チート願望者は異世界召還の夢を見るか?

扶桑かつみ

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第五部 『帝国』編

506 「願いの分配(1)」

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「さて、どう決める?」

「もう魔法をもらった私達以外のみんなで決めないとね」

 ハルカさんの言葉通り、魔法や知識をもらう事は一度終わった。けど、その後の話し合いで、これ以上もらっても持て余すだろうと結論が出た。
 そして短い話し合いの末、魔力、技術、ユニーク(主に属性追加)、魔導器の4つを願いの中から多数決を取る事となる。

 願いを何にするか決めかねていた者が5人いたので、最大35人が恩恵なり贈り物をもらえる事になるからだ。だから塔に入れる者11人優先としつつも、この場の全員に分配するのだ。
 けど全員は無理なので、『世界』に選択権を半ば投げてしまい、物見遊山で来ているだけの『ダブル』同士は恨みっこなしと決まった。

 しかし全部を『ダブル』だけで割り振る事も憚られたので、『帝国』とも分け合うことを提案する。
 そして最終日までに誰か来るかもしれないけど、そいつらに権利を分ける気はないので、今日話し合って明日決める事になる。
 ただ、相談の最初でハプニングがあった。

「ワシの願いの分は好きに使わせてもらう。故にそれは其方ら「客人」のもの。其方らで神々の恩恵を分けるが良かろう」

 そう言って、マーレス殿下がこちらの提案を断ってしまったのだ。
 もっとも、この場の『帝国』人で対象になりうる実力で言えば、マーレス殿下以外はお付きの近衛騎士と魔法使いのお爺さんくらいだと予測できたので、『ダブル』達としても「それなら遠慮なく」的な雰囲気になった。

 そしてこの場の『ダブル』の数は53人。願い事の枠は35人分。
 約7割が恩恵をもらえる可能性がある。
 ただBランク程度の実力では、大抵のものはもらったところで持て余してしまう。かと言って優れた者優先すぎると、複数獲得する者が多数出るのは確実だ。
 また、任意のダブルを呼ぶ願いと、ドロップアウトしない願いもカウントすれば、1人1つを選択出来る事になる。
 
 そしてとりあえず、多数決を取った。
 数が多いカテゴリーの願いを重ねてする為だ。
 その結果、一番人気が意外な事に魔導器、マジックアイテムだった。
 ユニークは属性が一つ増えてもという者が多いけど、ここでしか貰えない筆頭になるから、そこそこ希望者は多かった。

 魔力をもらうのは、Aランク以上には関係なしな上に、地道に増やせば何とかなるので意外に不人気。
 技術(スキル)も不人気。
 と言うのも、もらったところで使いこなすまでが大変というのが、ほぼ全員の感覚的な感想だからだ。

 結局、魔導器とユニークばかりとなり、わずかに技術と魔力総量を増やしたい人も転向。属性のユニークをもらえば、多少は魔力総量が増える可能性があるのも、転向を促す要因となった。技術についても似ていて、属性が増えれば使える魔法を増やしやすい。
 そして5人分のうち、3人分が魔導器、2人分がユニークとなった。

 次に割り当て。もちろん最初から辞退もありなので、個人的願いをすでに聞き届けてもらったハルカさんとボクっ娘が真っ先に辞退した。
 オレもそうしようかとしたけど、ハルカさん達に止められた。
 オレの願いで7人に魔法が分配されたけど、オレ自身は何ももらってない事になるからだ。

 次に、今魔法をもらった者も辞退。これで対象は45人になり、8割近くが恩恵を受けられる。そして割り当て自体は『世界』に決めてもらって恨みっこなしという事になった。

 そして改めて、願いを叶えて貰う為5人が中に入る。

 魔導器(任意の1品)  :悠里、トモエ、レイ博士
 ユニーク(主に属性追加):ヒイロ、火竜公女

 他の使い道は以下の通り。

使用済み:
 ハルカ:自分の復活、レナ:自分の分離、ショウ:魔法の付与
使用予定:
 シズ:任意の『ダブル』召喚、空軍元帥:ドロップアウトのキャンセル
 マーレス殿下:?

 この分担で頼み、書き込んだ紙を『世界』見せて与えてもらう。
 魔導器希望は一人一人紙にリクエストするアイテム名と自身の名前を書き、ユニークも希望欄に名前を記す。ユニーク希望の中には、ユニークの一つとされる巨鷲や飛龍とかの希望を書いている人もいた。会話を聞いているとダメ元らしい。

 そうして願いを言う5人が消えて数分後、すぐにも騒がしくなった。
 魔法を与えられた時と同様に、ユニークを望んだ人に与えられたからだ。
 とは言え、流石にどこからともなく巨鷲や飛龍が飛んできたりはしなかったし、みんなの外見に変化もない。精々、属性が増えた分の魔力総量が少し増えたくらいだ。
 けど、様子がおかしい。
 ユニークをもらえるのは14人の筈が、その倍くらいの人数が声を上げたり驚いていた。オレ達も例外じゃない。
 自分の武器のパワーアップを望んだ人以外の全員だ。


「どういう事だ?」

「さあ? サービスしてくれたんじゃない?」

 小さな魔法陣を1つ作って自分の体の様子を確認しているハルカさんは、あまり関心なさげだ。
 あくまで確かめているとい言う程度でしかない。
 そして自分の確認が終わると、ようやくこちらを向く。

「ショウはどう? 魔法で確認しましょうか?」

「そうだな」

 答えつつも実感が薄い。それでもオレにも体に何かの力が流れ込むような感覚があった。

「どうしたの?」

「いや、属性が増えたら何となく自覚あるんだよな」

「ええ、そうよ。私も新しく水皇の属性をもらったわ。これで治癒魔法が、使うのも覚えるのももっと楽になるわね」

「オレそういうの全然ないんだけど? しかも同じ感じが二回あったらしいんだけど?」

 思わず手を広げて見るが、魔力の巡りとかが良くなったのは感じるけど、魔法が使えるイメージはさっぱり湧かない。
 そこに、下からボクっ娘が覗き込んでくる。

「あ、じゃあ、ボクと同じだね。けど2つって?」

「私と同じだな。もっとも私は陸皇、水皇だ。これで魔法属性が5つになった」

「いいなぁ。……あ、出てくるよ」
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