「愛されたかっただけ…」1番目の父と8番目の母・私と最後の弟

フミヤ

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記憶では

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3歳になるかならないかの頃から私は施設へ預けられた。幼少期はそこで育つ事になる。
親が育てられない・親がいない等理由は様々だろうが、そういった行くあて等無い子供達が集まる場所の施設は、時にテレビで取り上げられたりもするが、それは正直言って「テレビで見られても問題ない」部分だけだからだと思う。
少なくとも、幼少ながらでももっと色々背負った子供達はたくさんいたし、普通に親元で生きてこれたら無かったであろうルール?によりたくさんの縛りの中で生きてきたのだけは事実だ。
団体行動が主なので、学校へ行く先輩方と同じ時間に起きて同じ時間に朝ご飯となる。
食堂で決まった時間内で食べ終わらなければならないのだが、幼少期の私は少食だった。
しかも朝からイカの丸焼きとかが平気で出される。
残したら通路の雑巾がけが待っている。
こんなルールがざらにある。
だからといって心が歪む様な場所ではなかったし、それなりに育ったのだと思う。

月に1度、父が来てくれて外出するのが私はとても楽しみだった。
赤いフェアレディZで施設に乗り込み、皆の注目の中一緒に乗り出掛けるのが何かカッコよく子供ながら胸が踊った。
そしてレストランでお子様ランチを食べて旗を持ち帰るのが唯一の楽しみだった。

この施設での生活を余儀なくしている私をよそに、私の親権を持つ父親はせっせと婚活をしていた。
施設から子供を引き取る場合、新たに母親となるまでのプロセスを通して「親子」として大丈夫かを判断していかなくてはならないらしい。
その新しい母親を見つける為なのかは分からないが、父は再婚をする。
再婚をすると面談があり何度か一緒に生活をしたりもする。だから何度か新しい母親候補と会う様になる。
だが私にはほとんど記憶が無い…
何故かというと父は初婚から都合7回の離婚をするからだ。
初婚は私を産んだ母親、その母親と離婚してから私を施設から引き取るまでの4年間に残り6回も離婚をした。
その6人の一時的でも母親だった人との記憶は、数度しか会っていない私にはさすがに無い。
それでも少し覚えているのは、お兄ちゃんみたいな子と一緒にすき焼きを食べる機会があったのだが、肉は全部その子に取られた事だけ。
何故こんな記憶だけ残るのか夢かとも思っていたが、後から戸籍謄本を確認したら再婚相手の連れ子だった事が分かる。
初婚の母親から最初に産まれた長男だったはずなのに、一時期次男へ格下げした経験が、そのすき焼きの時だった。
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