15 / 528
第一部
015「模擬戦(1)」
しおりを挟む
その日、まだかなり日が高いが、ハルカさんは馬の歩みを止める。
二日目の夜はまだまだ先だ。
周囲は細い街道がある以外に人工物はない。
道沿いに高い樹木は少なく、草はそれなりに生えているけど荒れ地に近いかもしれない。ただし今進んでいる道の左側には森が続いている。
良く聞くと遠くに水が流れる音が聞こえているので、川沿いに森が茂っているのだと分かる。
そして、今止まったところには目印にしやすそうな大きな針葉樹がそびえていた。
「今日はこの辺りで野営しましょうか」
「まだ日も高いし、少し早くないか? 確かに良さそうな場所だけど」
周りを見渡しているオレに、少し冗談めかした声色が届く。
「場所もあるけど、次の『チュートリアル』のためよ」
「まだあるのか?」
「ええ。次は実地。模擬戦しましょ。あっちに丁度いい広さの河原がある筈なの」
「お、おう」
不敵な感じに笑う彼女が、なんかちょっと怖い。
オレのキモイ性根を叩き直してやるといったところだろう。
それから、まずは流れの聞こえる方に馬を降りて向かう。2、3分獣道を進むと、森の側を流れる川に出た。確かにいい感じに広く平らで雑草の少ない河原もあり、よく見ると木々のある方に誰かがした野営の跡もある。
「前もここで野営したことあるのか?」
「いいえ。けど場所と目印のことは聞いてたのよ」
「なるほどね。石の竃もそのままあるし、旅人が何度も使ってるみたいだな」
そう言って、竃の様子を見てみる。
問題なく使えそうだった。
「そうね。けど、何度も使うと匂いとかで獣とかも寄ってきやすいから、あんまり感心しないけどね」
「じゃあ野営はしないのか?」
「それほど使われている感じじゃないから大丈夫でしょ」
それからしばらく、馬に水を飲ませたり野営の準備を進める。焚き火を準備して、木立を使って夜露避けの簡易テントも用意する。
本来一人分しか持ち運ばないが、ハルカさんは同行者が増えた時に備えて2、3人分の最低限の装備を馬に載せていたので、今回も二人用だ。
オレも彼女の指示を聞きながら準備を手伝う。
そして近くで薪を集めて火を起こし水を入れた鍋をかけると、彼女が少し開けた場所へと歩みを進めようとする。
なお、この世界の住人は昼の食事をとらない。食事は朝夕の二回だ。
『ダブル』は現代日本の習慣に従って昼も食べることが多いが、こういう旅の場合は食事の準備の面倒も手伝って間食程度で簡単に済ませる。
今日の昼も、休憩の時に干し肉とチーズを少しだけ食べて、後は水で薄めたエールやワインを飲む。
お酒と言ってもアルコール度が低いので、頑丈な『ダブル』の体で飲むと、ワインだと酸っぱいブドウジュースでしかない。
お酒を飲む事そのものについては、この世界では15歳で成人扱いだし、そもそも日本の法律は全く及ばない世界なので飲酒年齢を守る『ダブル』は少ない。
あっちで話す時は、隠語としてブドウジュース、麦ジュースという言葉があるが、みんな分っていることだ。
ちなみに、オレたちがよく知っているタイプのチーズのほとんどがこの世界では新参の食品で、『ダブル』が作り方をもたらしたものだ。
細菌がどうのという説明を見た事があるが、色々と違うらしい。
他の食べ物にも、『ダブル』が生み出したり改良したものは少なくない。なんちゃってヨーロッパなのに、味噌や醤油、納豆まであるそうだ。
ノヴァの辺りには、大豆畑も広がっているという。
もちろん、異世界ファンタジー必須のマヨネーズだって、日本人好みの味のものは『ダブル』が製法を持ち込んでいる。とはいえ、この世界であまり普及していない。
なぜなら、冷蔵庫がないからだそうだ。
夕食の下準備をしたせいで夕食のことを頭の片隅で考えつつも、彼女の動きに注意を向ける。
稽古ではなく模擬戦と言ったが、礼儀正しく向かい合って打ち合うとは限らないと思ったからだ。
「そんなに警戒しないで。最初はちゃんと正面から打ち合うから。でないと、目安も分からないでしょう」
彼女の諭すような言葉で、少し気持ちと姿勢を緩める。
「そうか。オレの強さの目安を図るんだったな」
「第一目的はね。あと今後の為にも、もう少し戦闘に慣れてもらいたいわね」
オレの初戦闘での体たらくのことを言っているんだろう。
確かに克服しておかないと色々ヤバい。
「早速、始めましょうか」
「ああ。それじゃ頼む」
彼女はシャラリと少し細めの長剣を鞘から抜き放って右手で構える。
慣れた手つきな上に、剣を抜くと今までの柔らかな雰囲気から、それこそ剣のような研ぎ澄まされたような雰囲気に変化する。
こちらも剣を抜いて両手で構える。オレのは大ぶりの剣だし、以前剣道していたせいかこの方が馴染む。
「盾は使わないのか?」
「とりあえずはね。まずは剣同士で打ち合ってみましょっ!」
そう言うと、地面を蹴って真横に飛ぶように一気に間合いを詰めてくる。
まずは牽制、引っ掛けなしの真っ直ぐ振り下ろす打ち込みだ。豪快に大上段から振り下ろしてくる。
両手で使うのに慣れていたオレからすると、片手で振り下ろすのは器用にも感じる。けど、体全体を使っているので風を切る音、剣圧だけでも本気度合いが伝わってくる。
「ガッ!」
こちらも正面から受け止める。体はなんとか対応してくれた。
竦んだりしていないが、彼女に殺気がないせいかもしれない。
「悪くない反応ね。じゃ、次は腕力!」
そう言いつつ、今度は両手に持ち替えてその場で大きく打ち込み、切り結ぶとそのまま強く押してくる。
見た目からは考えられないほどの力だけど、このぐらいなら押し返せると思った刹那、動きを見透かされて難なく剣を流されてしまう。
そのあとも、続けざまに二合、三合と違う所に打ち込んでくる。的確で鋭い打ち込みで、受けるのが精一杯だ。
そのまま何十合もすると、オレが反撃もしていないのに彼女の方から間合いを取る。
「型もちゃんとしてるし、悪くないわね。次はショウ君から打ち込んできてみて」
完全に彼女のペースだけど、オレの力を見るのだから言われるがまま打ち込む。
けど打ち込みは、簡単に彼女の細身の剣に流されてしまう。何度しても同じだった。面も胴も籠手も、足を狙っても同じだ。ヒラリと軽く避けられる事も少なくない。
彼女は思っていた以上に身軽だ。それ以前に、こっちの世界の『ダブル』の肉体能力の高さを思い知らされる。
そして何度も打ち込み続けると、次第にこっちの息が切れてくる。
「ん? あれだけ元気が有るから大丈夫と思ったけど、まだ体力、いや血が戻りきってないのかしら? だったらごめんなさいね」
「ハァ、ハァ。わ、分からない。オレがこの体に慣れてないだけかも。それすら分からない」
「なるほど。じゃ、息が戻ったら、様子を見ながらもうちょっとやってみましょうか。確かに慣れは必要よね」
1、2分待って仕切り直すと、切り結んでいる状態から簡単に反撃に転じてきた。
鋭い突きが、のど元の急所めがけて突き出される。
紙一重で避ければ格好いいかもしれないが、なんとか弾くのが精一杯だ。
そのあとも一方的で、彼女に打ち込まれるままだった。
何箇所か擦り傷も負ってしまった。少し血も流れているが、彼女は気にした風もなく打ち込み続けてくる。
これを見越して、服とかは最低限にしているので、剣が擦って服が破れるのを心配する必要も少ない。
そしてこういう時は、弱い方が手から剣を弾かれて終わるのがお約束なんだろうが、オレがへたりこむ事でまずは終わった。
そしてへたり込んだオレの前に立つハルカさんは、剣を持たない左手を腰にあてて論評する。
汗もかいている風はなく、息も全く乱れていない。
「動きが少し単調だし、体も技術も使いきれてないわ。前兆夢がなかったせいかしら。体の使い方そのものを慣らした方がいいのかもね」
手厳しい彼女の評価が心にも打ち込まれる。
しかし、それだけではなかった。
「けど、思った通り素質あるわね。鍛錬次第では短期間でAランクも狙えるんじゃないかしら」
言葉も真面目なもので、からかったりはしてない。
「マジ? けどハルカさんの方が断然強いじゃん」
「私とショウ君とじゃ、それこそ経験値が違うもの。けどショウ君は、これから幾らでも伸びるわよ。保証してあげる」
「高評価ありがとう、と言いたいところだけど実感ないなー。で、今のところの評価はどれくらい?」
そこで彼女は右手をおとがいに当てて少し考え込む。
「今すぐだと、思った以上にパワーはあるけど、技能はCランクが精々かしら。けど、初日の実戦みたいにビビってたらD以下よ」
「相変わらず手厳しいなあ」
「生き残るためだもの、厳しくもなるわよ」
「……そりゃそうだ」
「まあ、そんなに落ち込まない。『ビギナー』はだいたいみんな最初は同じようなものよ。しっかり鍛錬して実戦慣れすれば、一月もあればBランクくらいになれるわ」
