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第五部 『帝国』編
396 「晩餐会(1)」
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「本当に腕一本犠牲にして勝つなんてね」
「けど、魔力もらったおかげで切られてないぞ」
戦いと諸々が終わってバックヤードに戻ると、いつものようにお小言という名の労いをかけてもらった。
そして他の仲間を差し置いて、何かがオレに突進してきた。
「さすが、我が心の友よ! 見事な戦いであった!! 胸躍る戦いとは、ああいうのを言うのだな! 皆も感動しておったぞ!」
マーレス第二皇子が突進のまま強く抱きついて、そのまま二人で倒れ込む。
どうせならハルカさんにそうされたいところだけど、そう言えばハルカさんとは、ウルズの地下遺跡で似たような事があったのをふと思い出した。
そして気を取り直しつつ周囲を見渡すと、仲間と殿下お付きの騎士達の全員が苦笑いを浮かべている。
(まあ、殿下の言葉と行動は大げさ過ぎるよな)
「殿下、喜んで頂くのは後にして下さいませんか。まずは我が従者の治癒をしたく思います。そのままでは左腕がもげてしまいます」
「おお、済まぬ済まぬ。しかし、深手は左腕だけか、流石だな。それに十分に実戦慣れしているではないか」
「殿下達と先日模擬戦したのが、吉と出ました。オレは今まで『帝国』風の剣捌きとか殆ど知りませんでしたから」
「あれだけで分かるようになったのか? 驚きだな。それよりも、ささルカ殿、治癒を」
「はい。ショウ、力抜いて」
「はーい」
その後癒して体を確認すると、マーレス殿下が改まる。
「ルカ殿、そしてショウ殿、此度の件このマーレス感謝の言葉もない。この恩は、いずれ必ず返させて頂く。それと、皇帝陛下がいたくお喜びで、今宵の晩餐会に是非とも皆様出席いただきたいとのお言葉だ。勿論、賓客として」
「旅の身で粗末な神官衣しか御座いませんので、できれば辞退させて頂きたいのですが」
ハルカさんがすかさず断りを入れる。
そう、これ以上面倒ごとはゴメンだ。
しかしマーレス殿下はニコニコ顔だ。
「衣装の一つや二つ、宝飾品を添えて贈呈させて頂くので、心配ご無用」
どうやら拒否権はないらしい。
そして晩餐会直前。
オレは殿下に感謝した。抱きつきはしたくないけど、両手で握手くらいしたい心境だ。
「何か感想は?」
「アレ? 反応ないよ」
「隠キャだから、ボキャブラリーが少ないからだろ」
「試しに抱きついてみるか?」
(うん、相変わらずシズさんは攻撃的だ)
しかしそれでちょっと正気に戻れた。
「抱きつくのは勘弁して下さい。理性が持ちそうにないです。けど、本当にみんな綺麗です。一応、悠里もな」
「うっ、妹に綺麗とか、マジキモっ!」
珍しく悠里が、オレの言葉に赤面している。
まあ、中学生が着るようなレベルを超えた豪華で大人びたドレスだから、嬉しいのも当然だろう。
しかも、マーレス殿下のお付きの人達に徹底的に磨き上げられているので、みんな普段より数段、いや格段に綺麗さ、可愛さが増している。
一応オレもそれなりの格好にしてもらったが、オレの事などどうでもいい。いや、マジで。
「綺麗以外言えないの?」
「他にどう表現しろと。カワイ~とか、オレの口から言っても仕方ないだろ。けど、マジ綺麗。生きてて良かったレベル」
「何それ」
やはりハルカさんも嬉しいのか、いつもと違ってクスリと笑う。
まあ痛みを感じなくなったり、最近良い事もあったせいだろう。
「感動しすぎて、涅槃(ねはん)しないでねー」
「そうだな。だが、ここのメイクや衣装の仕事ぶりは参考になった。時間があればもう少し勉強したいくらいだな」
ボクっ娘も今日は淡く頬を染めている。
シズさんだけが冷静だけど、現実での仕事で慣れているからだろう。
と言うか、獣人用の完璧なドレスがあるところが、聖女が獣人の影響で獣人にも理解の深い『帝国』らしい。
そしてみんなして晩餐会への参加となったけど、部屋や調度品は豪華だけど少し照明が暗めだ。
魔法の明かりがあっても、照明が少し暗めに感じるのは、現代社会の明るさに慣れているせいだろう。
と言っても、豪華さは流石『帝国』としか言いようがない。
そして皇族隣席の晩餐会なので、列席者は食事の前に皇帝陛下と皇族に順番に挨拶をする。それからから席に着くので、なんだか結婚披露宴パーティーっぽいところもある。
アニメなどのファンタジーなら、こういう場合はキャラ同士が交流しやすいように立食形式なんだろうけど、参加人数の多さと警備の事も考えればこれが普通なのだそうだ。
食事場所も、大広間などでは入りきらないので、中庭にずらりと机と椅子を並べて行われる。
まあオレ達としては、周りに人が寄ってきたりもしないので、面倒がなくて助かった。
ある程度独立したテーブルに仲間全員で座るだけで、他の人がいないのも助かった。
ただ、賓客という事で皇帝陛下や皇族に近い場所で、かなり目立つ位置なのが玉に瑕って感じだった。
オレ達については、宴会の最初の方で一応紹介と賞賛はあったけど、パーティーの進行役に呼ばれて起立し、一礼して名前を告げたら終わりだ。
後は、こっちが添削したそれらしい来歴とかを、進行役が簡単に語ってくれるだけだ。
「こんなに着飾っても、園遊会とか立食パーティーじゃないと価値半減だねー」
「ベルサイユみたいなのは、この世界にはないよ。舞踏会はあるが、あれはパーティーとは少し違うからな。これがこの世界の普通の宴会形式だ。それに特別に着飾るというだけでも、結構珍しいんだがな」
「そうなんですか?」
「ああ。あと、賓客とはいえ、女性が同席するのも珍しい。どちらも『ダブル」が持ち込んだスタイルで、この10年くらいで徐々に広まっていると言うな」
言われてみれば女性は少ない。精々10対1くらいだ。
出席者は、皇族、貴族、官僚、軍人の男性がほとんど。
「ノヴァだと、もっと簡単よ。現代風の立食パーティーが普通ね。私、こういう形式は、アースガルズで1回出席したくらいね。神殿は派手な宴会はしないし」
「私、こんなに人のいる宴会、初めてです。これがこの世界の普通なんですね」
「普通じゃないよー」
「うん。最上級の宴会だな」
「確かに、飯はアースガルズの遥か上だよなー」
「情緒がないわね」
「なくて結構。目の保養はみんなでしたから、後は食うだけだ」
そんな雑談をしているうちに晩餐会も終わり、最後にもう一度皇帝陛下と皇族の前で挨拶をして退席する。
第三皇子からはスッゲー睨まれたけど、他は好意的な感じなのでホッと一安心だ。
これで面倒ごとともオサラバ出来ると言うものだ。
そして晩餐会の後は、それぞれバラけて部屋に散っていく。上流階級の人達にとっては、ここからが「外交」の本番だ。
けどオレ達は、マーレス殿下が囲ってくれたおかげで、やれ武勇伝を聞きたい、やれ旅の話を聞きたいなどと言った表向きのお誘いからは遮断されている。
ついでに、オレは負傷後の休養が必要、ハルカさんも聖女から治癒された経過を見るためにも早く休むと伝えられていたので、食い下がってくる輩も排除できた。
「急進派と穏健派ねぇ」
「左様。古代の浮遊石の技術を用い、この大陸をなんとかしようと考えているのが穏健派、外に新天地を求めようとしているのが急進派。その中の一派が、邪神大陸への進出の為に神々の助力を得たいと考えておる」
マーレス殿下の息のかかったティールームで寛ぐも、どうしてもこういった話になってしまう。
マーレス殿下も苦笑することしきりだ。
「で、ショウ、ではなくルカ殿達はワシが囲っているのと、以前ゴード将軍に古い浮遊石の結晶を託したことで、穏健派に与していると見られておる」
