109 / 253
2章 第4部 尋ね人との再会
105話 エデンの巫女について
しおりを挟む
「着きましたね。ここが管理者である、エデンの巫女との待ち合わせ場所ですよ」
あれから間もなくレイジとゆきと守は、すぐさまエデンへ。そしてメインエリアからゲート経由の座標移動で、この場所にたどり着いていた。
ここはどうやらバカでかい神殿の中みたいだ。建物内は暗いが壁に等間隔で火のついた松明が設置され、全体がほんわかした明かりに照らされていた。内装はすべて白で統一されており、神々しさがきわ立っている。もはやどこぞの大聖堂といってもいいのかもしれない。後ろを振り向くと重々しい巨大な扉があるため、レイジたちがいるのは入口らしい。奥の方に視線を移すとまだまだ先が続いていそうなので、セキュリティゾーンのようなダンジョンの構造をしているのだろう。
「なんだこの感覚。まるでブラックゾーンの中にいるような感じが……」
レイジはある違和感に気付いた。
今まではこの神殿に圧倒されてわからなかったが、ブラックゾーンにいた時と同じ感覚がして止まないのだ。どこか空気が重々しく、得体のしれない気配が周囲に満ちているといっていい。あまりに不安定過ぎて、崩壊してしまわないかという懸念を抱かずにはいられないように。
「当然ですよ。ここは一応、ブラックゾーンの中なんですから」
「え?」
衝撃的カミングアウトに驚愕してしまう。
保守(ほしゅ)派しか入れないと思っていたが、まさか白神もこの場所に来れたとは。保守派の計画に必要だったり、エデンの巫女がいたり、このブラックゾーンとは一体どういう場所なのだろうか。
「ただこの場所はかなり特別。ブラックゾーンの中でもあり、そうでもないといえる。そう、独立した空間内にあると言えばわかり易いかもしれません。なので基本ここから十六夜島にあるブラックゾーンに出ることはできず、逆に向こうからもこちらに入ることができない。ここにたどり着くにはさっきのようにゲートを使うか、決められたルートを通ってくるかの二択だけなのです。これからレイジさんが制御権を破壊しに向かう場所も、同じような構造をしているはずですよ」
「ねぇ、ねぇ、父さん! そんなことよりこの先に行ってみたい! すごく面白そうだもん! エデンの巫女にわざわざ来てもらうより、こっちから迎えに行こうよぉ!」
ゆきは目を輝かせ、ぴょんぴょん飛び跳ねながら子供のようにはしゃぐ。
ここは明らかに特別そうな場所なので、電子の導き手としての血がさわいでいるのだろう。もはやエデンの巫女の件などどうでもよく、調べ回りたそうにしているのがよくわかった。
「ゆき、ダメですよ。ここから先には彼女の制御権関連や、セフィロトに干渉できるシステムなど大切なものがいくつもあります。そのため二人を連れていくわけにはいきません」
守は首を横に振り、きっぱりと告げる。
「えー、けちぃ! ちょっとぐらいいいじゃん! じゃあ、あまり奥にはいかないから、エデンの巫女が来るまであたりを散策とかは?」
「彼女には大至急エデンに入って、待ち合わせの場所に来てもらえるよう手配しておきました。今ごろ最奥にある巫女の間からこちらに向かっているはずなので、もう間もなく来るでしょう。それまで大人しくしていなさい」
キョロキョロ辺りを見渡しウズウズしているゆきの頭に、ポンと手をのせ言い聞かせる守。
「さっきエデンに入ったってことは、ゲートで直接待ち合わせ場所に来れたんじゃないんですか? もしかしてエデンの巫女だけなんか制約があったりとか?」
今まで巫女の間にいたのならば、確かにこちらに向かうしかない。だがさっきエデンに入ったとなると、レイジたちのようにメインエリアなどからゲートを使ってこの場所に来れるはず。わざわざ出向かないといけない巫女の間に出る必要はないため、なにか特別な理由があるのだろうか。
「レイジさんのおっしゃる通りです。制御権により巫女たちはエデンに入ると、必ず巫女の間からスタートします。これは彼女たちがほかのエリアへ、自由に行けなくするための処置。もし外で誰かによからぬことを吹き込まれ、本来と違う用途で巫女の力を使われては困りますからね。だからエデンでも現実でも、彼女たちは一目につかない所で隔離されているというわけです」
確かにエデン内や現実を自由に動ければ、それだけ他者と接する機会が増えてくる。そうなると彼女たちの力を求めて接触する者たちが現れ、巫女になにかしらの影響を与えることが起こりうるかもしれない。するとこれまでまっとうに役割をこなしていた巫女が急に心変わりし、本来の用途と違う力の使い方をする恐れが。ゆえに巫女は誰とも接触しないよう隔離し、決められた役目だけをまっとうさせる考えなのだろう。
シャロンたち革新派が、アポルオンの巫女に協力を求めてきたのがいい例だ。アポルオン内で巫女に関わるのがタブーとされているのは、この件が原因というわけだ。
現実だと隠れ住ませ、厳重な隔離態勢を作ればいい。しかしエデンだと好きにエリア内を経由でき、ひそかに会おうとすることも可能。そのため普通の人々とは違った、決まった場所で縛り付けられる形になっているらしい。
「じゃあ、制御権を破壊できれば……」
「制御権は巫女を閉じ込める鳥かごそのもの。もしそれがなくなれば巫女はエデンで、私たちとなんら変わらず自由に行動できるでしょう。監督する者にとっては悪夢そのものですね。巫女が自由に動けるだけでなく、彼女たちの力を止めることさえ叶わなくなるのですから」
守は考えただけでもゾッとすると、力なく笑う。
森羅の言っていた意味がよくわかった。もし制御権を破壊出来れば、アポルオンの巫女はずっと決まった場所に押し込められなくて済み、エデンを自由に移動できるようになる。そうなると誰かに会おうとすることや、共に戦うことも。今までは自由に動けずアイギスにすべてを任せていたアポルオンの巫女だが、今度からはみずから事をなせるようになるのだ。結果これまで以上に世界へ影響を与えることになるだろう。制御権が破壊されたことで、彼女を縛るものがなにひとつないがために。
「そうそう、エデンの巫女の件ですが、制御権は白神側に残してもらいますよ。もちろん彼女にかかる制御権の拘束は外しておきますので自由に連れ出せますし、最悪の場合でないかぎり力の使用も止めたりしないのでご安心を」
「わかりました。ありがとうございます」
「それとエデンの巫女の扱いについて。レイジさんには彼女を好きに使う許可をだしましたが、それはあくまで我々が決めたこと。彼女が今後、進んで強力してくれるかはレイジさん次第です。わがままを聞いてあげたりして機嫌をとらないと、あの子の場合いうことを聞いてくれない恐れが……。まあ、その場合少し力不足にはなりますが、制御権を使って実行するのでこちらに言いに来てください」
守は申し訳なさそうにしながら、レイジの肩に手を置いてくる。まるでこれからエデンの巫女に振り回されるレイジに、同情するかのように。
「あれ、もしかしてエデンの巫女の件ってまだまだ前途多難なんじゃ……」
いくら守や白神家前当主がエデンの巫女を使う許可をくれたとしても、当の本人が進んで協力してくれるかは当然別の話。守の話からして、エデンの巫女は素直にいうことを聞いてくれるタイプではないらしいので、ここからが本番ということ。なんとかしてアポルオンの巫女の制御権の破壊に、力を貸してくれるよう頼まなければ。
一応守が出した案のように制御権を使う手も。しかし制御権による巫女の力は本来の力よりも劣っているらしいので、制御権を破壊するには出力がたりない恐れが。よってもしエデンの巫女に断られた場合レイジたちに打つ手はなくなってしまうため、なにがなんでも協力してもらえるよう説得するほかなかった。
「ご愁傷さまです。ちなみに私と前当主にはまったくなつきませんでした。そのためいうことを聞かせたい時は、貢物とかで苦労しましたよ。本当にかわいげがないというか、そもそもなにを考えているのかよくわからない節がある、困った巫女さまなのです。一応とある少女になついた前例もあるので、まだ少しばかり希望はあるかと思いますが」
守はこめかみに手を当てながら、これまでの苦労をどんよりかたりだす。
つまりエデンの巫女はかなり問題児ということ。一応那由他やアリス、ゆきといった問題児の相手ばかりしていたため、少しは善処できそうだがいったいどうなることやら。
「守さん、かわいげがなくてすみませんねぇ。わたし人にこびるの嫌いなんで、好きでもない人に愛想よくできないんですよぉ」
