33 / 48
第33話:ユリアはたくさんの人たちに愛されていたのだな~ブラック視点~
会議も終わり、屋敷に戻って来たのは既に日暮れだった。急いでユリアの元に向かう。相変わらず眠ったまま。
「ユリア、ただいま。今日は貴族たちに君の事を話したよ。皆君の味方だ。もう二度とユリアの様な悲劇的な運命を背負う令嬢が現れない様に、王太子殿下はもちろん、貴族たちが色々とアイデアを出してくれたよ。今我が国は、いい方向に向かっている。君が体を張って俺たちに教えてくれたんだ。この国はきっと、もっといい国になるよ。だからどうか、起きてくれ。皆君の事を心配しているよ」
ユリアに今日の出来事を話すが、相変わらず瞼は閉じたまま。このままユリアが目覚めなかったら…ついそんな事を考えてしまう。
「ユリア、もう二度と君に苦しい思いをさせたりしないよ。だからどうか、目覚めてくれ…俺はユリアの笑顔を見たくてたまらないよ」
ユリアに寄り添い、そっと呟く。ユリアは温かくて柔らかい。相変わらず髪は白いし、見た目はばあさんみたいだが、それでも彼女は美しい。
この日もユリアに寄り添い、眠りについたのだった。
翌日、第1回貴族裁判に参加するため、準備をする。そう、あのにっくき伯爵家を叩き潰すためには、裁判を開き最終的に刑を決める必要があるのだ。既に十分な証拠は集まっている為、彼らの有罪は免れない。もちろん、彼らを極刑に処すため、日々準備をしている。
ちなみに今伯爵家の面々は、王都にある犯罪者を収容するための監獄に収監されている。一応貴族という事もあり、独房に入れられていると聞いた。俺はまだ、あいつらに一度も会いに行っていない。きっとあいつらの顔を見たら、八つ裂きにしてしまうだろう。
とにかく裁判最終日にあいつらが出廷するまでは、彼らに会うつもりはない。
「ユリア、それじゃあ行ってくるね。君を苦しめたあいつらを、必ず裁くから。君が目覚めた時、安心して生活できるように進めているから、どうか安心して目を覚まして欲しい」
いつもの様にユリアのおでこに口づけをして、部屋から出ようとした時だった。
「坊ちゃま、ユリア様のご友人たちがいらしているのですが、どういたしましょう」
「ユリアの友人たちがかい?」
きっと昨日、父親にユリアの状況を聞いて飛んできたのだろう。俺は今から王宮に向かわないといけない。でも…
「すぐにこの部屋に案内いてやってくれ」
「かしこまりました」
使用人に連れられ、ユリアの友人たちがゆっくりとこの部屋に入って来た。
「ユリア!!何てことなの?可哀そうに」
「ユリア、しっかりして。目を覚まして。まさかこんなひどい目にあっていただなんて。助けてあげられなくて本当にごめんなさい」
令嬢たちが一斉にユリアを囲み、涙を流している。
「ブラック様、ユリアの容態はどうなのですか?父から伺ったのですが、ブラック様たちが治癒魔法を掛けたことで、一命を取り留めたと。私達の魔力も使ってください」
「どうかお願いします。私達にもユリアに治癒魔法を掛けさせてください!ユリアは私達の大切な友人なのです。お願いします」
令嬢たちが必死に頭を下げてくる。何度も言うが、治癒魔法は命を削る魔法。想像を絶する痛みを伴う、辛い魔法だ。それなのに彼女たちは、ユリアの為に治癒魔法を掛けたいと頼み込んでいるのだ。
ユリア、君は本当に皆に愛されているのだね…
「皆、ありがとう。気持ちは嬉しいのだが、ユリア自身が治癒魔法を拒んでいるのだよ…俺たちも何度か治癒魔法を掛けようとしたのだが、全くかからなくてね…」
「そんな…でも、ユリアらしいわ」
「そうね、あの子はいつも、周りの事ばかり考えて。きっとユリアの事だから、誰かに苦しい思いをさせたくないと考えたのでしょうね。治癒魔法の辛さを誰よりも知っているのは、ユリアだものね」
「ユリア、治癒魔法を拒むのなら、どうか目を覚まして。お願い、また一緒に学院に通いましょう。皆も待っているのよ」
ユリアに抱き付き、涙を流す友人達。
「いつまでも私が泣いていたら、ユリアが心配するわ。あの子、笑顔が好きだったでしょう。私達も笑顔でいましょう」
1人の友人が泣きながら必死に笑顔を作り、他の令嬢たちに訴えたのだ。
「そうね、ユリアはいつも笑顔だったものね。私達も、笑顔でいましょう」
そう言うと、令嬢たち皆、笑顔を作ったのだ。そして学院の事をユリアに話し出した。必死に笑顔を作り、話し掛ける令嬢たちを見ていたら、なんだか胸が苦しくなった。
ユリア、皆君が目覚めるのを待っているよ。だから…どうか目覚めて欲しい。
「坊ちゃま、そろそろお時間が迫っております」
「分かっている。ユリアの友人達、俺は出掛けないといけないが、どうかユリアとゆっくり話をして言ってくれ。それじゃあ、俺はこれで」
ユリアを囲み、話しに花を咲かせる友人たちに声を掛け、部屋から出たのだった。
