3 / 20
第1章 悪役令嬢、日本へ
1-3 聖女の独白。
しおりを挟む
【聖女視点】
「……ふぅ。これでお父様の言いつけ通り、あの魔女をこの世から消し去ることが出来ましたわね」
「は、はは。やった、やったぞ! これでボクは自由の身だ! あの口煩い女が居なくなればボクは……」
はぁ……ほんっと、バカな男。
あの魔女が世界に災いを齎す最悪の存在だったとしても。王妃としてあれ以上に相応しい女なんて、この世界の何処にも居なかったでしょうにね。――勿論、ワタクシも含めて。
それに……最後までこの王子のことを一人の人間として本気で心配していたのは、他でもないあの魔女だけだったわよ?
ワタクシだってお父様に言われなければ、このようなクズの妻になろうだなんて微塵も思いませんでしたわ。
「さて、サーディスよ。改めて民には聖女であるこのミラクリッド=セカンダリアがあの災厄の魔女を打ち倒し、めでたく次期王妃として我が国を支えることになったと伝えなければな」
「そうですね、父上! 未来の偉大な王として、民たちを安心させなくては!」
「そんな……レイカが……なんてことを……」
こんな国王とバカ王子のために、大事な娘を捧げたグランデ公爵が膝をついて嗚咽を漏らしている。
この世界の為にあの魔女を追放することが必要だったとはいえ、たった一人の娘を処分されてしまうとは……そのことに関しては少しだけ同情いたしますわ。
ま、それはともかく。
ワタクシも早くお父様に報告をしなくてはですね。
ふふふ、お父様はワタクシを褒めてくださるかしら。なにしろ、ワタクシのお陰で世界が平和になるのですから……。
そう、神の言うことは絶対なのです。
つまり神の意思を聞くことが出来るお父様は神に等しい、偉大なお方。
孤児だったワタクシにとって、唯一無二の家族。
――だからレイカさん。
どうか、ワタクシのことを恨まないでくださいね?
「……? 何かしら、この違和感」
教会にいた全員が無事に儀式が終わったことに安堵し、気も緩んでいた頃。
ワタクシがこの場から立ち去ろうと教会の出口に向かおうとした瞬間、女神像の方から強大な魔力の高まりを感じ取りました。
「何かしら? この不思議な力は……ま、まさかっ!?」
「おい、なんだこの光は!! ミラクリッド嬢、これはいったい何ごとなのだ!」
「ミラ!! キミの仕業なのか!?」
何を馬鹿なことを!
そんなの、ワタクシが知るわけないじゃないですの!
そもそも、ワタクシの力は一度使ったら再使用するまでにチャージが必要なんですのよ!? なのに、このワタクシの力を遥かに超えるこの魔力の高まりは――!!
そんなことを考えている合間にも、女神像から現れた光球は大きく膨らみ、全方位に拡散していく。
そして教会を――この場に残っていたワタクシたちを――白く暖かい光が、優しく包み込んだ。
「……ふぅ。これでお父様の言いつけ通り、あの魔女をこの世から消し去ることが出来ましたわね」
「は、はは。やった、やったぞ! これでボクは自由の身だ! あの口煩い女が居なくなればボクは……」
はぁ……ほんっと、バカな男。
あの魔女が世界に災いを齎す最悪の存在だったとしても。王妃としてあれ以上に相応しい女なんて、この世界の何処にも居なかったでしょうにね。――勿論、ワタクシも含めて。
それに……最後までこの王子のことを一人の人間として本気で心配していたのは、他でもないあの魔女だけだったわよ?
ワタクシだってお父様に言われなければ、このようなクズの妻になろうだなんて微塵も思いませんでしたわ。
「さて、サーディスよ。改めて民には聖女であるこのミラクリッド=セカンダリアがあの災厄の魔女を打ち倒し、めでたく次期王妃として我が国を支えることになったと伝えなければな」
「そうですね、父上! 未来の偉大な王として、民たちを安心させなくては!」
「そんな……レイカが……なんてことを……」
こんな国王とバカ王子のために、大事な娘を捧げたグランデ公爵が膝をついて嗚咽を漏らしている。
この世界の為にあの魔女を追放することが必要だったとはいえ、たった一人の娘を処分されてしまうとは……そのことに関しては少しだけ同情いたしますわ。
ま、それはともかく。
ワタクシも早くお父様に報告をしなくてはですね。
ふふふ、お父様はワタクシを褒めてくださるかしら。なにしろ、ワタクシのお陰で世界が平和になるのですから……。
そう、神の言うことは絶対なのです。
つまり神の意思を聞くことが出来るお父様は神に等しい、偉大なお方。
孤児だったワタクシにとって、唯一無二の家族。
――だからレイカさん。
どうか、ワタクシのことを恨まないでくださいね?
「……? 何かしら、この違和感」
教会にいた全員が無事に儀式が終わったことに安堵し、気も緩んでいた頃。
ワタクシがこの場から立ち去ろうと教会の出口に向かおうとした瞬間、女神像の方から強大な魔力の高まりを感じ取りました。
「何かしら? この不思議な力は……ま、まさかっ!?」
「おい、なんだこの光は!! ミラクリッド嬢、これはいったい何ごとなのだ!」
「ミラ!! キミの仕業なのか!?」
何を馬鹿なことを!
そんなの、ワタクシが知るわけないじゃないですの!
そもそも、ワタクシの力は一度使ったら再使用するまでにチャージが必要なんですのよ!? なのに、このワタクシの力を遥かに超えるこの魔力の高まりは――!!
そんなことを考えている合間にも、女神像から現れた光球は大きく膨らみ、全方位に拡散していく。
そして教会を――この場に残っていたワタクシたちを――白く暖かい光が、優しく包み込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
追放された悪役令嬢、前世のスマホ知識で通信革命を起こしたら、王国に必須の存在になっていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢エリザは、婚約者の第二王子アルフォンスに身に覚えのない罪を着せられ、満座の中で婚約破棄と勘当を言い渡される。全てを奪われ、たった一人で追放されたのは、魔物が跋扈する寂れた辺境の地。
絶望の淵で、彼女の脳裏に蘇ったのは、現代日本で生きていた前世の記憶――人々がガラスの板で遠くの誰かと話す、魔法のような光景だった。
「これなら、私にも作れるかもしれない」
それは、この世界にはまだ存在しない「通信」という概念。魔石と魔術理論を応用し、彼女はたった一人で世界のあり方を変える事業を興すことを決意する。
頑固なドワーフ、陽気な情報屋、そして彼女の可能性を信じた若き辺境伯。新たな仲間と共に、エリザが作り上げた魔導通信端末『エル・ネット』は、辺境の地に革命をもたらし、やがてその評判は王都を、そして国全体を揺るがしていく。
一方、エリザを捨てた王子と異母妹は、彼女の輝かしい成功を耳にし、嫉妬と焦燥に駆られるが……時すでに遅し。
これは、偽りの断罪によって全てを失った令嬢が、その類まれなる知性と不屈の魂で自らの運命を切り拓き、やがて国を救う英雄、そして新時代の女王へと駆け上がっていく、痛快にして感動の逆転譚。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~
季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」
建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。
しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった!
(激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!)
理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造!
隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。
辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。
さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。
「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」
冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!?
現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる!
爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。
ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。
しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。
こんな謎運命、回避するしかない!
「そうだ、結婚しよう」
断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや
転生ガチャで悪役令嬢になりました
みおな
恋愛
前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。
なんていうのが、一般的だと思うのだけど。
気がついたら、神様の前に立っていました。
神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。
初めて聞きました、そんなこと。
で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる