5 / 32
5 デメルフリード
デメルフリード視点
俺の名前はデメルフリード・ビシュー。
12歳。
この国の第一王子だ。
第一王子といっても、王子教育などは受けていない。
この王城から出たこともない。
俺は生まれたときから体が弱く、ベッドから下りることも出来ない程に病弱だから。
‥‥というのは建前で、ただ放置されているだけだ。
何故なら俺は『忌み子』だから。
それはそれはもう、世にも醜悪な見目をしている。
俺の母は俺を産んだ当時、父である国王の正妃であった。
しかし、生まれた俺のあまりの醜悪さに気が触れて帰らぬ人となったらしい。
父はその後に側妃を孕ませて正妃に召し上げた。
その腹にいたのが第二王子であるモラーハルト、俺の2歳下の腹違いの弟だ。
誰もが顔を背ける醜悪な俺とは違い、絶世の美少年。
父はそんな見目の良い弟を溺愛しており、早々に王太子と決めた。
父は『忌み子』であり、母を殺した俺のことを殺してやりいたい程に憎んでいるが子殺しは地獄に落ちると言われているため、一応生かさている。
この国での成人年齢である18歳になったら
この王宮にから追い出し、何処か辺境の未開の地にでも棄てる腹づもりだろう。
まぁ、俺は何処に棄てられようが死ぬことはない。
何故なら俺の魔力が絶大だから。
誰にも隠しているが、俺の魔力の器はとてつもなく大きく、また体内から溢れ出る魔力量も半端なく多い。
毎日その魔力を発散させなければ魔力過多で体調を崩してしまうほどに。
だから俺は誰も近づかない北のガゼボで毎日魔力を解放しているのだ。
俺がこの王宮の何処で何をしようとも、他人に声をかけられることは無い。
目を合わせることも、いや、この姿を目の端に映すことすら憚られるほど。
メイドだろうが庭師だろうが料理人であろうが、俺の気配を感じれば皆青い顔で余所を向く。
『私には何も見えておりませんよ』とでも言うように。
俺という存在は、この国の輝かしい王家にとってもあってはならぬ。
それほどまでに醜悪な見目をしているのだ。
運悪くバッチリ俺と目が合ってしまった者は、腰を抜かしたり、泣き喚いたり、嘔吐したり、気絶をしたり。
それはやっぱり面倒くさいから自室から出る時はいつも仮面を付けている。
認識阻害の魔法を使って姿を見えなくすればいいのだが、やはりそこは俺にもプライドというモノがある。
こんな自分でも、今、ここに俺という人間は存在しているのだ、というささやかなプライドだ。
先日もいつものように薄ら寒い北のガゼボで魔力解放を行っていた。
仮面を外し、空に向かって魔力を解放してその心地の良い怠さに浸っているとき。
ふと、誰かの視線を感じた。
しまった!!
叫ばれるか泣かれるか吐かれるか。
すぐに認識阻害の魔法を使えば良かったのに、何故だか俺は振り向いてしまったんだ。
その時の衝撃を、俺はどう言葉にしていいか解らない。
少女は大きく目を見開いて、口許に当てていた扇子をポトリと落とした。
ふっくらとした形の良い唇を半開きにして。
そこには忌避や嫌悪の色はまるで無く、ただ俺を真っ直ぐに見ていた。
俺は少女のその美し過ぎるほどに美しいかんばせから目をそらすことすら出来ない。
どれくらい見つめ合っていただろう。
それは長い時間だったかも知れない。
いや、ほんの一瞬の事だったかも知れない。
それでも俺には時を止めた永遠のように感じた。
『‥‥ヌ様、マリアンヌお嬢様ー!』
メイドらしき者の声に、止まっていた時が動き出す。
俺は慌てて忘却と睡りの魔法を発動させた。
『眠れ、そして忘れよ』
少女はゆっくりとその場に倒れ込み、その意識を飛ばした。
彼女の名はマリアンヌというのか。
俺の目を真っ直ぐに射抜いたあの美しい瞳。
言葉もなく、時を止めたように見つめ合ったあの瞬間。
俺の汚い目に彼女が映り、彼女の美しい瞳には俺が映っていた。
だけど、もう二度と君の瞳が醜悪な俺を映すことはないだろう。
それでいい。
その方がいい。
君がもしも、もう一度俺を見た時。
その美しい顔を恐怖と嫌悪に歪ませてしまえば、俺はきっと耐えられないから。
ああ、けれど‥‥
神様。
見るだけなら許してくれますか?
