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第18話:気持ちが抑えられない~ハリー視点
早速4人で書類を読み始めた。
書類を読み進めていくうちに、言いようのない怒りがこみ上げて来た。
「なんなんだ!この国の国王は!カトリーナを何だと思っているんだ!」
つい感情を抑えられず、机を叩いてしまった。
そこには、カトリーナの母親が男爵令嬢という事で、異母兄弟はもちろん、父親やメイドたちから邪険に扱われていたこと。特に母親が亡くなってからは、魔力を放出するために訪れる訓練場以外は部屋で過ごす様命じられていたこと。
さらに驚いたのが、当時彼女の婚約者だった公爵令息と第6王女が手を組み、カトリーナを嵌め、犯罪者に仕立てた事。さらに国王はその事をわかっていながら、彼女を我が国に送った事が記載されていた。
書類によると、カトリーナの元婚約者は、唯一カトリーナに優しくていた相手だったらしい。きっとカトリーナは、そんな婚約者の事を、認めたくはないが、本当に認めたくはないが好きだったのかもしれない…それなのに、元婚約者は!
無意識に書類を強く握りしめ、今にも怒りから魔力が暴走しそうになるのを必死に抑える。
「落ち着け、ハリー。でも、これは酷いな…あぁ、こっちの書類を読んだら、お前はマレッティア王国の王族に怒鳴りこみに行くかもしれないな…」
ぼそっとそう言った兄上。急いで書類を取り上げて読むと、そこには、カトリーナの母親は王妃によって毒殺されたこと、さらにカトリーナ自身も何度も命を狙われていたことが記載されていた。ただ、カトリーナ自身は非常に魔力が高いため、暗殺が出来なかったらしい。
そもそも国王は、王妃の父親でもある公爵に王にしてもらった恩があるため、王妃にあまり強く言えないらしい。
「王妃は論外として、どこまであの国の国王はクズなんだ…」
カトリーナは、母親が毒殺されたことを知っているのだろうか?ずっと孤独の中、必死に生きて来たカトリーナ。唯一優しかった元婚約者にも裏切られて…
この書類を読んで、全ての謎が解けた。俺が当たり前に感じる事が、彼女にとっては尊く特別な事なのだろう。
増々カトリーナが愛おしくてたまらなくなってきた。今すぐ抱きしめたい、そんな感情に駆られた。
気が付くと、隣で母上が泣いていた。
「だからカトリーナちゃんは、あんなにも寂しそうな目をしていたのね…なんて事なの…」
そう言うと、その場で泣き崩れてしまった母上。そんな母上を父上が背中を撫でている。
その瞬間、顔をあげた母上。
「あなた!この報告書を見る限り、カトリーナちゃんが死刑囚として、この国に無償で提供されたと書いてありますが!一体どういう事ですの?私には、本人の強い希望でここに来るとおっしゃったではありませんか!」
「いや、それには深い訳が…」
「どんな訳ですか!」
珍しく怖い顔をした母上が、父上に詰め寄っている。正直、夫婦げんかなんてどうでもいい。
マレッティア王国の王族どもとカトリーナの元婚約者に、一泡吹かせてやりたい。でも、きっとそんな事をしても、カトリーナは喜ばないだろう。
とにかくこれからはこの国で、幸せに暮らせる様カトリーナを守っていこう。俺の手で!そう強く思った。
早速カトリーナの元に向かうと、部屋で本を読んでいた。俺が訪ねると、不安そうに駆け寄ってきた。
「ハリー様、どうされたのですか?まさか魔力が…」
相変わらず彼女は、いつも俺の魔力の心配をしてくれる。どうしても我慢できずに、そのまま強く抱きしめた。
「ハリー様?」
「すまない。どうやら魔力が足りないみたいなんだ。このままこうさせてほしい」
魔力が足りない訳では決してない。ただただカトリーナを、強く抱きしめたかっただけだ。そんな俺に黙って抱きしめられるカトリーナ。しばらく落ち着いた後、彼女からゆっくり離れた。
「ありがとう、カトリーナ。魔力が満タンになったよ。さあ、お茶にしよう、今日は天気がいいから、中庭に行こうか」
「はい」
その後は時間が許す限り、中庭で過ごした。いつの間にか母上も乱入し、その日は3人で過ごすことになった。
翌日以降も、時間が許す限りカトリーナと過ごすことにした。母上もカトリーナが心配な様で、頻繁にお茶に誘っている様だ。
「カトリーナちゃんは私にとって、もう娘の様なものよ!これからは、殺されたお母様の分まで、たっぷり愛情を注いであげなきゃね!」
そう鼻息荒く宣言していた。別に母上に愛情を注いでもらわなくてもいい。俺がカトリーナに愛情をたっぷり注ぐのだから。
でも、そんな中、俺はある事に気が付いたのだ。カトリーナの行動が把握できないことがあるのだ。カトリーナは、基本的にメイドを伴って移動しない。王宮内を移動する分には問題ないと思っていたのだが、正直いつどこで何をしているのか気になって仕方がない俺は、出来る限りカトリーナの行動を把握しておきたい。
何度カトリーナにメイドを伴って移動するように言っても
“私はメイドが苦手ですので”
そう言って絶対に首を縦に振らないのだ。いっその事、護衛騎士をこっそり付けようか。でも、もしバレたら…そう考えると、どうしても決心がつかない。
モヤモヤしているうちに、月日だけは過ぎていく。俺のモヤモヤとは裏腹に、カトリーナの魔力のお陰で、体はかなり元気になった。医者からは完治も目前だとまで言われている。
でも、もし俺が完治したら、このまま俺の側から去って行ってしまうかもしれない。そもそも、毎日空白の時間があるなんて、おかしい。もしかしたら、他に好きな男が出来て、密会をしているのかもしれない!
そう思ったら、いてもたってもいられず、護衛騎士をこっそり付けさせることにした。でも、なぜか魔力でごまかされている様で、いつもカトリーナを見失う護衛騎士たち。くそ、カトリーナは一体どこで何をしているんだ。
書類を読み進めていくうちに、言いようのない怒りがこみ上げて来た。
「なんなんだ!この国の国王は!カトリーナを何だと思っているんだ!」
つい感情を抑えられず、机を叩いてしまった。
そこには、カトリーナの母親が男爵令嬢という事で、異母兄弟はもちろん、父親やメイドたちから邪険に扱われていたこと。特に母親が亡くなってからは、魔力を放出するために訪れる訓練場以外は部屋で過ごす様命じられていたこと。
さらに驚いたのが、当時彼女の婚約者だった公爵令息と第6王女が手を組み、カトリーナを嵌め、犯罪者に仕立てた事。さらに国王はその事をわかっていながら、彼女を我が国に送った事が記載されていた。
書類によると、カトリーナの元婚約者は、唯一カトリーナに優しくていた相手だったらしい。きっとカトリーナは、そんな婚約者の事を、認めたくはないが、本当に認めたくはないが好きだったのかもしれない…それなのに、元婚約者は!
