もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
25 / 48

第25話:最期の瞬間まで残りわずかです

屋敷に着くと、すっと涙を拭いた。そしてフラフラとしながらも、何とか馬車から降りる。

「遅いぞ、ユリア!患者様は既にお待ちだ。すぐに着替えてこい」

「はい、かしこまりました…」

とはいえ、私は既に歩くのも辛いくらい弱っている。フラフラと部屋に向かうと、急いで黒い魔術師用の衣装に着替え、患者さんの元へと向かう。

「お待たせして申し訳ございません。それでは始めましょう」

早速治癒魔法を掛けていく。その瞬間、体がえぐられる様な激痛が体中に走る。この痛みは既になれているはずなのに、いつも以上に激痛が走るのだ。

と、その瞬間

「ゴホゴホゴホ」

吐血し、その場に倒れ込んだ。

「魔術師様、大丈夫ですか?でも、体が軽くなりました。ありがとうございました」

どうやら治癒魔法は成功した様だが、もう私には立ち上がる程の力は残っていない。体中が痛くて苦しい。息もしづらい。

「申し訳ございません、ちょっと魔術師の体調が良くなった様で。おい、魔術師を部屋に連れて行け」

近くにいた使用人たちに指示を出す叔父様。すかさず私を担ぎ、そのまま私の部屋へと連れて行く使用人。

苦しい、痛い!

ベッドに寝かされると、そのまま使用人たちが去っていく。今までに感じた事のない痛みと苦しみが、私を襲う。きっと私の体の魔力が尽きようとしているのだろう。

それにしても辛いわ…多分、後持って1日と言うところね。ベッドでもがき苦しむ私の元にやって来たのは、叔父様だ。

「おい、患者様の前で倒れるとは、一体どう言うつもりだ!と言いたいところだが、どうやらもうお前の命は尽きる様だな。本来ならお前にはまだまだ働いて貰いたい所だが、致し方ない。そうそう、お前の葬式には、ブラック殿も呼んでやるから!おい、こいつが死んだら知らせてくれ!それから、こいつはもう動けないが、食事などは不要だ。どうせ後生きて数日だろう。定期的に生死の確認だけ行えばいいからな」

近くにいた使用人にそう吐き捨てると、叔父様は部屋から出て行った。どうやら叔父様も、私がもう長くない事を分かっている様だ。

それにしても、苦しい…

死ぬのも楽ではないのね…

つい数時間前まで、あんなにも幸せな時間を過ごしていたのに。神様って、以外と残酷ね…でも、これも私の運命。

ブラック様や友人たち、私が死んだら悲しむかしら?どうか私の為に、悲しまないで欲しいな。そんな事を、考えてしまう。


苦してく辛いのだが、なんだか無性に眠たくなってきた。もしかしてこのまま目をつぶったら、もう私は、両親の元にいけるのかしら?そんな事を考えながら、ゆっくり瞼を閉じたのだった。




*****
”ユリア、可哀そうに。随分と苦しんでいるのだね。あと少し…あと少しの我慢で楽になれるよ。こっちの世界に来たら、ずっと私と暮らそう”

”あなた様は、この前私の夢に出ていらした方?あの、あなた様は?”

目の前にはこの前夢で見た、美しい金髪の男性がいたのだ。見た目的には、神様に見えるのだが…

”私はビルダ。天界の人間だよ。まあ、天使と言ったところかな。君はとても美しい魂をしている。どうか私と共に、天界で永遠に暮らそう。君の両親も、待っているよ”

そう言うと、それはそれは美しい微笑を向けてくれたのだ。

”両親もですか?あの、私はもう亡くなったのですか?”

”いいや、まだだよ。でも、あと少しで、私達の元に来られる。君は地上で地獄を味わった。それでも誰かを恨むことなく、ひたむきに生き続けた。もうあの様な辛い思いを、永遠にする事はない。私と共に、永遠に天界で暮らすのだから”

よくわからないが、この美しい天使様が私が亡くなった後、面倒を見て下さる様だ。

”ただ、まだ君は亡くなっていない。あと少し、頑張ってくれ”

そう言うと、すっと消えてしまった天使様。それと共に、私もゆっくりと目を開けた。その瞬間、再び激痛が走る。

「ユリア様、よかった。目覚められたのですね。食事をお持ちいたしました。食べられないかもしれませんが、少しでいいので食べて下さい」

目の前には、私に裁縫セットを貸してくれた、新人メイドが、目に涙を溜めながら、スープを持っていた。

「あなたは…ゴホゴホ」

「どうか話さないで下さい。どうか…どうか持ちこたえて下さい!さあ、少しでも食べてください」

よくわからないが、私の事を心配してお世話をしようとしてくれている様だ。でも、私に関わると、叔父様から酷い扱いを受ける。見たところ、とても優しい女性の様だ。

「私の事は…気に…しないで…あなたが…酷い目に…」

必死に訴えるが、思う様に声が出ない。

「どうかもう話さないで下さい。私の心配をして下さっているのですね。私はある方に雇われ、あなた様のお世話を任されておりますので。さあ、食べて下さい」

ある方?この人は何を言っているのだろう…ダメだ、思考回路が停止していて、全く頭が働かない。

そんな私の混乱を他所に、必死にスープを口に運んでくれるが、食べる事が出来ない。

「食事も出来ない程、衰弱されているのですね。お可哀そうに。こんな服では、寝にくいでしょう」

そう言って別の服に着替えさせてくれたメイド。とても優しい方なのね。

「名前…は?」

必死に言葉を振り絞り、名前を聞いた。すると

「リースです」

「リ…ス…ありが…とう」

リースに必死にお礼を伝えた。すると

「こんな状況でも、あなた様は笑顔なのですね」

そう言って泣きながらリースが笑っていた。その日は彼女が献身的に看病してくれたお陰で、朝日を拝むことが出来たのだった。



※次回から、しばらくブラック視点です。
よろしくお願いします。

あなたにおすすめの小説

【完結】想い人がいるはずの王太子殿下に求婚されまして ~不憫な王子と勘違い令嬢が幸せになるまで~

Rohdea
恋愛
──私は、私ではない“想い人”がいるはずの王太子殿下に求婚されました。 昔からどうにもこうにも男運の悪い侯爵令嬢のアンジェリカ。 縁談が流れた事は一度や二度では無い。 そんなアンジェリカ、実はずっとこの国の王太子殿下に片想いをしていた。 しかし、殿下の婚約の噂が流れ始めた事であっけなく失恋し、他国への留学を決意する。 しかし、留学期間を終えて帰国してみれば、当の王子様は未だに婚約者がいないという。 帰国後の再会により再び溢れそうになる恋心。 けれど、殿下にはとても大事に思っている“天使”がいるらしい。 更に追い打ちをかけるように、殿下と他国の王女との政略結婚の噂まで世間に流れ始める。 今度こそ諦めよう……そう決めたのに…… 「私の天使は君だったらしい」 想い人の“天使”がいるくせに。婚約予定の王女様がいるくせに。 王太子殿下は何故かアンジェリカに求婚して来て─── ★★★ 『美人な姉と間違って求婚されまして ~望まれない花嫁が愛されて幸せになるまで~』 に、出て来た不憫な王太子殿下の話になります! (リクエストくれた方、ありがとうございました) 未読の方は一読された方が、殿下の不憫さがより伝わるような気がしています……

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。

里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。 でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!! 超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。 しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。 ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。 いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——? 明るく楽しいラブコメ風です! 頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★ ※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。 ※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!! みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*) ※タイトル変更しました。 旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

呪いをかけられた王子を助けたら愛されました

Karamimi
恋愛
魔力が大好きな伯爵令嬢、ティアは毎日魔力の勉強に精を出していた。そんな中父親から、自国の第三王子が呪いをかけられ苦しんでいる事。さらに、魔力量が多く魔力大国キブリス王国の血を引くティアに、王子の呪いを解いて欲しいと、国王直々に依頼がったと聞かされた。 もし王子の呪いを解く事が出来れば、特例として憧れの王宮魔術師にしてくれるとも。 元々呪いに興味を持っていたところに、王宮魔術師という言葉も加わり、飛びつくティアは、早速王子の元に向かったのだが… ※5万5千文字程度のお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います

***あかしえ
恋愛
薄幸の美少年エルウィンに一目惚れした強気な伯爵令嬢ルイーゼは、性悪な婚約者(仮)に秒で正義の鉄槌を振り下ろし、見事、彼の婚約者に収まった。 しかし彼には運命の恋人――『番い』が存在した。しかも一年前にできたルイーゼの美しい義理の妹。 彼女は家族を世界を味方に付けて、純粋な恋心を盾にルイーゼから婚約者を奪おうとする。 ※タイトル変更しました  小説家になろうでも掲載してます