モブモンスターですが何か? ~VRMMOで魔物ロールプレイを満喫していたら、いつの間にか災害級になっていた件~

夏見ナイ

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エピソード14:石の迷宮と古の罠

『力ずくで破壊するか……? いや、無駄に消耗するのは避けたい』

ゼロは門の周囲を観察した。門の脇には、台座のようなものがいくつか設置されているが、その上には何も乗っていない。もしかしたら、何か特定のアイテムを置くことで門が開く仕掛けなのかもしれない。だが、今のゼロにそんなアイテムを探し当てる術はない。

ふと、ゼロは門そのものに意識を向けた。この門、そして結界を構成している魔力。これを【捕食】することはできないだろうか?

試してみる価値はある。ゼロは体の一部を門に接触させ、【捕食】Lv.3を発動した。ゲル状の体が、門の石材にじわりと浸透していく。同時に、結界を形成している魔力が、抵抗するようにゼロの体を押し返してくる。だが、今のゼロの【捕食】能力は、生半可な抵抗を許さない。

ビリビリとした魔力の奔流と、硬質な石材の感触が混ざり合い、ゼロの中に流れ込んでくる。門の表面の紋様が、まるでエネルギーを吸い取られるかのように、その輝きを失っていく。

数分後、ゴゴゴゴ……という重々しい音と共に、巨大な石の門がゆっくりと内側へと開いた! 結界の魔力を吸収し、弱体化させたことで、門の機能が停止したようだ。

【スキル】
・**魔力吸収(微) Lv.1 (New!)**
・**石材知識(初級) Lv.1 (New!)**

新たなスキルを獲得! 【魔力吸収(微)】は、外部の魔力を直接吸収する能力だろうか。魔力容量の回復や、あるいは相手の魔法を弱体化させるのに使えるかもしれない。【石材知識(初級)】は、石材の種類や構造を見抜くのに役立つだろう。遺跡探索には有用なスキルだ。

門の先には、下り階段が闇の奥へと続いていた。沼地の湿った空気とは対照的に、乾燥し、ひんやりとした空気が流れ出してくる。カビと埃の匂い。何千年もの間、閉ざされていた場所特有の匂いだ。

ゼロは【微光】Lv.2の光度を上げ、周囲を照らしながら慎重に階段を下りていった。壁も床も、全てが巨大な石材を組み合わせて作られている。継ぎ目はほとんど見えず、高度な建築技術が窺える。

階段を下りきると、そこは広い通路になっていた。天井は高く、等間隔に設置された燭台のようなものには、青白い炎がひとりでに灯っている。魔法の光源だろうか。

『罠に注意しないとな』

ゼロは、【擬態】Lv.3で床の石材と同化しながら、ゆっくりと通路を進む。壁や床に不自然な継ぎ目はないか、怪しい模様はないか。五感(のようなもの)を研ぎ澄ませて、警戒を怠らない。

しばらく進むと、通路の床の一部が、わずかに他よりも色が薄くなっていることに気づいた。【石材知識】スキルが、そこに使われている石材の種類が他と違うことを教えてくれる。

(感圧式の罠か?)

ゼロは【泥操作】スキルを応用し、近くにあった瓦礫の破片を泥の触手で掴み上げ、その怪しい床板の上にそっと落としてみた。

カチッ、という小さな音。
次の瞬間、左右の壁から無数の矢が高速で射出された! カンカンカン! と硬い音を立てて、矢が反対側の壁に突き刺さる。

『やはり……単純だが、気づかなければ致命傷だったな』

ゼロは、硬化させた体で念のため防御していたが、矢はゼロには届かなかった。罠をやり過ごし、さらに奥へと進む。

次の罠は、通路の天井に仕掛けられていた。ゼロが特定のポイントを通過しようとした瞬間、天井の一部が開き、巨大な石の塊が落下してきたのだ!

ゼロは咄嗟に【外骨格生成(低級)】と【硬化】Lv.3を同時に発動! 体表に硬い殻を形成し、さらに全体を硬質化させる。

ゴッッッ!!!

凄まじい衝撃と共に、石塊がゼロの体を叩き潰すように落下した。だが、二重の防御スキルによって、ゼロは完全に潰されることなく、石塊の下で耐えていた。HPはかなり削られたが、【自己修復】Lv.4が高速で回復させていく。

『ふぅ……危なかった』

石塊を押し退け、ゼロは再び前進を開始した。物理的な罠だけではないだろう。魔法的な罠にも警戒が必要だ。

やがて、ゼロは十字路のような場所に出た。正面の通路は続いているが、左右にも別の通路が伸びている。そして、その十字路の中央には、一体の石像が鎮座していた。甲冑を纏い、巨大な斧槍を構えた騎士の像だ。

ゼロが十字路に足を踏み入れた瞬間、石像の目がカッと赤く光った! ゴゴゴ…と音を立てて、石像が動き出す。

『ガーディアン系のモンスターか!』

石像――ストーンガーディアンは、その巨体に似合わぬ素早い動きで斧槍を振り回し、ゼロに襲いかかってきた! 物理攻撃力もさることながら、石でできた体は非常に硬そうだ。

ゼロは【多肢動作(補助)】スキルを活用し、ゲル状の体から複数の触手を生やし、それぞれを硬化させたり、酸液や毒液を纏わせたりして応戦する。同時に、本体は【擬態】で周囲の壁に同化し、敵の攻撃を回避する。

ストーンガーディアンの攻撃は重く、掠っただけでもHPがごっそり削られる。だが、動きはやや単調だ。ゼロはトリッキーな動きで翻弄しながら、的確に攻撃を加えていく。【酸液】Lv.2は、ガーディアンの石の体を確実に溶かし、動きを鈍らせていく。【放電(弱)】はあまり効果がないようだが、【麻痺毒】を付与した攻撃は、わずかにガーディアンの動きを阻害している。

戦いながら、ゼロはガーディアンの動きの『核』となっている部分を探る。それは胸部にある、紋様が刻まれたプレートのようだった。そこを破壊すれば、活動を停止させられるかもしれない。

ゼロは一瞬の隙をつき、ガーディアンの懐に飛び込んだ。【吸血】スキルを発動し、プレートに触手を突き刺す! ガーディアンから魔力のようなエネルギーが吸い上げられていく。同時に、【酸液】を集中して流し込み、プレートを破壊しようと試みる。

ギャリギャリ! という嫌な音と共に、プレートに亀裂が入る。ストーンガーディアンは最後の抵抗とばかりに斧槍を振り回すが、ゼロは構わずエネルギー吸収と酸攻撃を続行する。

そして、ついにプレートが砕け散った! ストーンガーディアンは動きを止め、全身から力が抜けるように崩れ落ち、ただの石塊へと戻った。

ゼロは、ガーディアンの残骸――特にコアがあったプレートの破片を入念に【捕食】した。

【能力値】
体力: 30 → 32 (+2)
魔力容量: 18 → 20 (+2)
物理攻撃力: 7
物理防御力: 21 → 23 (+2)
魔法攻撃力: 7
魔法防御力: 14 → 15 (+1)
素早さ: 5

【スキル】
・硬化 Lv.3 → Lv.4
・石材知識(初級) Lv.1 → 石材知識(中級) Lv.1
・**ゴーレムコア解析(低級) Lv.1 (New!)**
・**魔法耐性(微) Lv.1 (New!)**

物理防御力と硬化スキルがさらに強化された。そして、新たなスキル。【ゴーレムコア解析(低級)】は、ゴーレム系のモンスターの弱点を見抜きやすくするスキルだろう。【魔法耐性(微)】は、ガーディアンが帯びていた魔法的な防御力を吸収した結果か。これは嬉しい誤算だ。

戦闘を終え、ゼロは十字路を見渡した。正面、右、左。どの通路に進むべきか。
ふと、左の通路の壁に、奇妙なレリーフが刻まれているのに気がついた。それは、星々が描かれた夜空の下で、無数の触手を持つ、不定形の存在が何かを『喰らって』いるような図案だった。その不定形の存在の中心には、ひときわ強く輝くコアのようなものが描かれている。

『これは……俺と同じ、『名無し』の仲間か? いや、あるいは……』

この遺跡は、「名無し」と何か関係があるのかもしれない。初めて見つけた、自分に繋がるかもしれない手がかり。ゼロは、他の通路への興味を抑え、そのレリーフがある左の通路へと進むことに決めた。

通路の奥からは、ストーンガーディアンよりもさらに強い、冷たく、淀んだ気配が漂ってくる。新たな強敵か、あるいは、この遺跡の秘密に繋がる何かか。ゼロは、期待と警戒を胸に、石の迷宮のさらに深部へと足を踏み入れていった。

---

名前: ゼロ
種族: 名無し
称号: なし
所属: 未定義

【能力値】
体力: 32
魔力容量: 20
物理攻撃力: 7
物理防御力: 23
魔法攻撃力: 7
魔法防御力: 15
素早さ: 5

【スキル】
・捕食 Lv.3
・自己修復 Lv.4
・擬態 Lv.3
・微光 Lv.2
・粘液分泌 Lv.1
・酸液 Lv.2
・硬化 Lv.4
・剣術(初級) Lv.1
・闘気(弱) Lv.1
・吸血 Lv.1
・水中適応(中級) Lv.1
・毒耐性 Lv.3
・毒液 Lv.2
・土属性耐性 Lv.1
・泥操作(初級) Lv.1
・コア生成(不完全) Lv.2
・植物知識(初級) Lv.1
・光合成(微弱) Lv.1
・電撃耐性 Lv.1
・放電(弱) Lv.1
・麻痺毒 Lv.1
・外骨格生成(低級) Lv.1
・多肢動作(補助) Lv.1
・不定形進化(第一段階) Lv.1
・魔力吸収(微) Lv.1
・石材知識(中級) Lv.1
・ゴーレムコア解析(低級) Lv.1
・魔法耐性(微) Lv.1
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