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第16話:地獄の日々が待っていました
「シャレル様、こちらがまだ終わっていませんよ。こっちもやってもらいますからね」
「いくら何でも、多すぎるわ。こんなにたくさん出来る訳…」
「口答えをするなら、もっと課題を増やしますよ。いいですか、あなた様は次期王妃になられるお方なのです。街に出て市民たちの暮らしを知るという事は、確かに大切です。ですがあなた様が行った軽率な行動は、どれほど危険だったか!とにかく、しばらくは自由な時間はないと思ってください」
目を血走らせて、怖い顔で迫って来る教育係。この前まで、とても優しかったのに。今はまるで、鬼婆の様だ。
私は先日、王都に出て問題を起こしたのだ。そのせいで今、教育係から厳しい罰を受けている。朝から晩まで、お勉強をさせられているのだ。それも既にマスターした事ばかりを、何度も何度も復唱させられ、紙に書かされるという無意味な事を…
そのせいで、ここ最近中庭にも行けていないし、お茶も出来ていない。もちろん、ダーウィン様にも会えていないのだ。
せっかくダーウィン様との距離が縮まったと思ったのに。もしかして、私のあまりにも愚かな行動に嫌気がさして、私の事が嫌いになってしまわれたのかしら?あの時、図々しくも抱っこで馬車まで運んで貰ったものね。
さすがにちょっと図々しすぎて、ダーウィン様も引いてしまったのかもしれない。
「はぁ~」
ついため息が漏れてしまう。
「シャレル様、ため息を付けるほど、余裕がおありなのですね。それでしたら、こちらの課題も追加いたしましょう」
鬼の教育係が、恐ろしいほどの書類を持ってきたのだ。この鬼!そう叫びたいのを堪え、必死に課題をこなす。
さすがに疲れたわ。
「あの…30分、いえ、10分だけでも休憩を下さい」
涙ながらに訴えた。
「したがありませんね。10分だけですからね」
やったわ、10分だけ休憩を頂けた。急いで部屋から出て、新鮮な空気を吸う。あぁ、あの息苦しい部屋からやっと解放されたのね。このまま逃走を…て、ダメよ。私は立派な王妃になって、ダーウィン様を支えるのだから。
でも、少しくらいは…
「シャレル、ここで何をしているのだい?課題は終わったのか?」
この声は…
「お父様、どうしてこちらに?」
後ろにいたのは、お父様だ。笑顔だが目が笑っていない。
「今10分だけ休憩を頂いているのです。別に逃げようだなんて考えていた訳ではありませんわ」
「そうか、逃げようと思っていたのだな…シャレルはちっとも反省していない様だな」
「いえ、違うのです。お父様…」
私の腕を掴むと、再び部屋に戻された。
「夫人、娘に休憩は不要です。あわよくば逃げようとしておりましたので、とっ捕まえて連れて参りました」
「まあ、なんて事でしょう。シャレル様、一体何を考えているのですか?罰として課題追加です」
「違うのです。私は…」
「言い訳は聞きたくない。いいな、しっかり反省するまで、この生活から抜け出せると思うなよ。本当に、誰に似たのだか!」
お父様が怖い顔で部屋から出ていく。おのれお父様め。私の言い分も聞かずに!
「シャレル様、早速続きを行いましょう。今日の夕食は、こちらのお部屋で頂きましょうね」
笑顔だが目が笑っていない教育係。要するに、夕食後も課題をこなせというのね。この鬼!そもそも私はまだ、8歳なのよ。8歳の子供に、こんな酷い仕打ちをするだなんて…
無性に腹が立ってきた。こうなったら、やり切ってやろうじゃない!そんな思いで、一気に課題をこなしていく。翌日も、その翌日も、毎日毎日課題をこなす日々。
そんな日々が2週間を過ぎた頃、さすがに辛くなってきた。
「いつまでこの生活が続くのですか?私、もう限界で…」
ウルウルした瞳で、必死に訴える。
「そんな顔をしてもダメです。さあ、課題を続けましょう」
鬼と化した先生の無情な一言に、打ちひしがれそうになる。この人、どこまでも鬼なのね。そもそも、私はこんな無意味な事をやっている暇はないのよ。やらなければいけない事が、山ほどあるというのに。
それにこの2週間、ずっとダーウィン様に会えていない。こんな仕打ちはないわ。そんな日々を送りながら、さらに2週間が過ぎた。
今日は私の9歳のお誕生日だ。さすがに今日くらいは、そう思っていたのだが…
「シャレル様、9歳のお誕生日、おめでとうございます。私からは、この課題をプレゼントいたしますわ」
あろう事か、私のお誕生日にまで課題を持ってきた教育係。我が国では他国と違い、お誕生日を盛大に祝う風習はない。それでも、この日は私の特別な日なのだ。
せめてダーウィン様と、ゆっくり過ごしたかったわ。
「いくら何でも、多すぎるわ。こんなにたくさん出来る訳…」
「口答えをするなら、もっと課題を増やしますよ。いいですか、あなた様は次期王妃になられるお方なのです。街に出て市民たちの暮らしを知るという事は、確かに大切です。ですがあなた様が行った軽率な行動は、どれほど危険だったか!とにかく、しばらくは自由な時間はないと思ってください」
目を血走らせて、怖い顔で迫って来る教育係。この前まで、とても優しかったのに。今はまるで、鬼婆の様だ。
私は先日、王都に出て問題を起こしたのだ。そのせいで今、教育係から厳しい罰を受けている。朝から晩まで、お勉強をさせられているのだ。それも既にマスターした事ばかりを、何度も何度も復唱させられ、紙に書かされるという無意味な事を…
そのせいで、ここ最近中庭にも行けていないし、お茶も出来ていない。もちろん、ダーウィン様にも会えていないのだ。
せっかくダーウィン様との距離が縮まったと思ったのに。もしかして、私のあまりにも愚かな行動に嫌気がさして、私の事が嫌いになってしまわれたのかしら?あの時、図々しくも抱っこで馬車まで運んで貰ったものね。
さすがにちょっと図々しすぎて、ダーウィン様も引いてしまったのかもしれない。
「はぁ~」
ついため息が漏れてしまう。
「シャレル様、ため息を付けるほど、余裕がおありなのですね。それでしたら、こちらの課題も追加いたしましょう」
鬼の教育係が、恐ろしいほどの書類を持ってきたのだ。この鬼!そう叫びたいのを堪え、必死に課題をこなす。
さすがに疲れたわ。
「あの…30分、いえ、10分だけでも休憩を下さい」
涙ながらに訴えた。
「したがありませんね。10分だけですからね」
やったわ、10分だけ休憩を頂けた。急いで部屋から出て、新鮮な空気を吸う。あぁ、あの息苦しい部屋からやっと解放されたのね。このまま逃走を…て、ダメよ。私は立派な王妃になって、ダーウィン様を支えるのだから。
でも、少しくらいは…
「シャレル、ここで何をしているのだい?課題は終わったのか?」
この声は…
「お父様、どうしてこちらに?」
後ろにいたのは、お父様だ。笑顔だが目が笑っていない。
「今10分だけ休憩を頂いているのです。別に逃げようだなんて考えていた訳ではありませんわ」
「そうか、逃げようと思っていたのだな…シャレルはちっとも反省していない様だな」
「いえ、違うのです。お父様…」
私の腕を掴むと、再び部屋に戻された。
「夫人、娘に休憩は不要です。あわよくば逃げようとしておりましたので、とっ捕まえて連れて参りました」
「まあ、なんて事でしょう。シャレル様、一体何を考えているのですか?罰として課題追加です」
「違うのです。私は…」
「言い訳は聞きたくない。いいな、しっかり反省するまで、この生活から抜け出せると思うなよ。本当に、誰に似たのだか!」
お父様が怖い顔で部屋から出ていく。おのれお父様め。私の言い分も聞かずに!
「シャレル様、早速続きを行いましょう。今日の夕食は、こちらのお部屋で頂きましょうね」
笑顔だが目が笑っていない教育係。要するに、夕食後も課題をこなせというのね。この鬼!そもそも私はまだ、8歳なのよ。8歳の子供に、こんな酷い仕打ちをするだなんて…
無性に腹が立ってきた。こうなったら、やり切ってやろうじゃない!そんな思いで、一気に課題をこなしていく。翌日も、その翌日も、毎日毎日課題をこなす日々。
そんな日々が2週間を過ぎた頃、さすがに辛くなってきた。
「いつまでこの生活が続くのですか?私、もう限界で…」
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「そんな顔をしてもダメです。さあ、課題を続けましょう」
鬼と化した先生の無情な一言に、打ちひしがれそうになる。この人、どこまでも鬼なのね。そもそも、私はこんな無意味な事をやっている暇はないのよ。やらなければいけない事が、山ほどあるというのに。
それにこの2週間、ずっとダーウィン様に会えていない。こんな仕打ちはないわ。そんな日々を送りながら、さらに2週間が過ぎた。
今日は私の9歳のお誕生日だ。さすがに今日くらいは、そう思っていたのだが…
「シャレル様、9歳のお誕生日、おめでとうございます。私からは、この課題をプレゼントいたしますわ」
あろう事か、私のお誕生日にまで課題を持ってきた教育係。我が国では他国と違い、お誕生日を盛大に祝う風習はない。それでも、この日は私の特別な日なのだ。
せめてダーウィン様と、ゆっくり過ごしたかったわ。
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