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進むために vol.1
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三回目:バスで帰ってみた
...失敗
四回目:帰る時間を大幅にずらしてみた
...失敗
五回目:デートする日を変えてみた
...失敗
六回目:仲直りする日を変えてみた
...失敗
............................................
もう何度目だろうか。六回目以降はなんだか馬鹿らしくなって数えていないが、かれこれ十数回の失敗を重ねた。何をしても救えない。これが現状だ。
「あぁ、一回死にてぇ」
最近の口癖。死ぬことに一回も何もないのだが、そんなことは考えられなくなるぐらいには病んでいた。救えない、前に進めもしない、代わり映えのない日々。もうそこに楽しさを見つけることは難しくて。逃げられたらどれほど楽だろうか。最近こればかり考えている。
世界で一番大切な人が死ぬ瞬間を十回以上も見ているのだ。病むなという方が無理な話だ。
試しに自殺の方法をググってみたこともあった。手首にカッターを向けてみたこともあった。
...でも、そのとき手を滑らせてカッターを落とした。口から漏れ出たのは、
「あっぶねぇ、ほんとに死ぬとこだった」
...って、なんだよそれ(笑)死にたかったんじゃないのかよ?所詮口だけか?自分自身に問いかける。まあ、答えは明らかなわけで...
《死にたくない》
これが本音だ。いくら人生に絶望しかけていると言っても、怖いものは怖い。だからこうして数十回も当たって砕けてを繰り返している。
今日も今日とて亜美の家に行く。いわゆるお家デートってやつか?今日もまた、何度目かもわからないメシの話やテレビの話をするのだろう。
と、玄関の鏡に目が止まる。そこに写っているのは俺。感情の抜けた顔をしていた。
(なんつー顔してんだよ、まだ諦めたわけじゃねぇだろ?亜美が生きていればそれでいい、その思いは嘘だったのか?)
自分の気持ちを作り直す。まだ救えないと決まったわけじゃない。ここまできて諦めるなんて一番馬鹿らしい、そうだろう?
「よし!行くぞ!」
無理に笑顔をつくる。この笑顔が本物になる日まで俺は諦めない。
「晃盛いらっしゃーい」
「おじゃましまーす」
亜美の家に入っていつも通りに他愛もない話をする。俺は亜美の話を聞きながら少し物思いにふけっていた。この時は喧嘩する少し前。これは予測でしかないが、喧嘩の日と仲直りの日、そして事故当日。この三日が鍵だと思うのだ。いわゆる人生のターニングポイント的な日を変えることで、自ずと未来も変わるのではないか?
何を変えれば救えるのか、考えても考えてもわからない。それに、亜美を救えなかったら必ず時間が戻るという保証もないのだ。いつ亜美が死んだことが、変えられない事実になるかなんてわからない。救わなければ、少しでも早く。
「ちょっと!聞いてる?」
「え?あ、ごめん、ちょっとボーとしてたわ。で、なんの話だっけ?」
...真剣に考え始めるとすぐボロが出るからな、考えるのは一人の時にしよう。
「だーかーら!友達がフラれた話だよ!酷すぎると思わん?そんなことで嫌いになるん!?って感じじゃない?」
「あー、まあね。それはお友達は悪くないよね。」
「そーねんて!そんな酷い彼氏別れて正解だよ!」
相変わらず感情豊かだな(笑)どうやら亜美の友達がひどいフラれ方をしたらしく、亜美は相当腹を立てていた。
「だから私はめっちゃ良い彼氏さんを見つけれて幸せなわけですよ~」
「おーおー、それはよかった。褒めてもなんもやらねえぞ?」
「私そんなに物欲ないからいいもん!」
「嘘つけ、すぐ新しい服買ってくるくせに」
「あれは必要最低限だもん!」
「へーへー、そうですか(笑)」
「なんか馬鹿にしてない!?」
「してないしてない(笑)」
亜美のこういう底抜けな明るさには救われる。亜美と一緒にいる時は、亜美に感化されて前向きになれるのだ。
...でも、こいつさっきまであんな怒ってたのに、情緒大丈夫か?
少し不安になるが感情表現豊かなのはいいことだからな、うん。
「...あ」
「ん?どしたん?晃盛?」
「あ、いや、なんでもない」
亜美の話を聞いていて、一つ思いついたことがある。いや、思いついてしまったというべきか。できれば辿り着きたくなかった結論。
だってそれは、例え亜美を救えたとしてもハッピーエンドとはいえないから。
これまで色々なものを変えてきた。亜美を救うためにと、試行錯誤してきた。でも、一つだけ変わっていない、いや、変えていないものがある。亜美の身の回りの環境の中で唯一変わっていないもの、十数回のやり直しの中で常に亜美のそばにあったもの。
それは...
『俺』だ。
...失敗
四回目:帰る時間を大幅にずらしてみた
...失敗
五回目:デートする日を変えてみた
...失敗
六回目:仲直りする日を変えてみた
...失敗
............................................
もう何度目だろうか。六回目以降はなんだか馬鹿らしくなって数えていないが、かれこれ十数回の失敗を重ねた。何をしても救えない。これが現状だ。
「あぁ、一回死にてぇ」
最近の口癖。死ぬことに一回も何もないのだが、そんなことは考えられなくなるぐらいには病んでいた。救えない、前に進めもしない、代わり映えのない日々。もうそこに楽しさを見つけることは難しくて。逃げられたらどれほど楽だろうか。最近こればかり考えている。
世界で一番大切な人が死ぬ瞬間を十回以上も見ているのだ。病むなという方が無理な話だ。
試しに自殺の方法をググってみたこともあった。手首にカッターを向けてみたこともあった。
...でも、そのとき手を滑らせてカッターを落とした。口から漏れ出たのは、
「あっぶねぇ、ほんとに死ぬとこだった」
...って、なんだよそれ(笑)死にたかったんじゃないのかよ?所詮口だけか?自分自身に問いかける。まあ、答えは明らかなわけで...
《死にたくない》
これが本音だ。いくら人生に絶望しかけていると言っても、怖いものは怖い。だからこうして数十回も当たって砕けてを繰り返している。
今日も今日とて亜美の家に行く。いわゆるお家デートってやつか?今日もまた、何度目かもわからないメシの話やテレビの話をするのだろう。
と、玄関の鏡に目が止まる。そこに写っているのは俺。感情の抜けた顔をしていた。
(なんつー顔してんだよ、まだ諦めたわけじゃねぇだろ?亜美が生きていればそれでいい、その思いは嘘だったのか?)
自分の気持ちを作り直す。まだ救えないと決まったわけじゃない。ここまできて諦めるなんて一番馬鹿らしい、そうだろう?
「よし!行くぞ!」
無理に笑顔をつくる。この笑顔が本物になる日まで俺は諦めない。
「晃盛いらっしゃーい」
「おじゃましまーす」
亜美の家に入っていつも通りに他愛もない話をする。俺は亜美の話を聞きながら少し物思いにふけっていた。この時は喧嘩する少し前。これは予測でしかないが、喧嘩の日と仲直りの日、そして事故当日。この三日が鍵だと思うのだ。いわゆる人生のターニングポイント的な日を変えることで、自ずと未来も変わるのではないか?
何を変えれば救えるのか、考えても考えてもわからない。それに、亜美を救えなかったら必ず時間が戻るという保証もないのだ。いつ亜美が死んだことが、変えられない事実になるかなんてわからない。救わなければ、少しでも早く。
「ちょっと!聞いてる?」
「え?あ、ごめん、ちょっとボーとしてたわ。で、なんの話だっけ?」
...真剣に考え始めるとすぐボロが出るからな、考えるのは一人の時にしよう。
「だーかーら!友達がフラれた話だよ!酷すぎると思わん?そんなことで嫌いになるん!?って感じじゃない?」
「あー、まあね。それはお友達は悪くないよね。」
「そーねんて!そんな酷い彼氏別れて正解だよ!」
相変わらず感情豊かだな(笑)どうやら亜美の友達がひどいフラれ方をしたらしく、亜美は相当腹を立てていた。
「だから私はめっちゃ良い彼氏さんを見つけれて幸せなわけですよ~」
「おーおー、それはよかった。褒めてもなんもやらねえぞ?」
「私そんなに物欲ないからいいもん!」
「嘘つけ、すぐ新しい服買ってくるくせに」
「あれは必要最低限だもん!」
「へーへー、そうですか(笑)」
「なんか馬鹿にしてない!?」
「してないしてない(笑)」
亜美のこういう底抜けな明るさには救われる。亜美と一緒にいる時は、亜美に感化されて前向きになれるのだ。
...でも、こいつさっきまであんな怒ってたのに、情緒大丈夫か?
少し不安になるが感情表現豊かなのはいいことだからな、うん。
「...あ」
「ん?どしたん?晃盛?」
「あ、いや、なんでもない」
亜美の話を聞いていて、一つ思いついたことがある。いや、思いついてしまったというべきか。できれば辿り着きたくなかった結論。
だってそれは、例え亜美を救えたとしてもハッピーエンドとはいえないから。
これまで色々なものを変えてきた。亜美を救うためにと、試行錯誤してきた。でも、一つだけ変わっていない、いや、変えていないものがある。亜美の身の回りの環境の中で唯一変わっていないもの、十数回のやり直しの中で常に亜美のそばにあったもの。
それは...
『俺』だ。
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