57 / 97
第五十七話 プライバシーの侵害は許さない
しおりを挟む
帝国最高の諜報員ゼクスは撤退した。だが、彼は諦めたわけではなかった。
(正面からの接触は不可能。だが、観察はできる)
彼は俺の家を取り囲む騎士団の警備網の外側、森の奥深くに潜伏し息を殺して監視を続けることにした。彼は木の枝や落ち葉で完璧な擬態を施した隠れ家を作り上げ、そこから二十四時間体制で俺の家の一挙手一投足を観察し始めた。
水も食料も最小限。排泄物ですら痕跡を残さぬよう処理する。帝国諜報員の究極の技術がそこにあった。
だが、彼は知らなかった。
彼が監視しているつもりのその行動こそが、俺にとって最も許しがたい『安眠妨害』の一つであるということを。
監視を始めて数日が過ぎた。
俺は、どうにも寝覚めが悪かった。
【安眠守護システム】のおかげで、家の敷地内に直接侵入しようとする不届き者はいなくなった。夜は静かだ。
だが、何かがおかしい。
まるで常に誰かに見られているような、粘つくような不快感。それは夜だけでなく昼間も、俺がベッドの上でゴロゴロしている間ですら途切れることがない。
(……なんだ、この感じは)
俺は眉間に皺を寄せた。
プライバシーの侵害。俺はそれが何よりも嫌いだった。俺の怠惰な生活は誰にも干渉されない完璧な聖域(サンクチュアリ)でなければならないのだ。
この不快感の正体を突き止める必要がある。
俺はベッドに寝そべったまま、思考を巡らせた。
家の周囲の警戒レベルをもう一段階引き上げる時が来たらしい。
俺は先日作った【安眠守護システム】に、大幅なアップデートを施すことにした。
名を、【絶対安寧空間創造システム(パーフェクト・サンクチュアリ)】。
まず、監視能力の強化。
今までの【広域探知結界】は、あくまで敷地内への侵入者を検知するだけだった。これでは遠くから監視するストーカーには対応できない。
そこで、俺は数十体の【超小型監視ドローン・インセクトアイ】を新たに設計した。
その姿はハエやアブといったごく普通の昆虫にしか見えない。彼らは俺の家の周囲の森を常に飛び回り、監視している。その複眼レンズは360度の全球撮影が可能で、熱源感知や魔力探知機能も搭載している。
彼らが捉えた映像とデータは全てリアルタイムで俺の脳内に転送され、一つの巨大な監視マップを構築する。これで森の中のネズミ一匹の動きすら、俺はベッドの上で完全に把握できる。
次に、迎撃システムの多様化。
今までは睡眠魔法と捕縛送還だけだった。だが相手によってはそれでは生ぬるいかもしれない。
俺はいくつかの非殺傷・非破壊型の、しかし極めて不快な迎撃オプションを追加した。
オプションA【幻覚投影】。
対象の脳内に直接不快な幻覚を投影する。例えば無数の蜘蛛が体中を這い回る幻覚や、足元が突然底なし沼になる幻覚など。精神的にここにいることを耐えられなくさせるのが目的だ。
オプションB【不協和音響】。
人間には聞こえない、しかし聞いているだけで気分が悪くなるような特殊な周波数の音波を、対象の周囲にだけピンポイントで照射する。吐き気や目眩を引き起こし、その場に留まることを困難にさせる。
オプションC【局所的重力異常】。
対象の周囲の重力を魔力で一時的に数倍に引き上げる。対象は突然体が鉛のように重くなり、身動きが取れなくなる。殺傷能力はないが、強烈な不快感と恐怖を与えることができるだろう。
「……よし。こんなものか」
俺はシステムのアップデートを完了させ、静かに実行に移した。
森の中を数匹の金属光沢を放つ『ハエ』が音もなく飛び始めた。
その日の午後。
森の奥深くで完璧な擬態を施して潜伏していたゼクスは、異変を感じた。
チリッ、と。
肌を刺すような微弱な魔力の波動。
それはほんの一瞬で消えたが、彼の超人的な感覚はそれを見逃さなかった。
(……何か、変わった)
彼はさらに警戒レベルを引き上げた。
だが、彼が何をしようともう手遅れだった。彼は既に俺の掌の上で踊らされている。
監視ドローン【インセクトアイ】の一機が、ゼクスの潜む隠れ家を上空から完璧に捉えていた。
俺の脳内に鮮明な映像が映し出される。
木の枝や葉っぱに擬態した一人の男。その視線は確かに俺の家へと向けられている。
(……こいつか。粘着質なストーカーは)
俺は心底うんざりした。
そしてためらうことなく、迎撃システムのスイッチを入れた。
オプションB、【不協和音響】。起動。
ゼクスの耳にキーンという甲高い音が響き始めた。最初はただの耳鳴りかと思った。だがその音は徐々に大きくなり、彼の頭蓋骨の中で反響し始めた。
(……なんだ、これは)
不快な音と共に、胃の奥から吐き気が込み上げてくる。視界がぐらつき、立っているのがやっとだった。
彼はこれが自然現象ではないと即座に判断した。
何者かによる音響攻撃。
(……気づかれたのか! この俺の潜伏が!)
戦慄が彼の背筋を駆け上った。
彼はすぐさまその場から離脱しようとした。だがその一歩を踏み出そうとした瞬間。
ズンッ!
彼の体が突然地面に叩きつけられた。
見えない巨人に真上から踏みつけられたかのような圧倒的な重圧。体が鉛のように重い。指一本動かすことすら億劫だった。
オプションC、【局所的重力異常】。起動。
「ぐ……っ!」
呻き声がゼクスの口から漏れた。
彼は地面に這いつくばったまま必死で顔を上げようとした。
そして彼は見た。
彼の目の前の空間がぐにゃりと歪む。そしてその歪みの中から無数の毛むくじゃらの巨大な蜘蛛が、わらわらと這い出してくる光景を。
オプションA、【幻覚投影】。起動。
「……ひっ!?」
帝国最高の『影』と呼ばれた男の喉から、生まれて初めて悲鳴に近い声が漏れた。
蜘蛛は彼の体の上を這い回り、その口からは粘液が滴り落ちる。もちろんそれは全て幻覚だ。だが彼の脳はそれを現実として認識していた。
不快な音。
動かない体。
そして悪夢のような幻覚。
三重苦が彼の鉄の精神を容赦なく削り取っていく。
彼はもはや、ここに一秒たりとも留まりたくなかった。
彼は最後の気力を振り絞り、重力操作がわずかに緩んだ一瞬の隙をついて転がるようにその場から離脱した。
そして一度も振り返ることなく森の中をただひたすらに、国境を目指して逃げ続けた。
その姿はもはや帝国最高の諜報員のそれではなかった。
ただ人知を超えた恐怖から逃れる、一匹の哀れな獣だった。
その頃。
ベッドの上で。
俺は脳内に映し出される監視映像を見ながら、満足げに頷いていた。
不審な気配は完全に消え去った。
「……ふぅ。これでようやく静かになった」
俺は邪魔者がいなくなった完璧な静寂の中、再び心地よい眠りの世界へと旅立っていった。
プライバシーの侵害は許さない。
俺の安眠を妨げる者は、たとえ帝国の『影』であろうと悪夢を見せて叩き出す。それが俺のやり方だった。
(正面からの接触は不可能。だが、観察はできる)
彼は俺の家を取り囲む騎士団の警備網の外側、森の奥深くに潜伏し息を殺して監視を続けることにした。彼は木の枝や落ち葉で完璧な擬態を施した隠れ家を作り上げ、そこから二十四時間体制で俺の家の一挙手一投足を観察し始めた。
水も食料も最小限。排泄物ですら痕跡を残さぬよう処理する。帝国諜報員の究極の技術がそこにあった。
だが、彼は知らなかった。
彼が監視しているつもりのその行動こそが、俺にとって最も許しがたい『安眠妨害』の一つであるということを。
監視を始めて数日が過ぎた。
俺は、どうにも寝覚めが悪かった。
【安眠守護システム】のおかげで、家の敷地内に直接侵入しようとする不届き者はいなくなった。夜は静かだ。
だが、何かがおかしい。
まるで常に誰かに見られているような、粘つくような不快感。それは夜だけでなく昼間も、俺がベッドの上でゴロゴロしている間ですら途切れることがない。
(……なんだ、この感じは)
俺は眉間に皺を寄せた。
プライバシーの侵害。俺はそれが何よりも嫌いだった。俺の怠惰な生活は誰にも干渉されない完璧な聖域(サンクチュアリ)でなければならないのだ。
この不快感の正体を突き止める必要がある。
俺はベッドに寝そべったまま、思考を巡らせた。
家の周囲の警戒レベルをもう一段階引き上げる時が来たらしい。
俺は先日作った【安眠守護システム】に、大幅なアップデートを施すことにした。
名を、【絶対安寧空間創造システム(パーフェクト・サンクチュアリ)】。
まず、監視能力の強化。
今までの【広域探知結界】は、あくまで敷地内への侵入者を検知するだけだった。これでは遠くから監視するストーカーには対応できない。
そこで、俺は数十体の【超小型監視ドローン・インセクトアイ】を新たに設計した。
その姿はハエやアブといったごく普通の昆虫にしか見えない。彼らは俺の家の周囲の森を常に飛び回り、監視している。その複眼レンズは360度の全球撮影が可能で、熱源感知や魔力探知機能も搭載している。
彼らが捉えた映像とデータは全てリアルタイムで俺の脳内に転送され、一つの巨大な監視マップを構築する。これで森の中のネズミ一匹の動きすら、俺はベッドの上で完全に把握できる。
次に、迎撃システムの多様化。
今までは睡眠魔法と捕縛送還だけだった。だが相手によってはそれでは生ぬるいかもしれない。
俺はいくつかの非殺傷・非破壊型の、しかし極めて不快な迎撃オプションを追加した。
オプションA【幻覚投影】。
対象の脳内に直接不快な幻覚を投影する。例えば無数の蜘蛛が体中を這い回る幻覚や、足元が突然底なし沼になる幻覚など。精神的にここにいることを耐えられなくさせるのが目的だ。
オプションB【不協和音響】。
人間には聞こえない、しかし聞いているだけで気分が悪くなるような特殊な周波数の音波を、対象の周囲にだけピンポイントで照射する。吐き気や目眩を引き起こし、その場に留まることを困難にさせる。
オプションC【局所的重力異常】。
対象の周囲の重力を魔力で一時的に数倍に引き上げる。対象は突然体が鉛のように重くなり、身動きが取れなくなる。殺傷能力はないが、強烈な不快感と恐怖を与えることができるだろう。
「……よし。こんなものか」
俺はシステムのアップデートを完了させ、静かに実行に移した。
森の中を数匹の金属光沢を放つ『ハエ』が音もなく飛び始めた。
その日の午後。
森の奥深くで完璧な擬態を施して潜伏していたゼクスは、異変を感じた。
チリッ、と。
肌を刺すような微弱な魔力の波動。
それはほんの一瞬で消えたが、彼の超人的な感覚はそれを見逃さなかった。
(……何か、変わった)
彼はさらに警戒レベルを引き上げた。
だが、彼が何をしようともう手遅れだった。彼は既に俺の掌の上で踊らされている。
監視ドローン【インセクトアイ】の一機が、ゼクスの潜む隠れ家を上空から完璧に捉えていた。
俺の脳内に鮮明な映像が映し出される。
木の枝や葉っぱに擬態した一人の男。その視線は確かに俺の家へと向けられている。
(……こいつか。粘着質なストーカーは)
俺は心底うんざりした。
そしてためらうことなく、迎撃システムのスイッチを入れた。
オプションB、【不協和音響】。起動。
ゼクスの耳にキーンという甲高い音が響き始めた。最初はただの耳鳴りかと思った。だがその音は徐々に大きくなり、彼の頭蓋骨の中で反響し始めた。
(……なんだ、これは)
不快な音と共に、胃の奥から吐き気が込み上げてくる。視界がぐらつき、立っているのがやっとだった。
彼はこれが自然現象ではないと即座に判断した。
何者かによる音響攻撃。
(……気づかれたのか! この俺の潜伏が!)
戦慄が彼の背筋を駆け上った。
彼はすぐさまその場から離脱しようとした。だがその一歩を踏み出そうとした瞬間。
ズンッ!
彼の体が突然地面に叩きつけられた。
見えない巨人に真上から踏みつけられたかのような圧倒的な重圧。体が鉛のように重い。指一本動かすことすら億劫だった。
オプションC、【局所的重力異常】。起動。
「ぐ……っ!」
呻き声がゼクスの口から漏れた。
彼は地面に這いつくばったまま必死で顔を上げようとした。
そして彼は見た。
彼の目の前の空間がぐにゃりと歪む。そしてその歪みの中から無数の毛むくじゃらの巨大な蜘蛛が、わらわらと這い出してくる光景を。
オプションA、【幻覚投影】。起動。
「……ひっ!?」
帝国最高の『影』と呼ばれた男の喉から、生まれて初めて悲鳴に近い声が漏れた。
蜘蛛は彼の体の上を這い回り、その口からは粘液が滴り落ちる。もちろんそれは全て幻覚だ。だが彼の脳はそれを現実として認識していた。
不快な音。
動かない体。
そして悪夢のような幻覚。
三重苦が彼の鉄の精神を容赦なく削り取っていく。
彼はもはや、ここに一秒たりとも留まりたくなかった。
彼は最後の気力を振り絞り、重力操作がわずかに緩んだ一瞬の隙をついて転がるようにその場から離脱した。
そして一度も振り返ることなく森の中をただひたすらに、国境を目指して逃げ続けた。
その姿はもはや帝国最高の諜報員のそれではなかった。
ただ人知を超えた恐怖から逃れる、一匹の哀れな獣だった。
その頃。
ベッドの上で。
俺は脳内に映し出される監視映像を見ながら、満足げに頷いていた。
不審な気配は完全に消え去った。
「……ふぅ。これでようやく静かになった」
俺は邪魔者がいなくなった完璧な静寂の中、再び心地よい眠りの世界へと旅立っていった。
プライバシーの侵害は許さない。
俺の安眠を妨げる者は、たとえ帝国の『影』であろうと悪夢を見せて叩き出す。それが俺のやり方だった。
55
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。
絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」!
畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。
はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。
これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!
最強ドラゴンを生贄に召喚された俺。死霊使いで無双する!?
夢・風魔
ファンタジー
生贄となった生物の一部を吸収し、それを能力とする勇者召喚魔法。霊媒体質の御霊霊路(ミタマレイジ)は生贄となった最強のドラゴンの【残り物】を吸収し、鑑定により【死霊使い】となる。
しかし異世界で死霊使いは不吉とされ――厄介者だ――その一言でレイジは追放される。その背後には生贄となったドラゴンが憑りついていた。
ドラゴンを成仏させるべく、途中で出会った女冒険者ソディアと二人旅に出る。
次々と出会う死霊を仲間に加え(させられ)、どんどん増えていくアンデッド軍団。
アンデッド無双。そして規格外の魔力を持ち、魔法禁止令まで発動されるレイジ。
彼らの珍道中はどうなるのやら……。
*小説家になろうでも投稿しております。
*タイトルの「古代竜」というのをわかりやすく「最強ドラゴン」に変更しました。
聖水が「無味無臭」というだけで能無しと追放された聖女ですが、前世が化学研究者だったので、相棒のスライムと辺境でポーション醸造所を始めます
☆ほしい
ファンタジー
聖女エリアーナの生み出す聖水は、万物を浄化する力を持つものの「無味無臭」で効果が分かりにくいため、「能無し」の烙印を押され王都から追放されてしまう。
絶望の淵で彼女は思い出す。前世が、物質の配合を極めた化学研究者だったことを。
「この完璧な純水……これ以上の溶媒はないじゃない!」
辺境の地で助けたスライムを相棒に、エリアーナは前世の知識と「能無し」の聖水を組み合わせ、常識を覆す高品質なポーション作りを始める。やがて彼女の作るポーションは国を揺るがす大ヒット商品となり、彼女を追放した者たちが手のひらを返して戻ってくるよう懇願するが――もう遅い。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか@12/10書籍刊行
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
『捨てられたシスターと、傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます
エリモコピコット
ファンタジー
「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」
そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。
彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。
傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。
「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」
釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。
魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。
やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。
「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」
これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー!
(※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
馬鹿にされて追い出されたけど、スキルを有効利用しましょう
satomi
恋愛
アイスノース王国で暮らすレイカのスキルは『氷創造』。役立たずと家を追い出されてしまった。それもレイカの姉のスキルが『炎創造』。アイスノースは年中北国。わざわざスキルで氷を出さなくても…という話だ。
極寒の中追い出されたしまったレイカ。凍死しそうなところで、助けられサンドサウス王国へ行くことに…常夏のサンドサウス王国へと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる