デスゲームの『モブ』に転生してしまうなんて…

越知鷹 けい

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ただいま.

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父「死んだ娘が、3億円で売れた――!!」

と家族に喜ばれて、とても複雑な心境だった。
その気持ちを汲んでか、美羽さまが、さらに、1億円を追加していただけた。

(そういうことじゃないんだよ……)

美羽さまの お優しい ご尊顔。

なのに、家族は どうだろうか?―――。
舞い上がる両親に、札束に頬釣りをする姉とか、小躍りする弟には、マジ泣けた。

(ここは、時代劇の越後屋か…?)


とりあえず、思い描いていた『再会』を形にするために、私は母親に抱き着いた。

あぁ……。この温もり、この匂い。
たったの1年間だけれども。
本当に、懐かしいわ!

「おかーさま! どうか無理をなさらず、お身体をご自愛して、(余生を)お過ごしくださいませ!」など言ったのが悪かったのか、ゲーム内でのキャラクターの口調が そのまま 出てしまっていた。

母「はぁ? あんた、なに言ってんの」
父「おい、あゆみ。 頭でも打ったのか?」

――と、妙な心配をかけてしまった。


そして、智也にはビデオレターを送ることにした。

智也というのは、こちらの世界で 初めてできた 恋人のことです。
いまでも、海へ潜って、私の身体を探してくれている。

わたし想いな、とてもカッコイイ 彼氏なのでした。

……。

今は、ちょっと推し活に忙しいから。

また、後で動画を撮ろう。


**

「逃げたら 1つ。進めば 2つ」

私は 人差し指を テレビ画面に向けて 決めポーズの研究をしている。


――ぐふふ。

私、明坂あゆみは、とても快適な 日々を過ごしている。

「月影の死神‐晩鐘パラノイア‐」というゲーム内に転生してしまった私は、毎日がデスゲームだった(実際には 始まる前 だったけど)。

知力を尽くし、死亡フラグを回避しようとしたら、破滅フラグが立ってしまい…、
(まさに、進めば 2つ !?)

それから、色々とあって、その恐怖からやっと解放されたのだ。

はじめは、中学卒業という学歴で 生きていかなければならない 絶望的な状況だった。この頃は、まだ『行方不明者』扱いをしてもらっているとばかり思っていたのだけれども、帰ってきてみれば『死亡届』が受理されていた。

世間では『遺体無き殺人』として、大きな ニュース となっていたそうだ。
(まさか。ゲーム内で過ごした1年間が、こちらでも 同じように時間が進んでいるだなんて……)

――そう。

私は中卒という レッテル どころか、真っ白な戸籍となってしまっていたのだ!
(こんな事なら、農業スキルを 取得しておくんだったわ…)

こちらの世界でも『転生特典』を つけて欲しいくらいだ。

代わりに『ホームレス』という言葉が、重く肩にのしかかってくる。

 ☆

それが どういう事でしょう? いまでは、毎日が『推し活』です。
(お給料のほとんどを、推しキャラに あててます!)

ぐふふ。

たかだか 16歳の小娘、と思うなかれ。
お給料はなんと、20万円も頂いているのだ!(月給《くも》ですが、なにか?)

そうなのだ。(無職の?)私に、お仕事を紹介してくれたのが 命の恩人でもある美羽さまでした。(ありがたや²)


その内容とは―――― 


―― 


………今のところ、ブサカワ猫の世話だけです。


そして、私が生活している場所はというと。東京タワーの『7不思議』に入っている、誰も入れないといわれている『秘密の部屋』でした。

セキュリティ対策は万全らしいけど……。
(一般使用のエレベーターでは、この階に止まれない設定だとおっしゃっていた)

なんだか、幽霊とか出てきそうな部屋だ。

ゲーム内で夫だった、卵頭ランドウ 公崇キミタカが出てきそうで怖い。
――あの体験は、今でも トラウマに なっている。


そうだ!

ビデオレターに、ブサカワ猫のナトリも 一緒に はいってもらおう。
(ひとりじゃ、ちょっと恥ずかしいから)

そんなことを考えながら、恐怖を隅っこに追いやっていく。

ついでに、ナトリを抱きしめれば、もう怖くない。

「私は トラウマに 立ち向かうのだ!」

 ☆

「月影の死神‐晩鐘パラノイア‐ex」という ゲームを起動した。
追加要素で、新キャラが増えるだなんて フツーじゃないわ。

でも、オープニングアニメーションが 追加されているのは、ちょっと嬉しいわね。

モブキャラだけど、虹夜さんが車でねられるシーンも描かれている。



でた! 公崇さんだ……。



ん? いま、目が合ったような気がしたのだけれども―――、

気のせいよね……。

私は、画面の向こう側から、



手を 伸ばしてくる 公崇さんに ――――、




思わず、手を伸ばしてしまう……。



――と、そのときだ。


 ドンッ! ドンッ! ドンッ!


突然、大きな音が響いた。




まさか、この展開は――――。



◇おわり
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