ハズレスキル【自動機能】は実は神スキル!?追放先で生産職を始めたら、美少女弟子と大陸一の富豪に

夏見ナイ

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パート7: エルウィン、文献から新たな発見(紋様の類似例?) (視点:エルウィン)

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カイが精神世界で自身の力と格闘している間、エルウィンは隠れ家の書庫で、古文書の解読に没頭していた。
カイのスキル【自動機能】、首筋の黒い紋様、そして「異邦の印」。
これらの謎を解き明かす手がかりが、この古い知識の中に眠っているはずだと、彼は信じていた。

書庫には、羊皮紙の巻物や、革綴じの分厚い本が、天井まで届くほどの書架にびっしりと並べられている。
そのほとんどが、古代エルフ語や、さらに古い、今では解読者もほとんどいないような言語で書かれている。
エルウィンは、その膨大な知識の海の中から、関連性のありそうな記述を、一つ一つ丁寧に探し出していく。

それは、気の遠くなるような作業だった。
だが、エルウィンは、焦りも疲れも見せず、淡々と解読を続けていた。
森と世界を守るという、彼の使命感が、彼を突き動かしていた。

そして、数日が経過した頃。
エルウィンは、ある古文書の中に、ついに注目すべき記述を発見した。
それは、マナの異常流動と、それに伴う異世界の干渉に関する、古い予言書のようなものだった。

『……星々の配置が乱れ、世界の境界が揺らぐ時、大いなる『澱』が生じ、大地を蝕むであろう……』
『澱は、負の感情を糧とし、やがて『核』を生み出し、世界を闇に沈めんとする……』

(やはり……黒水晶は、澱の核そのものではなかったのか……。あれは、核が生み出した、あるいは引き寄せた、負のマナの結晶体に過ぎなかったのかもしれん)

エルウィンは、眉をひそめる。
だとすれば、根本的な原因はまだ解決していないことになる。
黒水晶を浄化しただけでは、いずれまた新たな澱が発生する可能性がある。

彼は、さらにページを読み進める。

『……だが、闇が深まる時、異界より『印』を携えし者が現れる。その者は、世界の法則を操る力を持ち、光と影、二つの貌(かたち)を持つであろう……』

(異邦の印……カイ殿のことだ。光と影、二つの貌……スキルと紋様のことか?)

予言は、カイの存在を言い当てているかのようだ。

『……印持つ者は、大いなる試練に直面する。内なる闇との対峙、力の制御、そして失われし記憶の探求……。その果てに、彼は選択を迫られるであろう。世界を救う『光』となるか、あるいは世界を滅ぼす『影』となるか……』

(……やはり、彼の力は、それほどまでに強大で、危険なものなのだな……)

エルウィンは、改めてカイという存在の重要性と、その導き手としての自身の責任の重さを痛感した。

そして、彼は、その予言書の最後のページに、奇妙な図形が描かれているのを見つけた。
それは、複雑に絡み合った、黒と白の線で描かれた紋様だった。
その形は……。

(……これは……!?)

エルウィンは、息を飲んだ。
その紋様は、カイの首筋にある黒い紋様と、驚くほど酷似していたのだ!
完全に同一ではない。だが、その基本的な構造、放つ雰囲気……間違いなく、同系統のものだ。

紋様の横には、かすれた古代文字で、注釈のようなものが書き加えられている。
エルウィンは、慎重に、その文字を解読していく。

『……混沌より生まれし『影の契約印』。それは、魂を代価とし、禁忌の力を与える。だが、恐れることはない。印はまた、『鍵』でもあるのだ。失われし記憶への扉を開き、真の覚醒へと至るための……』

影の契約印……魂を代価とする力……そして、失われし記憶への鍵……。

(……やはり、あの紋様は、単なる負のマナの残滓ではない……!)

エルウィンは、確信した。
それは、カイの失われた記憶と、そして彼の力の根源に深く関わる、重要な意味を持つ印なのだ。
そして、それは、使い方によっては、破滅ではなく、「真の覚醒」への道を開く可能性すら秘めている……。

(……だが、どうすれば……?)

鍵とは、どういう意味か?
どうすれば、記憶への扉を開き、覚醒へと至れるのか?
文献には、それ以上の具体的な記述はなかった。

エルウィンは、古文書を閉じ、深く考え込んだ。
得られた情報は、断片的ではあるが、極めて重要だ。
これを、カイ殿に伝えるべきか?
いや、まだ早いかもしれない。今の彼に、この情報を与えるのは、かえって混乱を招くだけかもしれない。

(……まずは、試練の進捗を見守ろう)

エルウィンは、決断した。
カイ殿が、第二段階『力の理解』をどこまで進められるか。
彼が、自身のスキルと紋様について、どこまで自力で気づくことができるか。
それを見極めてからでも、遅くはないだろう。

エルウィンは、新たな発見を胸に秘め、再びカイの試練を見守る場所へと戻った。
彼の心の中には、依然として大きな不安があったが、同時に、ほんの少しだけ、光明が見えたような気もしていた。
カイという存在は、やはり、この世界の運命を左右する、鍵となる存在なのかもしれない。
その導き手としての役割を、全うしなければならない。エルウィンは、改めてそう決意するのだった。
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