そんなことを悩んでいると、聞きなれない少女の声が聞こえてきた。
あれから間もなくレイジとゆきと守は、すぐさまエデンへ。そしてメインエリアからゲート経由の座標移動で、この場所にたどり着いていた。
ここはどうやらバカでかい神殿の中みたいだ。建物内は暗いが壁に等間隔で火のついた松明が設置され、全体がほんわかした明かりに照らされていた。内装はすべて白で統一されており、神々しさがきわ立っている。もはやどこぞの大聖堂といってもいいのかもしれない。後ろを振り向くと重々しい巨大な扉があるため、レイジたちがいるのは入口らしい。奥の方に視線を移すとまだまだ先が続いていそうなので、セキュリティゾーンのようなダンジョンの構造をしているのだろう。
「なんだこの感覚。まるでブラックゾーンの中にいるような感じが……」
レイジはある違和感に気付いた。
今まではこの神殿に圧倒されてわからなかったが、ブラックゾーンにいた時と同じ感覚がして止まないのだ。どこか空気が重々しく、得体のしれない気配が周囲に満ちているといっていい。あまりに不安定過ぎて、崩壊してしまわないかという懸念を抱かずにはいられないように。
「当然ですよ。ここは一応、ブラックゾーンの中なんですから」
「え?」
衝撃的カミングアウトに驚愕してしまう。
保守(ほしゅ)派しか入れないと思っていたが、まさか白神もこの場所に来れたとは。保守派の計画に必要だったり、エデンの巫女がいたり、このブラックゾーンとは一体どういう場所なのだろうか。
「ただこの場所はかなり特別。ブラックゾーンの中でもあり、そうでもないといえる。そう、独立した空間内にあると言えばわかり易いかもしれません。なので基本ここから十六夜島にあるブラックゾーンに出ることはできず、逆に向こうからもこちらに入ることができない。ここにたどり着くにはさっきのようにゲートを使うか、決められたルートを通ってくるかの二択だけなのです。これからレイジさんが制御権を破壊しに向かう場所も、同じような構造をしているはずですよ」
「ねぇ、ねぇ、父さん! そんなことよりこの先に行ってみたい! すごく面白そうだもん! エデンの巫女にわざわざ来てもらうより、こっちから迎えに行こうよぉ!」
ゆきは目を輝かせ、ぴょんぴょん飛び跳ねながら子供のようにはしゃぐ。
ここは明らかに特別そうな場所なので、電子の導き手としての血がさわいでいるのだろう。もはやエデンの巫女の件などどうでもよく、調べ回りたそうにしているのがよくわかった。
「ゆき、ダメですよ。ここから先には彼女の制御権関連や、セフィロトに干渉できるシステムなど大切なものがいくつもあります。そのため二人を連れていくわけにはいきません」
守は首を横に振り、きっぱりと告げる。
「えー、けちぃ! ちょっとぐらいいいじゃん! じゃあ、あまり奥にはいかないから、エデンの巫女が来るまであたりを散策とかは?」
「彼女には大至急エデンに入って、待ち合わせの場所に来てもらえるよう手配しておきました。今ごろ最奥にある巫女の間からこちらに向かっているはずなので、もう間もなく来るでしょう。それまで大人しくしていなさい」
キョロキョロ辺りを見渡しウズウズしているゆきの頭に、ポンと手をのせ言い聞かせる守。
「さっきエデンに入ったってことは、ゲートで直接待ち合わせ場所に来れたんじゃないんですか? もしかしてエデンの巫女だけなんか制約があったりとか?」
今まで巫女の間にいたのならば、確かにこちらに向かうしかない。だがさっきエデンに入ったとなると、レイジたちのようにメインエリアなどからゲートを使ってこの場所に来れるはず。わざわざ出向かないといけない巫女の間に出る必要はないため、なにか特別な理由があるのだろうか。
「レイジさんのおっしゃる通りです。制御権により巫女たちはエデンに入ると、必ず巫女の間からスタートします。これは彼女たちがほかのエリアへ、自由に行けなくするための処置。もし外で誰かによからぬことを吹き込まれ、本来と違う用途で巫女の力を使われては困りますからね。だからエデンでも現実でも、彼女たちは一目につかない所で隔離されているというわけです」
確かにエデン内や現実を自由に動ければ、それだけ他者と接する機会が増えてくる。そうなると彼女たちの力を求めて接触する者たちが現れ、巫女になにかしらの影響を与えることが起こりうるかもしれない。するとこれまでまっとうに役割をこなしていた巫女が急に心変わりし、本来の用途と違う力の使い方をする恐れが。ゆえに巫女は誰とも接触しないよう隔離し、決められた役目だけをまっとうさせる考えなのだろう。
シャロンたち革新派が、アポルオンの巫女に協力を求めてきたのがいい例だ。アポルオン内で巫女に関わるのがタブーとされているのは、この件が原因というわけだ。
現実だと隠れ住ませ、厳重な隔離態勢を作ればいい。しかしエデンだと好きにエリア内を経由でき、ひそかに会おうとすることも可能。そのため普通の人々とは違った、決まった場所で縛り付けられる形になっているらしい。
「じゃあ、制御権を破壊できれば……」
「制御権は巫女を閉じ込める鳥かごそのもの。もしそれがなくなれば巫女はエデンで、私たちとなんら変わらず自由に行動できるでしょう。監督する者にとっては悪夢そのものですね。巫女が自由に動けるだけでなく、彼女たちの力を止めることさえ叶わなくなるのですから」
守は考えただけでもゾッとすると、力なく笑う。
森羅の言っていた意味がよくわかった。もし制御権を破壊出来れば、アポルオンの巫女はずっと決まった場所に押し込められなくて済み、エデンを自由に移動できるようになる。そうなると誰かに会おうとすることや、共に戦うことも。今までは自由に動けずアイギスにすべてを任せていたアポルオンの巫女だが、今度からはみずから事をなせるようになるのだ。結果これまで以上に世界へ影響を与えることになるだろう。制御権が破壊されたことで、彼女を縛るものがなにひとつないがために。
「そうそう、エデンの巫女の件ですが、制御権は白神側に残してもらいますよ。もちろん彼女にかかる制御権の拘束は外しておきますので自由に連れ出せますし、最悪の場合でないかぎり力の使用も止めたりしないのでご安心を」
「わかりました。ありがとうございます」
「それとエデンの巫女の扱いについて。レイジさんには彼女を好きに使う許可をだしましたが、それはあくまで我々が決めたこと。彼女が今後、進んで強力してくれるかはレイジさん次第です。わがままを聞いてあげたりして機嫌をとらないと、あの子の場合いうことを聞いてくれない恐れが……。まあ、その場合少し力不足にはなりますが、制御権を使って実行するのでこちらに言いに来てください」
守は申し訳なさそうにしながら、レイジの肩に手を置いてくる。まるでこれからエデンの巫女に振り回されるレイジに、同情するかのように。
「あれ、もしかしてエデンの巫女の件ってまだまだ前途多難なんじゃ……」
いくら守や白神家前当主がエデンの巫女を使う許可をくれたとしても、当の本人が進んで協力してくれるかは当然別の話。守の話からして、エデンの巫女は素直にいうことを聞いてくれるタイプではないらしいので、ここからが本番ということ。なんとかしてアポルオンの巫女の制御権の破壊に、力を貸してくれるよう頼まなければ。
一応守が出した案のように制御権を使う手も。しかし制御権による巫女の力は本来の力よりも劣っているらしいので、制御権を破壊するには出力がたりない恐れが。よってもしエデンの巫女に断られた場合レイジたちに打つ手はなくなってしまうため、なにがなんでも協力してもらえるよう説得するほかなかった。
「ご愁傷さまです。ちなみに私と前当主にはまったくなつきませんでした。そのためいうことを聞かせたい時は、貢物とかで苦労しましたよ。本当にかわいげがないというか、そもそもなにを考えているのかよくわからない節がある、困った巫女さまなのです。一応とある少女になついた前例もあるので、まだ少しばかり希望はあるかと思いますが」
守はこめかみに手を当てながら、これまでの苦労をどんよりかたりだす。
つまりエデンの巫女はかなり問題児ということ。一応那由他やアリス、ゆきといった問題児の相手ばかりしていたため、少しは善処できそうだがいったいどうなることやら。
「守さん、かわいげがなくてすみませんねぇ。わたし人にこびるの嫌いなんで、好きでもない人に愛想よくできないんですよぉ」
そんなことを悩んでいると、聞きなれない少女の声が聞こえてきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる