライン様の手を握り、自分の気持ちを伝えようとしたのだが…
「オニキスの可愛い顔が…目の前に…それに僕の手をオニキスが…」
訳の分からない事を呟いたと思ったら、急にブゥゥゥゥっと鼻から大量の血が噴き出たのだ。
「ブライン様、大丈夫ですか?」
「オニキスが…僕の手を…オニキスの可愛い顔が…」
「大変だわ。ブラインを早く自室へ。すぐに医者を呼んで!」
王妃様の言葉で、近くにいたブライン様の従者と護衛騎士が飛んできた。かなりの出血量で、既に服は血だらけ。でもなぜか、ブライン様は幸せそうな顔をしている。
これってかなり大変な状況なのでは…
「ブライン様、大丈夫ですか?しっかりしてください!」
「オニキス…可愛いオニキス…柔らかい手…」
「オニキス様、申し訳ございませんが、殿下の視界に入らない様にお願いいたします」
なぜかブライン様の従者にそう言われた。一体どういう事か分からなず、困惑する。
「オニキスちゃん、大丈夫よ。いつもの事だから。ただ今日は、ちょっと出血量が多い様だけれど…」
そう言って苦笑いしている王妃様。とにかく私たちも、運ばれていくブライン様に付いて行く。部屋を出てしばらく進むと、立派な扉を開けてメイドが待っていた。その部屋に運ばれていくブライン様。私達も後に続く。
すると…
「このお部屋は…」
立派なお部屋には、いたるところに私の似顔絵が飾ってあった。さらに大きなモニターもある。
あら?この寝間着、見覚えがあるわね。こっちの枕カバーも。あら?このぬいぐるみ、私によく似ているわ。それに来ているドレスは…
「何なんだ、この部屋は!これはオニキスの寝間着じゃないか。こっちにはオニキスが使っていたドレスや手袋もある」
「父上、こっちにはどうやらオニキスが使ったと思われるスプーンやストローがあります。ご丁寧に、“何月何日、午後のティータイムでオニキスが使用”と、1つづつ書いてありますよ」
お父様とお兄様も大騒ぎしている。
「陛下、これは一体どういう事ですか?どうしてオニキスの私物が、ここにあるのですか?それも寝具やドレスなど、肌に身に付けるものばかりではないですか?」
「お…落ち着いてくれ、公爵。これには色々と理由が…」
「どんな理由があると言うのですか?」
お父様が陛下に詰め寄っている。
“この部屋はさすがにないわね…オニキス、私はやっぱり、ブライン様とは結ばれない運命だったみたいだわ。それにしても、ブライン様にこんな趣味があったなんて、気持ち悪いことこの上ないわ。それにあの鼻血に締まりのない顔。まるで変態そのものね。いくらお顔が美しくても、ああいう変態はどうしても受け付けないの。本当に無理だわ”
心底気持ち悪いものを見る様な目でブライン様を見つめながら、クロエ様が私の耳元でそんな事を呟く。伯爵も口をポカンと開けて、固まっている。
確かに凄い部屋だが…それでもそれだけ私を愛してくれていたという事なのだろう。でも、それならどうして、あんなに私に冷たくしたのかしら?全く理解できない。
ふとブライン様の方を見ると、出血が多かったせいか、ベッドの上でぐったりとしていた。医師が治療にあたっているが、大丈夫かしら?気になってブライン様に近づこうとしたのだが。
「オニキス様、どうか殿下の視界に入るのはお止めください」
「どうして私が視界に入るといけないのですか?ブライン様が心配ですわ」
確かに幸せそうな顔をしている様だが、顔色が悪く目もうつろだ。それなのに傍によってはダメだなんて…
「それは…私の口からは…」
従者が困った顔をしている。
「オニキスちゃん、ブラインはね。あなたの事が好きすぎて、あなたの顔を見たり、触れたりすると興奮しすぎて、あんな風に鼻血が噴き出てしまうの。だから今まで、極力あなたの顔を見ない様にしていたの。あなたに自分の恥ずかしい姿を見られたくなくて。本当にどうしようもない子で、ごめんなさいね。そのせいで、オニキスちゃんにも悲しい思いをさせてしまったわね」
そう王妃様が教えてくれた。
そうか、だから私に極力触れなかったり私の方を見なかったりしていたのね。決して私の事が嫌いという訳ではなかったのだわ。それなのに私ったら…
「王妃様、教えていただきありがとうございます。私ったら、ブライン様のお気持ちも知らず、婚約破棄をしたいだなんて申し上げてしまい、本当にごめんなさい」
「オニキスちゃんが気にする事ではないわ。それにしても、困ったものね…」
王妃様がブライン様を見つめながらそう呟いた。
どうやら私は、色々と勘違いをしていた様だ。その事に今回気が付けたのは、よかったわ。
真っ赤な顔をしてそう伝えてくれたブライン様。その瞳には、嘘偽りは感じられない。
「ブライン様…私をその様に思っていて下さっていたのですね。嬉しいですわ。でも、それなら…」
