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杖の章
♣27 睡眠薬とラブホテル
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「……っ!? あ、いや。そういうのはちょっと」
あのデカイ図体でよくそんな機敏な動きができるな、と感心してしまいそうなほど鮮やかな動作で、カズオは紅莉の目の前に立った。
紅莉もこうなることは分かっていた。
というかこれが狙いだったので、ある程度の覚悟はできていたと思うのだが……
「うぇ、くさい……」
ピザが追加された臭いに眩暈を起こしそうになっていた。
だがカズオはお構いなしに、紅莉に近付いていく。
「いやっ!?」
「うっるさいなぁ、キミだってそのつもりでボクを誘ったんだろぉ?」
「違いま……きゃあ!」
嫌がる紅莉をカズオはベッドに押し倒してしまった。
巨体に跨られてしまっては、力の弱い紅莉では抵抗ができない。
カズオはやたら長い爪先で、器用に彼女の服を脱がしていく。
「占いをするには裸で密着する必要があるんだよっ。お、お互いの理解が必要なんだ! きっとアカリ君も、僕のアレを気に入ってくれるからさぁ~」
「いやああぁっ!」
悠真はもういいだろ、とクローゼットに手を掛ける。
その時、悠真はカズオの腹を叩いて抵抗する紅莉の右手が見えた。
その手の形は――キツネだった。
悠真が躊躇しているうちに、彼女は遂に下着姿にまで剥かれてしまった。カズオは舌なめずりをしながら、最後の砦の攻略に取り掛かろうとしたのだが……。
「はれ?」
急に呂律が回っていない言葉を発したと思ったら、紅莉を抑え込んでいた手が緩んだ。それ以上の言葉が出てこない。口からはヨダレがだらりと垂れて紅莉の顔に落ちた。
そのままゆっくり前屈みになって倒れていく。カズオも途中で手で身体を支えようとしたみたいだったが腕に力が入らず、崩れるようにして紅莉の上に覆いかぶさった。
「え……?」
この展開は悠真も聞かされていない。予定では襲われる途中で止めに入る手筈だったから。
つい驚きの言葉が出てしまったが、もはやカズオはピクリともしていない。
まるで死んでしまったかのようだ。
「ゆ、ゆうまく~ん!」
目の前で何が起きたのか分からず、ひとり暗闇の中で呆気に取られていると、紅莉がカズオのお腹をぺチぺチと叩きながら悠真の名前を呼んでいた。
「た、助けて~、潰れるぅ~」
「わ、分かった! 今行く!」
紅莉まで動かなかったので、一瞬自分以外の時間が止まってしまったのかと錯覚した。だが紅莉は無事だったようだ。
再び時間が動き出し、暗闇のクローゼットから飛び出した。
「これは紅莉がやったのか……?」
岩のように大きなカズオの巨体をどうにか転がし、紅莉を救出することに成功した。
この豚のような男に乗られたら、男の自分でも抜け出すのは容易ではないだろう。
本当に重く、そして臭かった。触った手が臭っている気がする。
「えへへ。お酒に薬を入れちゃった」
「薬!? そんなものを持っていたのか!?」
「女の子は危ない目に遭うことが多いからね~。念のために、家にあったお母さんの薬箱からちょっとだけ貰っておいたの。他にも……ほら、スタンガンとか」
紅莉は浴室の方にあったタオルで顔についたカズオのヨダレを拭きながら、枕の下から電動シェービングぐらいの大きさのスタンガンを取り出した。
悠真は本物のスタンガンを見たのは初めてだったが、紅莉は手馴れた様子でバチバチと電流を流して見せた。
なんてものを家に保管しているんだとも思ったが、今回はそのお陰で助かったのだから責めることもできない。
しかし……もし、自分が紅莉に手を出そうとしたらカズオと同じように問答無用で薬を盛られていたのだろうか。いや、紅莉に限ってそんなことは……。
自分はこんな屑みたいなことはしないとは思いつつも、彼女を怒らせるような真似は絶対に避けようと心に決めた。
あのデカイ図体でよくそんな機敏な動きができるな、と感心してしまいそうなほど鮮やかな動作で、カズオは紅莉の目の前に立った。
紅莉もこうなることは分かっていた。
というかこれが狙いだったので、ある程度の覚悟はできていたと思うのだが……
「うぇ、くさい……」
ピザが追加された臭いに眩暈を起こしそうになっていた。
だがカズオはお構いなしに、紅莉に近付いていく。
「いやっ!?」
「うっるさいなぁ、キミだってそのつもりでボクを誘ったんだろぉ?」
「違いま……きゃあ!」
嫌がる紅莉をカズオはベッドに押し倒してしまった。
巨体に跨られてしまっては、力の弱い紅莉では抵抗ができない。
カズオはやたら長い爪先で、器用に彼女の服を脱がしていく。
「占いをするには裸で密着する必要があるんだよっ。お、お互いの理解が必要なんだ! きっとアカリ君も、僕のアレを気に入ってくれるからさぁ~」
「いやああぁっ!」
悠真はもういいだろ、とクローゼットに手を掛ける。
その時、悠真はカズオの腹を叩いて抵抗する紅莉の右手が見えた。
その手の形は――キツネだった。
悠真が躊躇しているうちに、彼女は遂に下着姿にまで剥かれてしまった。カズオは舌なめずりをしながら、最後の砦の攻略に取り掛かろうとしたのだが……。
「はれ?」
急に呂律が回っていない言葉を発したと思ったら、紅莉を抑え込んでいた手が緩んだ。それ以上の言葉が出てこない。口からはヨダレがだらりと垂れて紅莉の顔に落ちた。
そのままゆっくり前屈みになって倒れていく。カズオも途中で手で身体を支えようとしたみたいだったが腕に力が入らず、崩れるようにして紅莉の上に覆いかぶさった。
「え……?」
この展開は悠真も聞かされていない。予定では襲われる途中で止めに入る手筈だったから。
つい驚きの言葉が出てしまったが、もはやカズオはピクリともしていない。
まるで死んでしまったかのようだ。
「ゆ、ゆうまく~ん!」
目の前で何が起きたのか分からず、ひとり暗闇の中で呆気に取られていると、紅莉がカズオのお腹をぺチぺチと叩きながら悠真の名前を呼んでいた。
「た、助けて~、潰れるぅ~」
「わ、分かった! 今行く!」
紅莉まで動かなかったので、一瞬自分以外の時間が止まってしまったのかと錯覚した。だが紅莉は無事だったようだ。
再び時間が動き出し、暗闇のクローゼットから飛び出した。
「これは紅莉がやったのか……?」
岩のように大きなカズオの巨体をどうにか転がし、紅莉を救出することに成功した。
この豚のような男に乗られたら、男の自分でも抜け出すのは容易ではないだろう。
本当に重く、そして臭かった。触った手が臭っている気がする。
「えへへ。お酒に薬を入れちゃった」
「薬!? そんなものを持っていたのか!?」
「女の子は危ない目に遭うことが多いからね~。念のために、家にあったお母さんの薬箱からちょっとだけ貰っておいたの。他にも……ほら、スタンガンとか」
紅莉は浴室の方にあったタオルで顔についたカズオのヨダレを拭きながら、枕の下から電動シェービングぐらいの大きさのスタンガンを取り出した。
悠真は本物のスタンガンを見たのは初めてだったが、紅莉は手馴れた様子でバチバチと電流を流して見せた。
なんてものを家に保管しているんだとも思ったが、今回はそのお陰で助かったのだから責めることもできない。
しかし……もし、自分が紅莉に手を出そうとしたらカズオと同じように問答無用で薬を盛られていたのだろうか。いや、紅莉に限ってそんなことは……。
自分はこんな屑みたいなことはしないとは思いつつも、彼女を怒らせるような真似は絶対に避けようと心に決めた。
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