笑顔で答えてくれているのだけど、『強い笑顔』な感じだ。
「じゃあ、これから修行の毎日?」
「ええ。私の仕事を手伝ってくれるんでしょ。強くなってもらわないと」
力なくうなづくオレに、さらに笑顔を大きくする。
(ハルカさんって、Sだ。しかもドSかも)
そう思えた。が、間違いではなかった。
それどころか、オレの表情を読んでいたようだ。
「じゃあ、ご希望通りスパルタでガンガン行くから、覚悟してね」
「マジか」
「マジマジ。そのうち攻撃魔法を受けてもらう練習もするから」
笑みがますます深くなっている。
「え、魔法って避けられるのか?」
「避けられるやつもあるわね。まあ、避けるより耐えるとか対処する練習になると思うけど」
「そういうのって、実戦で身につけるとかじゃないのか?」
「実戦じゃ遅いでしょ。じゃ、もう少しやりましょう。怪我は後で直してあげるから、気にせずきなさい!」
二日目の夜はまだまだ先だ。
周囲は細い街道がある以外に人工物はない。
道沿いに高い樹木は少なく、草はそれなりに生えているけど荒れ地に近いかもしれない。ただし今進んでいる道の左側には森が続いている。
良く聞くと遠くに水が流れる音が聞こえているので、川沿いに森が茂っているのだと分かる。
そして、今止まったところには目印にしやすそうな大きな針葉樹がそびえていた。
「今日はこの辺りで野営しましょうか」
「まだ日も高いし、少し早くないか? 確かに良さそうな場所だけど」
周りを見渡しているオレに、少し冗談めかした声色が届く。
「場所もあるけど、次の『チュートリアル』のためよ」
「まだあるのか?」
「ええ。次は実地。模擬戦しましょ。あっちに丁度いい広さの河原がある筈なの」
「お、おう」
不敵な感じに笑う彼女が、なんかちょっと怖い。
オレのキモイ性根を叩き直してやるといったところだろう。
それから、まずは流れの聞こえる方に馬を降りて向かう。2、3分獣道を進むと、森の側を流れる川に出た。確かにいい感じに広く平らで雑草の少ない河原もあり、よく見ると木々のある方に誰かがした野営の跡もある。
「前もここで野営したことあるのか?」
「いいえ。けど場所と目印のことは聞いてたのよ」
「なるほどね。石の竃もそのままあるし、旅人が何度も使ってるみたいだな」
そう言って、竃の様子を見てみる。
問題なく使えそうだった。
「そうね。けど、何度も使うと匂いとかで獣とかも寄ってきやすいから、あんまり感心しないけどね」
「じゃあ野営はしないのか?」
「それほど使われている感じじゃないから大丈夫でしょ」
それからしばらく、馬に水を飲ませたり野営の準備を進める。焚き火を準備して、木立を使って夜露避けの簡易テントも用意する。
本来一人分しか持ち運ばないが、ハルカさんは同行者が増えた時に備えて2、3人分の最低限の装備を馬に載せていたので、今回も二人用だ。
オレも彼女の指示を聞きながら準備を手伝う。
そして近くで薪を集めて火を起こし水を入れた鍋をかけると、彼女が少し開けた場所へと歩みを進めようとする。
なお、この世界の住人は昼の食事をとらない。食事は朝夕の二回だ。
『ダブル』は現代日本の習慣に従って昼も食べることが多いが、こういう旅の場合は食事の準備の面倒も手伝って間食程度で簡単に済ませる。
今日の昼も、休憩の時に干し肉とチーズを少しだけ食べて、後は水で薄めたエールやワインを飲む。
お酒と言ってもアルコール度が低いので、頑丈な『ダブル』の体で飲むと、ワインだと酸っぱいブドウジュースでしかない。
お酒を飲む事そのものについては、この世界では15歳で成人扱いだし、そもそも日本の法律は全く及ばない世界なので飲酒年齢を守る『ダブル』は少ない。
あっちで話す時は、隠語としてブドウジュース、麦ジュースという言葉があるが、みんな分っていることだ。
ちなみに、オレたちがよく知っているタイプのチーズのほとんどがこの世界では新参の食品で、『ダブル』が作り方をもたらしたものだ。
細菌がどうのという説明を見た事があるが、色々と違うらしい。
他の食べ物にも、『ダブル』が生み出したり改良したものは少なくない。なんちゃってヨーロッパなのに、味噌や醤油、納豆まであるそうだ。
ノヴァの辺りには、大豆畑も広がっているという。
もちろん、異世界ファンタジー必須のマヨネーズだって、日本人好みの味のものは『ダブル』が製法を持ち込んでいる。とはいえ、この世界であまり普及していない。
なぜなら、冷蔵庫がないからだそうだ。
夕食の下準備をしたせいで夕食のことを頭の片隅で考えつつも、彼女の動きに注意を向ける。
稽古ではなく模擬戦と言ったが、礼儀正しく向かい合って打ち合うとは限らないと思ったからだ。
「そんなに警戒しないで。最初はちゃんと正面から打ち合うから。でないと、目安も分からないでしょう」
彼女の諭すような言葉で、少し気持ちと姿勢を緩める。
「そうか。オレの強さの目安を図るんだったな」
「第一目的はね。あと今後の為にも、もう少し戦闘に慣れてもらいたいわね」
オレの初戦闘での体たらくのことを言っているんだろう。
確かに克服しておかないと色々ヤバい。
「早速、始めましょうか」
「ああ。それじゃ頼む」
彼女はシャラリと少し細めの長剣を鞘から抜き放って右手で構える。
慣れた手つきな上に、剣を抜くと今までの柔らかな雰囲気から、それこそ剣のような研ぎ澄まされたような雰囲気に変化する。
こちらも剣を抜いて両手で構える。オレのは大ぶりの剣だし、以前剣道していたせいかこの方が馴染む。
「盾は使わないのか?」
「とりあえずはね。まずは剣同士で打ち合ってみましょっ!」
そう言うと、地面を蹴って真横に飛ぶように一気に間合いを詰めてくる。
まずは牽制、引っ掛けなしの真っ直ぐ振り下ろす打ち込みだ。豪快に大上段から振り下ろしてくる。
両手で使うのに慣れていたオレからすると、片手で振り下ろすのは器用にも感じる。けど、体全体を使っているので風を切る音、剣圧だけでも本気度合いが伝わってくる。
「ガッ!」
こちらも正面から受け止める。体はなんとか対応してくれた。
竦んだりしていないが、彼女に殺気がないせいかもしれない。
「悪くない反応ね。じゃ、次は腕力!」
そう言いつつ、今度は両手に持ち替えてその場で大きく打ち込み、切り結ぶとそのまま強く押してくる。
見た目からは考えられないほどの力だけど、このぐらいなら押し返せると思った刹那、動きを見透かされて難なく剣を流されてしまう。
そのあとも、続けざまに二合、三合と違う所に打ち込んでくる。的確で鋭い打ち込みで、受けるのが精一杯だ。
そのまま何十合もすると、オレが反撃もしていないのに彼女の方から間合いを取る。
「型もちゃんとしてるし、悪くないわね。次はショウ君から打ち込んできてみて」
完全に彼女のペースだけど、オレの力を見るのだから言われるがまま打ち込む。
けど打ち込みは、簡単に彼女の細身の剣に流されてしまう。何度しても同じだった。面も胴も籠手も、足を狙っても同じだ。ヒラリと軽く避けられる事も少なくない。
彼女は思っていた以上に身軽だ。それ以前に、こっちの世界の『ダブル』の肉体能力の高さを思い知らされる。
そして何度も打ち込み続けると、次第にこっちの息が切れてくる。
「ん? あれだけ元気が有るから大丈夫と思ったけど、まだ体力、いや血が戻りきってないのかしら? だったらごめんなさいね」
「ハァ、ハァ。わ、分からない。オレがこの体に慣れてないだけかも。それすら分からない」
「なるほど。じゃ、息が戻ったら、様子を見ながらもうちょっとやってみましょうか。確かに慣れは必要よね」
1、2分待って仕切り直すと、切り結んでいる状態から簡単に反撃に転じてきた。
鋭い突きが、のど元の急所めがけて突き出される。
紙一重で避ければ格好いいかもしれないが、なんとか弾くのが精一杯だ。
そのあとも一方的で、彼女に打ち込まれるままだった。
何箇所か擦り傷も負ってしまった。少し血も流れているが、彼女は気にした風もなく打ち込み続けてくる。
これを見越して、服とかは最低限にしているので、剣が擦って服が破れるのを心配する必要も少ない。
そしてこういう時は、弱い方が手から剣を弾かれて終わるのがお約束なんだろうが、オレがへたりこむ事でまずは終わった。
そしてへたり込んだオレの前に立つハルカさんは、剣を持たない左手を腰にあてて論評する。
汗もかいている風はなく、息も全く乱れていない。
「動きが少し単調だし、体も技術も使いきれてないわ。前兆夢がなかったせいかしら。体の使い方そのものを慣らした方がいいのかもね」
手厳しい彼女の評価が心にも打ち込まれる。
しかし、それだけではなかった。
「けど、思った通り素質あるわね。鍛錬次第では短期間でAランクも狙えるんじゃないかしら」
言葉も真面目なもので、からかったりはしてない。
「マジ? けどハルカさんの方が断然強いじゃん」
「私とショウ君とじゃ、それこそ経験値が違うもの。けどショウ君は、これから幾らでも伸びるわよ。保証してあげる」
「高評価ありがとう、と言いたいところだけど実感ないなー。で、今のところの評価はどれくらい?」
そこで彼女は右手をおとがいに当てて少し考え込む。
「今すぐだと、思った以上にパワーはあるけど、技能はCランクが精々かしら。けど、初日の実戦みたいにビビってたらD以下よ」
「相変わらず手厳しいなあ」
「生き残るためだもの、厳しくもなるわよ」
「……そりゃそうだ」
「まあ、そんなに落ち込まない。『ビギナー』はだいたいみんな最初は同じようなものよ。しっかり鍛錬して実戦慣れすれば、一月もあればBランクくらいになれるわ」
笑顔で答えてくれているのだけど、『強い笑顔』な感じだ。
「じゃあ、これから修行の毎日?」
「ええ。私の仕事を手伝ってくれるんでしょ。強くなってもらわないと」
力なくうなづくオレに、さらに笑顔を大きくする。
(ハルカさんって、Sだ。しかもドSかも)
そう思えた。が、間違いではなかった。
それどころか、オレの表情を読んでいたようだ。
「じゃあ、ご希望通りスパルタでガンガン行くから、覚悟してね」
「マジか」
「マジマジ。そのうち攻撃魔法を受けてもらう練習もするから」
笑みがますます深くなっている。
「え、魔法って避けられるのか?」
「避けられるやつもあるわね。まあ、避けるより耐えるとか対処する練習になると思うけど」
「そういうのって、実戦で身につけるとかじゃないのか?」
「実戦じゃ遅いでしょ。じゃ、もう少しやりましょう。怪我は後で直してあげるから、気にせずきなさい!」
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?
大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」
世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。
”人類”と”魔族”
生存圏を争って日夜争いを続けている。
しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。
トレジャーハンターその名はラルフ。
夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。
そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く
欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、
世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。
最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)
排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日
冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて
スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる
強いスキルを望むケインであったが、
スキル適性値はG
オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物
友人からも家族からも馬鹿にされ、
尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン
そんなある日、
『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。
その効果とは、
同じスキルを2つ以上持つ事ができ、
同系統の効果のスキルは効果が重複するという
恐ろしい物であった。
このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。
HOTランキング 1位!(2023年2月21日)
ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる