希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます

Karamimi

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第30話:交渉あるのみ~エヴァン視点~

「僕にとって、エマは太陽であり月でもある存在なんだ。エマがいるから、僕は今まで生きてこれた。だから僕は…」

腕に付けられているサファイアのブレスレット。あれはエマ嬢から贈られたものだったのか。

そういえばエマ嬢は、未だに婚約者がいないな。もしかしてエマ嬢も…て、正直2人の事なんてどうでもいい。

「それなら尚更、ナタリー嬢との婚約破棄を進めた方がいいのではないのかい?ナタリー嬢と婚約を破棄出来れば、エマ嬢と結婚できるかもしれないよ。彼女、未だに婚約者はいないし、それにこれからも作るつもりはない様だ」

「それは本当か?どうして君がそんな事を知っているんだ?もしかして、エマにも盗聴器か何かを!」

「そんなものは付けていないよ。たまたまルーナが来るのを待っている時、少し話をしただけだ。僕はああいった気の強い令嬢はちょっと…」

「おい、エマの事を悪く言わないでくれ。本当に彼女は、魅力的な令嬢なんだ!」

いつも冷静なハドソンが、顔を真っ赤にして僕に抗議をするなんて。よほどエマ嬢が好きなのだろう。

「ハドソンがエマ嬢を誰よりも愛している事はわかったよ。それじゃあ、本題に入ろうか。ハドソン、僕はどうにかルーナをあの女の魔の手から守りたいと思っている。その為には、ナタリー嬢の動向を把握したいんだ。それでこれを、ナタリー嬢にプレゼントしてくれないかい?」

大きなエメラルドをあしらった、ブローチだ。さらにお揃いのネックレスとイヤリング、指輪も準備した。

「これをナタリーにかい?でも、どうしてこんなものを」

「このアクセサリーたちには、全て盗聴と盗撮機能が搭載されている。このアクセサリーをナタリー嬢が付けてくれたら、あの女の動向が分かると思って」

「なるほど、確かにナタリーが好きそうなものばかりだね。ただ、ずっと付けているのは難しいかもしれない。それならナタリーにはオルゴールを、侯爵には絵を贈るといい。オルゴールなら部屋に飾るだろうし、公爵も執務室に飾るだろう。ちょうど公爵に頼まれていた絵を取り寄せたところなんだ。そこに盗聴と盗撮機を付けよう」

「あの疑い深い公爵に盗聴&盗撮機付きの絵を贈るなんて、バレないかい?」

「大丈夫だよ。公爵は王族をバカにしている節があるからね。平和ボケしたバカ王族と罵っていたのを、昔聞いた事がある。だからまさかバカ王族が自分にそんなものを付けてくるなんて、思っていないだろう。一応君のアクセサリーも、指輪だけ贈るよ。指輪なら、唯一ナタリーがずっと付けていそうだからね」

そう言うと、近くにいた執事に指示を出すハドソン。

「一応父上には今回の件、話しておくから、叔父上には君から話をしてくれるかい?」

「ハドソン、僕に協力してくれるのかい?」

「…ああ、確かに僕はずっとナタリーと婚約破棄をしたいと思っていた。でも…君の言う様ように、僕は他人任せのところもあったと思う。それにもしエマが僕を思って待っていてくれているのなら、僕はやっぱり、エマと結婚したい。だから、出来る事は何でも協力するよ」

「ありがとう、ハドソン。僕だけじゃあ、どうしてもナタリー嬢を監視する事は難しいからね。とにかく、この国の為にもルーナの為にも、あの女をこれ以上野放しにしておく訳にはいかない。出来れば公爵家の権力も、削ぎたいところだな」

「そうだね…でも僕は、多くは望まないよ。それにナタリーをコントロールできなかったのは、僕の責任でもあるし…」

「あの女をコントロールするのは無理だ。公爵夫人はとても慈悲深い方だと聞いたが、娘は全く受け継がなかったのだな」

「そうみたいだね。公爵も夫人が亡くなってから、おかしくなってしまった様だよ」

よほど魅力的な夫人だったのだろう。て、今はそんな事どうでもいい、とにかくルーナを守る事を最優先し、あの女を王太子の婚約者の座から引きずりおろさないと!

「それじゃあ、後は頼んでいいかな?ヴィノーデル公爵家から得た情報は、僕にもリアルタイムで見られるようにして欲しい」

「もちろんだ、すぐに手配しよう」

そう言うと、珍しく微笑んだハドソン。こいつを味方につけられたことは大きいな。

「ありがとう、それじゃあ僕は、一旦屋敷に戻り、父上に状況を説明してくる。それから、もう1つ協力して欲しい事があるのだが…」

「まだ何かあるのかい?」

ハドソンが不思議そうにこっちを見ている。そう、僕はもう1つやりたい事があるのだ。

「実はね、アイザックの事なんだ。あいつ、ルーナと婚約を結びたがっているだろう?」

「ああ、ルーナ嬢の美しさに完全にノックアウトされているね。アイザックは少し考えが浅はかなところがあるから…でも、聡明なルーナ嬢なら、アイザックをうまく扱ってくれると僕も思っているのだが…」

僕の方をチラチラと見ながら呟くハドソン。きっと僕に遠慮しているのだろう。

「そうだね、ルーナは聡明だからきっと、アイザックをいい方向に導いてくれるだろう。でも、ルーナはこの後僕と婚約を結び直す予定なんだよ。だから、アイザックにはルーナを諦めて欲しくてね」


「エヴァン、君は一体何を考えているのだい?」

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