「ユリア、ただいま。今日は貴族たちに君の事を話したよ。皆君の味方だ。もう二度とユリアの様な悲劇的な運命を背負う令嬢が現れない様に、王太子殿下はもちろん、貴族たちが色々とアイデアを出してくれたよ。今我が国は、いい方向に向かっている。君が体を張って俺たちに教えてくれたんだ。この国はきっと、もっといい国になるよ。だからどうか、起きてくれ。皆君の事を心配しているよ」
ユリアに今日の出来事を話すが、相変わらず瞼は閉じたまま。このままユリアが目覚めなかったら…ついそんな事を考えてしまう。
「ユリア、もう二度と君に苦しい思いをさせたりしないよ。だからどうか、目覚めてくれ…俺はユリアの笑顔を見たくてたまらないよ」
ユリアに寄り添い、そっと呟く。ユリアは温かくて柔らかい。相変わらず髪は白いし、見た目はばあさんみたいだが、それでも彼女は美しい。
この日もユリアに寄り添い、眠りについたのだった。
翌日、第1回貴族裁判に参加するため、準備をする。そう、あのにっくき伯爵家を叩き潰すためには、裁判を開き最終的に刑を決める必要があるのだ。既に十分な証拠は集まっている為、彼らの有罪は免れない。もちろん、彼らを極刑に処すため、日々準備をしている。
ちなみに今伯爵家の面々は、王都にある犯罪者を収容するための監獄に収監されている。一応貴族という事もあり、独房に入れられていると聞いた。俺はまだ、あいつらに一度も会いに行っていない。きっとあいつらの顔を見たら、八つ裂きにしてしまうだろう。
とにかく裁判最終日にあいつらが出廷するまでは、彼らに会うつもりはない。
「ユリア、それじゃあ行ってくるね。君を苦しめたあいつらを、必ず裁くから。君が目覚めた時、安心して生活できるように進めているから、どうか安心して目を覚まして欲しい」
いつもの様にユリアのおでこに口づけをして、部屋から出ようとした時だった。
「坊ちゃま、ユリア様のご友人たちがいらしているのですが、どういたしましょう」
「ユリアの友人たちがかい?」
きっと昨日、父親にユリアの状況を聞いて飛んできたのだろう。俺は今から王宮に向かわないといけない。でも…
「すぐにこの部屋に案内いてやってくれ」
「かしこまりました」
使用人に連れられ、ユリアの友人たちがゆっくりとこの部屋に入って来た。
「ユリア!!何てことなの?可哀そうに」
「ユリア、しっかりして。目を覚まして。まさかこんなひどい目にあっていただなんて。助けてあげられなくて本当にごめんなさい」
令嬢たちが一斉にユリアを囲み、涙を流している。
「ブラック様、ユリアの容態はどうなのですか?父から伺ったのですが、ブラック様たちが治癒魔法を掛けたことで、一命を取り留めたと。私達の魔力も使ってください」
「どうかお願いします。私達にもユリアに治癒魔法を掛けさせてください!ユリアは私達の大切な友人なのです。お願いします」
令嬢たちが必死に頭を下げてくる。何度も言うが、治癒魔法は命を削る魔法。想像を絶する痛みを伴う、辛い魔法だ。それなのに彼女たちは、ユリアの為に治癒魔法を掛けたいと頼み込んでいるのだ。
ユリア、君は本当に皆に愛されているのだね…
「皆、ありがとう。気持ちは嬉しいのだが、ユリア自身が治癒魔法を拒んでいるのだよ…俺たちも何度か治癒魔法を掛けようとしたのだが、全くかからなくてね…」
「そんな…でも、ユリアらしいわ」
「そうね、あの子はいつも、周りの事ばかり考えて。きっとユリアの事だから、誰かに苦しい思いをさせたくないと考えたのでしょうね。治癒魔法の辛さを誰よりも知っているのは、ユリアだものね」
「ユリア、治癒魔法を拒むのなら、どうか目を覚まして。お願い、また一緒に学院に通いましょう。皆も待っているのよ」
ユリアに抱き付き、涙を流す友人達。
「いつまでも私が泣いていたら、ユリアが心配するわ。あの子、笑顔が好きだったでしょう。私達も笑顔でいましょう」
1人の友人が泣きながら必死に笑顔を作り、他の令嬢たちに訴えたのだ。
「そうね、ユリアはいつも笑顔だったものね。私達も、笑顔でいましょう」
そう言うと、令嬢たち皆、笑顔を作ったのだ。そして学院の事をユリアに話し出した。必死に笑顔を作り、話し掛ける令嬢たちを見ていたら、なんだか胸が苦しくなった。
ユリア、皆君が目覚めるのを待っているよ。だから…どうか目覚めて欲しい。
「坊ちゃま、そろそろお時間が迫っております」
「分かっている。ユリアの友人達、俺は出掛けないといけないが、どうかユリアとゆっくり話をして言ってくれ。それじゃあ、俺はこれで」
ユリアを囲み、話しに花を咲かせる友人たちに声を掛け、部屋から出たのだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】想い人がいるはずの王太子殿下に求婚されまして ~不憫な王子と勘違い令嬢が幸せになるまで~
Rohdea
恋愛
──私は、私ではない“想い人”がいるはずの王太子殿下に求婚されました。
