上 下
28 / 351
[3]チェスを始めましょう

-26-:マジか…

しおりを挟む

 似たようなやり取りが毎時限発生してやっと昼休み。

 ヒューゴの、『おごってやる』の言葉に偽りは無かったが、まさかパシリまでやらされるとは。

 クレハはヒューゴの分まで購買部までパンとコーヒー牛乳を買いに行かされた。

「ちょっとは進んだ?」

「駒の動かし方は大体な」

 王冠を模したキングは、将棋の王将と同じく前後左右他斜めと周囲1マスすべてに移動・攻撃が可能。
 駒の強さ(もしくは価値)はポーンを1として∞(無限大)とされている。要は取られれば負けという事。

 棋譜表記はkingの[K]。


 ティアラを模した女王クィーンは、移動方向はキングと同じものの、遮る駒が無ければ盤面の端から端へと移動・攻撃ができる。

 事実上最強の駒とも言え、強さは9とされる。
 棋譜表記はQueenの[Q]。


 塔の形からして城砦ルークは、将棋の飛車と同じく遮る駒が無ければ前後左右の端から端へと移動・攻撃可。
 キャスリングといったキングと入れ替わる特殊移動のルールが設けられているが今は覚える必要は無いだろう。
 ココミの白側のルークは2つ共すでに失われている。

 国によっては“船”や“象”扱いになる。駒の強さは5。
 棋譜表記はRookの[R]。


 僧正ビショップは、玉葱タマネギのようなものが天辺についている駒の中で一番何なのか分からない形状をしている。
 こちらは将棋の角行と同じく遮る駒が無ければ斜めに端から端へと移動・攻撃を可能としている。
 “成り”は無いので白マスのビショップはずっと白マスにしか移動できない事になる。黒マスのビショップも同じである。

 駒の強さは文献データによって異なるが3または4とされている。
 棋譜表記はBishopの[B]。


 馬の頭を模した騎士ナイトは、将棋の桂馬と似ており2マス前さらに左右いずれかに1マス進むことができる唯一味方及び敵の駒を飛び越えられる駒である。
 その機動は前だけではなく前後左右とまさに歩兵を蹂躙する騎士さながら。

 駒の強さは3.
 英語の綴りはKnightではあるが、キングがKなので誤りが生じないように棋譜表記は[N]。


 最も小さい駒は歩兵ポーン
 どのチェス盤でも、杯の上に球をのせた形状をしている。
 駒の強さは最弱の1ではあるが相手のバックランクの近くにたどり着くとその強さは変化する。
 綴りはPawnであるが棋譜表記は無く、移動または相手の駒を取った先のマスを記録する。


 盤面を、白側を手前にして右側をキングサイド、左側をクィーンサイドと呼ぶ。
 これは白側、黒側共にキング同志が向き合った配置となっているからであり、また両端からルーク、ナイト、ビショップと並びそれぞれの駒の前にはポーンが配置されている。
 これが初期配置となる。


 そして忘れてはならないのが、相手の駒を取るテイク[Take]もしくはキャプチャー[Capture]。テイクはテイクスと呼ばれる場合もある。
 テイク、キャプチャー共に「取る」「捕獲する」という意味の単語ではあるが、チェスの世界では「交換する」の意味合いを持つ。

 現在の局面は棋譜が無いので、現在第何手なのかは不明だ。

 将棋の棋譜は先手が1手動かした時点で第1手となり、後手が1手動かした時点で第2手となる。
 奇数・偶数の手数でどちらが差した手なのか判断できる。

 ところがチェスの場合、必ず白側を先行として始め、白側が1手動かし、さらに黒側が1手動かした時点で第1手となる。

「マジか…」
 将棋を例えに出されようとも、説明の半分も理解できない。


しおりを挟む

処理中です...