無意識に書類を強く握りしめ、今にも怒りから魔力が暴走しそうになるのを必死に抑える。
「落ち着け、ハリー。でも、これは酷いな…あぁ、こっちの書類を読んだら、お前はマレッティア王国の王族に怒鳴りこみに行くかもしれないな…」
ぼそっとそう言った兄上。急いで書類を取り上げて読むと、そこには、カトリーナの母親は王妃によって毒殺されたこと、さらにカトリーナ自身も何度も命を狙われていたことが記載されていた。ただ、カトリーナ自身は非常に魔力が高いため、暗殺が出来なかったらしい。
そもそも国王は、王妃の父親でもある公爵に王にしてもらった恩があるため、王妃にあまり強く言えないらしい。
「王妃は論外として、どこまであの国の国王はクズなんだ…」
カトリーナは、母親が毒殺されたことを知っているのだろうか?ずっと孤独の中、必死に生きて来たカトリーナ。唯一優しかった元婚約者にも裏切られて…
この書類を読んで、全ての謎が解けた。俺が当たり前に感じる事が、彼女にとっては尊く特別な事なのだろう。
増々カトリーナが愛おしくてたまらなくなってきた。今すぐ抱きしめたい、そんな感情に駆られた。
気が付くと、隣で母上が泣いていた。
「だからカトリーナちゃんは、あんなにも寂しそうな目をしていたのね…なんて事なの…」
そう言うと、その場で泣き崩れてしまった母上。そんな母上を父上が背中を撫でている。
その瞬間、顔をあげた母上。
「あなた!この報告書を見る限り、カトリーナちゃんが死刑囚として、この国に無償で提供されたと書いてありますが!一体どういう事ですの?私には、本人の強い希望でここに来るとおっしゃったではありませんか!」
「いや、それには深い訳が…」
「どんな訳ですか!」
珍しく怖い顔をした母上が、父上に詰め寄っている。正直、夫婦げんかなんてどうでもいい。
マレッティア王国の王族どもとカトリーナの元婚約者に、一泡吹かせてやりたい。でも、きっとそんな事をしても、カトリーナは喜ばないだろう。
とにかくこれからはこの国で、幸せに暮らせる様カトリーナを守っていこう。俺の手で!そう強く思った。
早速カトリーナの元に向かうと、部屋で本を読んでいた。俺が訪ねると、不安そうに駆け寄ってきた。
「ハリー様、どうされたのですか?まさか魔力が…」
相変わらず彼女は、いつも俺の魔力の心配をしてくれる。どうしても我慢できずに、そのまま強く抱きしめた。
「ハリー様?」
「すまない。どうやら魔力が足りないみたいなんだ。このままこうさせてほしい」
魔力が足りない訳では決してない。ただただカトリーナを、強く抱きしめたかっただけだ。そんな俺に黙って抱きしめられるカトリーナ。しばらく落ち着いた後、彼女からゆっくり離れた。
「ありがとう、カトリーナ。魔力が満タンになったよ。さあ、お茶にしよう、今日は天気がいいから、中庭に行こうか」
「はい」
その後は時間が許す限り、中庭で過ごした。いつの間にか母上も乱入し、その日は3人で過ごすことになった。
翌日以降も、時間が許す限りカトリーナと過ごすことにした。母上もカトリーナが心配な様で、頻繁にお茶に誘っている様だ。
「カトリーナちゃんは私にとって、もう娘の様なものよ!これからは、殺されたお母様の分まで、たっぷり愛情を注いであげなきゃね!」
そう鼻息荒く宣言していた。別に母上に愛情を注いでもらわなくてもいい。俺がカトリーナに愛情をたっぷり注ぐのだから。
でも、そんな中、俺はある事に気が付いたのだ。カトリーナの行動が把握できないことがあるのだ。カトリーナは、基本的にメイドを伴って移動しない。王宮内を移動する分には問題ないと思っていたのだが、正直いつどこで何をしているのか気になって仕方がない俺は、出来る限りカトリーナの行動を把握しておきたい。
何度カトリーナにメイドを伴って移動するように言っても
“私はメイドが苦手ですので”
そう言って絶対に首を縦に振らないのだ。いっその事、護衛騎士をこっそり付けようか。でも、もしバレたら…そう考えると、どうしても決心がつかない。
モヤモヤしているうちに、月日だけは過ぎていく。俺のモヤモヤとは裏腹に、カトリーナの魔力のお陰で、体はかなり元気になった。医者からは完治も目前だとまで言われている。
でも、もし俺が完治したら、このまま俺の側から去って行ってしまうかもしれない。そもそも、毎日空白の時間があるなんて、おかしい。もしかしたら、他に好きな男が出来て、密会をしているのかもしれない!
そう思ったら、いてもたってもいられず、護衛騎士をこっそり付けさせることにした。でも、なぜか魔力でごまかされている様で、いつもカトリーナを見失う護衛騎士たち。くそ、カトリーナは一体どこで何をしているんだ。
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