ドラッグストア「スミヨシ」

竜骨

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15.付きまとい

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 子ども達の2番手、中学校1年生の前田碧斗は困っていた。
 事の発端は、下校中、学校の友だちとふざけながら帰っていたら、ふらついて、1歩車道に出てしまって危なかった。
 と言う話をスミヨシの鍋島志郎にした事だ。
 鍋島志郎はその話を誰にもしなかった。(話せないし)
 しかし、それから碧斗の下校を志郎が後ろから見守るようになったのだ。
 碧斗が後ろを振り返ると、少し離れた所で志郎が歩いている。
 仕事はいいんだろうか。
 碧斗はこっそり、ため息をついた。

 友だちは最初、志郎にガンをつけようとしたが、碧斗が説明すると、とりあえずなにも言わなくなった。
 最初は「おい、今日も来たぜ」
 と、志郎の事を不気味がって、静かに帰っていた友だち達も、数日ですっかり慣れて、またふざけ出した。
 ふざけると車道側の友だちは、つい、歩道から1歩出てしまう。
「ダメ!」
 後ろから、声が聞こえたと思うと、その男子が志郎によって、歩道側に突き飛ばされていた。
 突き飛ばされた男子はびっくりだ。
 志郎は両手を突き出した状態で震えている
ふーっ、ふーっ
「あぶ、あぶない」
 士郎は忠告された男子は、顔を真っ青にしている。
「あ、すいません。気をつけます。」
 男子はそのまま、前を向いて歩き始めた。
「こえー。」
 その怖いは士郎に向けられていた。
 士郎は頑張って男の子を助けたのに、残念ながらその想いは届かなかった。
 
 一方、碧斗はそんな一連の流れを尻目に、志郎を凝視していた。
 ほかの子達はとっくに先に行っている。
 志郎は手を下ろしている。少し、落ち着いてきたようだ。
「…………志郎、喋った?」
 碧斗の言葉に顔を青くする志郎。
 やってしまったー!と顔に書いてある。
「みんな、には、いわ、言わないで」
 普段喋ってないからか、志郎は喋りづらそうだ。
「え?なんで?みんな志郎に喋って欲しいから、喜ぶと思う。」
「……あそこに居られなくなる……」
 その言葉が碧斗には心底分からない。
「なんで?」
「障がい者じゃなくなるから……」
 なるほど、そういうこともあるのか?
 碧斗はとりあえず納得した。
「分かった。言わない。」
 その日は碧斗と志郎は並んで帰った。

 と言っても、よく分からない。志郎が困ることをあの人たちがすると思えないからだ。
 生きた年数が少ない碧斗でも分かるくらい、スミヨシの人達は「善人」だった。
 碧斗はスタッフの山本和弘に聞いてみることにした。
「なぁ、カズさん。志郎って喋ったらここから追い出されんの?」
「あ?どこからそんな事聞いたんだよ。」
 そう聞かれることは想定内である。
「それは言えねー。」
 碧斗は堂々と答えた。
「…………。追い出されるって、ここに通うか通わないかって事か?」
「多分そう。」
「……障がい者じゃなくなったら、通わなくなるかもしんねーけど、喋っただけじゃ、障がい者じゃなくなるわけじゃねーし、……例え、志郎さんが障がい者じゃなくなったとしても、うちは雇える、ようにはしてるって梨奈さんはいってた。」
「他は無理なのか?」
「そこら辺は、おれじゃわかんねーよ。梨奈さんに聞いてこい。」
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