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第24話:悔いはないはずなのに
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「これは、ハンカチかい?それにこの刺繍は」
「公爵令息でもあるブラック様は、何でも手に入るとは思ったのですが、どうしても感謝の気持ちを伝えたくて…ただ、手先が思う様に動かなくて、この様な不格好な狼になってしまいました。ハンカチも昔母から貰った古いものです。ですので、いらなければ捨てていただいても…」
「俺の為に刺繍を入れてくれたのかい?もしかしてこの怪我は…」
そう言うと、俯いてしまった。やはりこんな変な狼の刺繍が入った古ぼけたハンカチなんて、いらないわよね。そう思っていたのだが…
「ありがとう…これは俺の宝物にするよ。本当にありがとう」
そう言って抱きしめてくれたのだ。どうやら喜んで貰えた様で、よかったわ。ホッと胸をなでおろす。
「ユリア、本当にありがとう。こんな素敵なプレゼント、初めて貰ったよ。そうだ、俺も何かお礼がしたい。欲しいものはないかい?何でも言ってくれ」
「私は今までブラック様に沢山の大切な物を頂きました。これ以上あなた様から何か貰ったら、罰が当たりますわ。ブラック様、私の様な令嬢を気にかけて下さり、ずっと傍で支えていただきありがとうございました。私、ブラック様と過ごせて本当に幸せですわ」
そう伝えると、いつもの様に笑顔を作る。私、上手に笑えているかしら?
「ユリア、どうしてそんな事を言うのだい?まるで今日でお別れの様な言い方をして…そう言えば明日から1週間、お休みに入るね。君に会いに行ってもいいかな?」
私に会いに来てくれるか…
「ありがとうございます。でも、1週間休みはもしかすると屋敷にはいないかもしれませんので」
私はもうこの世にはいないかもしれない。それに、たとえ生きていたとしても、きっと会う事は叶わないだろう…
「ユリア、どうしてそんなに悲しそうな顔をしているのだい?」
いけない、私ったら、最後は笑顔でお別れしたいと思っていたのに。
「ごめんなさい、何でもありませんわ。それよりもこのゼリー、本当に美味しいですわね」
ブラック様には、笑顔の私でお別れしたい。そう思い、笑顔を作った。
「それでは私はそろそろ帰りますわ。今日はちょっと予定がございまして」
「貴族学院を早退しなければいけないくらい大切な予定なのかい?」
「はい、それではこれで失礼いたします」
深々と頭を下げ、その場を去ろうとした私を抱きかかえたブラック様。
「それなら俺が馬車まで連れて行くよ」
最後の最後まで、お優しいのね。ブラック様の温もり、しっかり覚えておこう。無意識に彼にしがみついた。
「どうしたんだい?俺にしがみついてくるだなんて。ねえ、ユリア、本当に帰るのかい?」
「はい、大切な用があるので」
本当は帰りたくはない。でも、そんな我が儘は許されない。それでも、もう少しだけこうしていたい。そんな私の願いも空しく、馬車についてしまった。
「それじゃあユリア、気を付けて帰るのだよ」
「ありがとうございます、ブラック様。あの…最後にもう一度、抱きしめていただいてもよろしいでしょうか?」
私の言葉に目を丸くするブラック様。しまった、さすがに図々しかったわよね。
「あの、図々しいお願いをしてしまい…」
申し訳ございません!そう言おうとしたのだが、そのままぎゅっとブラック様が抱きしめてくれた。ブラック様の温もり…無意識に首に手を回した。私は絶対にこの温もりを忘れない。
「それじゃあユリア、気を付けてね」
そう言って馬車から降り、扉を閉めてくれたブラック様。
「ブラック様、今までありがとうございました。あなた様から頂いた沢山の優しさと温もりは、一生忘れませんわ」
窓を開け、そう伝えると、私が今出来るとびっきりの笑顔を向けた。
「ユリア、一体どういう…」
何か言いかけているブラック様に手を振る。
ブラック様の姿がみえなくなった瞬間、一気に涙が溢れ出す。どうして涙が溢れるのだろう。友人たちはもちろん、大好きなブラック様にもしっかり挨拶が出来たのに。
それなのにどうして…
昨日の夜から既に覚悟を決めていたのに、どうして胸が張り裂けそうになるのだろう。やり残したことはないはずなのに。ちゃんと笑顔でお別れ出来たのに、どうしてこんなに辛いのだろう。
