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[24]白い闇、黒き陽光
-260-:お気に召しませんか?
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パーティー会場が黒玉門前教会だった時点で、黒側と白側の共同慰労パーティーなのは、おおよそ察しが着いていた。
魔者たちと、彼らを従えるマスターたちが一堂に顔を合わせるとなると、それはそれは相当な人数となる。
弓道部の部長を務める鳳凰院・風理がガンランチャーのマスターなのは、そこはかとなく理解できるが、どうして?どうして?クレハは、猪苗代・恐子までいる事に驚きを隠せなかった。
さらに、かつて鶏冠井剣道場で剣道を習っていた時に、同じく稽古に励んでいた掃部・颯希がいる事にも驚いた。
「サツキ姉は、今は獲られてしまっている駒と契約を結んだんだとよ。おそらく猪苗代もそうだろう」
新たな情報を提供してくれた高砂・飛遊午はビシッとタキシード姿に身を包んでいる。
同じく草間・涼馬も。
流石は長身の高校生男子。大人びた衣裳もサマになっている。
それに控えて…クレハは自身のドレス姿に目をやる。
濃いグリーンのカクテルドレス。スカート丈は膝上と派手に見えるが、年端いかない女子高生が、しかも長身でもない女子がオペラグローブまでしていると、なんだか無理やり着せられている感じが前面に出ている様で恥ずかしい。
少々場違いにも思えてならない。
「お気に召しませんか?」
いきなり耳元でウォーフィールドに訊ねられた。
クレハは飛び退くようにして、ウォーフィールドから離れると。
「い、いえ…。私、こういったドレスアップもパーティーも初めてだから」
いつ殺人行為に及ぶか分からない相手に、クレハの顔は引きつりまくり。
だが、対するウォーフィールドは穏やかな笑みで彼女に応えてくれる。
「ちょうど貴女様の身長がソネと同じくらいなので、彼女のものをご用意させて頂きました。何かご不満がございましたら、遠慮なく申し付け下さい」
このドレスは飢屍のソネのものだったのか…。
少々デザインがシンプル過ぎると感じていたが、あの金髪ドリル髪が垂れ下がるのかと思うと、主張の少ないこのデザインで正解と思える。
代打には代用品で十分か…。ひねくれた考えに至る。
「貴女がアンデスィデに参戦したと聞いて、驚いたわ」
キョウコが声を掛けてきた。
クレハとしては、どうして彼女が魔者と契約を結んでいるのかが疑問でならない。
それは、さて置いて、彼女のドレス姿に思わず見とれてしまう。
ブルーを基調とした肩をオレンジのショールで覆った落ち着いた印象を与えるドレス姿。その着こなしから、もろに相当な量の場数を踏んでいるのが分かる。
「私が契約を結んだ竜はV‐10。元の世界では縄張り争いで目下10連勝中なので、私がそう名付けたの。他者との関わりを持たないから名前を必要としないなんて言い出すものだから、名前を考えるところから関係を築かなくちゃならなかったの」
アンデスィデ参戦以前に、面倒くさい竜と契約を結ばされたものだ。
「私が契約を結んだボンバートンは、ペリカン顔のクィックフォワードのお姉さんなんだよ」「あら、そう」
会話に花開かせていたキョウコが、突然顔を背けた。
首を傾げるも、ふと背中に圧を感じたクレハが振り返ると、後ろに竜崎・海咲をエスコートしている、当のクィックフォワードが冷めた眼差しで彼女たちを見下ろしていた。
「ペリカン顔がどうかしたか?」
分かっているくせに、わざわざ訊ねてくる。実に意地悪いコトこの上ない。
気まずい空気が漂う中、「その節はどうも」カザリがクィックフォワードにお礼を述べながら現れた。
「いつか、共闘できれば光栄ですわ」
一方的にクィックフォワードの手を取り握手をする。そして、少し離れた場所にいたベルタとダナを呼び寄せた。
クレハは思わず二人に見惚れてしまった…。
ベルタの、ポニーテールの髪はいつもと同じなのに、赤いドレスに身を包む彼女(彼)は普段の可愛らしさから一変して妖艶さを醸し出している。それも首に赤いチョーカーを巻いているせいだろうか?
一方のダナは相変わらずエロさ全開の、ブルーのドレスのスカートには大きくスリットが入っており、黒のストッキングに包まれた太腿が露わとなっている。しかも肩も出ている上に背中も大きく開いている。
胸がはみ出ないのが奇跡と思えるくらい、体表面が露出している。
だけど決して眼鏡は外さないのよね。
タツローとオトギも、それぞれ魔者を引きつれて現れた。
タツローはパールカラーのドレス姿のコールブランドが座る車椅子を押して。
片やオトギは黒のドレスに身を包み、丸坊主頭のグラムを従えている。彼もタキシード姿ではあるのだが、どこからどう見てもオトギの用心棒にしか見えない。
「あらぁ、皆さんお揃いねぇ」
アミィが姿を現した。
どうやら彼は、サプライズゲストのようだ。
ココミの粋な計らいといったところか。
パーティーに華を添える意味を込めて超有名人を招待しているなんて。
そして、ついにココミ・コロネ・ドラコットがその姿を現した。
さすがは第二王女様。
パーティードレスに身を包むだけでなく、頭にティアラを載せている。
主催に相応しく、一番派手な出で立ちをしている。
と、思いきや、観た感じからとても胡散臭い男性が彼女をエスコートしているではないか。
長髪長身のその男性は、前髪で顔の右半分を覆ってしまい、表情も掴みづらい。
部外者が、このパーティーに参加するはずがない。
それに、ライク・スティール・ドラコーンがウォーフィールドを引きつれて出席しているのも、何か裏がありそうだ。
勘ぐる中。
「あら、アーマーテイカーさん。真島・導火さんは御一緒じゃないのですか?」
ココミがアミィに訊ねた。
!?
「へ?」
クレハは思わずアミィへと見やる。
彼女(彼)がアーマーティカーですって?
魔者たちと、彼らを従えるマスターたちが一堂に顔を合わせるとなると、それはそれは相当な人数となる。
弓道部の部長を務める鳳凰院・風理がガンランチャーのマスターなのは、そこはかとなく理解できるが、どうして?どうして?クレハは、猪苗代・恐子までいる事に驚きを隠せなかった。
さらに、かつて鶏冠井剣道場で剣道を習っていた時に、同じく稽古に励んでいた掃部・颯希がいる事にも驚いた。
「サツキ姉は、今は獲られてしまっている駒と契約を結んだんだとよ。おそらく猪苗代もそうだろう」
新たな情報を提供してくれた高砂・飛遊午はビシッとタキシード姿に身を包んでいる。
同じく草間・涼馬も。
流石は長身の高校生男子。大人びた衣裳もサマになっている。
それに控えて…クレハは自身のドレス姿に目をやる。
濃いグリーンのカクテルドレス。スカート丈は膝上と派手に見えるが、年端いかない女子高生が、しかも長身でもない女子がオペラグローブまでしていると、なんだか無理やり着せられている感じが前面に出ている様で恥ずかしい。
少々場違いにも思えてならない。
「お気に召しませんか?」
いきなり耳元でウォーフィールドに訊ねられた。
クレハは飛び退くようにして、ウォーフィールドから離れると。
「い、いえ…。私、こういったドレスアップもパーティーも初めてだから」
いつ殺人行為に及ぶか分からない相手に、クレハの顔は引きつりまくり。
だが、対するウォーフィールドは穏やかな笑みで彼女に応えてくれる。
「ちょうど貴女様の身長がソネと同じくらいなので、彼女のものをご用意させて頂きました。何かご不満がございましたら、遠慮なく申し付け下さい」
このドレスは飢屍のソネのものだったのか…。
少々デザインがシンプル過ぎると感じていたが、あの金髪ドリル髪が垂れ下がるのかと思うと、主張の少ないこのデザインで正解と思える。
代打には代用品で十分か…。ひねくれた考えに至る。
「貴女がアンデスィデに参戦したと聞いて、驚いたわ」
キョウコが声を掛けてきた。
クレハとしては、どうして彼女が魔者と契約を結んでいるのかが疑問でならない。
それは、さて置いて、彼女のドレス姿に思わず見とれてしまう。
ブルーを基調とした肩をオレンジのショールで覆った落ち着いた印象を与えるドレス姿。その着こなしから、もろに相当な量の場数を踏んでいるのが分かる。
「私が契約を結んだ竜はV‐10。元の世界では縄張り争いで目下10連勝中なので、私がそう名付けたの。他者との関わりを持たないから名前を必要としないなんて言い出すものだから、名前を考えるところから関係を築かなくちゃならなかったの」
アンデスィデ参戦以前に、面倒くさい竜と契約を結ばされたものだ。
「私が契約を結んだボンバートンは、ペリカン顔のクィックフォワードのお姉さんなんだよ」「あら、そう」
会話に花開かせていたキョウコが、突然顔を背けた。
首を傾げるも、ふと背中に圧を感じたクレハが振り返ると、後ろに竜崎・海咲をエスコートしている、当のクィックフォワードが冷めた眼差しで彼女たちを見下ろしていた。
「ペリカン顔がどうかしたか?」
分かっているくせに、わざわざ訊ねてくる。実に意地悪いコトこの上ない。
気まずい空気が漂う中、「その節はどうも」カザリがクィックフォワードにお礼を述べながら現れた。
「いつか、共闘できれば光栄ですわ」
一方的にクィックフォワードの手を取り握手をする。そして、少し離れた場所にいたベルタとダナを呼び寄せた。
クレハは思わず二人に見惚れてしまった…。
ベルタの、ポニーテールの髪はいつもと同じなのに、赤いドレスに身を包む彼女(彼)は普段の可愛らしさから一変して妖艶さを醸し出している。それも首に赤いチョーカーを巻いているせいだろうか?
一方のダナは相変わらずエロさ全開の、ブルーのドレスのスカートには大きくスリットが入っており、黒のストッキングに包まれた太腿が露わとなっている。しかも肩も出ている上に背中も大きく開いている。
胸がはみ出ないのが奇跡と思えるくらい、体表面が露出している。
だけど決して眼鏡は外さないのよね。
タツローとオトギも、それぞれ魔者を引きつれて現れた。
タツローはパールカラーのドレス姿のコールブランドが座る車椅子を押して。
片やオトギは黒のドレスに身を包み、丸坊主頭のグラムを従えている。彼もタキシード姿ではあるのだが、どこからどう見てもオトギの用心棒にしか見えない。
「あらぁ、皆さんお揃いねぇ」
アミィが姿を現した。
どうやら彼は、サプライズゲストのようだ。
ココミの粋な計らいといったところか。
パーティーに華を添える意味を込めて超有名人を招待しているなんて。
そして、ついにココミ・コロネ・ドラコットがその姿を現した。
さすがは第二王女様。
パーティードレスに身を包むだけでなく、頭にティアラを載せている。
主催に相応しく、一番派手な出で立ちをしている。
と、思いきや、観た感じからとても胡散臭い男性が彼女をエスコートしているではないか。
長髪長身のその男性は、前髪で顔の右半分を覆ってしまい、表情も掴みづらい。
部外者が、このパーティーに参加するはずがない。
それに、ライク・スティール・ドラコーンがウォーフィールドを引きつれて出席しているのも、何か裏がありそうだ。
勘ぐる中。
「あら、アーマーテイカーさん。真島・導火さんは御一緒じゃないのですか?」
ココミがアミィに訊ねた。
!?
「へ?」
クレハは思わずアミィへと見やる。
彼女(彼)がアーマーティカーですって?
応援ありがとうございます!
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