27 / 35
第27話:視察は疲れます【後編】
しおりを挟む
しばらく走ると、物凄くおしゃれなお店の前に停まった。
「まずはここで食事にしよう。さあ、ティアラ嬢、足元に気を付けて」
再び先に馬車を降りたカエサル殿下が、手を差し伸べてくれる。ちらりとジャクソン様を見ると、“断れよ!”と言っているのがわかる。
「お気遣いありがとうございます。でも、大丈夫ですわ」
そう答え、ジャクソン様と一緒に馬車を降りる。チラリとジャクソン様を見ると、“最初からそうしろ”そう言っている様な気がするが、とりあえず怒りは少し落ち着いたようだ。
お店に入ると、一番奥の個室に通された。そして次々と料理が運ばれている。どれも物凄く美味しいそうだ。おっといけない、ここでもジャクソン様の機嫌を取っておかないとね。
「ジャクソン様、物凄く美味しそうですよ。さあ、お口を開けて下さい」
近くにあったお料理をジャクソン様の口に運ぶ。
「ティアラ、ありがとう。やっぱりティアラに食べさせてもらう料理は、物凄く美味しいよ。次はそっちのお肉も食べたいな」
リクエストに応えて、お肉を食べさせる。その後も間にお茶を飲ませながら、料理を食べさせていく。その時だった。
「ティアラ嬢、はい、アーン」
目の前に美味しそうなお肉が。つい口を開けて食べてしまった。しまった、ジャクソン様以外の男性に食べさせられるなんて…そう、私に食べさせてくれたのは、カエサル殿下だ。
「ずっとジャクソン殿下にばかり食べさせていたから、ティアラ嬢もお腹が空いているかと思ってね。俺ならまずは、好きな女性にお腹いっぱい食べてもらいたいと思うけれど、ジャクソン殿下はそうではないみたいだね」
そう言ってにっこり笑ったカエサル殿下。ちょっと、何て事をしてくれるのよ!
「カエサル殿下の言う通りだね。ごめんね、ついティアラが食べさせてくれるのが嬉しくて。さあ、今度は僕が食べさせてあげるね」
そう言って、私に食べ物を運んでくれたジャクソン様。これは増々良くない方向に向かっているわ。正直味なんてわからないまま、昼食は終了。午後からの視察も、色々とカエサル殿下が説明してくれたが、それどころではなかった。
王宮に戻って来た頃には、もうクタクタだ。今までさんざんジャクソン様にこき使われてきたが、今日はその比ではないくらい疲れた。でも、まだ夕飯が残っている。
疲れた体を何とか起こし、夕食を食べる。ここでも、私にガンガン話しかけてくるカエサル殿下。何とか作り笑いで乗り切る私。でも、何を思ったのか王妃様が
「カエサルは随分とティアラ嬢が気に入ったのね。ねえ、ティアラ嬢、カエサルもいい男よ。あなたさえよければ、この国に残らない?」
何ていいだしたのだ。ちょっと、言っていい冗談と悪い冗談があるわ。完全にパニックになる私に
「王妃殿下、ティアラは僕の大切な恋人ですので、それは無理ですよ」
そう笑顔で答えていた。ただ空気の読めない王妃様は
「あら、まだ婚約もしていないのでしょう?それに、ジャクソン殿下にはミディアムもいるし…」
「とにかく僕が愛しているのは、ティアラただ1人ですから。さあ、ティアラ、今日は視察で疲れただろう?もう失礼しよう。おいで」
王妃様の言葉を遮り、私の手を取ったジャクソン様。いつも表の顔は穏やかなジャクソン様が、こんな態度をとるなんて珍しい。でも、それだけ怒っているという事よね。これは増々まずいわ。とりあえず、カラッサ王国の王族たちに頭を下げて席を立ち、部屋に戻る。
「ティアラ、湯あみを済ませたら、また来るからね」
そう言うと、笑顔で出て行ったジャクソン様。その後、メイドたちに綺麗に体を洗ってもらい、髪も乾かしてもらった。ちょうどそのタイミングで、ジャクソン様が入って来た。
「ティアラ、そろそろ寝ようか。君たち、もう出て行ってもいいよ。後は僕がいるから」
「「「わかりました。失礼します」」」
お役目御免と言わんばかりに、嬉しそうに部屋を出ていくメイドたち。待って…お願い、この鬼畜変態野郎と2人きりにしないで…私の心の叫びもむなしく、皆出て行ってしまった。
「ティアラ、今日は随分とカエサル殿下と仲良しだったなぁ」
ひぃぃぃ!後ろから低い声で呟くジャクソン様。怖い…怖すぎるわ。
「あの、ジャクソン様。そのような事は…んんっ」
そのまま唇を塞がれ、舌まで入って来た。さらに太ももからお尻にかけて、触り出した。でも次の瞬間、何を思ったのか私から離れると、部屋から出て行ったジャクソン様。一体どうしたのかしら?しばらく待っていると、嬉しそうに部屋に戻って来た。
その手には、なんとハリセンが握られている。もしかして、ハリセンを取りに行っていたの?そもそもカラッサ王国にまであんなものを持ってくるだなんて…
「念のため持ってきてよかった。ティアラ、どうやらお前はもう一度徹底的にスキンシップの練習をしないといけない様だな。今日は俺が納得するまで、スキンシップの練習をするぞ。もちろん、失敗したらハリセンの刑だ!ほら、さっさと来い!まずは俺の膝に乗って口づけからだ」
ひぃぃぃ、とにかく早くしないとハリセンが飛んでくる。急いで膝に座ろうとしたのだが
「遅い!」
バチィーーン
「痛い!」
久しぶりに受けるハリセンの痛みに、涙目になる。結局その後、何発もハリセンを受けながら、夜遅くまでスキンシップの練習は続いたのであった。
「まずはここで食事にしよう。さあ、ティアラ嬢、足元に気を付けて」
再び先に馬車を降りたカエサル殿下が、手を差し伸べてくれる。ちらりとジャクソン様を見ると、“断れよ!”と言っているのがわかる。
「お気遣いありがとうございます。でも、大丈夫ですわ」
そう答え、ジャクソン様と一緒に馬車を降りる。チラリとジャクソン様を見ると、“最初からそうしろ”そう言っている様な気がするが、とりあえず怒りは少し落ち着いたようだ。
お店に入ると、一番奥の個室に通された。そして次々と料理が運ばれている。どれも物凄く美味しいそうだ。おっといけない、ここでもジャクソン様の機嫌を取っておかないとね。
「ジャクソン様、物凄く美味しそうですよ。さあ、お口を開けて下さい」
近くにあったお料理をジャクソン様の口に運ぶ。
「ティアラ、ありがとう。やっぱりティアラに食べさせてもらう料理は、物凄く美味しいよ。次はそっちのお肉も食べたいな」
リクエストに応えて、お肉を食べさせる。その後も間にお茶を飲ませながら、料理を食べさせていく。その時だった。
「ティアラ嬢、はい、アーン」
目の前に美味しそうなお肉が。つい口を開けて食べてしまった。しまった、ジャクソン様以外の男性に食べさせられるなんて…そう、私に食べさせてくれたのは、カエサル殿下だ。
「ずっとジャクソン殿下にばかり食べさせていたから、ティアラ嬢もお腹が空いているかと思ってね。俺ならまずは、好きな女性にお腹いっぱい食べてもらいたいと思うけれど、ジャクソン殿下はそうではないみたいだね」
そう言ってにっこり笑ったカエサル殿下。ちょっと、何て事をしてくれるのよ!
「カエサル殿下の言う通りだね。ごめんね、ついティアラが食べさせてくれるのが嬉しくて。さあ、今度は僕が食べさせてあげるね」
そう言って、私に食べ物を運んでくれたジャクソン様。これは増々良くない方向に向かっているわ。正直味なんてわからないまま、昼食は終了。午後からの視察も、色々とカエサル殿下が説明してくれたが、それどころではなかった。
王宮に戻って来た頃には、もうクタクタだ。今までさんざんジャクソン様にこき使われてきたが、今日はその比ではないくらい疲れた。でも、まだ夕飯が残っている。
疲れた体を何とか起こし、夕食を食べる。ここでも、私にガンガン話しかけてくるカエサル殿下。何とか作り笑いで乗り切る私。でも、何を思ったのか王妃様が
「カエサルは随分とティアラ嬢が気に入ったのね。ねえ、ティアラ嬢、カエサルもいい男よ。あなたさえよければ、この国に残らない?」
何ていいだしたのだ。ちょっと、言っていい冗談と悪い冗談があるわ。完全にパニックになる私に
「王妃殿下、ティアラは僕の大切な恋人ですので、それは無理ですよ」
そう笑顔で答えていた。ただ空気の読めない王妃様は
「あら、まだ婚約もしていないのでしょう?それに、ジャクソン殿下にはミディアムもいるし…」
「とにかく僕が愛しているのは、ティアラただ1人ですから。さあ、ティアラ、今日は視察で疲れただろう?もう失礼しよう。おいで」
王妃様の言葉を遮り、私の手を取ったジャクソン様。いつも表の顔は穏やかなジャクソン様が、こんな態度をとるなんて珍しい。でも、それだけ怒っているという事よね。これは増々まずいわ。とりあえず、カラッサ王国の王族たちに頭を下げて席を立ち、部屋に戻る。
「ティアラ、湯あみを済ませたら、また来るからね」
そう言うと、笑顔で出て行ったジャクソン様。その後、メイドたちに綺麗に体を洗ってもらい、髪も乾かしてもらった。ちょうどそのタイミングで、ジャクソン様が入って来た。
「ティアラ、そろそろ寝ようか。君たち、もう出て行ってもいいよ。後は僕がいるから」
「「「わかりました。失礼します」」」
お役目御免と言わんばかりに、嬉しそうに部屋を出ていくメイドたち。待って…お願い、この鬼畜変態野郎と2人きりにしないで…私の心の叫びもむなしく、皆出て行ってしまった。
「ティアラ、今日は随分とカエサル殿下と仲良しだったなぁ」
ひぃぃぃ!後ろから低い声で呟くジャクソン様。怖い…怖すぎるわ。
「あの、ジャクソン様。そのような事は…んんっ」
そのまま唇を塞がれ、舌まで入って来た。さらに太ももからお尻にかけて、触り出した。でも次の瞬間、何を思ったのか私から離れると、部屋から出て行ったジャクソン様。一体どうしたのかしら?しばらく待っていると、嬉しそうに部屋に戻って来た。
その手には、なんとハリセンが握られている。もしかして、ハリセンを取りに行っていたの?そもそもカラッサ王国にまであんなものを持ってくるだなんて…
「念のため持ってきてよかった。ティアラ、どうやらお前はもう一度徹底的にスキンシップの練習をしないといけない様だな。今日は俺が納得するまで、スキンシップの練習をするぞ。もちろん、失敗したらハリセンの刑だ!ほら、さっさと来い!まずは俺の膝に乗って口づけからだ」
ひぃぃぃ、とにかく早くしないとハリセンが飛んでくる。急いで膝に座ろうとしたのだが
「遅い!」
バチィーーン
「痛い!」
久しぶりに受けるハリセンの痛みに、涙目になる。結局その後、何発もハリセンを受けながら、夜遅くまでスキンシップの練習は続いたのであった。
14
あなたにおすすめの小説
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
【完結】夫が私に魅了魔法をかけていたらしい
綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。
そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。
気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――?
そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。
「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」
私が夫を愛するこの気持ちは偽り?
それとも……。
*全17話で完結予定。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
過保護な公爵は虚弱な妻と遊びたい
黒猫子猫
恋愛
公爵家当主レグルスは、三カ月前に令嬢ミアを正妻に迎えた。可憐な外見から虚弱な女性だと思い、過保護に接しなければと戒めていたが、実際の彼女は非常に活発で明るい女性だった。レグルスはすっかりミアの虜になって、彼女も本来の姿を見せてくれるようになり、夫婦生活は円満になるはずだった。だが、ある日レグルスが仕事を切り上げて早めに帰宅すると、ミアの態度はなぜか頑なになっていた。そればかりか、必死でレグルスから逃げようとする。
レグルスはもちろん、追いかけた。
※短編『虚弱な公爵夫人は夫の過保護から逃れたい』の後日談・ヒーロー視点のお話です。これのみでも読めます。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました
紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。
突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。
悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる