Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ

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第三十八話 晩餐会への招待状

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『ブレイジング・ソード』が事実上解散したという噂は、瞬く間に王都を駆け巡った。
英雄の凋落。それは、人々にとって格好の酒の肴となった。誰もが、彼らの傲慢さを嘲笑い、対照的に『銀色の流星』の鮮烈な活躍を称賛した。
俺たちは、そんな世間の喧騒をよそに、来るべき日に備えていた。

晩餐会までの十日間。俺たちはそのほとんどを、情報収集と自己強化に費やした。
シルフィは王立図書館に通い詰め、『真実の書』と他の古文書を照らし合わせることで、『始まりの聖域』に関するさらなる情報を引き出そうと試みた。
俺とフェンは、ギルドが斡旋する高ランクの依頼をこなしながら、ソウルイーターと星導の指輪の力を、さらに俺自身のものへと昇華させていった。

「カイン、少し分かったことがある」
ある日の夜、シルフィが興奮した面持ちで宿屋に戻ってきた。
「王家の伝承によれば、『始まりの聖域』は、王城の地下深くに存在する、王族でさえ限られた者しか立ち入れない神聖な場所らしい。そして、そこへ至る道は、建国記念の日に、特別な儀式によってのみ開かれる、と」
「建国記念の日……。それは、晩餐会が開かれる日と同じじゃないか」
「うむ。おそらく、我々が王城に招かれるのは、偶然ではない。何者かの、あるいは運命そのものの導きなのかもしれないな」

シルフィの言葉は、俺たちの進むべき道が間違っていないことを示唆していた。
晩餐会で王城に入り、儀式に乗じて『始まりの聖域』へ潜入する。それが、俺たちに与えられた唯一のチャンスだ。

そして、運命の日は訪れた。
その日、俺たちの宿屋に、王家の紋章が入った一通の招待状が届けられた。ギルドマスター、レナードからの推薦状と共に、俺たちが正式に晩餐会へ招待された証だ。

「……さて、困ったな」
俺は、その豪華な招待状を前に、頭を抱えた。
「どうした、カイン?」
「晩餐会に着ていくような、まともな服が一着もない」

俺の言葉に、シルフィもフェンもきょとんとしていた。
確かに、俺たちが持っているのは、冒険で汚れた革鎧や、動きやすい旅装束だけだ。王城の晩餐会に、こんな格好で乗り込むわけにはいかない。

その時、宿屋の扉がノックされた。
入ってきたのは、ギルド職員の制服に身を包んだエリアナだった。
「カインさん! 大変! ギルドマスターのレナード様からの伝言で、フロンティアから、あなた宛ての荷物が……!」
彼女が息を切らしながら指し示した先には、宿屋の主人が数人の荷運び人と共に、巨大な木箱を運び込んでいるところだった。

木箱の送り主は、バルドと、そしてフロンティアの街の商人たち一同からだった。
俺が木箱を開けると、中から現れたのは、息を呑むほどに見事な一揃いの礼服だった。

それは、黒を基調とした、上質な生地で作られた貴族風のジャケットとスラックス。銀糸で繊細な刺繍が施され、袖口や襟元には、バルドが加工したであろうミスリルの装飾がさりげなくあしらわれている。
そして、シルフィのためには、月の光を思わせる、淡い銀色のシルクでできた美しいドレスが入っていた。

「これは……」
俺は、添えられていた手紙を読んだ。
『小僧へ。晴れの舞台に、みすぼらしい格好で行くつもりではあるまいな。これは、お前たちに世話になった街の者たちからの、ささやかな餞別だ。胸を張って、王都の連中の度肝を抜いてこい。 バルより』

フロンティアの仲間たちの、温かい心遣い。
俺の胸に、熱いものが込み上げてきた。
「……敵わないな、あの人たちには」

その日の夜。
俺たちは、贈られた礼服に身を包み、鏡の前に立っていた。
黒い礼服は、俺の体をすっきりと見せ、冒険者としての荒々しさを隠して、洗練された印象を与えていた。
銀色のドレスをまとったシルフィは、もはや森のエルフではなく、どこかの国の王女と見紛うほどの気品と美しさを放っていた。フェンもまた、エリアナが贈ってくれたという、小さな蝶ネクタイを首につけて得意げだ。

「……似合っているか?」
俺が少し照れながら尋ねると、シルフィは頬を染めて、小さく頷いた。
「ああ。すごく……素敵だ」
俺もまた、見違えるように美しい彼女の姿に、言葉を失っていた。

俺たちは、王家が手配した豪華な馬車に乗り込み、王城へと向かった。
窓の外には、建国記念日を祝うイルミネーションが輝き、王都全体がお祭りムードに包まれている。
だが、俺たちの心は、この後に待ち受ける未知の試練への緊張感で満たされていた。

王城の巨大な門が、俺たちのために開かれる。
これは、ただの晩餐会への招待ではない。
世界の運命を左右する、巨大な舞台への、始まりの合図だ。
俺は隣に座るシルフィの手を強く握りしめ、覚悟を新たに、光り輝く王城を見据えた。
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