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聖杯の章
♡2 行きついた先に
しおりを挟む「お願いします。私、どうしたら良いのか全然分からなくて……」
「安心してくれ。俺は君のような悲しい宿命を背負った人間を知っているんだ。かく言う、俺も……」
「そうなんですか!? 良かった、私だけじゃなかったんですね……!?」
初心で男を知らなかった日々子。年上で頼れる男性だった啓介の毒牙に、彼女は簡単にかかってしまった。
啓介はまず、禍星の子の宿命について話すことにした。
そしてその事実を誰にも言うなと口止めした上で、自分だけが味方なのだと甘言を吐いた。
「こんにちは、啓介さん」
「お! いらっしゃい、日々子ちゃん。今日も可愛いね!!」
「もう! 口が上手いんだから!……それで、今日もお願いしたいんですけど……」
「うん、分かった。それじゃあ、ちょっと場所を移動しようか」
今後も相談に乗るためだと言って、啓介は日々子と連絡先を交換していた。
連絡を取るようになると、今度は理由をつけて頻繁に会うようになった。
上手く同情と共感を誘えば、日々子は簡単に気を許した。
このまま身体も心も完全に落としきってしまえば、自分が占い師として母親を超える日が来るかもしれない。
啓介は適当な占いで彼女を導きながら、内心で高笑いを上げていた。
だが、そんな啓介の目論見はとあるキッカケで大きく外れてしまった。
本物の禍星の子である母親が、星廻が始まったことを告げたのだ。
啓介は焦った。
もし本を全て集め、悪魔の寵愛を受けようとする者が現れたら?
自分は禍星の子ではないから、そこまで身の危険はないはずだ。だが、日々子の命が危ない。彼女が透影になって死んでしまえば、自分の占い師としての立場がすべて台無しになってしまう。
日々子の力で、やっとカレイドスコープの幹部にまで上り詰めたのだ。誰がここで諦めるものか。
啓介は、日々子の力を自分の力であると錯覚してしまっていた。そして、その力を手放すことを恐れるようになっていた。
悩みに悩んだ啓介は、先手を打つことを決心した。
「日々子、良く聞いてくれ。透影にならず生き残るためには、他の禍星の子を残らず殺さなければならないんだ」
「殺すっ!? それって、人殺しになるってことですか!?」
「あぁ。だが、お前の手を汚させるわけにはいかない。……大丈夫だ。全部俺に任せておけ」
と、嘘の説明を日々子にしたのだ。
そして彼女の身を護るために、形だけでもいいから夫婦になろうとプロポーズをした。
家族ならば、著名人である母も護ってくれるから、と言って。
日々子はその提案を飲むしかなかった。
半ば強制的に籍を入れ、啓介は日々子との関係を盤石にすることができた。
そしてこの頃から、日々子は啓介に軟禁され、誰の目にも触れなくなっていった。
次に啓介は、当時のカレイドスコープ代表だった母親を利用し始めた。
あらゆるコネと権力を持つ母の力は偉大で、他の禍星の子の追随を許さなかった。
情報戦を制した彼は、次々と禍星の子を見つけ出し――容赦なく殺していった。
「啓介さん! 私、もう耐えられない……」
「仕方がないだろう。これは全部お前の為なんだぞ!」
「でも人殺しなんて、許されることじゃないです……!」
「ならお前が殺すか!? やれんのか、おぉ!?」
啓介は決して自身が悪いとは言わなかった。必ず、全ての罪を日々子に擦り付けていた。
そして俺を慰めろと言って、当時まだ十六歳だった彼女の処女を無理やり奪ったのだ。
日々子の精神はボロボロだった。
自分が生き残るために、次々とヒトが殺されていく。その罪悪感に、彼女の心は押しつぶされそうだった。
彼女は星廻で多忙な啓介の目を盗み、いつかのように街を徘徊するようになった。
そして、彼女は運命の出逢いをすることになる。
まぶたを涙で腫らしながら歩いた先で、天啓教会を見つけたのだ。
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