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[14]騎士と兵士
-137-:それができていれば苦労なんてしませんよ
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もう1騎の盤上戦騎が戦ってくれたら、ヒューゴを戦わせる必要は無くなる。
そう考えたココミではあったが。
肝心の、ダナのマスターを得ていないこの現状、抜け穴を見つけたはずなのに、誤って落とし穴に落ちてしまった気分だ。
「そうでした!」
閃いたかのごとく思い出し。
「ライク!私は約束通りにヒューゴさんにクィックフォワードと契約を結んでもらっただけでなく、彼にアンデスィデに参戦してもらっています。今度は貴方が私との約束を果たす番です」
非難するかの如く、ライクを指差すと、「約束?」繰り返して訊ねてきた。
「今すぐに、あの包帯の盤上戦騎をこの空域から退かせなさい」
命令口調で告げる。
「え?アンタたち、何か約束事を交わしていたの?」
訊ねるクレハに「クレハさんたちが授業に励んでおられた頃の話ですから」素っ気なく追いやられてしまった。
すると、ライクはクスクスと小さく笑い。
「ああ。そうだったね。だけど、約束自体は忘れていたけど、僕は君との約束を違えたワケじゃないよ」
「何を言っているのです?こんなに人が集まっている場所で戦ったら、たくさんの被害者が出てしまうではありませんか」
「じゃあさ」
辺りを見回し、ライクは街へと通じる桜並木へと指差して。
「街の方へ戦場を移すかい?」訊ねてきた。
「そんな事をすれば、さらに被害が拡大してしまいます」
反論した瞬間!ハッ!とココミはある事に気付いた。
天馬学府は確かに人が溢れている。
だけど、街と比べると、その数は圧倒的に少ない。
「やっと気付いてくれたようだね。僕は“最も被害が少ない場所に戦場を移す”と約束したはずだよ」
茫然と立ち尽くすココミは頭を振ると。
「そんなの、ただの言葉遊びではないですか!早々に上空へ移るなり、もっと遠くへ行くなり、あなたの駒に命令しなさい!」
「何だか知らないけど、ココミちゃん、ライク君に一杯食わされたのね」
「クレハさんは黙っていて!」
首を突っ込むも、またもや追いやられてしまった。
しょうがないのでライクの元へと寄ると、彼の魔導書はチェス盤のページが開かれたままだった。
チェス盤を覗きこむ。
「これ、どうしたの?」
盤面を指差して訊ねた。
「何か?」
ウォーフィールドが不躾にも、質問を質問で返してきた。
「この隅っこでアンデスィデが発生しているんだよね?」
「そうですが。何か?」
「お互いに騎士と兵士が各1騎ずつ。なのに、いま学園にいるのは1騎ずつ。お互いの残りのディザスターは今どこで何をしているの?」
クレハの質問に、ココミは頭を悩ませる。
「それができていれば苦労なんてしませんよ」
皆まで聞くまでもなく、未だにマスターを得ていないのだと察した。
で。
ライクへと向き直る。
「シンシアなら、あと5分くらいで到着するんじゃないかなぁ。渋滞にでもハマっているのかもしれないね」
何をおバカな事をおっしゃっているのか?
盤上戦騎は空を飛んでいるのでしょう?そんな空想科学兵器が渋滞にハマるなんて。
小馬鹿にしたような笑みでライクを見やる。
すると。
「ライク!貴様ぁ、何なんだ?この騎体は!?」
ライクの魔導書から、シンシアの怒鳴り声が聞こえてきた。
「どうしたんだい、シンシア。そんなに荒れて」
またもやため息。
そんなライクを見やり、彼はつくづく幸せを逃す性質の子供なのだなと思う…。まだ子供なのに。
「この盤上戦騎、飛行できないじゃないかよ!しかもキャタピラ走行なんて、鈍足にも程があるぞ!」
クレームを付けている。
ココミは遠い目をしてライクとシンシアのやり取りを眺めていた。
道路に沿って移動していた理由がコレだったのね…。
無限軌道とはいえ、ことごとく建物を踏みつけて来るよりも、道路を走ってきた方が遥かに早いものね。
現在、時速何㎞で走行しているのかしら?
そう考えたココミではあったが。
肝心の、ダナのマスターを得ていないこの現状、抜け穴を見つけたはずなのに、誤って落とし穴に落ちてしまった気分だ。
「そうでした!」
閃いたかのごとく思い出し。
「ライク!私は約束通りにヒューゴさんにクィックフォワードと契約を結んでもらっただけでなく、彼にアンデスィデに参戦してもらっています。今度は貴方が私との約束を果たす番です」
非難するかの如く、ライクを指差すと、「約束?」繰り返して訊ねてきた。
「今すぐに、あの包帯の盤上戦騎をこの空域から退かせなさい」
命令口調で告げる。
「え?アンタたち、何か約束事を交わしていたの?」
訊ねるクレハに「クレハさんたちが授業に励んでおられた頃の話ですから」素っ気なく追いやられてしまった。
すると、ライクはクスクスと小さく笑い。
「ああ。そうだったね。だけど、約束自体は忘れていたけど、僕は君との約束を違えたワケじゃないよ」
「何を言っているのです?こんなに人が集まっている場所で戦ったら、たくさんの被害者が出てしまうではありませんか」
「じゃあさ」
辺りを見回し、ライクは街へと通じる桜並木へと指差して。
「街の方へ戦場を移すかい?」訊ねてきた。
「そんな事をすれば、さらに被害が拡大してしまいます」
反論した瞬間!ハッ!とココミはある事に気付いた。
天馬学府は確かに人が溢れている。
だけど、街と比べると、その数は圧倒的に少ない。
「やっと気付いてくれたようだね。僕は“最も被害が少ない場所に戦場を移す”と約束したはずだよ」
茫然と立ち尽くすココミは頭を振ると。
「そんなの、ただの言葉遊びではないですか!早々に上空へ移るなり、もっと遠くへ行くなり、あなたの駒に命令しなさい!」
「何だか知らないけど、ココミちゃん、ライク君に一杯食わされたのね」
「クレハさんは黙っていて!」
首を突っ込むも、またもや追いやられてしまった。
しょうがないのでライクの元へと寄ると、彼の魔導書はチェス盤のページが開かれたままだった。
チェス盤を覗きこむ。
「これ、どうしたの?」
盤面を指差して訊ねた。
「何か?」
ウォーフィールドが不躾にも、質問を質問で返してきた。
「この隅っこでアンデスィデが発生しているんだよね?」
「そうですが。何か?」
「お互いに騎士と兵士が各1騎ずつ。なのに、いま学園にいるのは1騎ずつ。お互いの残りのディザスターは今どこで何をしているの?」
クレハの質問に、ココミは頭を悩ませる。
「それができていれば苦労なんてしませんよ」
皆まで聞くまでもなく、未だにマスターを得ていないのだと察した。
で。
ライクへと向き直る。
「シンシアなら、あと5分くらいで到着するんじゃないかなぁ。渋滞にでもハマっているのかもしれないね」
何をおバカな事をおっしゃっているのか?
盤上戦騎は空を飛んでいるのでしょう?そんな空想科学兵器が渋滞にハマるなんて。
小馬鹿にしたような笑みでライクを見やる。
すると。
「ライク!貴様ぁ、何なんだ?この騎体は!?」
ライクの魔導書から、シンシアの怒鳴り声が聞こえてきた。
「どうしたんだい、シンシア。そんなに荒れて」
またもやため息。
そんなライクを見やり、彼はつくづく幸せを逃す性質の子供なのだなと思う…。まだ子供なのに。
「この盤上戦騎、飛行できないじゃないかよ!しかもキャタピラ走行なんて、鈍足にも程があるぞ!」
クレームを付けている。
ココミは遠い目をしてライクとシンシアのやり取りを眺めていた。
道路に沿って移動していた理由がコレだったのね…。
無限軌道とはいえ、ことごとく建物を踏みつけて来るよりも、道路を走ってきた方が遥かに早いものね。
現在、時速何㎞で走行しているのかしら?
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