9 / 35
第9話:殿下も随分と領地に慣れて来ましたが…
しおりを挟む
殿下を初めて海に連れて行って以降、毎日の様に一緒に海について来るようになった。その上、なぜか毎回口付けを求めて来るのだ。
「君だけ皆と話をしたり、海の中を自由に泳ぎ回るなんてズルい!」
そう訴えて来るのだ。さらに
“ノアが可哀そうだわ。ステファニー、減るものでもないのだし、口付けくらいしてあげて”
と、キキやリンリンからも強く言われるのだ。その為、仕方なく毎日口付けをさせられている。よほど海の中が気に入ったのか、嬉しそうに唇を重ねる殿下。正直、何度やっても慣れる行為ではない。つい顔を赤くしてしまう私に
「ステファニー嬢はすぐに顔が赤くなるね。オクトにそっくりだ」
そう言って笑っている。この男、失礼っぷりは相変わらずね。
そもそも私、婚約者でもない男性とこんなにも口付けを交わしていて、お嫁に行けるのかしら…そんな不安すら、頭をよぎる。でも…嬉しそうに海の中を泳ぎ回る殿下を見ていたら、まあいいかという気持ちになってしまうのよね。
今日も私に口付けを迫る殿下。
「ステファニー嬢、こっちにおいで」
にっこり笑って近づいて来る殿下。
「お待ちください、まだ心の準備が…」
相変わらずアタフタする私の腕を掴み、さっさと唇を重ねる殿下。温かく柔らかな感触が、唇から伝わる。なんだか最近、口付けする時間が長くなっている様な…そう思う程長い。今日も息が切れる程長い時間口付けをされた。
「ハーハー」
息切れを起こす私に
「ステファニー嬢、別に息を止めなくてもいいんだよ」
そう言って笑っている殿下。何が可笑しいのよ!そもそもあなたの為に、口付けをしているのでしょう!さすがにイラッとしたので
「最近口付けの時間が長すぎます。そんなに長くしなくても、十分海の中で過ごせますわ!」
確かに口付けの時間が長ければ長いほど、効果も長く続くが、そもそも殿下は第一王子。勉強などもやらなければいけない為、午前中の2時間のみ海に出る事を許可されているはず。
それなのに、こんなにも長い口付けをするなんて!そんな思いで抗議をしたのだが…
「別に長くないと思うよ。そもそも、万が一途中で効果が切れて再度口付けとなったら、ステファニー嬢も嫌だろう?そうならない為、気を使ってあげているのに…」
そう言って悲しそうな顔をする殿下。うっ…そんな顔をされると、なんだか私が悪い事をしているみたいじゃない。もう、分かったわよ。
「殿下の気持ちは分かりましたわ…お気遣いいただき、ありがとうございます」
「分かってくれたらいいんだ。それから、僕以外の異性と口付けをしては駄目だよ。これだけは絶対守ってね。それじゃあ、早く皆の元に行こうか」
涼しい顔をして海に入って行く殿下。ん?何で私が言い聞かされた?なんだか釈然としない。
「ステファニー嬢、早くおいでよ。皆待っているよ」
嬉しそうに私を呼ぶ殿下を見たら、結局まあいいか!てなるのよね…
「今行きますよ」
急いで殿下の方に向かう。今日もいつもの様に皆で海の底に冒険に行ったり、他の生き物たちを紹介してくれたり、海の幸を分けてもらったりして過ごす。
“それじゃあまた明日ね”
あっという間に2時間が過ぎ、今日の海で過ごす時間は終わりだ。そして午後は、なぜか私まで殿下の勉強に付き合わされている。
殿下曰く
「僕が勉強をしている時に、君だけ海で遊んでいるなんてズルい!君も一応伯爵令嬢なのだから、知識と教養は身につけないとね」
との事。教育役の男性にも懇願され、結局一緒に受ける事になったのだ。そもそも私は勉強自体は嫌いではない。子供の頃から、おばあ様にマナーはもちろん、ある程度の勉強も叩きこまれた。
そのおかげで、殿下のお勉強にも普通に付いて行ける。今日は他国の言葉の勉強だ。どうやら殿下は他国の言葉が苦手な様だ。
「殿下、ですからここは“ヴィ”と発音するのです。“ベ”ではありません!」
と、教育係に怒られている。
「そんな事を言っても、難しいんだよ。もう駄目だ!少し風に当たって来る」
そう言って外に出て行った。殿下は勉強が嫌になると、こうやって風に当たって来ると言って出て行く。ただ、大体10分もしないうちに帰って来るのだが…
でも、今回はなぜか30分経っても戻ってこない。
「殿下、遅いですわね。私、見て来ますわ」
なんだか心配になって来たので、殿下を探す事にした。
「殿下~殿下~、どこですか?」
大きな声で叫ぶが返事がない。もしかして海の方に行ったのかしら?気になって海の方に行くと、殿下の護衛騎士を見つけた。
「あなた達、殿下はどうしたの?」
「ステファニー様、殿下なら岩場の奥に向かわれました」
「何ですって!岩場の奥ですって」
岩場の奥はよく殿下と一緒に行く、馴染みの場所だ。でもこの時間は潮が満ちている為、今頃は海になっているはず。大変だわ!殿下は泳ぎが上手いけれど、今の殿下は普通の服を着ているはず。普通の服は水を含むと重くなり、うまく泳げなくなる!そもそも、初めて海に連れて行った時、リンリンが海に潜った際泳げずに沈んでいった。
もしかしたら、私の能力の影響でうまく泳いでいたのかもしれない。という事は、殿下の命が危ない!急いで助けないと。
