84 / 118
答えなき問い3
しおりを挟む
灼冥之木からの追っ手から逃げ続けるのには限界がある。
だから助けてよ。と、魔名は彼方に懇願する。
生まれた環境には同情するが、そんな都合のいい話しはない。
今までたくさんの人を殺した敵が、突然改心しました!助けてくださいなんて信用できると思うか?
魔名は止めの殺し文句に、分け隔てなく困っている人を助けるのがヒーローでしょ?なんていうのだから。
見て見ぬ振りすることができなかった。
僕にどうしてほしいのか訪ねると、魔名は日の丸の社長に会わせてほしいと言う。
会ってどうするのだろうか、まさかボスを殺害するつもりじゃ?
だけど、流石に一人で敵の本拠地に突っ込まないよね。
話を通すだけならと、彼方は快諾した。
スマホでボスに連絡を取ると。おう、りーょうかぁーい。明日、連れてこい…とのこと。おい、ちょっと軽くないか?
そんなに簡単に承諾していいのかと、心の中でツッコミを入れた。
電話を切り、そのことを伝えると、魔名は跳び跳ねて喜んだ。
じゃあ、また明日。彼方は魔名に別れの挨拶をした。
「わかった。じゃあ、ここで待ってる」
彼方は、自宅に入ろうとして動きを止めた。そしてゆっくりと振り返る。
魔名はその場から動く気配がない。というか、彼方の顔を見て、どうしたの?といった表情をしている。
「…ちなみに聞くけど、今日はどこに泊まるの?」
そんなの当然といった顔で魔名は答える。
「泊まるところがないし、行く宛なんてないよ」
彼方は、ああ…もう、と頭を掻く。
「だったら家に泊まれよ。だけど、今晩だけだからな」
「えっ!どうして優しくしてくれるの?」
魔名は大層驚いた顔をしていた。
「もし家の前で、風邪でも引かれたら寝覚めが悪いからだよ」
彼方は、魔名の顔を見ずに素っ気なく答えた。
「…ありがと」
魔名は、今の自分の感情をどう表現したらいいのかわからなかった。どうして私に優しくする?自分の家族を危険に晒してしまうとか考えないのだろうか?
「とりあえず中に入れよ」
「うん」
玄関を開けて、ただいまーと挨拶をすると、お帰りーと挨拶が帰ってくる。
「どうしたの!その娘?」
「コイツ同期なんだけど、電車の終電終わってて。お金も持ってないみたいだから家に停めてもいい?」
「あらあらまあまあ」
傘寝は口に手を当て嬉しそうにする。
お前もやるなーと、父は彼方の肩を叩く。こんなカワイイ娘、大事にしろよと、父は耳打ちする。
違うからー、彼方はそんなんじゃないと弁明しようとするが、照れ隠しだと更に勘違いされた。
魔名当人は特に気にした様子もなかった。
だから助けてよ。と、魔名は彼方に懇願する。
生まれた環境には同情するが、そんな都合のいい話しはない。
今までたくさんの人を殺した敵が、突然改心しました!助けてくださいなんて信用できると思うか?
魔名は止めの殺し文句に、分け隔てなく困っている人を助けるのがヒーローでしょ?なんていうのだから。
見て見ぬ振りすることができなかった。
僕にどうしてほしいのか訪ねると、魔名は日の丸の社長に会わせてほしいと言う。
会ってどうするのだろうか、まさかボスを殺害するつもりじゃ?
だけど、流石に一人で敵の本拠地に突っ込まないよね。
話を通すだけならと、彼方は快諾した。
スマホでボスに連絡を取ると。おう、りーょうかぁーい。明日、連れてこい…とのこと。おい、ちょっと軽くないか?
そんなに簡単に承諾していいのかと、心の中でツッコミを入れた。
電話を切り、そのことを伝えると、魔名は跳び跳ねて喜んだ。
じゃあ、また明日。彼方は魔名に別れの挨拶をした。
「わかった。じゃあ、ここで待ってる」
彼方は、自宅に入ろうとして動きを止めた。そしてゆっくりと振り返る。
魔名はその場から動く気配がない。というか、彼方の顔を見て、どうしたの?といった表情をしている。
「…ちなみに聞くけど、今日はどこに泊まるの?」
そんなの当然といった顔で魔名は答える。
「泊まるところがないし、行く宛なんてないよ」
彼方は、ああ…もう、と頭を掻く。
「だったら家に泊まれよ。だけど、今晩だけだからな」
「えっ!どうして優しくしてくれるの?」
魔名は大層驚いた顔をしていた。
「もし家の前で、風邪でも引かれたら寝覚めが悪いからだよ」
彼方は、魔名の顔を見ずに素っ気なく答えた。
「…ありがと」
魔名は、今の自分の感情をどう表現したらいいのかわからなかった。どうして私に優しくする?自分の家族を危険に晒してしまうとか考えないのだろうか?
「とりあえず中に入れよ」
「うん」
玄関を開けて、ただいまーと挨拶をすると、お帰りーと挨拶が帰ってくる。
「どうしたの!その娘?」
「コイツ同期なんだけど、電車の終電終わってて。お金も持ってないみたいだから家に停めてもいい?」
「あらあらまあまあ」
傘寝は口に手を当て嬉しそうにする。
お前もやるなーと、父は彼方の肩を叩く。こんなカワイイ娘、大事にしろよと、父は耳打ちする。
違うからー、彼方はそんなんじゃないと弁明しようとするが、照れ隠しだと更に勘違いされた。
魔名当人は特に気にした様子もなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる