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第13話:僕が犯した最大の過ち【前編】~エヴァン視点~
物心ついた時から、当たり前の様に僕の傍にいた女の子。銀色のサラサラの髪に、水色の瞳をしたルーナは、人懐っこくていつも僕の後を付いてくる可愛らしい女の子だった。
母親同士が仲が良く、また家が近かったこともあり頻繁にお互いの家を行き来していた。僕は物心ついた時から、ルーナが大好きだ。ルーナも僕に懐いている。だからきっと、僕たちはいずれ結婚するのだろう。そう思っていた。
そんな中、僕は現実を目の当たりにする。それは7歳の時だった。僕とルーナが初めて王宮のお茶会に参加した時の事だ。7歳にして既に神的に美しかったルーナは、令息たちから猛烈なアプローチを受けたのだ。
さらに第二王子でもあるアイザック殿下まで、ルーナに興味を示す始末。元々人懐っこいルーナは、他の令息たちにも可愛い笑顔を振りまいていた。
その姿を見た僕は、今までに感じた事のない不安を抱いた。今まで当たり前の様に僕の傍にいたルーナ。でも、いつか他の令息の元に嫁ぐかもしれない…だってルーナは、こんなにも人気があるのだから。
そう思ったら、急に怖くなった。誰かにルーナを取られるのではないか!とにかく、早くルーナと婚約を結ばないと。そんな思いから家に帰ると、すぐに両親にルーナと婚約をしたいと訴えた。
必死に訴える僕を見た両親が、ルーナの両親に話しを付けてくれた。僕もルーナをいかに愛しているかを、必死にルーナの父親でもあるアルフィーノ侯爵に訴えたのだ。その甲斐があり、8歳の時にルーナと正式に婚約する事が出来たのだ。
公爵令息でもある僕と婚約したことで、ルーナに言い寄る令息どもはいなくなった。婚約後も僕たちの仲は増々深まっていった。それと同時に、ルーナもどんどん美しくなっていく。
貴族学院に入ってからも、ルーナは僕に寄り添い、僕もルーナを大切にした。ルーナと一緒にいる時間は、僕にとって幸せ以外何物でもなかった。もう僕はきっと、ルーナがいなかったら生きていけないだろう。そう思うほど、僕にとっては大切な存在だ。
でも、その幸せは長くは続かなかった。貴族学院2年生になったタイミングで、メルソニア王国からクラーク殿下が社会勉強の為に、留学してきたのだ。大国の王太子である彼は、美しいエメラルドグリーンの髪に、青い瞳をした美男子だ。さらに聡明で武術に優れているという、まさに完璧王子だった。
そんなクラーク殿下だが、やはり大国の王太子という事で、あまりクラスに馴染めていない様だった。そんな彼を見たルーナが、クラーク殿下を気遣い話しかけた事がきっかけで、彼もすっかりクラスに溶け込んだ。
ただ…
クラーク殿下は自分を気遣ってくれたルーナを、随分と気に入っている様で、頻繁にルーナに話しかける様になった。美しいクラーク殿下とルーナは、はたから見ても本当にお似合いで、周りからも“クラーク殿下とルーナ様は本当に美男美女ですわね。あの2人が一緒にいる姿は、絵になりますわ”なんて言葉も聞こえてくるくらいだ。
僕は2人が楽しそうに話しているだけで、いつかルーナをクラーク殿下に取られるのではないかと、不安でたまらなくなった。
それでもルーナは、僕に気を使ってくれ、いつもの様に笑顔を向けたり甘えたりしてくれる。でも僕は、その行動すら、クラーク殿下との仲をごまかすための演技ではないのかと思う様になった。
僕の不安は、日に日に大きくなっていく。それでもルーナは僕の婚約者だ。だからきっと大丈夫、そう自分に言い聞かせる。
そんなある日、ナタリー嬢に呼び出されたのだ。ナタリー嬢と言えば、王太子殿下の婚約者で、ヴィノーデル公爵家の令嬢だ。なぜかルーナを毛嫌いしており、いつもルーナに暴言を吐いたりするから、僕も正直彼女の事は嫌いだ。
それでも無視してヒステリックを起こされても面倒なので、彼女の呼び出しに応じる事にした。
「ナタリー嬢、僕に何か用かい?」
正直今は、クラーク殿下とルーナの事で頭がいっぱいで、この女に構っている暇はない。
「急に呼び出してごめんなさい。実はクラーク殿下とルーナ様の事で、ちょっとお名話があるの」
クラーク殿下とルーナの事だって!
「それは一体どんな話だい?」
完全に我を忘れ、ナタリー嬢に迫った。
「実はクラーク殿下は、完全にルーナ様に心を奪われてしまわれた様で…我が国の国王陛下に“何とかルーナ嬢を私の花嫁に出来ないだろうか?”と打診している様なの。さらにルーナ様も先日王宮に呼ばれ、クラーク殿下の事をどう思っているか、聞かれた様ですわ」
「それで、ルーナは何と答えたんだい?」
「…申し上げにくいのですが…“私はクラーク殿下をお慕いしております。でも、婚約者がいる身ですので…”そう答えたらしいわ。どうやらクラーク殿下とルーナ様は両想いのようね」
少し言いにくそうにそう言ったのだ。その瞬間、鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
「そんな…それじゃあルーナは…」
「あなたを裏切っているのよ…本当は内緒にしておいた方がいいかと思ったのだけれど、それではエヴァン様があまりにも気の毒でしょう…ほら、私は王妃教育の関係で、王宮に通っているから、そういった情報も入ってくるの」
確かにナタリー嬢は王妃教育の為、しょっちゅう王宮に出向いている。でも、この女はルーナを嫌っているし。だけれど、普段のクラーク殿下とルーナの様子を見ると、ナタリー嬢の言い分もわかる。
そうすると、やっぱり2人は…
母親同士が仲が良く、また家が近かったこともあり頻繁にお互いの家を行き来していた。僕は物心ついた時から、ルーナが大好きだ。ルーナも僕に懐いている。だからきっと、僕たちはいずれ結婚するのだろう。そう思っていた。
そんな中、僕は現実を目の当たりにする。それは7歳の時だった。僕とルーナが初めて王宮のお茶会に参加した時の事だ。7歳にして既に神的に美しかったルーナは、令息たちから猛烈なアプローチを受けたのだ。
さらに第二王子でもあるアイザック殿下まで、ルーナに興味を示す始末。元々人懐っこいルーナは、他の令息たちにも可愛い笑顔を振りまいていた。
その姿を見た僕は、今までに感じた事のない不安を抱いた。今まで当たり前の様に僕の傍にいたルーナ。でも、いつか他の令息の元に嫁ぐかもしれない…だってルーナは、こんなにも人気があるのだから。
そう思ったら、急に怖くなった。誰かにルーナを取られるのではないか!とにかく、早くルーナと婚約を結ばないと。そんな思いから家に帰ると、すぐに両親にルーナと婚約をしたいと訴えた。
必死に訴える僕を見た両親が、ルーナの両親に話しを付けてくれた。僕もルーナをいかに愛しているかを、必死にルーナの父親でもあるアルフィーノ侯爵に訴えたのだ。その甲斐があり、8歳の時にルーナと正式に婚約する事が出来たのだ。
公爵令息でもある僕と婚約したことで、ルーナに言い寄る令息どもはいなくなった。婚約後も僕たちの仲は増々深まっていった。それと同時に、ルーナもどんどん美しくなっていく。
貴族学院に入ってからも、ルーナは僕に寄り添い、僕もルーナを大切にした。ルーナと一緒にいる時間は、僕にとって幸せ以外何物でもなかった。もう僕はきっと、ルーナがいなかったら生きていけないだろう。そう思うほど、僕にとっては大切な存在だ。
でも、その幸せは長くは続かなかった。貴族学院2年生になったタイミングで、メルソニア王国からクラーク殿下が社会勉強の為に、留学してきたのだ。大国の王太子である彼は、美しいエメラルドグリーンの髪に、青い瞳をした美男子だ。さらに聡明で武術に優れているという、まさに完璧王子だった。
そんなクラーク殿下だが、やはり大国の王太子という事で、あまりクラスに馴染めていない様だった。そんな彼を見たルーナが、クラーク殿下を気遣い話しかけた事がきっかけで、彼もすっかりクラスに溶け込んだ。
ただ…
クラーク殿下は自分を気遣ってくれたルーナを、随分と気に入っている様で、頻繁にルーナに話しかける様になった。美しいクラーク殿下とルーナは、はたから見ても本当にお似合いで、周りからも“クラーク殿下とルーナ様は本当に美男美女ですわね。あの2人が一緒にいる姿は、絵になりますわ”なんて言葉も聞こえてくるくらいだ。
僕は2人が楽しそうに話しているだけで、いつかルーナをクラーク殿下に取られるのではないかと、不安でたまらなくなった。
それでもルーナは、僕に気を使ってくれ、いつもの様に笑顔を向けたり甘えたりしてくれる。でも僕は、その行動すら、クラーク殿下との仲をごまかすための演技ではないのかと思う様になった。
僕の不安は、日に日に大きくなっていく。それでもルーナは僕の婚約者だ。だからきっと大丈夫、そう自分に言い聞かせる。
そんなある日、ナタリー嬢に呼び出されたのだ。ナタリー嬢と言えば、王太子殿下の婚約者で、ヴィノーデル公爵家の令嬢だ。なぜかルーナを毛嫌いしており、いつもルーナに暴言を吐いたりするから、僕も正直彼女の事は嫌いだ。
それでも無視してヒステリックを起こされても面倒なので、彼女の呼び出しに応じる事にした。
「ナタリー嬢、僕に何か用かい?」
正直今は、クラーク殿下とルーナの事で頭がいっぱいで、この女に構っている暇はない。
「急に呼び出してごめんなさい。実はクラーク殿下とルーナ様の事で、ちょっとお名話があるの」
クラーク殿下とルーナの事だって!
「それは一体どんな話だい?」
完全に我を忘れ、ナタリー嬢に迫った。
「実はクラーク殿下は、完全にルーナ様に心を奪われてしまわれた様で…我が国の国王陛下に“何とかルーナ嬢を私の花嫁に出来ないだろうか?”と打診している様なの。さらにルーナ様も先日王宮に呼ばれ、クラーク殿下の事をどう思っているか、聞かれた様ですわ」
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少し言いにくそうにそう言ったのだ。その瞬間、鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
「そんな…それじゃあルーナは…」
「あなたを裏切っているのよ…本当は内緒にしておいた方がいいかと思ったのだけれど、それではエヴァン様があまりにも気の毒でしょう…ほら、私は王妃教育の関係で、王宮に通っているから、そういった情報も入ってくるの」
確かにナタリー嬢は王妃教育の為、しょっちゅう王宮に出向いている。でも、この女はルーナを嫌っているし。だけれど、普段のクラーク殿下とルーナの様子を見ると、ナタリー嬢の言い分もわかる。
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