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第2章 とあるメイドの入学
第11話 そのメイド、同情される。②
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食事を提供するカウンターに並び、夕飯をトレーに載せて空いている席へと向かう。
今日のメニューは、丸めたパンに野菜のスープというシンプルなもの。
だけどその辺に生えていた野草と、沸かしたお湯で食い繋いでいた日々に比べれば、幸せすぎる食事だ!!
「今度はこんな質素な食事を、泣きながら食べているし……本当に大丈夫かしらこの子……」
「だって……塩以外の味付けなんて、本当に久しぶりで……!!」
「うえぇっ!? ちょっと貴女。貧民街で育ったとでもいうの? 普通はそんなこと有り得ないわよ!?」
いや、まさにその貧民街出身ですけれども。
男爵家に拾ってもらったけれど、その男爵家だって貧乏だったし。みんなで助け合いながらどうにか生きてきたのよね。
どんな人生を歩んできたのかを、食事を摂りながら話す。
すると対面にいたルーシーは、途中から食べる手を止めて、ポカンとしてしまった。
「貴方、そんなに貧しい生活を……」
「でも生きている限り、不幸だなんて思わなかったけどね! こうして美味しい食事もできることだし!!」
「随分と安い幸せね……でも、そうだったの……」
なんだかルーシーの私を見る目が、段々と可哀想なものを見るような感じになってきた。
挙句の果てには、私のトレーの上に自分のパンをそっと乗せてくれた。
「えっ、いいの!?」
「……別に貴方の為じゃないわ。夜中に部屋でお腹の音がうるさかったら、寝れなくて困るじゃない」
「えへへ、ありがとうルーシー!」
お礼を言って受け取ると、ルーシーはちょっと照れ臭そうに横を向いた。
やっぱりルーシーって、根は優しいのかもしれない。
……でも、こんな子が本当に傷害沙汰を起こしたのかしら?
ご飯を手早く食べた後は、同じくパラスにある大浴場へと向かう。
寮のフロアごとに交代制で入るらしいんだけど、彼女はいつも独りで入っているんだって。
だから私は無理矢理ルーシーを連れて、お風呂へと突撃した。
「どうして私の裸を見つめてくるんですの……?」
「……別に。どうしてかなぁって観察しているだけよ」
やっぱりルーシーのプロポーションは凄かった……。
貴族は魔法みたいな化粧品でも使っているのかしら?
うーん、いつかその秘訣を聞いてみよう。
お風呂に入った後は、ちょっと早いけれど就寝だ。
そのうち夜の実習が入るらしいんだけど、私はまだ入学したばかりなので無い。
メイドって早朝から夜遅くまで働き詰めで大変だわ。
ルーシーから二段ベッドの上を奪うことに成功した私は、洗濯したての真っ白なシーツの上に横になる。
入学から入寮まで、怒涛の一日だったけど、無事に入学できたし……これなら何とかなりそうね。
「ふわぁ、なんだかもう眠くなってきた……ん? この声は……ルーシー?」
私の真下……下段のベッドから、彼女のくぐもった声が聴こえてきた。
どうやら布団の中で、すすり泣いているみたい。
「うぐっ、どうして……お母様……お父様……私はこれからどうしたら……」
「ルーシー……」
なにか声を掛けてあげたいけれど、安い慰めの言葉しか出てこない。
貧乏人の、何も持っていない私の無力な手。これでは彼女を救うこともできない。
無責任な優しさは、彼女を傷付けるだけだ。
……だからもっとお互いを知って、一緒に強くなろうね。
私も心の中に、同じ熱を持っている。
絶対にどん底から這い上がって、自分を追い詰めた人間に復讐してやる。
なんだか彼女とは仲良くなれるかも……そんな事を思いながら、私は目を閉じて眠りにつくのであった。
今日のメニューは、丸めたパンに野菜のスープというシンプルなもの。
だけどその辺に生えていた野草と、沸かしたお湯で食い繋いでいた日々に比べれば、幸せすぎる食事だ!!
「今度はこんな質素な食事を、泣きながら食べているし……本当に大丈夫かしらこの子……」
「だって……塩以外の味付けなんて、本当に久しぶりで……!!」
「うえぇっ!? ちょっと貴女。貧民街で育ったとでもいうの? 普通はそんなこと有り得ないわよ!?」
いや、まさにその貧民街出身ですけれども。
男爵家に拾ってもらったけれど、その男爵家だって貧乏だったし。みんなで助け合いながらどうにか生きてきたのよね。
どんな人生を歩んできたのかを、食事を摂りながら話す。
すると対面にいたルーシーは、途中から食べる手を止めて、ポカンとしてしまった。
「貴方、そんなに貧しい生活を……」
「でも生きている限り、不幸だなんて思わなかったけどね! こうして美味しい食事もできることだし!!」
「随分と安い幸せね……でも、そうだったの……」
なんだかルーシーの私を見る目が、段々と可哀想なものを見るような感じになってきた。
挙句の果てには、私のトレーの上に自分のパンをそっと乗せてくれた。
「えっ、いいの!?」
「……別に貴方の為じゃないわ。夜中に部屋でお腹の音がうるさかったら、寝れなくて困るじゃない」
「えへへ、ありがとうルーシー!」
お礼を言って受け取ると、ルーシーはちょっと照れ臭そうに横を向いた。
やっぱりルーシーって、根は優しいのかもしれない。
……でも、こんな子が本当に傷害沙汰を起こしたのかしら?
ご飯を手早く食べた後は、同じくパラスにある大浴場へと向かう。
寮のフロアごとに交代制で入るらしいんだけど、彼女はいつも独りで入っているんだって。
だから私は無理矢理ルーシーを連れて、お風呂へと突撃した。
「どうして私の裸を見つめてくるんですの……?」
「……別に。どうしてかなぁって観察しているだけよ」
やっぱりルーシーのプロポーションは凄かった……。
貴族は魔法みたいな化粧品でも使っているのかしら?
うーん、いつかその秘訣を聞いてみよう。
お風呂に入った後は、ちょっと早いけれど就寝だ。
そのうち夜の実習が入るらしいんだけど、私はまだ入学したばかりなので無い。
メイドって早朝から夜遅くまで働き詰めで大変だわ。
ルーシーから二段ベッドの上を奪うことに成功した私は、洗濯したての真っ白なシーツの上に横になる。
入学から入寮まで、怒涛の一日だったけど、無事に入学できたし……これなら何とかなりそうね。
「ふわぁ、なんだかもう眠くなってきた……ん? この声は……ルーシー?」
私の真下……下段のベッドから、彼女のくぐもった声が聴こえてきた。
どうやら布団の中で、すすり泣いているみたい。
「うぐっ、どうして……お母様……お父様……私はこれからどうしたら……」
「ルーシー……」
なにか声を掛けてあげたいけれど、安い慰めの言葉しか出てこない。
貧乏人の、何も持っていない私の無力な手。これでは彼女を救うこともできない。
無責任な優しさは、彼女を傷付けるだけだ。
……だからもっとお互いを知って、一緒に強くなろうね。
私も心の中に、同じ熱を持っている。
絶対にどん底から這い上がって、自分を追い詰めた人間に復讐してやる。
なんだか彼女とは仲良くなれるかも……そんな事を思いながら、私は目を閉じて眠りにつくのであった。
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