友達に戻れない僕達は

春日一山道

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3章

僕と侑

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あれから特に出来事は無かった。
今まで通り部活に励み、たまに3人で遊んでいた。

3年生になると全員クラスはバラバラになった。
そして僕たちは、3年生の夏を迎えようとしていた。
そして部活も終わりを迎えた。
最後の試合は県大会1回戦負けと呆気なく終わってしまった。
それでも、約2年間全力を尽くしたバレーボールが終わってしまうのは、かなり心に来た。
他の3年生も涙を流していた。

それから1週間ほどは、受験のための勉強にも集中できず、ただぼんやりしていた。
やはり普段やっていたことがある一時を経て、いきなりふっと消えてしまうのは違和感がぬぐえなかった。

1ヶ月後くらいになると周りは受験モードになると同時に文化祭の準備を進めていた。

僕の高校の文化祭は規模が周りの高校よりも大きいため、地域では有名だった。

3年生も高校最後の行事だと意気込んで取り組んでいた。

侑のクラスでは劇をやることになり、クラスでなんの劇をやるか決めていたが、意見が真っ二つになっていた。
侑は文化祭委員という役割を持っていたため、
クラスをまとめるのに苦労していた。

侑の性格上悩みを溜め込むことが多く、限界が来ていた。
とうとう僕にどうしたらいいか、悩みの電話をしてきた。

相当悩んでいたのだろう、
途中で泣き出すほどに、文化祭のことを考えクラスに苦労しているのだと理解ができた。
そんな相談の電話は1時間に登った。

「ありがとうな、木場のおかげで気持ちが楽になったわ」

「僕はなんもしてないよ、侑が強いだけ」

「悩みを聞いてくれるだけでも、ありがたいんだよ」

「そうか、じゃあ頑張ってな」

「まって、あぁ、、」

「どうした?」

「いや、なんでもない。ありがとうな」

侑は少し隠し事をしているようだったが、僕は気にとめなかった。

そして数日間、泣くほどまでにはいかないものの侑の悩みの電話を聞いていた。


時は過ぎ、文化祭はお互いのクラスは大成功を収めていた。

自分のクラスだけでなく、侑のクラスも成功したのは嬉しい気もした。

文化祭が終わった夜、大成功した嬉しさの余韻に浸りながら、ベットに就いた。

深夜1時に通知が僕の部屋に鳴り響くのと同時に、1件のLINEが届く。






石川侑
「木場、好きだ」
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