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第14話:あり得ない事実~ブラック視点~
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ユリア嬢を乗せた馬車が見えなくなるまで俺はその場を動く事が出来なかった。とにかくユリア嬢が早退したことを先生に伝えないと。
そう思い、職員室に向かい、先生に状況を説明し、俺も自分の教室に戻ってきた。でも…
俺の頭には、苦しそうに血を吐くユリア嬢の姿。彼女は本当に、もう長くは生きられない…そう考えると、どうしようもないほど苦しくてたまらない。
ダメだ、今日はもう帰ろう。
体調が悪いという事にして、その日は早退した。家に帰るとユリア嬢に関する情報はどうなっているのか、執事に確認した。すると…
「今色々と調べておりますので、もう少しお待ちを」
「もう調査を依頼して、1ヶ月も経っているのだよ。どうしてまだ状況が分からないのだい?金ならいくら使ってもらっても構わない。早急に調査してくれ!」
つい執事に強い口調で話してしまった。とにかく一刻も早く状況を確認しないと。万が一ユリア嬢が適切な治療を受けていないのなら、我が家で治療を受けさせられないか、伯爵に交渉だってしたい!
もう時間がないのだ!
そんな俺の思いとは裏腹に、一向に調査結果が上がってこない。そんな中、ユリア嬢の体調は日に日に悪化していく。ついに定期的に休む様になったのだ。学院に来ても、1日いられずに、そのまま早退していく日もある。
そして俺たちが入学してから2ヶ月が経とうとしていた時だった。
「いい加減にしてくれ!いつになったら調査結果が出るんだ。このままではユリア嬢の命が持たない!お前ではらちが明かない!もっと優秀な人間に調査を依頼する!」
一向に報告書を上げてこない執事に対し、ついに俺は切れてしまった。
「ブラックが、声を荒げるだなんて珍しいね」
俺の元にやって来たのは父上だ。
「旦那様、さすがに坊ちゃまにこれ以上秘密にしておくのは…」
執事がなぜか父上に訳の分からない事を言っている。
「父上、一体どういう事ですか?秘密にしているとは…」
「実はブラックがパラスティ伯爵家の養女、ユリア嬢に好意を抱いている事、さらに彼女について調べさせている事を知っていたんだよ。ブラックがユリア嬢に触発されて、立派な次期公爵になる為に勉強を始めた事も知っている。ブラックが令嬢に好意を抱くだなんて、こんなに素晴らしい事はない、ぜひ私も協力しようと思って、彼女について色々と調べていたんだ。そうしたら、思いがけない事実にぶち当たってね…」
「思いがけない事実は、一体どういう事ですか?父上!」
「ブラック、先に言っておく。私達がたどり着いた事実は、お前が想像しているよりも、はるかに残酷なものだ。ただ、今の時点では私たちは手も足も出せない。だからこそ、全ての証拠がそろい、ユリア嬢を救い出せる状況を整えてから、ブラックに話そうと思っていたのだが…」
「俺はどんな事実でも受け入れるつもりです。父上、どうかユリア嬢の置かれている状況を、今知っている事を全て教えてください。お願いします」
一体ユリア嬢はどんな酷い目にあっているというのだ?考えただけで、震えが止まらなくなる。それでも俺は、今の状況が知りたい。
「分かった…これが資料だ」
そう言うと、俺に資料を渡してきた父上。そこには彼女は伯爵令嬢とは名ばかりで、使用人以下の生活を強いられている事。さらに両親が亡くなってからずっと、命を削る魔法でもある、治癒魔法を強要させられ続けていた事。治癒魔法が原因で、今まさに命を落とそうとしている事が書かれていた。
「何なんだこれは!使用人以下の生活?治癒魔法?あり得ない…そもそも治癒魔法は、命を削る魔法と言われているほど、肉体的に負担が大きいのだぞ。その為医師立ち合いの元、本人の負担を最小限にして行われることが義務付けられているはずだ!それに大人でも耐えられない程の激痛を伴うと言われている。そんな魔法を、わずか8歳の子供に、7年もやらせ続けていただと?そのせいでユリア嬢は、命を落とそうとしているだなんて…」
あまりにもユリア嬢の置かれている過酷な状況に、今までに感じた事のない怒りがこみ上げて来た。両親を亡くし、ただでさえ傷ついた少女にこの仕打ちとは!この7年、ユリア嬢は一体どんな気持ちで過ごしてきたのだろう…
毎日毎日、生き地獄を味わわされて、それでも必死に笑顔で生きて来ただなんて。挙句の果てに、命まで奪われようとしているだと?そんな事があっていいのか?
「おのれ伯爵!許さん!俺がこの手で八つ裂きにしてやる!待っていてくれ、ユリア嬢、今すぐ助け出してやるから」
剣を手に取り、そのまま部屋から出ていこうとする俺を
「待て、ブラック。落ち着け」
必死に止める父上。
「父上、どうして止めるのですか?ユリア嬢はこの世の地獄を7年もの間、味わってきたのですよ。それに伯爵家は、犯罪を犯している!今すぐあいつらを捕まえ、ユリア嬢を助けるべきだ!」
「ブラック、この程度の報告書では、伯爵を捕まえる事は出来ない。それくらいお前でもわかるだろう。逆に名誉棄損で訴えられるくらいだ。そうなったら、増々ユリア嬢を助ける事は出来なくなる!とにかく、もう少し待ってくれ」
「父上はユリア嬢の姿を見ていないからそんな非道な事を言えるのです!彼女は病気だからと思って、今までそっとしていた部分もあったが、治癒魔法による副作用とわかった今、放っておく訳にはいかない!」
「私だってそれくらい分かっている!密かに彼女の様子を何度も見に行った。彼女はもう長くはない。一刻も早く助けてやるべきという事も!でも、この国の法律がそれを許さないのだよ。分かってくれ、ブラック」
何が法律が許さないだ!そんな法律、叩き潰してしまえばいい。とはいえ、父上のいう事は最もだ。でも、俺の気持ちが付いて行かないのだ。こんなに悔しい思いをしたのは、生まれて初めてだ。
「父上、感情的になってしまい申し訳ございませんでした。部屋に戻ります」
これ以上ここに居ても、感情がコントロールできなくなる。一旦部屋に戻ろう。
そう思い、職員室に向かい、先生に状況を説明し、俺も自分の教室に戻ってきた。でも…
俺の頭には、苦しそうに血を吐くユリア嬢の姿。彼女は本当に、もう長くは生きられない…そう考えると、どうしようもないほど苦しくてたまらない。
ダメだ、今日はもう帰ろう。
体調が悪いという事にして、その日は早退した。家に帰るとユリア嬢に関する情報はどうなっているのか、執事に確認した。すると…
「今色々と調べておりますので、もう少しお待ちを」
「もう調査を依頼して、1ヶ月も経っているのだよ。どうしてまだ状況が分からないのだい?金ならいくら使ってもらっても構わない。早急に調査してくれ!」
つい執事に強い口調で話してしまった。とにかく一刻も早く状況を確認しないと。万が一ユリア嬢が適切な治療を受けていないのなら、我が家で治療を受けさせられないか、伯爵に交渉だってしたい!
もう時間がないのだ!
そんな俺の思いとは裏腹に、一向に調査結果が上がってこない。そんな中、ユリア嬢の体調は日に日に悪化していく。ついに定期的に休む様になったのだ。学院に来ても、1日いられずに、そのまま早退していく日もある。
そして俺たちが入学してから2ヶ月が経とうとしていた時だった。
「いい加減にしてくれ!いつになったら調査結果が出るんだ。このままではユリア嬢の命が持たない!お前ではらちが明かない!もっと優秀な人間に調査を依頼する!」
一向に報告書を上げてこない執事に対し、ついに俺は切れてしまった。
「ブラックが、声を荒げるだなんて珍しいね」
俺の元にやって来たのは父上だ。
「旦那様、さすがに坊ちゃまにこれ以上秘密にしておくのは…」
執事がなぜか父上に訳の分からない事を言っている。
「父上、一体どういう事ですか?秘密にしているとは…」
「実はブラックがパラスティ伯爵家の養女、ユリア嬢に好意を抱いている事、さらに彼女について調べさせている事を知っていたんだよ。ブラックがユリア嬢に触発されて、立派な次期公爵になる為に勉強を始めた事も知っている。ブラックが令嬢に好意を抱くだなんて、こんなに素晴らしい事はない、ぜひ私も協力しようと思って、彼女について色々と調べていたんだ。そうしたら、思いがけない事実にぶち当たってね…」
「思いがけない事実は、一体どういう事ですか?父上!」
「ブラック、先に言っておく。私達がたどり着いた事実は、お前が想像しているよりも、はるかに残酷なものだ。ただ、今の時点では私たちは手も足も出せない。だからこそ、全ての証拠がそろい、ユリア嬢を救い出せる状況を整えてから、ブラックに話そうと思っていたのだが…」
「俺はどんな事実でも受け入れるつもりです。父上、どうかユリア嬢の置かれている状況を、今知っている事を全て教えてください。お願いします」
一体ユリア嬢はどんな酷い目にあっているというのだ?考えただけで、震えが止まらなくなる。それでも俺は、今の状況が知りたい。
「分かった…これが資料だ」
そう言うと、俺に資料を渡してきた父上。そこには彼女は伯爵令嬢とは名ばかりで、使用人以下の生活を強いられている事。さらに両親が亡くなってからずっと、命を削る魔法でもある、治癒魔法を強要させられ続けていた事。治癒魔法が原因で、今まさに命を落とそうとしている事が書かれていた。
「何なんだこれは!使用人以下の生活?治癒魔法?あり得ない…そもそも治癒魔法は、命を削る魔法と言われているほど、肉体的に負担が大きいのだぞ。その為医師立ち合いの元、本人の負担を最小限にして行われることが義務付けられているはずだ!それに大人でも耐えられない程の激痛を伴うと言われている。そんな魔法を、わずか8歳の子供に、7年もやらせ続けていただと?そのせいでユリア嬢は、命を落とそうとしているだなんて…」
あまりにもユリア嬢の置かれている過酷な状況に、今までに感じた事のない怒りがこみ上げて来た。両親を亡くし、ただでさえ傷ついた少女にこの仕打ちとは!この7年、ユリア嬢は一体どんな気持ちで過ごしてきたのだろう…
毎日毎日、生き地獄を味わわされて、それでも必死に笑顔で生きて来ただなんて。挙句の果てに、命まで奪われようとしているだと?そんな事があっていいのか?
「おのれ伯爵!許さん!俺がこの手で八つ裂きにしてやる!待っていてくれ、ユリア嬢、今すぐ助け出してやるから」
剣を手に取り、そのまま部屋から出ていこうとする俺を
「待て、ブラック。落ち着け」
必死に止める父上。
「父上、どうして止めるのですか?ユリア嬢はこの世の地獄を7年もの間、味わってきたのですよ。それに伯爵家は、犯罪を犯している!今すぐあいつらを捕まえ、ユリア嬢を助けるべきだ!」
「ブラック、この程度の報告書では、伯爵を捕まえる事は出来ない。それくらいお前でもわかるだろう。逆に名誉棄損で訴えられるくらいだ。そうなったら、増々ユリア嬢を助ける事は出来なくなる!とにかく、もう少し待ってくれ」
「父上はユリア嬢の姿を見ていないからそんな非道な事を言えるのです!彼女は病気だからと思って、今までそっとしていた部分もあったが、治癒魔法による副作用とわかった今、放っておく訳にはいかない!」
「私だってそれくらい分かっている!密かに彼女の様子を何度も見に行った。彼女はもう長くはない。一刻も早く助けてやるべきという事も!でも、この国の法律がそれを許さないのだよ。分かってくれ、ブラック」
何が法律が許さないだ!そんな法律、叩き潰してしまえばいい。とはいえ、父上のいう事は最もだ。でも、俺の気持ちが付いて行かないのだ。こんなに悔しい思いをしたのは、生まれて初めてだ。
「父上、感情的になってしまい申し訳ございませんでした。部屋に戻ります」
これ以上ここに居ても、感情がコントロールできなくなる。一旦部屋に戻ろう。
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