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第17話 湖の主
翌日、俺とセレスティアは、村長と数人の村の若者たちを伴って東の湖へと向かった。若者たちは皆、使い古した剣や槍を手にしている。村の男手として、いざという時のために同行を申し出てくれたのだ。その顔には緊張と、ほんの少しの武者震いのような高揚感が浮かんでいた。
森を抜け、視界が開けた先に、その湖はあった。
俺は思わず息を呑んだ。村長の話に聞いていた以上の光景だったからだ。
湖と呼ぶのもおこがましい。それはまるで、巨大な泥溜まりだった。水面は油が浮いたように鈍く光り、淀んだ茶色の水からは腐敗臭にも似た悪臭が立ち上っている。湖岸の木々は黒く枯れ、地面には苔一つ生えていない。生命の気配が完全に死に絶えた、呪われた場所。それが第一印象だった。
「これが……『翠玉の湖』……」
セレスティアが、悲痛な声で呟いた。彼女の聖職者としての本能が、この場所に満ちる強烈な負のエネルギーを感じ取っているのだろう。
「ひどいもんだろう。もう何年も、誰も近づいちゃいねえ」
同行した若者の一人が、吐き捨てるように言った。その声には、諦めと恐怖が滲んでいる。
俺は冷静に周囲を観察した。湖全体の空気が重く、呪いの瘴気が霧のように立ち込めている。この瘴気の中心、つまり呪いの源は、おそらく湖の中心部あたりだろう。
「よし、計画通りいこう。セレスティア、まずは湖岸から、少しずつ浄化を始めてくれ。敵の出方を見る」
「はい、リアム様」
俺たちは湖岸に立ち、再び手を取り合った。村長と若者たちは、少し離れた場所から固唾を呑んで俺たちを見守っている。
セレスティアが目を閉じ、静かに祈りを捧げ始めた。
「聖なる光よ、この淀みし水を清め、本来の姿へと導きたまえ――」
彼女の手から放たれた浄化の光が、一条の帯となって湖面へと伸びていく。光が水に触れた瞬間、じゅわっと湯気のようなものが立ち上り、触れた部分の茶色い水が、僅かに透明度を取り戻したように見えた。
同時に、俺の身体に代償が流れ込んでくる。それは、停滞し腐敗した水の、冷たく重い感覚だった。だが、問題はない。俺はそれを全て受け止め、浄化する。
その時だった。
湖の中心部の水面が、ごぽり、と大きく泡立った。まるで、湖の底で眠っていた何かが目を覚ましたかのように。
泡は次第に大きくなり、やがて水面が激しく波立ち始めた。悪臭がさらに強まり、呪いの瘴気が渦を巻く。
「な、なんだ……!?」
「来るぞ……!」
若者たちが緊張に武器を構える。
次の瞬間、水面が爆ぜた。茶色い水飛沫と共に、湖の中心から巨大な影がその姿を現した。
それは、村長の言っていた通り、巨大な蜥蜴の姿をした魔物だった。全長は十メートルを優に超えるだろう。その全身は、湖の底のヘドロを分厚くまとっており、まるで泥そのものが意志を持って動いているかのようだ。ぬらぬらと光る身体のあちこちからは、呪いの瘴気が黒い煙のように立ち上っている。二つの濁った目が、憎悪に満ちた光をたたえ、ぎろりと俺たちを睨みつけた。
「で、出た……! 湖の主、『ヘドロ・リザード』だ!」
村長が、恐怖に引きつった声で叫んだ。
そのおぞましい姿を前に、若者たちの顔から血の気が引いた。だが、恐怖を振り払うように、一人の男が雄叫びを上げた。
「うおおおっ! 俺たちの村を苦しめてきた化け物が! 今日こそ退治してくれる!」
血気にはやった彼は、仲間たちに合図を送るより先に、一人で魔物へと突進していった。
「おい、待て! 勝手に行くな!」
俺が制止する声も、彼の耳には届かない。
「くらえええっ!」
若者はヘドロ・リザードの足元まで駆け寄ると、持っていた剣を力任せに振り下ろした。だが、甲高い金属音の代わりに、ぐちゃり、という鈍い音が響く。剣は、分厚いヘドロの層に深々と突き刺さっただけで、その下の本体には全く届いていない。
「なっ……!?」
若者が驚愕に目を見開いた、その時だった。
ヘドロ・リザードが、億劫そうに巨大な尻尾を振るった。分厚い泥をまとった尻尾が、鞭のようにしなり、若者の身体を容赦なく薙ぎ払う。
「ぐはあっ!」
短い悲鳴と共に、若者の身体は紙切れのように吹き飛ばされ、湖岸の枯れ木に叩きつけられて動かなくなった。
「タロウ!」
「き、貴様あああ!」
仲間がやられたのを見て、残りの若者たちが逆上した。彼らは恐怖を怒りに変え、一斉にヘドロ・リザードへと襲いかかる。
「囲め! 足を狙え!」
彼らは連携を取り、魔物の周囲を回り込みながら、槍や剣で次々と攻撃を仕掛けた。だが、その全ての攻撃が、分厚いヘドロの鎧に阻まれてしまう。刃は届かず、ただ泥に絡め取られるだけだ。
「ダメだ、攻撃が通じねえ!」
「くそっ、なんて硬さだ!」
焦りの声が上がる。その隙を、魔物は見逃さなかった。
グオッ、と低い咆哮を上げると、ヘドロ・リзаードは大きく口を開けた。そして、その口から真っ黒なヘドロの塊を、ブレスのように吐き出した。
「うわあああっ!」
ヘドロのブレスをまともに浴びた若者たちが、次々と吹き飛ばされる。呪いの瘴気を含んだヘドロは、防具を溶かし、肌を焼いた。広範囲にまき散らされたヘドロが、彼らの足元を沼のように変え、動きを封じる。
もはや、戦闘にすらなっていなかった。ただ一方的に、蹂躙されているだけだ。数分も経たないうちに、意気揚々と湖に来た若者たちは、全員が傷つき、泥にまみれて地面に倒れ伏していた。
「な……なんてこった……」
村長が、目の前の光景に絶望の声を漏らす。村の若者たちが束になっても、全く歯が立たない。その絶対的な力の差が、彼らの心を完全に折っていた。
ヘドロ・リザードは、邪魔な虫けらを払い終えたとばかりに、ゆっくりとこちらに身体を向けた。その濁った目が、浄化の光を放ち続けているセレスティアを、そしてその隣に立つ俺を、明確な敵として捉えていた。
絶望が支配する湖岸で、ただ一人、俺だけが冷静だった。
俺は、傷ついた若者たちには目もくれず、ただじっと、ゆっくりと近づいてくる巨大な魔物を見据えていた。
(なるほどな。物理攻撃が通じないヘドロの鎧。呪いの瘴気を含んだ遠距離攻撃。そして、あの巨体。確かに、まともに戦えば厄介な相手だ)
だが、俺の頭の中では、すでにいくつもの攻略パターンが組み立てられ始めていた。
「あれが、呪いの源か」
俺は、隣で恐怖に身を硬くしているセレスティアの手を、安心させるように強く握りしめた。
「セレスティア。ここからが本番だ」
森を抜け、視界が開けた先に、その湖はあった。
俺は思わず息を呑んだ。村長の話に聞いていた以上の光景だったからだ。
湖と呼ぶのもおこがましい。それはまるで、巨大な泥溜まりだった。水面は油が浮いたように鈍く光り、淀んだ茶色の水からは腐敗臭にも似た悪臭が立ち上っている。湖岸の木々は黒く枯れ、地面には苔一つ生えていない。生命の気配が完全に死に絶えた、呪われた場所。それが第一印象だった。
「これが……『翠玉の湖』……」
セレスティアが、悲痛な声で呟いた。彼女の聖職者としての本能が、この場所に満ちる強烈な負のエネルギーを感じ取っているのだろう。
「ひどいもんだろう。もう何年も、誰も近づいちゃいねえ」
同行した若者の一人が、吐き捨てるように言った。その声には、諦めと恐怖が滲んでいる。
俺は冷静に周囲を観察した。湖全体の空気が重く、呪いの瘴気が霧のように立ち込めている。この瘴気の中心、つまり呪いの源は、おそらく湖の中心部あたりだろう。
「よし、計画通りいこう。セレスティア、まずは湖岸から、少しずつ浄化を始めてくれ。敵の出方を見る」
「はい、リアム様」
俺たちは湖岸に立ち、再び手を取り合った。村長と若者たちは、少し離れた場所から固唾を呑んで俺たちを見守っている。
セレスティアが目を閉じ、静かに祈りを捧げ始めた。
「聖なる光よ、この淀みし水を清め、本来の姿へと導きたまえ――」
彼女の手から放たれた浄化の光が、一条の帯となって湖面へと伸びていく。光が水に触れた瞬間、じゅわっと湯気のようなものが立ち上り、触れた部分の茶色い水が、僅かに透明度を取り戻したように見えた。
同時に、俺の身体に代償が流れ込んでくる。それは、停滞し腐敗した水の、冷たく重い感覚だった。だが、問題はない。俺はそれを全て受け止め、浄化する。
その時だった。
湖の中心部の水面が、ごぽり、と大きく泡立った。まるで、湖の底で眠っていた何かが目を覚ましたかのように。
泡は次第に大きくなり、やがて水面が激しく波立ち始めた。悪臭がさらに強まり、呪いの瘴気が渦を巻く。
「な、なんだ……!?」
「来るぞ……!」
若者たちが緊張に武器を構える。
次の瞬間、水面が爆ぜた。茶色い水飛沫と共に、湖の中心から巨大な影がその姿を現した。
それは、村長の言っていた通り、巨大な蜥蜴の姿をした魔物だった。全長は十メートルを優に超えるだろう。その全身は、湖の底のヘドロを分厚くまとっており、まるで泥そのものが意志を持って動いているかのようだ。ぬらぬらと光る身体のあちこちからは、呪いの瘴気が黒い煙のように立ち上っている。二つの濁った目が、憎悪に満ちた光をたたえ、ぎろりと俺たちを睨みつけた。
「で、出た……! 湖の主、『ヘドロ・リザード』だ!」
村長が、恐怖に引きつった声で叫んだ。
そのおぞましい姿を前に、若者たちの顔から血の気が引いた。だが、恐怖を振り払うように、一人の男が雄叫びを上げた。
「うおおおっ! 俺たちの村を苦しめてきた化け物が! 今日こそ退治してくれる!」
血気にはやった彼は、仲間たちに合図を送るより先に、一人で魔物へと突進していった。
「おい、待て! 勝手に行くな!」
俺が制止する声も、彼の耳には届かない。
「くらえええっ!」
若者はヘドロ・リザードの足元まで駆け寄ると、持っていた剣を力任せに振り下ろした。だが、甲高い金属音の代わりに、ぐちゃり、という鈍い音が響く。剣は、分厚いヘドロの層に深々と突き刺さっただけで、その下の本体には全く届いていない。
「なっ……!?」
若者が驚愕に目を見開いた、その時だった。
ヘドロ・リザードが、億劫そうに巨大な尻尾を振るった。分厚い泥をまとった尻尾が、鞭のようにしなり、若者の身体を容赦なく薙ぎ払う。
「ぐはあっ!」
短い悲鳴と共に、若者の身体は紙切れのように吹き飛ばされ、湖岸の枯れ木に叩きつけられて動かなくなった。
「タロウ!」
「き、貴様あああ!」
仲間がやられたのを見て、残りの若者たちが逆上した。彼らは恐怖を怒りに変え、一斉にヘドロ・リザードへと襲いかかる。
「囲め! 足を狙え!」
彼らは連携を取り、魔物の周囲を回り込みながら、槍や剣で次々と攻撃を仕掛けた。だが、その全ての攻撃が、分厚いヘドロの鎧に阻まれてしまう。刃は届かず、ただ泥に絡め取られるだけだ。
「ダメだ、攻撃が通じねえ!」
「くそっ、なんて硬さだ!」
焦りの声が上がる。その隙を、魔物は見逃さなかった。
グオッ、と低い咆哮を上げると、ヘドロ・リзаードは大きく口を開けた。そして、その口から真っ黒なヘドロの塊を、ブレスのように吐き出した。
「うわあああっ!」
ヘドロのブレスをまともに浴びた若者たちが、次々と吹き飛ばされる。呪いの瘴気を含んだヘドロは、防具を溶かし、肌を焼いた。広範囲にまき散らされたヘドロが、彼らの足元を沼のように変え、動きを封じる。
もはや、戦闘にすらなっていなかった。ただ一方的に、蹂躙されているだけだ。数分も経たないうちに、意気揚々と湖に来た若者たちは、全員が傷つき、泥にまみれて地面に倒れ伏していた。
「な……なんてこった……」
村長が、目の前の光景に絶望の声を漏らす。村の若者たちが束になっても、全く歯が立たない。その絶対的な力の差が、彼らの心を完全に折っていた。
ヘドロ・リザードは、邪魔な虫けらを払い終えたとばかりに、ゆっくりとこちらに身体を向けた。その濁った目が、浄化の光を放ち続けているセレスティアを、そしてその隣に立つ俺を、明確な敵として捉えていた。
絶望が支配する湖岸で、ただ一人、俺だけが冷静だった。
俺は、傷ついた若者たちには目もくれず、ただじっと、ゆっくりと近づいてくる巨大な魔物を見据えていた。
(なるほどな。物理攻撃が通じないヘドロの鎧。呪いの瘴気を含んだ遠距離攻撃。そして、あの巨体。確かに、まともに戦えば厄介な相手だ)
だが、俺の頭の中では、すでにいくつもの攻略パターンが組み立てられ始めていた。
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