「どちらでもありませんよ、殿下。私達は大巡礼の為に『帝国』にやって来ただけです」
「だが、貴族、官僚、軍人、『帝国』の舵取りをしている連中はそうは見ない。見ただろ、あのギラついた目を」
「オレは、終始バッコス第三皇子から睨まれてた事しか覚えてません。美味しい料理も台無しだ」
その言葉にマーレス殿下が豪快に笑う。
笑い事じゃないっての。
「あ奴は、今回の神事の賭け事で大損した上に、最も価値のある手駒を一度に2つも失った。あ奴の派閥や配下も賭けで大損した筈だから、それを宥めたりもしないといかん。しばらくは金欠で何も出来まい」
「じゃあ、その間にさっさと邪神大陸の地皇の神殿に行きたいところだねー」
「明日にでも出発すればいいんじゃね?」
年少組はお気楽だけど、ハルカさんの表情は違っている。シズさんも似たような感じだ。
「そうしたいところなんだけど、マーレス殿下、地皇の神殿に竜騎兵で1日以内に行ける場所に拠点とかありますか?」
「拠点はあるが、浮遊大陸から3日かかる。ワシとしては、飛行船でここから一気に地皇の聖地まで行くことを勧めるぞ」
「飛行船を雇うとなると、色々準備が必要だな」
「もう少し日数を貰えれば、ワシが手配しよう。ワシは軍に顔がきくから、飛行船の1隻や2隻の調達など容易いものよ」
そのマーレス殿下の言葉に、ハルカさんがシズさんを見る。
「私見だが、特定の国家の手を借りては大巡礼の価値も下がると考える輩がいるのではないだろうか。今少し手段を考えるべきだと思うが、ルカ様どう思われる?」
「シズの申す通りだと考えます。マーレス殿下、嬉しい申し出ですが」
「よいよい。ワシが余計な事を申してしまった。むしろ許されよ。だが、助力が必要ならばいつでも申してくれ。ワシと『帝国』は、ルカ殿とショウに恩を返さねばならんからな」
「はい。お言葉胸に刻んでおきます」
それで面倒な話もほぼ終わり、マーレス殿下も他との歓談という名の「外交」に精を出さないといけないので、長居もせずに部屋を後にした。
そしてオレ達も、今日の宿泊場所に近い居間の一つへと移動する。
「けど、魔力もらったおかげで切られてないぞ」
戦いと諸々が終わってバックヤードに戻ると、いつものようにお小言という名の労いをかけてもらった。
そして他の仲間を差し置いて、何かがオレに突進してきた。
「さすが、我が心の友よ! 見事な戦いであった!! 胸躍る戦いとは、ああいうのを言うのだな! 皆も感動しておったぞ!」
マーレス第二皇子が突進のまま強く抱きついて、そのまま二人で倒れ込む。
どうせならハルカさんにそうされたいところだけど、そう言えばハルカさんとは、ウルズの地下遺跡で似たような事があったのをふと思い出した。
そして気を取り直しつつ周囲を見渡すと、仲間と殿下お付きの騎士達の全員が苦笑いを浮かべている。
(まあ、殿下の言葉と行動は大げさ過ぎるよな)
「殿下、喜んで頂くのは後にして下さいませんか。まずは我が従者の治癒をしたく思います。そのままでは左腕がもげてしまいます」
「おお、済まぬ済まぬ。しかし、深手は左腕だけか、流石だな。それに十分に実戦慣れしているではないか」
「殿下達と先日模擬戦したのが、吉と出ました。オレは今まで『帝国』風の剣捌きとか殆ど知りませんでしたから」
「あれだけで分かるようになったのか? 驚きだな。それよりも、ささルカ殿、治癒を」
「はい。ショウ、力抜いて」
「はーい」
その後癒して体を確認すると、マーレス殿下が改まる。
「ルカ殿、そしてショウ殿、此度の件このマーレス感謝の言葉もない。この恩は、いずれ必ず返させて頂く。それと、皇帝陛下がいたくお喜びで、今宵の晩餐会に是非とも皆様出席いただきたいとのお言葉だ。勿論、賓客として」
「旅の身で粗末な神官衣しか御座いませんので、できれば辞退させて頂きたいのですが」
ハルカさんがすかさず断りを入れる。
そう、これ以上面倒ごとはゴメンだ。
しかしマーレス殿下はニコニコ顔だ。
「衣装の一つや二つ、宝飾品を添えて贈呈させて頂くので、心配ご無用」
どうやら拒否権はないらしい。
そして晩餐会直前。
オレは殿下に感謝した。抱きつきはしたくないけど、両手で握手くらいしたい心境だ。
「何か感想は?」
「アレ? 反応ないよ」
「隠キャだから、ボキャブラリーが少ないからだろ」
「試しに抱きついてみるか?」
(うん、相変わらずシズさんは攻撃的だ)
しかしそれでちょっと正気に戻れた。
「抱きつくのは勘弁して下さい。理性が持ちそうにないです。けど、本当にみんな綺麗です。一応、悠里もな」
「うっ、妹に綺麗とか、マジキモっ!」
珍しく悠里が、オレの言葉に赤面している。
まあ、中学生が着るようなレベルを超えた豪華で大人びたドレスだから、嬉しいのも当然だろう。
しかも、マーレス殿下のお付きの人達に徹底的に磨き上げられているので、みんな普段より数段、いや格段に綺麗さ、可愛さが増している。
一応オレもそれなりの格好にしてもらったが、オレの事などどうでもいい。いや、マジで。
「綺麗以外言えないの?」
「他にどう表現しろと。カワイ~とか、オレの口から言っても仕方ないだろ。けど、マジ綺麗。生きてて良かったレベル」
「何それ」
やはりハルカさんも嬉しいのか、いつもと違ってクスリと笑う。
まあ痛みを感じなくなったり、最近良い事もあったせいだろう。
「感動しすぎて、涅槃(ねはん)しないでねー」
「そうだな。だが、ここのメイクや衣装の仕事ぶりは参考になった。時間があればもう少し勉強したいくらいだな」
ボクっ娘も今日は淡く頬を染めている。
シズさんだけが冷静だけど、現実での仕事で慣れているからだろう。
と言うか、獣人用の完璧なドレスがあるところが、聖女が獣人の影響で獣人にも理解の深い『帝国』らしい。
そしてみんなして晩餐会への参加となったけど、部屋や調度品は豪華だけど少し照明が暗めだ。
魔法の明かりがあっても、照明が少し暗めに感じるのは、現代社会の明るさに慣れているせいだろう。
と言っても、豪華さは流石『帝国』としか言いようがない。
そして皇族隣席の晩餐会なので、列席者は食事の前に皇帝陛下と皇族に順番に挨拶をする。それからから席に着くので、なんだか結婚披露宴パーティーっぽいところもある。
アニメなどのファンタジーなら、こういう場合はキャラ同士が交流しやすいように立食形式なんだろうけど、参加人数の多さと警備の事も考えればこれが普通なのだそうだ。
食事場所も、大広間などでは入りきらないので、中庭にずらりと机と椅子を並べて行われる。
まあオレ達としては、周りに人が寄ってきたりもしないので、面倒がなくて助かった。
ある程度独立したテーブルに仲間全員で座るだけで、他の人がいないのも助かった。
ただ、賓客という事で皇帝陛下や皇族に近い場所で、かなり目立つ位置なのが玉に瑕って感じだった。
オレ達については、宴会の最初の方で一応紹介と賞賛はあったけど、パーティーの進行役に呼ばれて起立し、一礼して名前を告げたら終わりだ。
後は、こっちが添削したそれらしい来歴とかを、進行役が簡単に語ってくれるだけだ。
「こんなに着飾っても、園遊会とか立食パーティーじゃないと価値半減だねー」
「ベルサイユみたいなのは、この世界にはないよ。舞踏会はあるが、あれはパーティーとは少し違うからな。これがこの世界の普通の宴会形式だ。それに特別に着飾るというだけでも、結構珍しいんだがな」
「そうなんですか?」
「ああ。あと、賓客とはいえ、女性が同席するのも珍しい。どちらも『ダブル」が持ち込んだスタイルで、この10年くらいで徐々に広まっていると言うな」
言われてみれば女性は少ない。精々10対1くらいだ。
出席者は、皇族、貴族、官僚、軍人の男性がほとんど。
「ノヴァだと、もっと簡単よ。現代風の立食パーティーが普通ね。私、こういう形式は、アースガルズで1回出席したくらいね。神殿は派手な宴会はしないし」
「私、こんなに人のいる宴会、初めてです。これがこの世界の普通なんですね」
「普通じゃないよー」
「うん。最上級の宴会だな」
「確かに、飯はアースガルズの遥か上だよなー」
「情緒がないわね」
「なくて結構。目の保養はみんなでしたから、後は食うだけだ」
そんな雑談をしているうちに晩餐会も終わり、最後にもう一度皇帝陛下と皇族の前で挨拶をして退席する。
第三皇子からはスッゲー睨まれたけど、他は好意的な感じなのでホッと一安心だ。
これで面倒ごとともオサラバ出来ると言うものだ。
そして晩餐会の後は、それぞれバラけて部屋に散っていく。上流階級の人達にとっては、ここからが「外交」の本番だ。
けどオレ達は、マーレス殿下が囲ってくれたおかげで、やれ武勇伝を聞きたい、やれ旅の話を聞きたいなどと言った表向きのお誘いからは遮断されている。
ついでに、オレは負傷後の休養が必要、ハルカさんも聖女から治癒された経過を見るためにも早く休むと伝えられていたので、食い下がってくる輩も排除できた。
「急進派と穏健派ねぇ」
「左様。古代の浮遊石の技術を用い、この大陸をなんとかしようと考えているのが穏健派、外に新天地を求めようとしているのが急進派。その中の一派が、邪神大陸への進出の為に神々の助力を得たいと考えておる」
マーレス殿下の息のかかったティールームで寛ぐも、どうしてもこういった話になってしまう。
マーレス殿下も苦笑することしきりだ。
「で、ショウ、ではなくルカ殿達はワシが囲っているのと、以前ゴード将軍に古い浮遊石の結晶を託したことで、穏健派に与していると見られておる」
「どちらでもありませんよ、殿下。私達は大巡礼の為に『帝国』にやって来ただけです」
「だが、貴族、官僚、軍人、『帝国』の舵取りをしている連中はそうは見ない。見ただろ、あのギラついた目を」
「オレは、終始バッコス第三皇子から睨まれてた事しか覚えてません。美味しい料理も台無しだ」
その言葉にマーレス殿下が豪快に笑う。
笑い事じゃないっての。
「あ奴は、今回の神事の賭け事で大損した上に、最も価値のある手駒を一度に2つも失った。あ奴の派閥や配下も賭けで大損した筈だから、それを宥めたりもしないといかん。しばらくは金欠で何も出来まい」
「じゃあ、その間にさっさと邪神大陸の地皇の神殿に行きたいところだねー」
「明日にでも出発すればいいんじゃね?」
年少組はお気楽だけど、ハルカさんの表情は違っている。シズさんも似たような感じだ。
「そうしたいところなんだけど、マーレス殿下、地皇の神殿に竜騎兵で1日以内に行ける場所に拠点とかありますか?」
「拠点はあるが、浮遊大陸から3日かかる。ワシとしては、飛行船でここから一気に地皇の聖地まで行くことを勧めるぞ」
「飛行船を雇うとなると、色々準備が必要だな」
「もう少し日数を貰えれば、ワシが手配しよう。ワシは軍に顔がきくから、飛行船の1隻や2隻の調達など容易いものよ」
そのマーレス殿下の言葉に、ハルカさんがシズさんを見る。
「私見だが、特定の国家の手を借りては大巡礼の価値も下がると考える輩がいるのではないだろうか。今少し手段を考えるべきだと思うが、ルカ様どう思われる?」
「シズの申す通りだと考えます。マーレス殿下、嬉しい申し出ですが」
「よいよい。ワシが余計な事を申してしまった。むしろ許されよ。だが、助力が必要ならばいつでも申してくれ。ワシと『帝国』は、ルカ殿とショウに恩を返さねばならんからな」
「はい。お言葉胸に刻んでおきます」
それで面倒な話もほぼ終わり、マーレス殿下も他との歓談という名の「外交」に精を出さないといけないので、長居もせずに部屋を後にした。
そしてオレ達も、今日の宿泊場所に近い居間の一つへと移動する。
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