希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます

Karamimi

文字の大きさ
18 / 62

第18話:侯爵とある約束をした~エヴァン視点~

放課後、僕はアルフィーノ侯爵家を訪ねた。僕の顔を見ると、明らかに嫌そうな顔をする夫人。それでも侯爵は僕に会ってくれた。

「それでエヴァン殿、私に何か用でしょうか?」

「はい、今日はどうしてもアルフィーノ侯爵にお話があって参りました。まずは今回の婚約破棄の件、本当に申し訳ございませんでした。僕が愚かだったばっかりに、大切なルーナを傷つけてしまいました」

まずは深々と頭を下げた。

「エヴァン殿、頭をあげて下さい。実は今日、クリスティロソン公爵が我が家を訪ねていらして、全て話を伺いました。そしてあなたが、再びルーナと婚約を結び直したいという旨も」

父上が、既に侯爵に話しをしていただなんて…僕の口から話したかったのに。でも、父上らしいな。父上にとっていつまでたっても、僕は目が離せない小さな子供なのだろう。でも…

「本当に僕が浅はかでした。申し訳ございません。もちろん、ルーナと婚約を結び直したいと言う気持ちはありますが、それでも権力を使って、無理やり結び直したいとは考えておりません。とにかくまずは、ルーナに謝罪をしたいと考えております。でもその前に、侯爵と話をして、許しを得ようと考えたのです」

「なるほど、まずは私に許可をですか。エヴァン様、申し訳ございませんが、事実確認を行わず一方的に娘を傷つけたあなたを、私は許すことが出来ません。ルーナはこの1年、本当に辛そうでした。もちろん、婚約破棄をした後も。もう二度と、娘のあんな顔は見たくないのです。どうか娘の事は諦めて下さい。お願いします」

現国王の弟でもあるクリスティロソン公爵の息子でもある僕に、断りを入れるのは本当に勇気がいる事だろう。それでもルーナの事を考えて、はっきりと断った侯爵。ここは一旦引き下がろう。

「わかりました。今日のところは帰ります。でも僕は、ルーナを諦めるつもりはありません。また来ます」

「何度来ていただいても、私の気持ちは変わりません。どうかもう、諦めて下さい」

そう侯爵に言われたが、僕はどうしても諦められない。それから毎日毎日侯爵家を訪れ、謝罪した。そんな日々を送る事1ヶ月。

「エヴァン殿、君って人は…いい加減諦めて下さい」

はぁ~っとため息を付く侯爵。でも僕は、諦めるつもりはない。

「申し訳ございませんが、僕はどうしてもルーナを諦めることが出来ません。それにしても、ルーナの人気はすさまじいですね。あまりの人気に、ルーナも困惑していますよ。それに、ナタリー嬢の動きも気になります。元々ルーナの事を快く思っていなかったナタリー嬢は、さらに最近ルーナへの風当たりを強めています。このままだとルーナに、直接危害を加えるかもしれませんね…」

「なんだって!ナタリー嬢がですか?そういえばあなたに嘘を吹き込んでルーナを傷つけようとしたのも、ナタリー嬢でしたね。そうですか、彼女はルーナをそんなに目の敵にしているのですか…」

王太子の婚約者でヴィノーデル公爵令嬢とあれば、いくら娘が可愛い侯爵でもどうにか出来るものでもない。もちろん、直接ナタリー嬢がルーナを傷つければ話は別だが…

「侯爵、僕はナタリー嬢がルーナに何かしないか、心配しているのです。我がクリスティロソン公爵家と再度婚約を結び直せば、さすがのナタリー嬢も直接危害を加えてくることはないかと。ただ…僕は最初にお話した様に、ルーナを無理やり手に入れるつもりもありません。もし侯爵が許してくださるなら、たとえ僕の婚約者になってくれなかったとしても、全力でルーナを守りましょう。ですから、どうか僕にもう一度チャンスを頂けませんか?」

自分でも卑怯な事を言っている事は分かっている。でも、どうしてもルーナとやり直すチャンスが欲しいんだ。

真っすぐと侯爵を見つめる。

「…エヴァン殿、あなたって人は…わかりました、もし万が一ルーナが、あなた様と婚約を結び直したいと申しましたら、私は認めましょう。ただし、くれぐれもルーナを無理やり手に入れる様な事はなさらないで下さい。それから…ナタリー嬢の事も…」

はぁ~とため息を付き、そう言った侯爵。

「ありがとうございます。もちろん、ルーナの気持ちを最優先させるつもりです。絶対に無理やり手に入れたりはしません。それからナタリー嬢の件も、任せて下さい。絶対にルーナを傷つけさせませんから!」

よし!これでやっと、ルーナに近づける。そう思ったら、つい頬が緩んだ。もちろん、これからが本番だが。

「本当にあなたという方は…でも、私はまだあなた様を信じておりませんので」

「ええ、分かっております。侯爵の信頼を取り戻せるように、全力で頑張ります。それから、万が一ナタリー嬢がルーナに手を出す可能性を考え、公爵家からルーナに影の護衛を付けようと思っているのですが、よろしいでしょうか?」

我が国には影の護衛と言われる、護衛のスペシャリストが存在する。彼らは非常に優秀で、そんじょそこらの護衛とはレベルが違うのだ。主に王族や高貴貴族(公爵家)に雇われていることが多い。

ちなみに父上が公爵に降りるとき、数名の陰の護衛を連れて来たのだ。さらに我が公爵家では、陰の護衛騎士の育成にも力を入れている。もちろん、僕がその護衛を使う事も許されているのだ。

「影の護衛を娘にだなんて、そんな恐れ多いです。そこまでしていただかなくても大丈夫です」

「何をおっしゃっているのですか?ナタリー嬢を侮ってはいけません。万が一ルーナに何かあったらどうするのですか?とにかく我が家で育成している影の護衛騎士を付けさせていただきます。既に父上にも話は通してありますので」

「そうですか…それでは、よろしくお願いします。でも、護衛を付ける事で、娘をよこせなんて言いませんよね?」

「そんな事は言いませんから、安心してください」

こうして僕は、侯爵家から許可が下りた。よし、明日早速ルーナに謝罪しよう。そう心に決めたのだった。

あなたにおすすめの小説

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

あなただけが私を信じてくれたから

樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。 一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。 しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。 処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。

あなたに未練などありません

風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」 初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。 わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。 数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。 そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

風見ゆうみ
恋愛
伯爵家の次女であるリネ・ティファスには眉目秀麗な婚約者がいる。 私の婚約者である侯爵令息のデイリ・シンス様は、未亡人になって実家に帰ってきた私の姉をいつだって優先する。 彼の姉でなく、私の姉なのにだ。 両親も姉を溺愛して、姉を優先させる。 そんなある日、デイリ様は彼の友人が主催する個人的なパーティーで私に婚約破棄を申し出てきた。 寄り添うデイリ様とお姉様。 幸せそうな二人を見た私は、涙をこらえて笑顔で婚約破棄を受け入れた。 その日から、学園では馬鹿にされ悪口を言われるようになる。 そんな私を助けてくれたのは、ティファス家やシンス家の商売上の得意先でもあるニーソン公爵家の嫡男、エディ様だった。 ※マイナス思考のヒロインが周りの優しさに触れて少しずつ強くなっていくお話です。 ※相変わらず設定ゆるゆるのご都合主義です。 ※誤字脱字、気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません!

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。 このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。 そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。 ーーーー 若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。 作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。 完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。 第一章 無計画な婚約破棄 第二章 無計画な白い結婚 第三章 無計画な告白 第四章 無計画なプロポーズ 第五章 無計画な真実の愛 エピローグ

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。