結局屋敷に戻るまで、涙を止める事が出来なかった。
「公爵令息でもあるブラック様は、何でも手に入るとは思ったのですが、どうしても感謝の気持ちを伝えたくて…ただ、手先が思う様に動かなくて、この様な不格好な狼になってしまいました。ハンカチも昔母から貰った古いものです。ですので、いらなければ捨てていただいても…」
「俺の為に刺繍を入れてくれたのかい?もしかしてこの怪我は…」
そう言うと、俯いてしまった。やはりこんな変な狼の刺繍が入った古ぼけたハンカチなんて、いらないわよね。そう思っていたのだが…
「ありがとう…これは俺の宝物にするよ。本当にありがとう」
そう言って抱きしめてくれたのだ。どうやら喜んで貰えた様で、よかったわ。ホッと胸をなでおろす。
「ユリア、本当にありがとう。こんな素敵なプレゼント、初めて貰ったよ。そうだ、俺も何かお礼がしたい。欲しいものはないかい?何でも言ってくれ」
「私は今までブラック様に沢山の大切な物を頂きました。これ以上あなた様から何か貰ったら、罰が当たりますわ。ブラック様、私の様な令嬢を気にかけて下さり、ずっと傍で支えていただきありがとうございました。私、ブラック様と過ごせて本当に幸せですわ」
そう伝えると、いつもの様に笑顔を作る。私、上手に笑えているかしら?
「ユリア、どうしてそんな事を言うのだい?まるで今日でお別れの様な言い方をして…そう言えば明日から1週間、お休みに入るね。君に会いに行ってもいいかな?」
私に会いに来てくれるか…
「ありがとうございます。でも、1週間休みはもしかすると屋敷にはいないかもしれませんので」
私はもうこの世にはいないかもしれない。それに、たとえ生きていたとしても、きっと会う事は叶わないだろう…
「ユリア、どうしてそんなに悲しそうな顔をしているのだい?」
いけない、私ったら、最後は笑顔でお別れしたいと思っていたのに。
「ごめんなさい、何でもありませんわ。それよりもこのゼリー、本当に美味しいですわね」
ブラック様には、笑顔の私でお別れしたい。そう思い、笑顔を作った。
「それでは私はそろそろ帰りますわ。今日はちょっと予定がございまして」
「貴族学院を早退しなければいけないくらい大切な予定なのかい?」
「はい、それではこれで失礼いたします」
深々と頭を下げ、その場を去ろうとした私を抱きかかえたブラック様。
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「どうしたんだい?俺にしがみついてくるだなんて。ねえ、ユリア、本当に帰るのかい?」
「はい、大切な用があるので」
本当は帰りたくはない。でも、そんな我が儘は許されない。それでも、もう少しだけこうしていたい。そんな私の願いも空しく、馬車についてしまった。
「それじゃあユリア、気を付けて帰るのだよ」
「ありがとうございます、ブラック様。あの…最後にもう一度、抱きしめていただいてもよろしいでしょうか?」
私の言葉に目を丸くするブラック様。しまった、さすがに図々しかったわよね。
「あの、図々しいお願いをしてしまい…」
申し訳ございません!そう言おうとしたのだが、そのままぎゅっとブラック様が抱きしめてくれた。ブラック様の温もり…無意識に首に手を回した。私は絶対にこの温もりを忘れない。
「それじゃあユリア、気を付けてね」
そう言って馬車から降り、扉を閉めてくれたブラック様。
「ブラック様、今までありがとうございました。あなた様から頂いた沢山の優しさと温もりは、一生忘れませんわ」
窓を開け、そう伝えると、私が今出来るとびっきりの笑顔を向けた。
「ユリア、一体どういう…」
何か言いかけているブラック様に手を振る。
ブラック様の姿がみえなくなった瞬間、一気に涙が溢れ出す。どうして涙が溢れるのだろう。友人たちはもちろん、大好きなブラック様にもしっかり挨拶が出来たのに。
それなのにどうして…
昨日の夜から既に覚悟を決めていたのに、どうして胸が張り裂けそうになるのだろう。やり残したことはないはずなのに。ちゃんと笑顔でお別れ出来たのに、どうしてこんなに辛いのだろう。
結局屋敷に戻るまで、涙を止める事が出来なかった。
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