婚約破棄した殿下が今更迫ってきます!迷惑なのでもう私に構わないで下さい

Karamimi

文字の大きさ
45 / 49

第45話:僕は君を守れて幸せだよ~アレホ視点~

しおりを挟む
「アレホ、一体何をしたんだ。この魔法書に書かれているページは…」

周りで皆がギャーギャー騒いでいる。それにしても、苦しいし痛いし…こんな苦しみを、リリアーナは1日近くも耐えていただなんて。もっと早く、代わってあげられれば良かった…

今までリリアーナの状況を、ただ見つめていただけの自分に、改めて腹が立ってきた。

「殿下、あなた様は一体何をされたのですか?どうして私が元気になって、殿下が急に苦しみだしたのですか?」

「リリアーナ嬢、落ち着いてくれ。アレホはどうやら、身代わりの魔法を使った様だ」

「身代わりの魔法ですって?」

近くに置いてあった魔法書を父上は見たのだろう。

「そんな…それじゃあ殿下は…どうして?どうしてそこまで私の為に…」

ポロポロと涙を流し、僕に抱き着くリリアーナ。

「リリアーナ…僕にとって君は…命に…代えても…守りたい…ゴホゴホ…」

「殿下、どうかもう話さないで下さい」

クソ、僕の気持ちをきちんと話せなかった。そう、途中で吐血してしまったのだ。そんな僕に涙を流しながら、僕の口元を拭いてくれているリリアーナ。どうか僕の為に泣かないでくれ。君が泣くと、僕は悲しくなるのだ。

そう伝えたいが、話すことが出来ない。

どうしても気持ちを伝えたくて

「紙と…ペンを…」

そう伝えた。すぐに近くの使用人が、紙とペンを持ってきてくれた。さらに僕の為に、大きなベッドが運ばれてきて、そこに寝かされた。

どうやら僕を王宮まで運ぶのは、厳しいと考えたのだろう。

早速自分の気持ちを伝えたくてペンを握ったが、激痛と息苦しさ、さらに手が上手く動かずに、中々文字を書く事が出来ない。

それでも必死に書き上げた。

“リリアーナ、どうか泣かないでくれ。僕は君の身代わりになれたこと、とても幸せに思っているから”

本当はもっともっと伝えたい事が山ほどある。でも今の僕には、これ以上文字を書く力がないのだ。

「アレホ、いくらリリアーナちゃんを助けたいからって、この様な魔法を使うだなんて」

母上が僕に抱き付き、声を上げて泣いている。父上も

「どうして身代わりの魔法なんて…と言いたいが、お前らしいな!」

そう言って泣いていた。父上、母上、親不孝な息子でごめんなさい。でも僕は、リリアーナを死なせることだけは、出来かなったのだ。

「アレホ殿下、リリアーナの為に、本当に申し訳ない。とにかく、殿下が身代わりになってくれたお陰で、まだ少し猶予が出来た。何とか殿下が助かる方法を私達も探そう」

「アレホ殿下…姉上を助けてくれて、ありがとうございます。それから、今まで酷い事を言ってごめんなさい」

リヒト殿が僕に頭を下げて来た。

どうやら最後の最後に、リヒト殿に受け入れられた様だ。それにしても辛いし痛いし…何なんだこの苦しみは。あの女、こんな恐ろしい呪いをリリアーナにかけていただなんて!体中から今までに感じた事のない怒りを感じた。

あの女は生前散々リリアーナを苦しめたにもかかわらず、死後まで苦しめるだなんて!あの女の思い通りにはしたくない。

「殿下、お可哀そうに。私が殿下の身代わりになります。この呪文を唱えればいいのですね」

何を思ったのか、僕の専属執事が、身代わりの魔法を使おうと、必死に呪文を読み始めたのだ。でも、もちろん身代わりになんてなれるわけがない。あの魔法は、非常に難しいのだ。

僕が成功で来た事さえ、奇跡なのだから…

「どうして…どうして身代わりになれないのですか?」

「それなら私が」

「止め…ろ…無理だ…」

必死に止めるが、誰も止めようとしない。挙句の果てに父上や母上、公爵や夫人、さらにリリアーナまでもが、呪文を唱え始めた。でも、何度やっても無駄だ。

何の知識も訓練も受けていない彼らに、内に秘めた魔力を引き出す事なんて出来ない。そもそも、この魔法は非常に難しいのだ。少し魔法をかじった僕が、本来使える魔法でもないのだ。

そうこうしているうちに、再び夜が更けていった。

きっと僕はもう助からない。それでもリリアーナの命を救えた。だから僕は、後悔なんてしていない。ただ…自分のせいで僕が命を落としたとなれば、きっとリリアーナは苦しむだろう。

どうかリリアーナには、僕の事を気にせずに幸せになって欲しい。それが今の僕の、唯一の願いでもあるから…


※次回、リリアーナ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。  読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。 「私は君を愛することはないだろう。  しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。  これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」  結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。  この人は何を言っているのかしら?  そんなことは言われなくても分かっている。  私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。  私も貴方を愛さない……  侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。  そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。  記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。  この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。  それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。  そんな私は初夜を迎えることになる。  その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……    よくある記憶喪失の話です。  誤字脱字、申し訳ありません。  ご都合主義です。  

あなたに未練などありません

風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」 初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。 わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。 数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。 そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする

夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、 ……つもりだった。 夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。 「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」 そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。 「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」 女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。 ※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。 ヘンリック(王太子)が主役となります。 また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...