もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
29 / 48

第29話:死なないでくれ~ブラック視点~

しおりを挟む
翌朝、一度公爵家へと戻り、着替えを済ませると、再び王宮へと向かう。メイドからの情報によれば、かなり危険な状況ではあるが、何とか命を取り留めているとの事。一刻も早くユリアを助け出さないと!

ちなみにやる気満々の母上は、なぜかドレスではなく女性騎士団の服に身を包んでいた。この人、一体何を考えているのだろう。そう思ったが、既にスイッチが入っている母上に、何を言っても聞かないだろう。父上も苦笑いしながら、母上を見つめていた。

王宮に着くと、既に騎士団長はじめ王太子殿下や姉上も待っていた。

「姉上、あなたもですか…」

姉上の姿を見て、ポツリと呟いた。そう、姉上も母上と同じく、女性騎士団の衣装に身を包んでいたのだ。百歩譲って母上はいいとしても、姉上は王太子妃、次期王妃だ。さすがにこの格好はまずいのではないだろうか?

そう思ったのだが…

「クリーンが、これは戦争の様なもの!ドレスでなんて行ける訳がない。私は戦いに行くのだからと言って、僕のいう事を全く聞かなくてね…まさか義母上も同じ格好をしていたとは。さすが親子…」

そう王太子殿下が呟いていた。

て、今は母上と姉上の格好なんてどうでもいい。

「皆様お集まりですね。早速今から、伯爵家の家宅捜索に参りましょう。義兄上、逮捕状と捜査令状は…」

「それならここにあるわ。ブラック、ユリア嬢は一刻の猶予もないのでしょう。こんなところで話していないで、すぐに行きましょう。騎士団長様、今日はよろしくお願いいたします」

「もちろんです。まさか伯爵家でその様な恐ろしい事が行われていただなんて。一刻も早く、ユリア嬢を助け出しましょう」

姉上と騎士団長の言う通りだ。急いで馬車に乗り込み、伯爵家を目指す。既に騎士団員たちが、逃亡防止のため、伯爵家を囲んでいるらしい。

「さあ、着きましたよ。殿下と公爵殿は打ち合わせ通り、私と一緒に伯爵の執務室へ向かいましょう。副騎士団長は、伯爵家一同を捕まえて下さい。そして夫人と王太子妃、そしてブラック殿と医師たちは、ユリア嬢救出という事で。時間がない、参りましょう」

一刻も早く、ユリアを助けないと!

「坊ちゃま、ユリア様はこちらです」

皆で伯爵家の屋敷に向かおうとしている時だった。なぜか外でユリアに付けさせていたメイドが待っていたのだ。そういえばユリアは、屋敷ではなく小屋の様な場所で生活をさせられていたと聞いた。

俺と母上、姉上はメイドの方に向かう。

「ユリアの様子はどうだ?それでユリアは…」

「既に意識が朦朧としていらっしゃいます。こちらへどうぞ」

メイドに案内され向かったのは、本当に小さな小屋だった。こんなところに、ユリアはいるのか。母上や姉上も同じことを思ったのか

「こんな荷物小屋の様な場所に、ユリア嬢が本当にいるの?」

「はい、ユリア様は相当ひどい扱いを受けておりましたので。さあ、どうぞこちらです」

メイドがドアを開けると、狭い部屋に小さなベッドが。そこに横たわっているのは、間違いない!

「ユリア、大丈夫かい?」

急いでユリアの元に駆け寄り、抱き起した。既に目はうつろで、何度も血を吐いたのか、周りが血で汚れていた。

「ブラック…様?」

「そうだ、俺だ。助けに来るのが遅くなって、すまなかった。すぐにユリアの治療を!」

近くにいた医師たちに声を掛けた。彼らは公爵家及び王宮専属の非常に優秀な医者たちだ。急いで彼らがユリアの治療に入った。

「ブラック…様…もう私は…助かりません…最後に…あなた様に…あえてよかった。ブラック様…ありがとう…ございます…」

そう言うと、にっこりとほほ笑んだのだ。そして、ゆっくりと瞳を閉じたユリア。

「どうして目を閉じるんだい?目を開けてくれ、ユリア!頼む…」

必死にユリアに話し掛けるが、ぐったりしていてびくともしない。

「ブラック殿、非常にいいにくいのですが、ユリア嬢は今息を引き取った様です」

「嘘だ!ユリアが死ぬなんて…そんな…ユリア、しっかりしてくれ!ユリア」

ユリアが死ぬなんて…嫌だ、絶対にそんな事は認めない!

「頼む、ユリアを助けてくれ。君たち、優秀な医者なんだろ?お願いだ、俺の命を引き換えにしてもいい。だからどうかユリアを」

俺はもう、ユリアのいないこの世界で生きていく事なんて出来ない。俺にとって、ユリアは全てなのだから。

「ブラック殿、申し訳ございません。亡くなった人間を生き返らせる事など、到底できません。どうか…」

「嫌だ!俺は諦めない。魔力が尽きたのなら、俺の魔力をユリアに!」

「お止めください、ブラック殿!」

ユリアに向かって一気に魔力を込めた。その瞬間、体を引きちぎられる様な激痛が襲う。何なんだ、この痛みは…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~

チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。 そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。 ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。 なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。 やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。 シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。 彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。 その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。 家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。 そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。 わたしはあなたの側にいます、と。 このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。 *** *** ※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。 ※設定などいろいろとご都合主義です。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

処理中です...