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第27話:もうあの人に頼むしかない~ブラック視点~
どれくらい待機しただろう。既に日が暮れようとしている。それでもまだ、メイドからの連絡がこないのだ。一体あのメイドは何をしているのだ?
そもそもユリアが俺の為に、刺繍入りのハンカチを準備しているという情報だって聞いていなかった。
ふとユリアがくれたハンカチを見つめる。そのハンカチに、そっと口づけをした。このハンカチ、ユリアの匂いがする。ユリア…どうか無事でいてくれ!
その時だった。
「お待たせいたしました。今メイドを連れて参りました」
スパイに送ったメイド自ら、公爵家へとやって来たのだ。
「君、ユリアは…ユリアは無事なのかい?」
メイドに必死に話し掛けた。
「ブラック、落ち着きなさい!それでユリア嬢は?」
「はい、学院からご帰宅されてすぐに、治癒魔法を使われました。ユリア様は魔力をほぼ使い切ってしまわれたのでしょう。吐血し、その場に倒れ込まれて…」
「そんな…それじゃあユリアは…」
やっぱり治癒魔法を掛けさせられたんだ…あの時俺がユリアを止めていたら…
「落ち着け、ブラック。それでユリア嬢は無事なのか?」
「はい…まだ命はございます。ただ、後1日程度で…」
そう言うと、メイドは俯いてしまった。後1日の命だって…そんな…
「報告ありがとう。もっと詳しく話しを聞きたいから、別室に来てくれるかい?」
「はい、かしこまりました」
父上がメイドを連れ、別室へと移動していく。でも俺は…
「ブラック、どうした?お前も話を聞かないのか?」
「俺はやらなければいけない事がありますので」
「待てブラック、まさか伯爵家に向かう気じゃないだろうな?今行っても無駄だ。とにかく、まだユリア嬢は生きている。だから…」
「そんな事、俺も分かっています!伯爵家に乗り込むつもりはありません。姉上に…姉上に頼みに行くのです。姉上ならきっと、何とかしてくれるはず…」
「クリーンに?それなら私も行くわ。ブラック、このままじっとしていても仕方がないわ。クリーンに頼みに行きましょう」
母上もついてくる様だ。
「そうだな…クリーンなら、何とかしてくれるかもしれない。ブラック、王宮に行ってこい」
「ありがとうございます。それでは行ってきます」
母上と共に、馬車に飛び乗り、王宮を目指す。メイドはユリアが後1日程度は生きられると言っていたが、もしかしたら今この瞬間、息を引き取っているかもしれない。そう思うと、怖くて震えが止まらない。そんな俺の手を握るのは、母上だ。
「ブラック、しっかりしなさい。ユリア嬢は今必死に生きようとしているはずよ。あなたが動揺してどうするの?大丈夫よ、クリーンならきっと、あなたの気持ちを分かってくれるわ」
王太子殿下から寵愛を受けている姉上。それに姉上は、非常に気が強く曲がった事が大嫌い。さらに俺を溺愛している。きっと姉上なら…
姉上に望みをかけ、王宮へと向かった。王宮に着くと、すぐに姉上への面会を依頼した。母上と一緒に、部屋で待つ。姉上、来てくれるだろうか?王族に会う場合、たとえ家族であっても事前に連絡を入れるのがルールだ。もしかしたら会えないかもしれない。
頼む、姉上。来てくれ!
「大丈夫よ、ブラック。きっとクリーンなら来てくれるわ。だってあの子、あなたの事が大好きなのですもの」
俺の手を握りながら、母上が優しい眼差しで呟く。その眼差し…俺がずっと求めていた眼差しだ。
「ありがとうございます、母上。今まで酷い事を言って申し訳ございませんでした。それから、今回の件も、感謝しています」
ずっと苦手だった母上、こんなに頼もしい存在だっただなんて…
「ブラックからお礼を言われるだなんて。あなた、学院に通い始めてから本当に人が変わったものね。きっとユリア嬢のお陰ね。何とかして彼女を助け出さないと」
母上が強く俺の手を握った。ユリア…今も苦しんでいるのだろうな…
その時だった。
「ブラック、お母様も一体どうしたの?あぁ、私の可愛いブラックが、こんなに憔悴しきって。一体何があったの?」
「姉上!!」
姉上が血相を変えて俺の元に飛んできたのだ。そしてギューギュー抱きしめる。相変わらず過激だな。
「ブラック殿、義母上、連絡も無しに来られては困ります。クリーンも私も、暇ではないのだから」
何とか俺から姉上を引き離そうとする不機嫌な顔の王太子殿下。必死に俺から離れまいとする姉上。相変わらずだ…て、そんな事はどうでもいい。
「姉上、助けて下さい。もう姉上しか頼る人がいないのです。お願いします、ユリアを、ユリアを助けて下さい!!」
そもそもユリアが俺の為に、刺繍入りのハンカチを準備しているという情報だって聞いていなかった。
ふとユリアがくれたハンカチを見つめる。そのハンカチに、そっと口づけをした。このハンカチ、ユリアの匂いがする。ユリア…どうか無事でいてくれ!
その時だった。
「お待たせいたしました。今メイドを連れて参りました」
スパイに送ったメイド自ら、公爵家へとやって来たのだ。
「君、ユリアは…ユリアは無事なのかい?」
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「ブラック、落ち着きなさい!それでユリア嬢は?」
「はい、学院からご帰宅されてすぐに、治癒魔法を使われました。ユリア様は魔力をほぼ使い切ってしまわれたのでしょう。吐血し、その場に倒れ込まれて…」
「そんな…それじゃあユリアは…」
やっぱり治癒魔法を掛けさせられたんだ…あの時俺がユリアを止めていたら…
「落ち着け、ブラック。それでユリア嬢は無事なのか?」
「はい…まだ命はございます。ただ、後1日程度で…」
そう言うと、メイドは俯いてしまった。後1日の命だって…そんな…
「報告ありがとう。もっと詳しく話しを聞きたいから、別室に来てくれるかい?」
「はい、かしこまりました」
父上がメイドを連れ、別室へと移動していく。でも俺は…
「ブラック、どうした?お前も話を聞かないのか?」
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母上もついてくる様だ。
「そうだな…クリーンなら、何とかしてくれるかもしれない。ブラック、王宮に行ってこい」
「ありがとうございます。それでは行ってきます」
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頼む、姉上。来てくれ!
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俺の手を握りながら、母上が優しい眼差しで呟く。その眼差し…俺がずっと求めていた眼差しだ。
「ありがとうございます、母上。今まで酷い事を言って申し訳ございませんでした。それから、今回の件も、感謝しています」
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