ブライン様の手を握り、自分の気持ちを伝えようとしたのだが…
「オニキスの可愛い顔が…目の前に…それに僕の手をオニキスが…」
訳の分からない事を呟いたと思ったら、急にブゥゥゥゥっと鼻から大量の血が噴き出たのだ。
「ブライン様、大丈夫ですか?」
「オニキスが…僕の手を…オニキスの可愛い顔が…」
「大変だわ。ブラインを早く自室へ。すぐに医者を呼んで!」
王妃様の言葉で、近くにいたブライン様の従者と護衛騎士が飛んできた。かなりの出血量で、既に服は血だらけ。でもなぜか、ブライン様は幸せそうな顔をしている。
これってかなり大変な状況なのでは…
「ブライン様、大丈夫ですか?しっかりしてください!」
「オニキス…可愛いオニキス…柔らかい手…」
「オニキス様、申し訳ございませんが、殿下の視界に入らない様にお願いいたします」
なぜかブライン様の従者にそう言われた。一体どういう事か分からなず、困惑する。
「オニキスちゃん、大丈夫よ。いつもの事だから。ただ今日は、ちょっと出血量が多い様だけれど…」
そう言って苦笑いしている王妃様。とにかく私たちも、運ばれていくブライン様に付いて行く。部屋を出てしばらく進むと、立派な扉を開けてメイドが待っていた。その部屋に運ばれていくブライン様。私達も後に続く。
すると…
「このお部屋は…」
立派なお部屋には、いたるところに私の似顔絵が飾ってあった。さらに大きなモニターもある。
あら?この寝間着、見覚えがあるわね。こっちの枕カバーも。あら?このぬいぐるみ、私によく似ているわ。それに来ているドレスは…
「何なんだ、この部屋は!これはオニキスの寝間着じゃないか。こっちにはオニキスが使っていたドレスや手袋もある」
「父上、こっちにはどうやらオニキスが使ったと思われるスプーンやストローがあります。ご丁寧に、“何月何日、午後のティータイムでオニキスが使用”と、1つづつ書いてありますよ」
お父様とお兄様も大騒ぎしている。
「陛下、これは一体どういう事ですか?どうしてオニキスの私物が、ここにあるのですか?それも寝具やドレスなど、肌に身に付けるものばかりではないですか?」
「お…落ち着いてくれ、公爵。これには色々と理由が…」
「どんな理由があると言うのですか?」
お父様が陛下に詰め寄っている。
“この部屋はさすがにないわね…オニキス、私はやっぱり、ブライン様とは結ばれない運命だったみたいだわ。それにしても、ブライン様にこんな趣味があったなんて、気持ち悪いことこの上ないわ。それにあの鼻血に締まりのない顔。まるで変態そのものね。いくらお顔が美しくても、ああいう変態はどうしても受け付けないの。本当に無理だわ”
心底気持ち悪いものを見る様な目でブライン様を見つめながら、クロエ様が私の耳元でそんな事を呟く。伯爵も口をポカンと開けて、固まっている。
確かに凄い部屋だが…それでもそれだけ私を愛してくれていたという事なのだろう。でも、それならどうして、あんなに私に冷たくしたのかしら?全く理解できない。
ふとブライン様の方を見ると、出血が多かったせいか、ベッドの上でぐったりとしていた。医師が治療にあたっているが、大丈夫かしら?気になってブライン様に近づこうとしたのだが。
「オニキス様、どうか殿下の視界に入るのはお止めください」
「どうして私が視界に入るといけないのですか?ブライン様が心配ですわ」
確かに幸せそうな顔をしている様だが、顔色が悪く目もうつろだ。それなのに傍によってはダメだなんて…
「それは…私の口からは…」
従者が困った顔をしている。
「オニキスちゃん、ブラインはね。あなたの事が好きすぎて、あなたの顔を見たり、触れたりすると興奮しすぎて、あんな風に鼻血が噴き出てしまうの。だから今まで、極力あなたの顔を見ない様にしていたの。あなたに自分の恥ずかしい姿を見られたくなくて。本当にどうしようもない子で、ごめんなさいね。そのせいで、オニキスちゃんにも悲しい思いをさせてしまったわね」
そう王妃様が教えてくれた。
そうか、だから私に極力触れなかったり私の方を見なかったりしていたのね。決して私の事が嫌いという訳ではなかったのだわ。それなのに私ったら…
「王妃様、教えていただきありがとうございます。私ったら、ブライン様のお気持ちも知らず、婚約破棄をしたいだなんて申し上げてしまい、本当にごめんなさい」
「オニキスちゃんが気にする事ではないわ。それにしても、困ったものね…」
王妃様がブライン様を見つめながらそう呟いた。
どうやら私は、色々と勘違いをしていた様だ。その事に今回気が付けたのは、よかったわ。
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