もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi

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第32話:貴族会議の行方~ブラック視点~

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ユリアが公爵家に来てから、1ヶ月が過ぎた。俺は貴族学院を休学し、毎日忙しい日々を過ごしている。魔術師たちも毎日の様にやって来てユリアの様子を見ていくが、一向に目覚める気配はない。

魔術師の話では、俺たちはもちろんユリアの魔力も、いたって普通だった様だ。

俺は時間が許す限り、ユリアの傍にいる。母上もしょっちゅうユリアの様子を見に来ては、話しかけている。

「ユリア、おはよう。今日はちょっと王宮に行ってくるね」

ユリアのおでこに口づけをし、父上と共に王宮へと向かった。ユリアをこんな目に合わせた張本人、伯爵家の人間を断罪するための準備をしているのだ。あの家宅捜索で、数々の証拠が明るみになった。

どうやらユリアは両親が亡くなった8歳から、月に1回ものペースで治癒魔法を掛けさせられていたという事が判明した。我が国では治癒魔法を使う場合、必ず医師の健康チェックが義務付けられている。また、最低でも一度治癒魔法を使ったら、1年以上は間を開けなければいかないと言う法律も存在するのだ。

ちなみに俺や母上、姉上がユリアに治癒魔法を掛けた件だが、一応医師がいたという事で、今回は大目に見てもらった。

どうやらユリアは両親が借金を残して死んだという、伯爵の大嘘に騙され、必死に命を削りながら伯爵家に大金を落としていた様だ。そのお金で豪遊していた伯爵たち。本当に腹ただしい。

さらに伯爵の執務室を徹底的に調べ上げた結果、ユリアの両親を事故に見せかけて殺した証拠も出て来た。本当にどうしようもない奴らだ。

王宮に着くと、既にたくさんの貴族が集まっていた。そう、今日は貴族たちに伯爵家が行った罪について説明する事になっているのだ。一応侯爵以上には話をしてあるが、今日は全貴族に話をする事になっているのだ。


「皆の者、今日集まってもらったのは他でもない。1ヶ月前、パラスティ伯爵家の一同が逮捕された件について説明したいと思っている。まずはこの資料に目を通してくれ」

貴族たちに事前に作っておいた資料を配った。

「これは…なんと恐ろしい。ユリア嬢は病気ではなく、伯爵によって命を吸い上げられていただと?」

「治癒魔法は命を削る魔法、それを当時8歳の子供に7年以上も強要していただなんて。なんて恐ろしい事なんだ。その上元伯爵夫妻を事故に見せかけて殺すだなんて…」

「それでユリア嬢は、大丈夫なのですか?」

「はい、今ギリギリのところで命を取り留めている状況です。ただ…意識が戻りませんが…」

貴族の問いかけに答えた。確か彼は、ユリアの友人の父親だったな…

「皆様、聞いて下さい。今回の件ですが、数ヶ月前からサンディオ公爵からユリア嬢の置かれている状況を含め、伯爵の悪事を聞いておりました。ただ…決定的な証拠がないからという理由で、私は公爵の訴えを退け続けました。公爵から訴えがあった時点で私が真剣に取り組んでいれば、ユリア嬢が命を落とすこともなかったはずです。全て私の責任です…」

王太子殿下がそう呟くと、頭を下げたのだ。

「殿下、どういう事ですか?ブラック殿の話では、ユリア嬢は生きているのですよね。でも、殿下の話では命を落としたとの事ですが」

「ユリア嬢は一度命を落としたんだ。そんな中、ブラック殿とサンディオ公爵夫人、さらに我妻王太子妃が治癒魔法を掛けたのです。それで再び心臓は動き出したのですが、予断を許さない状況で」

「そうだったのですね。それにしても一度命を落とした人間が、治癒魔法で生き返る事なんてあるのでしょうか?」

「王宮魔術師の話では、その様な事はないとの事です。ただ、何らの奇跡が起きたのだと考えています。とにかく今回の件は、私の責任でもあるのです。二度とこのような事が起こらないためにも、人命がかかっている時は、たとえ決定的証拠がなくても、家宅捜索を行う事が出来るという事にしたいと考えております。それで皆様の考えをお聞きしたいのですが」

どうやら王太子殿下は、今回の件を非常に反省している様で、今後に生かすべく貴族たちに真意を問う様だ。

「殿下の意見に賛成です。今回の件の一番の被害者はユリア嬢です。二度と彼女の様な人間を生み出さないためにも、人命優先で行くべきです」

「私もそう思います。実は私も、元伯爵夫妻の事故の件には、疑問を抱いていたのです」

「ユリア嬢の病気についても、私の娘はずっと疑問を抱いておりました」

「うちの娘もです。今もユリア嬢の事をとても心配しています。こういった小さな声を拾える様な機関があるといいですな」

ユリアの友人たちの家を中心に、どんどんとアイデアが出てくる。その後も活発に意見が飛び交い、最終的に貴族で構成された貴族たちの声を拾う機関を作るという事で話がまとまったのだった。
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