「君だけ皆と話をしたり、海の中を自由に泳ぎ回るなんてズルい!」
そう訴えて来るのだ。さらに
“ノアが可哀そうだわ。ステファニー、減るものでもないのだし、口付けくらいしてあげて”
と、キキやリンリンからも強く言われるのだ。その為、仕方なく毎日口付けをさせられている。よほど海の中が気に入ったのか、嬉しそうに唇を重ねる殿下。正直、何度やっても慣れる行為ではない。つい顔を赤くしてしまう私に
「ステファニー嬢はすぐに顔が赤くなるね。オクトにそっくりだ」
そう言って笑っている。この男、失礼っぷりは相変わらずね。
そもそも私、婚約者でもない男性とこんなにも口付けを交わしていて、お嫁に行けるのかしら…そんな不安すら、頭をよぎる。でも…嬉しそうに海の中を泳ぎ回る殿下を見ていたら、まあいいかという気持ちになってしまうのよね。
今日も私に口付けを迫る殿下。
「ステファニー嬢、こっちにおいで」
にっこり笑って近づいて来る殿下。
「お待ちください、まだ心の準備が…」
相変わらずアタフタする私の腕を掴み、さっさと唇を重ねる殿下。温かく柔らかな感触が、唇から伝わる。なんだか最近、口付けする時間が長くなっている様な…そう思う程長い。今日も息が切れる程長い時間口付けをされた。
「ハーハー」
息切れを起こす私に
「ステファニー嬢、別に息を止めなくてもいいんだよ」
そう言って笑っている殿下。何が可笑しいのよ!そもそもあなたの為に、口付けをしているのでしょう!さすがにイラッとしたので
「最近口付けの時間が長すぎます。そんなに長くしなくても、十分海の中で過ごせますわ!」
確かに口付けの時間が長ければ長いほど、効果も長く続くが、そもそも殿下は第一王子。勉強などもやらなければいけない為、午前中の2時間のみ海に出る事を許可されているはず。
それなのに、こんなにも長い口付けをするなんて!そんな思いで抗議をしたのだが…
「別に長くないと思うよ。そもそも、万が一途中で効果が切れて再度口付けとなったら、ステファニー嬢も嫌だろう?そうならない為、気を使ってあげているのに…」
そう言って悲しそうな顔をする殿下。うっ…そんな顔をされると、なんだか私が悪い事をしているみたいじゃない。もう、分かったわよ。
「殿下の気持ちは分かりましたわ…お気遣いいただき、ありがとうございます」
「分かってくれたらいいんだ。それから、僕以外の異性と口付けをしては駄目だよ。これだけは絶対守ってね。それじゃあ、早く皆の元に行こうか」
涼しい顔をして海に入って行く殿下。ん?何で私が言い聞かされた?なんだか釈然としない。
「ステファニー嬢、早くおいでよ。皆待っているよ」
嬉しそうに私を呼ぶ殿下を見たら、結局まあいいか!てなるのよね…
「今行きますよ」
急いで殿下の方に向かう。今日もいつもの様に皆で海の底に冒険に行ったり、他の生き物たちを紹介してくれたり、海の幸を分けてもらったりして過ごす。
“それじゃあまた明日ね”
あっという間に2時間が過ぎ、今日の海で過ごす時間は終わりだ。そして午後は、なぜか私まで殿下の勉強に付き合わされている。
殿下曰く
「僕が勉強をしている時に、君だけ海で遊んでいるなんてズルい!君も一応伯爵令嬢なのだから、知識と教養は身につけないとね」
との事。教育役の男性にも懇願され、結局一緒に受ける事になったのだ。そもそも私は勉強自体は嫌いではない。子供の頃から、おばあ様にマナーはもちろん、ある程度の勉強も叩きこまれた。
そのおかげで、殿下のお勉強にも普通に付いて行ける。今日は他国の言葉の勉強だ。どうやら殿下は他国の言葉が苦手な様だ。
「殿下、ですからここは“ヴィ”と発音するのです。“ベ”ではありません!」
と、教育係に怒られている。
「そんな事を言っても、難しいんだよ。もう駄目だ!少し風に当たって来る」
そう言って外に出て行った。殿下は勉強が嫌になると、こうやって風に当たって来ると言って出て行く。ただ、大体10分もしないうちに帰って来るのだが…
でも、今回はなぜか30分経っても戻ってこない。
「殿下、遅いですわね。私、見て来ますわ」
なんだか心配になって来たので、殿下を探す事にした。
「殿下~殿下~、どこですか?」
大きな声で叫ぶが返事がない。もしかして海の方に行ったのかしら?気になって海の方に行くと、殿下の護衛騎士を見つけた。
「あなた達、殿下はどうしたの?」
「ステファニー様、殿下なら岩場の奥に向かわれました」
「何ですって!岩場の奥ですって」
岩場の奥はよく殿下と一緒に行く、馴染みの場所だ。でもこの時間は潮が満ちている為、今頃は海になっているはず。大変だわ!殿下は泳ぎが上手いけれど、今の殿下は普通の服を着ているはず。普通の服は水を含むと重くなり、うまく泳げなくなる!そもそも、初めて海に連れて行った時、リンリンが海に潜った際泳げずに沈んでいった。
もしかしたら、私の能力の影響でうまく泳いでいたのかもしれない。という事は、殿下の命が危ない!急いで助けないと。
11
あなたにおすすめの小説
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる