17 / 48
第17話:こんなに幸せでいいのかしら?
「ブラック様、ありがとうございます。もうお腹いっぱいですわ」
「もう食べないのかい?ゼリーもあるよ。とにかくたくさん食べて」
「本当にもうお腹がいっぱいで。ごめんなさい、私、病気のせいで食が細くなっていて…」
「病気か…分かったよ。あまり無理して食べるのも良くないからね。さあ、そろそろ教室に戻ろうか。俺が送っていくよ」
そう言うと、私を抱きかかえたブラック様。さすがに申し訳ない。
「ブラック様、教室には1人で…」
「俺がこうしたいんだ。頼む、どうか俺に出来る事をさせてくれ。それから、その…君の事をユリアと呼んでもいいかな?ユリア嬢だと、なんだか距離がある様な気がしていやなんだ」
「もちろんですわ。ぜひ呼んでください!」
「ありがとう、ユリア」
ブラック様がそう呟くと、それはそれは嬉しそうに笑ったのだ。その瞬間、鼓動が早くなるのを感じた。私、やっぱりブラック様の事が好きなのね。でも…決して結ばれる事のない恋。
それでももう少しだけ、ブラック様の傍にいたい…ついそんな事を考えてしまう。
「ブラック様、送って頂きありがとうございました」
「礼なんていらないよ。帰りも迎えに来るから、教室で待っていて欲しい」
「帰りは…」
「ドリンクも飲んで欲しいし。それじゃあ」
さすがに申し訳ないから断ろうと思ったのだが、断る前に去って行ってしまった。
「ユリア、よかったわね。ブラック様に送ってもらって。それにしてもブラック様、昨日から随分と積極的ね。何かあったのかしら?」
友人たちが私たちの元にやって来たのだ。
「みんな、さっきはごめんね。今日はあなた達と食事をする番だったのに」
「いいのよ、よく考えてみたら、私たちはクラスが一緒なのだから、休み時間に話しも出来るし。だから昼食の時は、ブラック様に譲る事にしようって、さっきも皆で話していたの」
「そうだったのね。色々と気にかけてくれてありがとう。あなた達は、私の最高の友人よ。私、本当に貴族学院に入学出来てよかったって思っているの。たとえ私の命が尽きても、ずっと私の友達でいてくれる?」
「当たり前じゃない!ずっと友達よ」
そう言って抱きしめてくれる友人達。温かくて柔らかい。ブラック様とはまた違った温もりがある。学院に入院するまでは、本当に1人ぼっちだった。でも今は、沢山の大切な人たちが私の周りにいてくれる。それが嬉しくてたまらない。
望んではダメだと分かっている、それでもあと少しだけ皆と一緒に過ごしたいと願ってしまうのだ。少し前までは、死ぬことなんて怖くない、むしろ早く両親に会いたいと思っていたのに、今は少しでも生きたいと思ってしまうのだ。
人間というものは、色々と欲が出てくるものだ。でも、あまり望みすぎるのも良くないわよね。今はただ、今ある幸せがこの命が尽きるまでずっと続く事を祈る事にしよう。
放課後、約束通りブラック様が教室までお迎えに来てくださった。
「ユリア、お待たせ。さあ、行こうか?歩けるかい?」
「はい、ブラック様の作って下さったドリンクのお陰で、少し体が軽いのです。それじゃあ皆、また明日」
「ええ、明日。ブラック様、ユリアの事、よろしくお願いします」
私を心配して待っていてくれた友人たちが、ブラック様に頭を下げている。本当に優しい友人達だ。
そんな友人たちに会釈をすると、私の手を握りゆっくり歩きだしたブラック様。私の歩調に合わせて、ゆっくり歩いてくれる。
テラスに着くと、すぐにジュースを準備してくれた。
「ブラック様、いつもいつもありがとうございます」
「何度も言っているが、礼を言われることは何もしていない。それよりも、家では食事を摂れているのかい?その…もし困っていることがあるなら、どうか俺に話して欲しい」
真っすぐ私を見つめるブラック様。困っている事?
「特に困っている事はありませんわ。むしろ学院に通わせていただいている事を、感謝しているくらいです。私は居候の身…厄介者でしかありませんから。それでも学院にこれば、こうやってブラック様や友人たちが私を支えて下さいます。それが嬉しくてたまらないのです」
本来なら私は何も望んではいけない存在。両親が残した借金も、きっとまだ返しきれていないだろう。それでも私をあの屋敷に置いて下さった叔父様や叔母様には、感謝している。まあ、扱いは酷いけれどね…
「君って子は…」
なぜか今にも泣きそうな顔のブラック様に、強く抱きしめられたのだ。一体どうしたのだろう?よくわからず、首をコテンとかしげた。
「ごめん、急に抱きしめたりして。ちょっと急用を思い出したんだ。そろそろ帰ろう。馬車まで送るよ。やはり君は、あまり歩かない方がいいからね」
ブラック様が私を抱きかかえ、馬車へと向かう。私、自分で歩けるのだけれど。それでもこうやって気を使って抱っこしてくれるブラック様の優しさが嬉しくて、つい甘えてしまう。ブラック様の腕の中は、温かくて気持ちいい。
子供の頃、お父様に抱っこされていた時の事を思い出すわ。もしかしたら、ブラック様にお父様が乗り移って…て、そんな訳ないわよね。
「もう食べないのかい?ゼリーもあるよ。とにかくたくさん食べて」
「本当にもうお腹がいっぱいで。ごめんなさい、私、病気のせいで食が細くなっていて…」
「病気か…分かったよ。あまり無理して食べるのも良くないからね。さあ、そろそろ教室に戻ろうか。俺が送っていくよ」
そう言うと、私を抱きかかえたブラック様。さすがに申し訳ない。
「ブラック様、教室には1人で…」
「俺がこうしたいんだ。頼む、どうか俺に出来る事をさせてくれ。それから、その…君の事をユリアと呼んでもいいかな?ユリア嬢だと、なんだか距離がある様な気がしていやなんだ」
「もちろんですわ。ぜひ呼んでください!」
「ありがとう、ユリア」
ブラック様がそう呟くと、それはそれは嬉しそうに笑ったのだ。その瞬間、鼓動が早くなるのを感じた。私、やっぱりブラック様の事が好きなのね。でも…決して結ばれる事のない恋。
それでももう少しだけ、ブラック様の傍にいたい…ついそんな事を考えてしまう。
「ブラック様、送って頂きありがとうございました」
「礼なんていらないよ。帰りも迎えに来るから、教室で待っていて欲しい」
「帰りは…」
「ドリンクも飲んで欲しいし。それじゃあ」
さすがに申し訳ないから断ろうと思ったのだが、断る前に去って行ってしまった。
「ユリア、よかったわね。ブラック様に送ってもらって。それにしてもブラック様、昨日から随分と積極的ね。何かあったのかしら?」
友人たちが私たちの元にやって来たのだ。
「みんな、さっきはごめんね。今日はあなた達と食事をする番だったのに」
「いいのよ、よく考えてみたら、私たちはクラスが一緒なのだから、休み時間に話しも出来るし。だから昼食の時は、ブラック様に譲る事にしようって、さっきも皆で話していたの」
「そうだったのね。色々と気にかけてくれてありがとう。あなた達は、私の最高の友人よ。私、本当に貴族学院に入学出来てよかったって思っているの。たとえ私の命が尽きても、ずっと私の友達でいてくれる?」
「当たり前じゃない!ずっと友達よ」
そう言って抱きしめてくれる友人達。温かくて柔らかい。ブラック様とはまた違った温もりがある。学院に入院するまでは、本当に1人ぼっちだった。でも今は、沢山の大切な人たちが私の周りにいてくれる。それが嬉しくてたまらない。
望んではダメだと分かっている、それでもあと少しだけ皆と一緒に過ごしたいと願ってしまうのだ。少し前までは、死ぬことなんて怖くない、むしろ早く両親に会いたいと思っていたのに、今は少しでも生きたいと思ってしまうのだ。
人間というものは、色々と欲が出てくるものだ。でも、あまり望みすぎるのも良くないわよね。今はただ、今ある幸せがこの命が尽きるまでずっと続く事を祈る事にしよう。
放課後、約束通りブラック様が教室までお迎えに来てくださった。
「ユリア、お待たせ。さあ、行こうか?歩けるかい?」
「はい、ブラック様の作って下さったドリンクのお陰で、少し体が軽いのです。それじゃあ皆、また明日」
「ええ、明日。ブラック様、ユリアの事、よろしくお願いします」
私を心配して待っていてくれた友人たちが、ブラック様に頭を下げている。本当に優しい友人達だ。
そんな友人たちに会釈をすると、私の手を握りゆっくり歩きだしたブラック様。私の歩調に合わせて、ゆっくり歩いてくれる。
テラスに着くと、すぐにジュースを準備してくれた。
「ブラック様、いつもいつもありがとうございます」
「何度も言っているが、礼を言われることは何もしていない。それよりも、家では食事を摂れているのかい?その…もし困っていることがあるなら、どうか俺に話して欲しい」
真っすぐ私を見つめるブラック様。困っている事?
「特に困っている事はありませんわ。むしろ学院に通わせていただいている事を、感謝しているくらいです。私は居候の身…厄介者でしかありませんから。それでも学院にこれば、こうやってブラック様や友人たちが私を支えて下さいます。それが嬉しくてたまらないのです」
本来なら私は何も望んではいけない存在。両親が残した借金も、きっとまだ返しきれていないだろう。それでも私をあの屋敷に置いて下さった叔父様や叔母様には、感謝している。まあ、扱いは酷いけれどね…
「君って子は…」
なぜか今にも泣きそうな顔のブラック様に、強く抱きしめられたのだ。一体どうしたのだろう?よくわからず、首をコテンとかしげた。
「ごめん、急に抱きしめたりして。ちょっと急用を思い出したんだ。そろそろ帰ろう。馬車まで送るよ。やはり君は、あまり歩かない方がいいからね」
ブラック様が私を抱きかかえ、馬車へと向かう。私、自分で歩けるのだけれど。それでもこうやって気を使って抱っこしてくれるブラック様の優しさが嬉しくて、つい甘えてしまう。ブラック様の腕の中は、温かくて気持ちいい。
子供の頃、お父様に抱っこされていた時の事を思い出すわ。もしかしたら、ブラック様にお父様が乗り移って…て、そんな訳ないわよね。
あなたにおすすめの小説
【完結】想い人がいるはずの王太子殿下に求婚されまして ~不憫な王子と勘違い令嬢が幸せになるまで~
Rohdea
恋愛
──私は、私ではない“想い人”がいるはずの王太子殿下に求婚されました。
昔からどうにもこうにも男運の悪い侯爵令嬢のアンジェリカ。
縁談が流れた事は一度や二度では無い。
そんなアンジェリカ、実はずっとこの国の王太子殿下に片想いをしていた。
しかし、殿下の婚約の噂が流れ始めた事であっけなく失恋し、他国への留学を決意する。
しかし、留学期間を終えて帰国してみれば、当の王子様は未だに婚約者がいないという。
帰国後の再会により再び溢れそうになる恋心。
けれど、殿下にはとても大事に思っている“天使”がいるらしい。
更に追い打ちをかけるように、殿下と他国の王女との政略結婚の噂まで世間に流れ始める。
今度こそ諦めよう……そう決めたのに……
「私の天使は君だったらしい」
想い人の“天使”がいるくせに。婚約予定の王女様がいるくせに。
王太子殿下は何故かアンジェリカに求婚して来て───
★★★
『美人な姉と間違って求婚されまして ~望まれない花嫁が愛されて幸せになるまで~』
に、出て来た不憫な王太子殿下の話になります!
(リクエストくれた方、ありがとうございました)
未読の方は一読された方が、殿下の不憫さがより伝わるような気がしています……
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。
里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。
でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!!
超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。
しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。
ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。
いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——?
明るく楽しいラブコメ風です!
頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★
※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。
※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!!
みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*)
※タイトル変更しました。
旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
呪いをかけられた王子を助けたら愛されました
Karamimi
恋愛
魔力が大好きな伯爵令嬢、ティアは毎日魔力の勉強に精を出していた。そんな中父親から、自国の第三王子が呪いをかけられ苦しんでいる事。さらに、魔力量が多く魔力大国キブリス王国の血を引くティアに、王子の呪いを解いて欲しいと、国王直々に依頼がったと聞かされた。
もし王子の呪いを解く事が出来れば、特例として憧れの王宮魔術師にしてくれるとも。
元々呪いに興味を持っていたところに、王宮魔術師という言葉も加わり、飛びつくティアは、早速王子の元に向かったのだが…
※5万5千文字程度のお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います
***あかしえ
恋愛
薄幸の美少年エルウィンに一目惚れした強気な伯爵令嬢ルイーゼは、性悪な婚約者(仮)に秒で正義の鉄槌を振り下ろし、見事、彼の婚約者に収まった。
しかし彼には運命の恋人――『番い』が存在した。しかも一年前にできたルイーゼの美しい義理の妹。
彼女は家族を世界を味方に付けて、純粋な恋心を盾にルイーゼから婚約者を奪おうとする。
※タイトル変更しました
小説家になろうでも掲載してます
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
替え玉の私に、その愛を注がないで…。~義姉の代わりに嫁いだ辺境伯へ、身を引くはずが……持ちかけられたのは溺愛契約。
翠月 瑠々奈
恋愛
ベルン皇国の辺境伯ソラティスが求めたのは、麗しき皇都の子爵令嬢レイアだった。
しかし、彼の元へ届けられたのは、身代わりに仕立て上げられた妹のラシーヌ。
容姿も性格も全く違う姉妹。
拒絶を覚悟したラシーヌだったが、ソラティスは緋色の瞳を向けて一つの「契約」を持ち掛けた。
その契約とは──?
ソラティスの結婚の理由、街を守る加護の力。そして、芽生える一つの恋。それに怯える拙い拒み。
※一部加筆修正済みです。