昔からどうにもこうにも男運の悪い侯爵令嬢のアンジェリカ。
縁談が流れた事は一度や二度では無い。
そんなアンジェリカ、実はずっとこの国の王太子殿下に片想いをしていた。
しかし、殿下の婚約の噂が流れ始めた事であっけなく失恋し、他国への留学を決意する。
しかし、留学期間を終えて帰国してみれば、当の王子様は未だに婚約者がいないという。
帰国後の再会により再び溢れそうになる恋心。
けれど、殿下にはとても大事に思っている“天使”がいるらしい。
更に追い打ちをかけるように、殿下と他国の王女との政略結婚の噂まで世間に流れ始める。
今度こそ諦めよう……そう決めたのに……
「私の天使は君だったらしい」
想い人の“天使”がいるくせに。婚約予定の王女様がいるくせに。
王太子殿下は何故かアンジェリカに求婚して来て───
★★★
『美人な姉と間違って求婚されまして ~望まれない花嫁が愛されて幸せになるまで~』
に、出て来た不憫な王太子殿下の話になります!
(リクエストくれた方、ありがとうございました)
未読の方は一読された方が、殿下の不憫さがより伝わるような気がしています……
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。
里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。
でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!!
超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。
しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。
ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。
いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——?
明るく楽しいラブコメ風です!
頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★
※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。
※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!!
みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*)
※タイトル変更しました。
旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
呪いをかけられた王子を助けたら愛されました
Karamimi
恋愛
魔力が大好きな伯爵令嬢、ティアは毎日魔力の勉強に精を出していた。そんな中父親から、自国の第三王子が呪いをかけられ苦しんでいる事。さらに、魔力量が多く魔力大国キブリス王国の血を引くティアに、王子の呪いを解いて欲しいと、国王直々に依頼がったと聞かされた。
もし王子の呪いを解く事が出来れば、特例として憧れの王宮魔術師にしてくれるとも。
元々呪いに興味を持っていたところに、王宮魔術師という言葉も加わり、飛びつくティアは、早速王子の元に向かったのだが…
※5万5千文字程度のお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います
***あかしえ
恋愛
薄幸の美少年エルウィンに一目惚れした強気な伯爵令嬢ルイーゼは、性悪な婚約者(仮)に秒で正義の鉄槌を振り下ろし、見事、彼の婚約者に収まった。
しかし彼には運命の恋人――『番い』が存在した。しかも一年前にできたルイーゼの美しい義理の妹。
彼女は家族を世界を味方に付けて、純粋な恋心を盾にルイーゼから婚約者を奪おうとする。
※タイトル変更しました
小説家になろうでも掲載してます
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
替え玉の私に、その愛を注がないで…。~義姉の代わりに嫁いだ辺境伯へ、身を引くはずが……持ちかけられたのは溺愛契約。
翠月 瑠々奈
恋愛
ベルン皇国の辺境伯ソラティスが求めたのは、麗しき皇都の子爵令嬢レイアだった。
しかし、彼の元へ届けられたのは、身代わりに仕立て上げられた妹のラシーヌ。
容姿も性格も全く違う姉妹。
拒絶を覚悟したラシーヌだったが、ソラティスは緋色の瞳を向けて一つの「契約」を持ち掛けた。
その契約とは──?
ソラティスの結婚の理由、街を守る加護の力。そして、芽生える一つの恋。それに怯える拙い拒み。
※一部加筆修正済みです。