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ゴーン ゴーン ゴーン
オンボロ馬車に揺られながら、わたくしはこのクソゲー終了の合図の鐘を確かに聞いた。
「終わった‥‥」
クソゲーは終わった‥‥
愛するデメルフリード様と夫婦になれた‥‥
「あああ!!終わったわ!このクソゲーは終わったのですわーーー!!」
両手を高く上げてガッツポーズを作り、大声で叫んだ。
「デメルフリード様!!!お会いしとうございました!!今日のこの良き日を以て、貴方とわたくしは晴れて夫婦になったのです!貴方がどれだけ嫌がろうともこの婚姻は覆すことなど出来ませんので悪しからず!」
「‥は‥‥‥?」
デメルフリード様が固まっている。
くぅー、仮面で表情が見えないのがもどかしいですわ!
喜んでらっしゃるの?
それとも嫌がってますの?
「とにかく!その変な仮面を外してくださいませ!!」
金縛りから解けたように勢いよく首を振るデメルフリード様。
「そ、そんなことをすれば君は気が触れて死んでしまうだろう!!」
うはぁっ!!
声まで素敵!
頭の芯に直接響くような低音ボイス!!
それに比べてモラーハルトの声は
『千はどこだ!千を出せ!』
ってヤツにそっくりでしたわ。
顔も性格も声までキモいって最悪ですわね!
「そんなことは絶対にありませんわ!だってわたくし、6年前に北のガゼボで貴方のお顔をバッチリ見てますもの。デメルフリード様は忘れてしまってらっしゃるかも知れませんが、わたくしはちゃーんと憶えてましてよ?」
「ま、まさか!あの時君には忘却の魔法を掛けたはずだ!」
「まぁ!!憶えていて下さったのですね!でもその魔法はすぐに解けましたわよ?」
「と、解けた‥‥嘘だ、そんなことは有り得ない」
まさか、有り得ない、何故、とデメルフリード様が頭を抱えてブツブツと呟いている。
「デメルフリード様。わたくしは今から貴方に大切なお話を致します。ですからどうか、その仮面を外してくださいませ」
わたくしが真剣な顔でそうお願いすると、
しばらく黙って考え込んでいたけれど
「も、もしも具合が悪いときはすぐに言ってくれ」
そう言って震える手で仮面を外して下さった。
「はぅっ!!!!!!!!」
これは!!やばい!!
目がつぶれてしまう!
思わず両目をきつく閉じた。
美しすぎてそれ以上の表現のしようが無い!
まさか、この6年でこれほどまでにお美しく成長なさっていたなんて!!!
ああ、神様、感謝いたします。
このクソゲーの世界で悪役令嬢に転生していると気付いた時は、確かにあなたを恨みました。
神も仏もあったもんじゃない、なんて悪態をついたこともありましたが、神は確かに存在しておりましたのね!
「や、やはり仮面を‥‥‥」
その声にカッッ!と目を見開くと、再び仮面を付けようとするデメルフリード様。
「駄目です!その変な仮面をわたくしの前で付けるのは禁止です!!」
慌ててその腕を両腕でガッチリとホールドして叫んだら、デメルフリード様がまた固まった。
「ゴホン、取り乱してしまい申し訳ございません。改めまして、わたくしはマリアンヌ、つい先ほどまではマリアンヌ・ガセットという公爵家の令嬢でしたが、今はただのマリアンヌ、貴方の妻になった者です。至らぬ所もございましょうが、これからどうぞ末永くお側においてくださいませ」
「き、君はそれでいいのか?君は本当はモラーハルトの事を愛しているのだろう?」
は?デメルフリード様、マジで言ってるのですか?
有り得ない!!
貴方はずっと見てきたでしょう?
わたくしがあの男を好きになる要素が何処にありましたか!!!
「貴方にはわたくしがあの男を愛していたように見えましたか?貴方はずっとわたくしがあの男にされたあれこれを見てらしたでしょう?」
あ、また固まってしまったわ。
「足引っかけ、デコピンに、後頭部を叩く。わたくし、ちゃんと気付いておりましたわよ?貴方がわたくしを見ていてくれたこと。庇ってくれていたこと。そして、優しく撫でて下さったことも」
「あ、あ、あ‥‥」
わたくしは大きく息を吸って、これまでずっと心に秘めていた気持ちを一気に吐き出した。
「わたくしは6年前、あの北のガゼボで貴方と出会った瞬間、恋に落ちたのです!その衝撃は、わたくしの全てを作り替えてしまうほどに強烈なものでした。あの日、あの時、あの場所で貴方に出会えたこと。それはわたくしがこの世界で生きる意味となりました。いつか貴方と結ばれること、それだけを目標にこのクソのような世界を生きてきたのです。
そのお姿を見ることが出来なくとも、貴方はわたくしを見ていて下さっている。貴方の存在を感じる瞬間、貴方の大きな手がわたくしに触れる瞬間が何よりも嬉しかったのです。それだけでわたくしは頑張る事が出来ました。デメルフリード様、わたくしは貴方が好きです。大好きなんです!どうしても、どうしても、貴方でなければ嫌なんです!!だからお願い、どうか貴方もわたくしを好きになって。わたくしは絶対に貴方を幸せにすると誓います。だから、どうか、どうか、わたくしを愛してくださいませんか!!!」
デメルフリード様の幅広の二重の瞳。
透き通るようなスカイブルーがゆらゆらと揺れる。
そしてその美しい瞳を縁取る長い睫毛が震えた瞬間、ポロリ、ポロリと、宝石のような涙がこぼれ落ちた。
「デメルフリード様、その涙が悲しみ、苦しみの涙ならば今すぐに泣き止んで下さいませ」
デメルフリード様が涙に濡れた瞳を大きく見開いた。
「でも、それが幸せの涙であるならば‥‥」
そして大きく見開いた美しい瞳をパチパチと瞬かせた。
ミリヨンの汚い瞬きとは違う。
吸い込まれてしまいそうな程に美しい貴方の瞬き。
「それが、幸せの涙であるならば‥‥わたくしも一緒に泣きますわ」
わたくしはもう我慢できずにデメルフリード様の胸に飛び込んだ。
そして
「うあぁぁぁーーん!!デメルフリード様ぁぁぁ!!!!」
絶対に泣かないと誓ったあの日から、わたくしは、初めて泣いた。
オンボロ馬車に揺られながら、わたくしはこのクソゲー終了の合図の鐘を確かに聞いた。
「終わった‥‥」
クソゲーは終わった‥‥
愛するデメルフリード様と夫婦になれた‥‥
「あああ!!終わったわ!このクソゲーは終わったのですわーーー!!」
両手を高く上げてガッツポーズを作り、大声で叫んだ。
「デメルフリード様!!!お会いしとうございました!!今日のこの良き日を以て、貴方とわたくしは晴れて夫婦になったのです!貴方がどれだけ嫌がろうともこの婚姻は覆すことなど出来ませんので悪しからず!」
「‥は‥‥‥?」
デメルフリード様が固まっている。
くぅー、仮面で表情が見えないのがもどかしいですわ!
喜んでらっしゃるの?
それとも嫌がってますの?
「とにかく!その変な仮面を外してくださいませ!!」
金縛りから解けたように勢いよく首を振るデメルフリード様。
「そ、そんなことをすれば君は気が触れて死んでしまうだろう!!」
うはぁっ!!
声まで素敵!
頭の芯に直接響くような低音ボイス!!
それに比べてモラーハルトの声は
『千はどこだ!千を出せ!』
ってヤツにそっくりでしたわ。
顔も性格も声までキモいって最悪ですわね!
「そんなことは絶対にありませんわ!だってわたくし、6年前に北のガゼボで貴方のお顔をバッチリ見てますもの。デメルフリード様は忘れてしまってらっしゃるかも知れませんが、わたくしはちゃーんと憶えてましてよ?」
「ま、まさか!あの時君には忘却の魔法を掛けたはずだ!」
「まぁ!!憶えていて下さったのですね!でもその魔法はすぐに解けましたわよ?」
「と、解けた‥‥嘘だ、そんなことは有り得ない」
まさか、有り得ない、何故、とデメルフリード様が頭を抱えてブツブツと呟いている。
「デメルフリード様。わたくしは今から貴方に大切なお話を致します。ですからどうか、その仮面を外してくださいませ」
わたくしが真剣な顔でそうお願いすると、
しばらく黙って考え込んでいたけれど
「も、もしも具合が悪いときはすぐに言ってくれ」
そう言って震える手で仮面を外して下さった。
「はぅっ!!!!!!!!」
これは!!やばい!!
目がつぶれてしまう!
思わず両目をきつく閉じた。
美しすぎてそれ以上の表現のしようが無い!
まさか、この6年でこれほどまでにお美しく成長なさっていたなんて!!!
ああ、神様、感謝いたします。
このクソゲーの世界で悪役令嬢に転生していると気付いた時は、確かにあなたを恨みました。
神も仏もあったもんじゃない、なんて悪態をついたこともありましたが、神は確かに存在しておりましたのね!
「や、やはり仮面を‥‥‥」
その声にカッッ!と目を見開くと、再び仮面を付けようとするデメルフリード様。
「駄目です!その変な仮面をわたくしの前で付けるのは禁止です!!」
慌ててその腕を両腕でガッチリとホールドして叫んだら、デメルフリード様がまた固まった。
「ゴホン、取り乱してしまい申し訳ございません。改めまして、わたくしはマリアンヌ、つい先ほどまではマリアンヌ・ガセットという公爵家の令嬢でしたが、今はただのマリアンヌ、貴方の妻になった者です。至らぬ所もございましょうが、これからどうぞ末永くお側においてくださいませ」
「き、君はそれでいいのか?君は本当はモラーハルトの事を愛しているのだろう?」
は?デメルフリード様、マジで言ってるのですか?
有り得ない!!
貴方はずっと見てきたでしょう?
わたくしがあの男を好きになる要素が何処にありましたか!!!
「貴方にはわたくしがあの男を愛していたように見えましたか?貴方はずっとわたくしがあの男にされたあれこれを見てらしたでしょう?」
あ、また固まってしまったわ。
「足引っかけ、デコピンに、後頭部を叩く。わたくし、ちゃんと気付いておりましたわよ?貴方がわたくしを見ていてくれたこと。庇ってくれていたこと。そして、優しく撫でて下さったことも」
「あ、あ、あ‥‥」
わたくしは大きく息を吸って、これまでずっと心に秘めていた気持ちを一気に吐き出した。
「わたくしは6年前、あの北のガゼボで貴方と出会った瞬間、恋に落ちたのです!その衝撃は、わたくしの全てを作り替えてしまうほどに強烈なものでした。あの日、あの時、あの場所で貴方に出会えたこと。それはわたくしがこの世界で生きる意味となりました。いつか貴方と結ばれること、それだけを目標にこのクソのような世界を生きてきたのです。
そのお姿を見ることが出来なくとも、貴方はわたくしを見ていて下さっている。貴方の存在を感じる瞬間、貴方の大きな手がわたくしに触れる瞬間が何よりも嬉しかったのです。それだけでわたくしは頑張る事が出来ました。デメルフリード様、わたくしは貴方が好きです。大好きなんです!どうしても、どうしても、貴方でなければ嫌なんです!!だからお願い、どうか貴方もわたくしを好きになって。わたくしは絶対に貴方を幸せにすると誓います。だから、どうか、どうか、わたくしを愛してくださいませんか!!!」
デメルフリード様の幅広の二重の瞳。
透き通るようなスカイブルーがゆらゆらと揺れる。
そしてその美しい瞳を縁取る長い睫毛が震えた瞬間、ポロリ、ポロリと、宝石のような涙がこぼれ落ちた。
「デメルフリード様、その涙が悲しみ、苦しみの涙ならば今すぐに泣き止んで下さいませ」
デメルフリード様が涙に濡れた瞳を大きく見開いた。
「でも、それが幸せの涙であるならば‥‥」
そして大きく見開いた美しい瞳をパチパチと瞬かせた。
ミリヨンの汚い瞬きとは違う。
吸い込まれてしまいそうな程に美しい貴方の瞬き。
「それが、幸せの涙であるならば‥‥わたくしも一緒に泣きますわ」
わたくしはもう我慢できずにデメルフリード様の胸に飛び込んだ。
そして
「うあぁぁぁーーん!!デメルフリード様ぁぁぁ!!!!」
絶対に泣かないと誓ったあの日から、わたくしは、初めて泣いた。
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