彼女にこの醜悪な姿をさらしたりし
ないと誓います。
絶対に彼女に触れたりしないと誓います。
だから、彼女に気づかれぬように、ただ見つめるだけなら許してくれますか。
あの日から俺はマリアンヌが王宮に来る度に、己に認識阻害魔法を掛けてその姿を目に焼き付けた。
彼女が弟の婚約者だと知った後も、ただただ、見つめ続けた。
俺の名前はデメルフリード・ビシュー。
12歳。
この国の第一王子だ。
第一王子といっても、王子教育などは受けていない。
この王城から出たこともない。
俺は生まれたときから体が弱く、ベッドから下りることも出来ない程に病弱だから。
‥‥というのは建前で、ただ放置されているだけだ。
何故なら俺は『忌み子』だから。
それはそれはもう、世にも醜悪な見目をしている。
俺の母は俺を産んだ当時、父である国王の正妃であった。
しかし、生まれた俺のあまりの醜悪さに気が触れて帰らぬ人となったらしい。
父はその後に側妃を孕ませて正妃に召し上げた。
その腹にいたのが第二王子であるモラーハルト、俺の2歳下の腹違いの弟だ。
誰もが顔を背ける醜悪な俺とは違い、絶世の美少年。
父はそんな見目の良い弟を溺愛しており、早々に王太子と決めた。
父は『忌み子』であり、母を殺した俺のことを殺してやりいたい程に憎んでいるが子殺しは地獄に落ちると言われているため、一応生かさている。
この国での成人年齢である18歳になったら
この王宮にから追い出し、何処か辺境の未開の地にでも棄てる腹づもりだろう。
まぁ、俺は何処に棄てられようが死ぬことはない。
何故なら俺の魔力が絶大だから。
誰にも隠しているが、俺の魔力の器はとてつもなく大きく、また体内から溢れ出る魔力量も半端なく多い。
毎日その魔力を発散させなければ魔力過多で体調を崩してしまうほどに。
だから俺は誰も近づかない北のガゼボで毎日魔力を解放しているのだ。
俺がこの王宮の何処で何をしようとも、他人に声をかけられることは無い。
目を合わせることも、いや、この姿を目の端に映すことすら憚られるほど。
メイドだろうが庭師だろうが料理人であろうが、俺の気配を感じれば皆青い顔で余所を向く。
『私には何も見えておりませんよ』とでも言うように。
俺という存在は、この国の輝かしい王家にとってもあってはならぬ。
それほどまでに醜悪な見目をしているのだ。
運悪くバッチリ俺と目が合ってしまった者は、腰を抜かしたり、泣き喚いたり、嘔吐したり、気絶をしたり。
それはやっぱり面倒くさいから自室から出る時はいつも仮面を付けている。
認識阻害の魔法を使って姿を見えなくすればいいのだが、やはりそこは俺にもプライドというモノがある。
こんな自分でも、今、ここに俺という人間は存在しているのだ、というささやかなプライドだ。
先日もいつものように薄ら寒い北のガゼボで魔力解放を行っていた。
仮面を外し、空に向かって魔力を解放してその心地の良い怠さに浸っているとき。
ふと、誰かの視線を感じた。
しまった!!
叫ばれるか泣かれるか吐かれるか。
すぐに認識阻害の魔法を使えば良かったのに、何故だか俺は振り向いてしまったんだ。
その時の衝撃を、俺はどう言葉にしていいか解らない。
少女は大きく目を見開いて、口許に当てていた扇子をポトリと落とした。
ふっくらとした形の良い唇を半開きにして。
そこには忌避や嫌悪の色はまるで無く、ただ俺を真っ直ぐに見ていた。
俺は少女のその美し過ぎるほどに美しいかんばせから目をそらすことすら出来ない。
どれくらい見つめ合っていただろう。
それは長い時間だったかも知れない。
いや、ほんの一瞬の事だったかも知れない。
それでも俺には時を止めた永遠のように感じた。
『‥‥ヌ様、マリアンヌお嬢様ー!』
メイドらしき者の声に、止まっていた時が動き出す。
俺は慌てて忘却と睡りの魔法を発動させた。
『眠れ、そして忘れよ』
少女はゆっくりとその場に倒れ込み、その意識を飛ばした。
彼女の名はマリアンヌというのか。
俺の目を真っ直ぐに射抜いたあの美しい瞳。
言葉もなく、時を止めたように見つめ合ったあの瞬間。
俺の汚い目に彼女が映り、彼女の美しい瞳には俺が映っていた。
だけど、もう二度と君の瞳が醜悪な俺を映すことはないだろう。
それでいい。
その方がいい。
君がもしも、もう一度俺を見た時。
その美しい顔を恐怖と嫌悪に歪ませてしまえば、俺はきっと耐えられないから。
ああ、けれど‥‥
神様。
見るだけなら許してくれますか?
彼女にこの醜悪な姿をさらしたりし
ないと誓います。
絶対に彼女に触れたりしないと誓います。
だから、彼女に気づかれぬように、ただ見つめるだけなら許してくれますか。
あの日から俺はマリアンヌが王宮に来る度に、己に認識阻害魔法を掛けてその姿を目に焼き付けた。
彼女が弟の婚約者だと知った後も、ただただ、見つめ続けた。
あなたにおすすめの小説
美醜逆転の世界に間違って召喚されてしまいました!
エトカ
恋愛
続きを書くことを断念した供養ネタ作品です。
間違えて召喚されてしまった倉見舞は、美醜逆転の世界で最強の醜男(イケメン)を救うことができるのか……。よろしくお願いします。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい
ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26)
鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。
狭い個室にはメイド服がかかっている。
とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。
「この顔……どこか見覚えが……」
幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。
名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー)
没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。
原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。
「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」
幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。
病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。
エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18)
全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。
タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。