救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!

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第6話 破滅の予感

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 王城で王様がマールの安否を心配しているころ。アルマティア王国の最果て、魔の森に隣接するザハル辺境伯家では、“優雅なお茶会”が開催されていた。

 広間のテラスには、高価な茶器と菓子が整えられている。だがその場に座る二人の顔立ちが醸し出す空気は、優雅さよりも不快な傲慢さのほうが勝っていた。


「ねぇプリシラ、今日はなんて気持ちのいい日なのかしら。あの忌々いまいましい小娘がいなくなってから、家の空気がだいぶ澄んだと思わない?」

 ヴァネッサ夫人が、わざとらしいため息をつきながら紅茶を啜る。

「ほんとよお母さま! だってあの子、見ているだけで鬱陶しかったもの!」

 プリシラは自分のドレスの裾をひらひらさせながら、鼻で笑った。


 そんなお茶会の空気を、突然の荒々しい足音が切り裂いた。

「ご、報告!! た、大変です奥様!!」

 駆け込んできた騎士の顔は蒼白だった。
 だがヴァネッサとプリシラは、眉をひそめて不快げに彼を睨む。

「……今はお茶の時間よ。無礼にもほどがあるわね」
「そうよ、女主人の前に出るなら礼儀を覚えなさいよ」

 しかし騎士はそれどころではなかった。震える声を無理に整え、報告を吐き出す。

「魔の森の監視塔が──蛇神ヒュドラの襲撃により、壊滅いたしました!」
「……は?」
「当主ザハル様は……現在、生死不明です!!」

 広間に凍りついた沈黙が落ちる──べきだった。本来なら、そうあるべきだった。

 だが。

「えっ……じゃあ……」

 プリシラの瞳がきらりと輝く。

「わ、私たちが正式にこの家の主に……!?」
「やったわねプリシラ!!」

 二人揃って立ち上がり、満面の笑みで手を取り合う。騎士は言葉を失い、口をぱくぱくさせるしかなかった。

(こ、こんな状況で喜ぶなど……正気なのか……?)

 その異様な光景は、むしろ滑稽ですらあった。


 彼女たちは知らない。
 いなくなった“あの子”が、今や国境を越えた大騒動の中心にいることを。

 そして、己に迫りくる破滅の影にも――。

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