18 / 100
第18話:甘すぎるお買い物デート②
しおりを挟む
「そろそろ、休憩にしないか」
たくさんの荷物を抱えた従者を従えながら、アシュレイ様が私に提案した。気づけば、私たちは王都で一番賑わう中央広場まで来ていた。広場の中央には大きな噴水があり、その周りにはオープンカフェのテーブルと椅子が並んでいる。
「はい!」
私はこくりと頷いた。初めての街歩きと、次から次へと与えられるプレゼントの嵐に、私の心は嬉しい悲鳴を上げていた。少し休みたいと思っていたところだった。
私たちは、広場でも一番眺めの良い席を選んで腰を下ろした。すぐにカフェのウェイターが注文を取りに来る。
「君は、何がいい?」
アシュレイ様がメニューを指しながら尋ねる。そこには、私の知らない名前の飲み物やケーキがたくさん並んでいた。
「ええと……」
迷っている私を見て、彼はにこりと微笑んだ。
「ここのガトーショコラは絶品だと聞いている。それに、甘いものには少し酸味のあるベリーの紅茶が合うだろう」
彼は私の好みなどお構いなしに、しかし完璧な組み合わせをウェイターに注文した。私が甘いもの好きだと、いつの間に知ったのだろう。
やがて運ばれてきたのは、濃厚なチョコレートの香りがする美しいケーキと、赤い宝石のような色をした紅茶だった。
「わあ……美味しそう」
目の前の光景に、私は目を輝かせた。実家では、甘いお菓子など姉の食べ残しを少しもらえるかどうか、というくらいだった。
私はフォークを手に取り、おずおずとケーキに切り込みを入れる。しっとりとした感触が、フォークを通じて伝わってきた。一口食べると、濃厚でビターなチョコレートの風味が口いっぱいに広がった。甘すぎず、それでいて深い味わい。今まで食べたどんなお菓子よりも美味しかった。
「美味しいです!」
私が感動を伝えると、アシュレイ様は我がことのように満足げに頷いた。
「それは良かった」
彼は自分では何も注文せず、ただ紅茶を飲む私の姿を、優しい目で見つめている。その視線がなんだか気恥ずかしくて、私は俯きながらケーキを食べ進めた。
広場は、夕暮れ時の穏やかな光に包まれていた。家路につく人々、楽しそうに談笑する恋人たち、噴水の周りで遊ぶ子供たち。その全てが、平和で幸せな光景だった。
私は、自分が今、その光景の一部になっていることが信じられなかった。
数週間前まで、私は薄暗い物置部屋で、明日が来ることを恐れていたというのに。
「リナリア」
ふと、アシュレイ様が私の名前を呼んだ。
「君は、どうしてそんなに遠慮するのだ」
「え?」
「私が何かを買い与えようとするたび、君は申し訳なさそうな顔をする。それが、私には少しだけ……寂しい」
彼の声には、本心からの戸惑いが滲んでいた。
「私は、君を喜ばせたい。君の笑顔が見たい。ただ、それだけなのだ。なのに、君がそんな顔をすると、まるで私のやっていることが、君にとって迷惑なのかと思ってしまう」
「そ、そんなことはありません!」
私は慌てて顔を上げた。
「迷惑だなんて、とんでもないです! むしろ、嬉しくて……嬉しすぎて、どうしていいか分からなくなるだけで……」
「では、なぜだ?」
彼は、純粋な疑問として、私に問いかけた。
私は少しの間、言葉を探した。そして、自分の正直な気持ちを、ゆっくりと、しかしはっきりと伝えることにした。
「……私は、今まで、誰かから何かを与えられるという経験が、ほとんどありませんでした」
私の言葉に、アシュレイ様の表情がわずかに曇る。
「私の価値は、壊れたものを直すこと、ただそれだけだと言われ続けてきました。だから、私が何かをしてもらうには、まず私が、相手にとって何か役に立つことをしなければならない。そう、ずっと思って生きてきたんです」
だから、と私は続けた。
「アシュレイ様は、私に居場所と、食事と、温かい寝床と……たくさんのものをくださいました。それなのに、私はまだ、アシュレイ様の呪いを完全に癒すという、一番大切な役目を果たせていません。それなのに、こんなにたくさんの高価なものを頂いてしまって……私の働きと、頂くものが、全く釣り合っていない気がして……それで、申し訳なくなってしまうんです」
それが、私の心の奥底にあった、拭い去れない罪悪感の正体だった。
私の告白を聞いて、アシュレイ様はしばらくの間、黙って何かを考えているようだった。彼の紫の瞳が、夕暮れの光の中で深く沈む。
やがて、彼は静かに口を開いた。
「……なるほどな。君の気持ちは、分かった」
彼は私の手を、テーブルの上でそっと両手で包み込んだ。
「だが、リナリア。君は一つ、大きな勘違いをしている」
「勘違い、ですか?」
「ああ。君は、まだ私に何も返せていないと言ったな。それは、全くの事実誤認だ」
彼の言葉に、私はきょとんとする。
「君は、すでに私に、何物にも代えがたいものを与えてくれている。それは、呪いの痛みを和らげる力だけではない」
彼は、私の目をまっすぐに見つめた。
「君が、私の隣で笑ってくれること。君が、美味しそうにケーキを食べること。君が、新しいドレスを見て、はにかみながら喜んでくれること。……その一つ一つが、私の凍てついた心を、どれほど温めてくれているか、君は知らないだろう」
「……アシュレイ様」
「君が存在してくれるだけで、私の世界は色を取り戻した。君を飾るのは、私の喜びだ。君が喜ぶ顔を見るのが、私の幸せなのだ。そこに、対価だの、釣り合いだのという考えは、一切存在しない」
彼の言葉は、まるで優しい雨のように、私の乾いた心に染み渡っていった。
私の存在そのものが、彼の喜び。
そんな風に言われたのは、生まれて初めてだった。
「だから、何も気に病むことはない。何も遠慮することはない。君はただ、私の与えるものを、素直に受け取ってくれればいい。君の幸せそうな顔を見ることが、私にとって最高の報酬なのだから」
彼はそう言うと、私の手の甲に、優しく口づけを落とした。
もう、何も言えなかった。
私の心を満たしていた罪悪感は、彼の愛に満ちた言葉によって、綺麗に洗い流されていた。代わりに、胸いっぱいに広がっていたのは、どうしようもなく甘くて、温かい幸福感だった。
「……はい」
私は、涙がこぼれないように、必死で空を見上げた。
夕焼けに染まった空が、滲んで、きらきらと輝いて見えた。
「ありがとうございます、アシュレイ様」
この人の隣でなら、私はきっと、幸せになっていいのだ。
初めて、心の底から、そう思うことができた。
私にとって、この日のお買い物デートは、ただ物を買ってもらったというだけの思い出ではない。私の心を縛り付けていた古い呪いを、彼がその愛で解き放ってくれた、忘れられない一日となったのだった。
たくさんの荷物を抱えた従者を従えながら、アシュレイ様が私に提案した。気づけば、私たちは王都で一番賑わう中央広場まで来ていた。広場の中央には大きな噴水があり、その周りにはオープンカフェのテーブルと椅子が並んでいる。
「はい!」
私はこくりと頷いた。初めての街歩きと、次から次へと与えられるプレゼントの嵐に、私の心は嬉しい悲鳴を上げていた。少し休みたいと思っていたところだった。
私たちは、広場でも一番眺めの良い席を選んで腰を下ろした。すぐにカフェのウェイターが注文を取りに来る。
「君は、何がいい?」
アシュレイ様がメニューを指しながら尋ねる。そこには、私の知らない名前の飲み物やケーキがたくさん並んでいた。
「ええと……」
迷っている私を見て、彼はにこりと微笑んだ。
「ここのガトーショコラは絶品だと聞いている。それに、甘いものには少し酸味のあるベリーの紅茶が合うだろう」
彼は私の好みなどお構いなしに、しかし完璧な組み合わせをウェイターに注文した。私が甘いもの好きだと、いつの間に知ったのだろう。
やがて運ばれてきたのは、濃厚なチョコレートの香りがする美しいケーキと、赤い宝石のような色をした紅茶だった。
「わあ……美味しそう」
目の前の光景に、私は目を輝かせた。実家では、甘いお菓子など姉の食べ残しを少しもらえるかどうか、というくらいだった。
私はフォークを手に取り、おずおずとケーキに切り込みを入れる。しっとりとした感触が、フォークを通じて伝わってきた。一口食べると、濃厚でビターなチョコレートの風味が口いっぱいに広がった。甘すぎず、それでいて深い味わい。今まで食べたどんなお菓子よりも美味しかった。
「美味しいです!」
私が感動を伝えると、アシュレイ様は我がことのように満足げに頷いた。
「それは良かった」
彼は自分では何も注文せず、ただ紅茶を飲む私の姿を、優しい目で見つめている。その視線がなんだか気恥ずかしくて、私は俯きながらケーキを食べ進めた。
広場は、夕暮れ時の穏やかな光に包まれていた。家路につく人々、楽しそうに談笑する恋人たち、噴水の周りで遊ぶ子供たち。その全てが、平和で幸せな光景だった。
私は、自分が今、その光景の一部になっていることが信じられなかった。
数週間前まで、私は薄暗い物置部屋で、明日が来ることを恐れていたというのに。
「リナリア」
ふと、アシュレイ様が私の名前を呼んだ。
「君は、どうしてそんなに遠慮するのだ」
「え?」
「私が何かを買い与えようとするたび、君は申し訳なさそうな顔をする。それが、私には少しだけ……寂しい」
彼の声には、本心からの戸惑いが滲んでいた。
「私は、君を喜ばせたい。君の笑顔が見たい。ただ、それだけなのだ。なのに、君がそんな顔をすると、まるで私のやっていることが、君にとって迷惑なのかと思ってしまう」
「そ、そんなことはありません!」
私は慌てて顔を上げた。
「迷惑だなんて、とんでもないです! むしろ、嬉しくて……嬉しすぎて、どうしていいか分からなくなるだけで……」
「では、なぜだ?」
彼は、純粋な疑問として、私に問いかけた。
私は少しの間、言葉を探した。そして、自分の正直な気持ちを、ゆっくりと、しかしはっきりと伝えることにした。
「……私は、今まで、誰かから何かを与えられるという経験が、ほとんどありませんでした」
私の言葉に、アシュレイ様の表情がわずかに曇る。
「私の価値は、壊れたものを直すこと、ただそれだけだと言われ続けてきました。だから、私が何かをしてもらうには、まず私が、相手にとって何か役に立つことをしなければならない。そう、ずっと思って生きてきたんです」
だから、と私は続けた。
「アシュレイ様は、私に居場所と、食事と、温かい寝床と……たくさんのものをくださいました。それなのに、私はまだ、アシュレイ様の呪いを完全に癒すという、一番大切な役目を果たせていません。それなのに、こんなにたくさんの高価なものを頂いてしまって……私の働きと、頂くものが、全く釣り合っていない気がして……それで、申し訳なくなってしまうんです」
それが、私の心の奥底にあった、拭い去れない罪悪感の正体だった。
私の告白を聞いて、アシュレイ様はしばらくの間、黙って何かを考えているようだった。彼の紫の瞳が、夕暮れの光の中で深く沈む。
やがて、彼は静かに口を開いた。
「……なるほどな。君の気持ちは、分かった」
彼は私の手を、テーブルの上でそっと両手で包み込んだ。
「だが、リナリア。君は一つ、大きな勘違いをしている」
「勘違い、ですか?」
「ああ。君は、まだ私に何も返せていないと言ったな。それは、全くの事実誤認だ」
彼の言葉に、私はきょとんとする。
「君は、すでに私に、何物にも代えがたいものを与えてくれている。それは、呪いの痛みを和らげる力だけではない」
彼は、私の目をまっすぐに見つめた。
「君が、私の隣で笑ってくれること。君が、美味しそうにケーキを食べること。君が、新しいドレスを見て、はにかみながら喜んでくれること。……その一つ一つが、私の凍てついた心を、どれほど温めてくれているか、君は知らないだろう」
「……アシュレイ様」
「君が存在してくれるだけで、私の世界は色を取り戻した。君を飾るのは、私の喜びだ。君が喜ぶ顔を見るのが、私の幸せなのだ。そこに、対価だの、釣り合いだのという考えは、一切存在しない」
彼の言葉は、まるで優しい雨のように、私の乾いた心に染み渡っていった。
私の存在そのものが、彼の喜び。
そんな風に言われたのは、生まれて初めてだった。
「だから、何も気に病むことはない。何も遠慮することはない。君はただ、私の与えるものを、素直に受け取ってくれればいい。君の幸せそうな顔を見ることが、私にとって最高の報酬なのだから」
彼はそう言うと、私の手の甲に、優しく口づけを落とした。
もう、何も言えなかった。
私の心を満たしていた罪悪感は、彼の愛に満ちた言葉によって、綺麗に洗い流されていた。代わりに、胸いっぱいに広がっていたのは、どうしようもなく甘くて、温かい幸福感だった。
「……はい」
私は、涙がこぼれないように、必死で空を見上げた。
夕焼けに染まった空が、滲んで、きらきらと輝いて見えた。
「ありがとうございます、アシュレイ様」
この人の隣でなら、私はきっと、幸せになっていいのだ。
初めて、心の底から、そう思うことができた。
私にとって、この日のお買い物デートは、ただ物を買ってもらったというだけの思い出ではない。私の心を縛り付けていた古い呪いを、彼がその愛で解き放ってくれた、忘れられない一日となったのだった。
67
あなたにおすすめの小説
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
精霊の森に追放された私ですが、森の主【巨大モフモフ熊の精霊王】に気に入られました
腐ったバナナ
恋愛
王都で「魔力欠損の無能者」と蔑まれ、元婚約者と妹の裏切りにより、魔物が出る精霊の森に追放された伯爵令嬢リサ。絶望の中、極寒の森で命を落としかけたリサを救ったのは、人間を食らうと恐れられる森の主、巨大なモフモフの熊だった。
実はその熊こそ、冷酷な精霊王バルト。長年の孤独と魔力の淀みで冷え切っていた彼は、リサの体から放たれる特殊な「癒やしの匂い」と微かな温もりに依存し、リサを「最高のストーブ兼抱き枕」として溺愛し始める。
地味令嬢の私ですが、王太子に見初められたので、元婚約者様からの復縁はお断りします
有賀冬馬
恋愛
子爵令嬢の私は、いつだって日陰者。
唯一の光だった公爵子息ヴィルヘルム様の婚約者という立場も、あっけなく捨てられた。「君のようなつまらない娘は、公爵家の妻にふさわしくない」と。
もう二度と恋なんてしない。
そう思っていた私の前に現れたのは、傷を負った一人の青年。
彼を献身的に看病したことから、私の運命は大きく動き出す。
彼は、この国の王太子だったのだ。
「君の優しさに心を奪われた。君を私だけのものにしたい」と、彼は私を強く守ると誓ってくれた。
一方、私を捨てた元婚約者は、新しい婚約者に振り回され、全てを失う。
私に助けを求めてきた彼に、私は……
『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。
そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。
──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。
恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。
ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。
この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。
まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、
そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。
お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。
ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。
妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。
ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。
ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。
「だいすきって気持ちは、
きっと一番すてきなまほうなの──!」
風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。
これは、リリアナの庭で育つ、
小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。
銀狼の花嫁~動物の言葉がわかる獣医ですが、追放先の森で銀狼さんを介抱したら森の聖女と呼ばれるようになりました~
川上とむ
恋愛
森に囲まれた村で獣医として働くコルネリアは動物の言葉がわかる一方、その能力を気味悪がられていた。
そんなある日、コルネリアは村の習わしによって森の主である銀狼の花嫁に選ばれてしまう。
それは村からの追放を意味しており、彼女は絶望する。
村に助けてくれる者はおらず、銀狼の元へと送り込まれてしまう。
ところが出会った銀狼は怪我をしており、それを見たコルネリアは彼の傷の手当をする。
すると銀狼は彼女に一目惚れしたらしく、その場で結婚を申し込んでくる。
村に戻ることもできないコルネリアはそれを承諾。晴れて本当の銀狼の花嫁となる。
そのまま森で暮らすことになった彼女だが、動物と会話ができるという能力を活かし、第二の人生を謳歌していく。
【悲報】氷の悪女と蔑まれた辺境令嬢のわたくし、冷徹公爵様に何故かロックオンされました!?~今さら溺愛されても困ります……って、あれ?
放浪人
恋愛
「氷の悪女」――かつて社交界でそう蔑まれ、身に覚えのない罪で北の辺境に追いやられた令嬢エレオノーラ・フォン・ヴァインベルク。凍えるような孤独と絶望に三年間耐え忍んできた彼女の前に、ある日突然現れたのは、帝国一冷徹と名高いアレクシス・フォン・シュヴァルツェンベルク公爵だった。
彼の目的は、荒廃したヴァインベルク領の視察。エレオノーラは、公爵の鋭く冷たい視線と不可解なまでの執拗な関わりに、「新たな不幸の始まりか」と身を硬くする。しかし、領地再建のために共に過ごすうち、彼の不器用な優しさや、時折見せる温かい眼差しに、エレオノーラの凍てついた心は少しずつ溶かされていく。
「お前は、誰よりも強く、優しい心を持っている」――彼の言葉は、偽りの悪評に傷ついてきたエレオノーラにとって、戸惑いと共に、かつてない温もりをもたらすものだった。「迷惑千万!」と思っていたはずの公爵の存在が、いつしか「心地よいかも…」と感じられるように。
過去のトラウマ、卑劣な罠、そして立ちはだかる身分と悪評の壁。数々の困難に見舞われながらも、アレクシス公爵の揺るぎない庇護と真っ直ぐな愛情に支えられ、エレオノーラは真の自分を取り戻し、やがて二人は互いにとってかけがえのない存在となっていく。
これは、不遇な辺境令嬢が、冷徹公爵の不器用でひたむきな「ロックオン(溺愛)」によって心の氷を溶かし、真実の愛と幸福を掴む、ちょっぴりじれったくて、とびきり甘い逆転ラブストーリー。
冷遇された公爵令嬢は、敵国最恐の「氷の軍神」に契約で嫁ぎました。偽りの結婚のはずが、なぜか彼に溺愛され、実家が没落するまで寵愛されています
メルファン
恋愛
侯爵令嬢エリアーナは、幼い頃から妹の才能を引き立てるための『地味な引き立て役』として冷遇されてきました。その冷遇は、妹が「光の魔力」を開花させたことでさらに加速し、ついに長年の婚約者である王太子からも、一方的な婚約破棄を告げられます。
「お前のような華のない女は、王妃にふさわしくない」
失意のエリアーナに与えられた次の役割は、敵国アースガルドとの『政略結婚の駒』。嫁ぎ先は、わずか五年で辺境の魔物を制圧した、冷酷非情な英雄「氷の軍神」こと、カイン・フォン・ヴィンター公爵でした。
カイン公爵は、王家を軽蔑し、感情を持たない冷徹な仮面を被った、恐ろしい男だと噂されています。エリアーナは、これは五年間の「偽りの契約結婚」であり、役目を終えれば解放されると、諦めにも似た覚悟を決めていました。
しかし、嫁いだ敵国で待っていたのは、想像とは全く違う生活でした。
「華がない」と蔑まれたエリアーナに、公爵はアースガルドの最高の仕立て屋を呼び、豪華なドレスと宝石を惜しみなく贈呈。
「不要な引き立て役」だったエリアーナを、公爵は公の場で「我が愛する妻」と呼び、侮辱する者を許しません。
冷酷非情だと噂された公爵は、夜、エリアーナを優しく抱きしめ、彼女が眠るまで離れない、極度の愛妻家へと変貌します。
実はカイン公爵は、エリアーナが幼い頃に偶然助けた命の恩人であり、長年、彼女を密かに想い続けていたのです。彼は、エリアーナを冷遇した実家への復讐の炎を胸に秘め、彼女を愛と寵愛で包み込みます。
一方、エリアーナを価値がないと捨てた実家や王太子は、彼女が敵国で女王のような寵愛を受けていることを知り、慌てて連れ戻そうと画策しますが、時すでに遅し。
「我が妻に手を出す者は、国一つ滅ぼす覚悟を持て」
これは、冷遇された花嫁が、敵国の最恐公爵に深く愛され、真の価値を取り戻し、実家と王都に「ざまぁ」を食らわせる、王道溺愛ファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる