8 / 48
第8話:ブラック様と話をしました
しおりを挟む
学院に入学してから1ヶ月が過ぎた。今日も馬車に乗って学院へ向かう。昨日は治癒魔法の依頼があったため、朝から頭がクラクラする。
それでもみんなに会いたい一心で、必死に動かない体を起こして馬車に乗り込んだのだ。
「着きましたよ。早く降りて下さい」
御者が冷たく言い放つ。いけない、ついボーっとしてしまったわ。
「ありがとう、行ってきます」
笑顔を必死に作り、御者に伝え急いで馬車から降りた…ものの、頭がフラフラするうえ、動くと気持ち悪い。この状況ではさすがに教室には行けない。そんな思いで、フラフラと校舎裏にやって来た。きっとこんなにも体調の悪い姿を友人たちが見たら、心配して医務室に連れて行こうとしてくれるだろう。
前も一度医務室に連れて行かれそうになったことがあるのだ。必死にごまかして事なきを得たが…
とにかく、体調が回復するまで、誰もいないこの場所で休もう。そう思い、木陰に腰を下ろした。今日もいい天気ね。日差しが心地いいわ。でも、やっぱり体がだるいし痛いし、起きているのも辛い。そっと木陰に横になった。
地面ってこんなに気持ちいいのね。このまま眠ってしまいそう。
「おい、大丈夫か?」
ん?この声は!
声と同時に私を抱き起す人物、やはりブラック様だ。
「ブラック様、おはようございます」
「おはようございます、じゃないだろう?大丈夫か?君、今にも死にそうだぞ!すぐに医務室に…」
「いいえ、大丈夫です。それにもう私は助かりません。せめて残り少ない人生を、友人やブラック様と過ごせたら…そう考えているのです」
そう言って笑顔を作る。
「どう見ても辛そうなのに、こんな時まで君は笑っているのだね…どうしてそんなに笑っていられるのだい?君はどうしてそんなに、強くいられる?」
強くいられる?私は強くなんてない。
「亡くなった母との約束なのです。いつも笑顔でいて欲しいと言う、母の。だから私はこの命が尽きるまで、笑顔でいたいのです。それにどんなに辛い事があっても、笑顔でいると少しだけ心が晴れるのですよ」
そう、笑顔は私の元気の源なのだ。私から笑顔が消えるときは、この命が尽きるとき…
「ブラック様、そろそろ授業が始まりますわ。私は少し木陰で休んで、体調が戻り次第教室に向かいます。ですので、どうかブラック様は教室に」
「いいや…君を残して教室には行けないよ。その…君の病気は一体何なんだい?あっ、別に言いたくないのなら言わなくてもいいよ」
「その…ごめんなさい…」
さすがに魔力の使い過ぎだなんて、言えない。それにしてもブラック様は本当に優しいのね。もしかしたら私が余命後わずかと話したから、気にして一緒にいて下さるのかしら?それだったら悪い事をしてしまったわ。
「ブラック様、先ほどは余命の話をしてしまいごめんなさい。私の命は既に決まっていたのです。ですからどうか、気にしないで下さい。私は…ゴホゴホ…」
しまった!吐血してしまった。
「大丈夫か?血を吐いたのか?やはり医務室へ…」
「大丈夫ですわ。少し話過ぎた様です…ごめんなさい…」
よかった、ハンカチですぐに抑えたから、制服に血は付いていない。血って中々取れないのよね。とにかく今日はもう学院は無理かもしんれない。家に帰ろう。
「ごめんなさい、ブラック様。今日はもう帰りますわ…」
「そうだな、その方がいい」
そう言うと私を抱きかかえ、歩き始めたブラック様。
「あの…自分で…」
「君は今自分の状況を分かっているのかい?先生には俺から話しをしておくから、今日はゆっくり休むといい」
「ありがとうございます」
やっぱりブラック様は優しい。きっとこの人、情に厚い人なのだろう。今にも死にそうな私を放っておくことが出来ずに、この様に世話を焼いてくれる。たとえ同情だったとても、それが嬉しくてたまらない。
門のところまで来ると、そのまま馬車に乗せてくれた。
「ブラック様、本当にありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか…」
ブラック様には、いつも助けてもらいっぱなしだ。
「俺の事は気にしなくてもいい。大きなお世話かもしれないが、帰ったらすぐに医者に診てもらってくれ。今日の君はいつも以上に顔色が悪い。それから…どうか生きる事を諦めないでくれ。きっと生きながらえる方法があるはずだ」
生きながらえる方法か…
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
馬車が走り出した後も、ずっとこちらを見ているブラック様。きっと心配してくださっているのだろう。同情だとわかっている、でも…
ブラック様の優しさが、身に染みる。もし生きながらえる方法があるなら、て、そんな物ある訳がない。それでも少しでもブラック様と一緒にいたい。
ブラック様と過ごすうちに、増々彼の事が好きになっていく自分がいる。神様、もう少しだけ彼の傍に居させてください。どうかお願いします。
ついそんな事を願ってしまうのだった。
※次回、ブラック視点です。
それでもみんなに会いたい一心で、必死に動かない体を起こして馬車に乗り込んだのだ。
「着きましたよ。早く降りて下さい」
御者が冷たく言い放つ。いけない、ついボーっとしてしまったわ。
「ありがとう、行ってきます」
笑顔を必死に作り、御者に伝え急いで馬車から降りた…ものの、頭がフラフラするうえ、動くと気持ち悪い。この状況ではさすがに教室には行けない。そんな思いで、フラフラと校舎裏にやって来た。きっとこんなにも体調の悪い姿を友人たちが見たら、心配して医務室に連れて行こうとしてくれるだろう。
前も一度医務室に連れて行かれそうになったことがあるのだ。必死にごまかして事なきを得たが…
とにかく、体調が回復するまで、誰もいないこの場所で休もう。そう思い、木陰に腰を下ろした。今日もいい天気ね。日差しが心地いいわ。でも、やっぱり体がだるいし痛いし、起きているのも辛い。そっと木陰に横になった。
地面ってこんなに気持ちいいのね。このまま眠ってしまいそう。
「おい、大丈夫か?」
ん?この声は!
声と同時に私を抱き起す人物、やはりブラック様だ。
「ブラック様、おはようございます」
「おはようございます、じゃないだろう?大丈夫か?君、今にも死にそうだぞ!すぐに医務室に…」
「いいえ、大丈夫です。それにもう私は助かりません。せめて残り少ない人生を、友人やブラック様と過ごせたら…そう考えているのです」
そう言って笑顔を作る。
「どう見ても辛そうなのに、こんな時まで君は笑っているのだね…どうしてそんなに笑っていられるのだい?君はどうしてそんなに、強くいられる?」
強くいられる?私は強くなんてない。
「亡くなった母との約束なのです。いつも笑顔でいて欲しいと言う、母の。だから私はこの命が尽きるまで、笑顔でいたいのです。それにどんなに辛い事があっても、笑顔でいると少しだけ心が晴れるのですよ」
そう、笑顔は私の元気の源なのだ。私から笑顔が消えるときは、この命が尽きるとき…
「ブラック様、そろそろ授業が始まりますわ。私は少し木陰で休んで、体調が戻り次第教室に向かいます。ですので、どうかブラック様は教室に」
「いいや…君を残して教室には行けないよ。その…君の病気は一体何なんだい?あっ、別に言いたくないのなら言わなくてもいいよ」
「その…ごめんなさい…」
さすがに魔力の使い過ぎだなんて、言えない。それにしてもブラック様は本当に優しいのね。もしかしたら私が余命後わずかと話したから、気にして一緒にいて下さるのかしら?それだったら悪い事をしてしまったわ。
「ブラック様、先ほどは余命の話をしてしまいごめんなさい。私の命は既に決まっていたのです。ですからどうか、気にしないで下さい。私は…ゴホゴホ…」
しまった!吐血してしまった。
「大丈夫か?血を吐いたのか?やはり医務室へ…」
「大丈夫ですわ。少し話過ぎた様です…ごめんなさい…」
よかった、ハンカチですぐに抑えたから、制服に血は付いていない。血って中々取れないのよね。とにかく今日はもう学院は無理かもしんれない。家に帰ろう。
「ごめんなさい、ブラック様。今日はもう帰りますわ…」
「そうだな、その方がいい」
そう言うと私を抱きかかえ、歩き始めたブラック様。
「あの…自分で…」
「君は今自分の状況を分かっているのかい?先生には俺から話しをしておくから、今日はゆっくり休むといい」
「ありがとうございます」
やっぱりブラック様は優しい。きっとこの人、情に厚い人なのだろう。今にも死にそうな私を放っておくことが出来ずに、この様に世話を焼いてくれる。たとえ同情だったとても、それが嬉しくてたまらない。
門のところまで来ると、そのまま馬車に乗せてくれた。
「ブラック様、本当にありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか…」
ブラック様には、いつも助けてもらいっぱなしだ。
「俺の事は気にしなくてもいい。大きなお世話かもしれないが、帰ったらすぐに医者に診てもらってくれ。今日の君はいつも以上に顔色が悪い。それから…どうか生きる事を諦めないでくれ。きっと生きながらえる方法があるはずだ」
生きながらえる方法か…
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
馬車が走り出した後も、ずっとこちらを見ているブラック様。きっと心配してくださっているのだろう。同情だとわかっている、でも…
ブラック様の優しさが、身に染みる。もし生きながらえる方法があるなら、て、そんな物ある訳がない。それでも少しでもブラック様と一緒にいたい。
ブラック様と過ごすうちに、増々彼の事が好きになっていく自分がいる。神様、もう少しだけ彼の傍に居させてください。どうかお願いします。
ついそんな事を願ってしまうのだった。
※次回、ブラック視点です。
125
あなたにおすすめの小説
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~
チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。
そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。
ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。
なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。
やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。
シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。
彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。
その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。
家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。
そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。
わたしはあなたの側にいます、と。
このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。
*** ***
※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。
※設定などいろいろとご都合主義です。
※小説家になろう様にも掲載しています。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる