モブモンスターですが何か? ~VRMMOで魔物ロールプレイを満喫していたら、いつの間にか災害級になっていた件~

夏見ナイ

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エピソード35:灼熱の竜骨山脈

星見の塔からの転送は、ゼロを瞬時に目的地の近辺へと送り届けた。目の前に広がっていたのは、これまでの緑豊かな森や湿潤な沼地、あるいは神秘的な浮遊島とは全く異なる、荒涼とした灼熱の世界だった。

空は火山灰によって常に薄暗く、空気は硫黄の匂いと焦げ付くような熱気に満ちている。大地は黒い火山岩と溶岩が冷え固まったもので覆われ、植物はほとんど見当たらない。遠くには、絶えず噴煙を上げる巨大な活火山が聳え立ち、その山脈全体が、まるで巨大な竜の骨格のように見えることから、『竜骨山脈』と呼ばれているらしい。

『ここが、竜の巣へ続く道……か』

エルミナの知識によれば、竜の巣そのものは、この竜骨山脈のさらに奥深く、常人では到達不可能な溶岩洞窟の最深部にあるという。そこへ至る道のりもまた、過酷な環境と強力なモンスターによって守られている。

ゼロはまず、この灼熱環境への適応を試みた。高熱と乾燥した空気は、水分を多く含むゼロのゲル状の体にとっては負担が大きい。【自己修復】Lv.5が常に体表の水分の蒸発を補っているが、エネルギー消費は無視できない。【光合成(中級)】も、火山灰に遮られた弱い日光では効率が悪い。

『耐熱能力の獲得が急務だな』

ゼロは【擬態】Lv.4で黒い火山岩に同化し、周囲の探索を開始した。【魔力感知(中級)】が、熱気の中に潜む複数のモンスターの気配を捉えている。それらは、火や熱エネルギーに特化した存在のようだ。

最初に遭遇したのは、溶岩の中を泳ぎ、時折地上に這い出してくる、燃え盛るトカゲのようなモンスター、ラヴァ・サラマンダーだった。体長は2メートルほど。全身が炎に包まれており、口からは高熱の火球を吐き出してくる。

ゼロは【飛行】Lv.2で距離を取りながら、【形態変化戦闘(上級)】で水の槍(体内の水分を凝縮・操作したもの。【水属性耐性】獲得時の副産物的な能力)を生成し、投げつけた。

ジュワッ! と激しい蒸発音と共に、水の槍はサラマンダーの炎に触れた瞬間に消滅してしまう。水属性攻撃は相性が悪いようだ。

ならば、とゼロは【電撃操作】Lv.1を試す。電撃はサラマンダーに命中し、わずかにダメージを与えたが、決定打にはならない。

『やはり、直接的な攻撃よりも……』

ゼロは接近戦を決意。【装甲化】Lv.2で熱波を防ぎながら突撃し、【生命力吸収】Lv.2の触手をサラマンダーに突き刺した! 燃え盛る体から、熱エネルギーと生命力がゼロの中に流れ込んでくる。

「シャアアアッ!」

サラマンダーは苦しげに体をくねらせ、ゼロを焼き尽くそうとするが、【装甲化】と【自己修復】によってゼロは耐え凌ぐ。そして、エネルギーを吸い尽くされたサラマンダーは、やがて燃え滓のようになって動かなくなった。

ゼロは、その燃え滓と残存エネルギーを【捕食】した。

【能力値】
魔力容量: 60 → 61 (+1)
魔法攻撃力: 28 → 29 (+1)

【スキル】
・**火属性耐性(低級) Lv.1 (New!)**
・**熱エネルギー吸収(微弱) Lv.1 (New!)**

狙い通り、火属性への耐性と、熱エネルギーを吸収する能力を獲得した! これで、この灼熱環境での活動が格段に楽になるはずだ。【熱エネルギー吸収】は、【光合成】のように、周囲の熱からエネルギーを得ることも可能かもしれない。

次にゼロが遭遇したのは、火山岩に擬態していた、巨大なカメムシのようなモンスター、ヴォルカニック・スティンカーだった。危険を察知すると、腹部から悪臭を放つ高熱のガスを噴射してくる。

ゼロは【風属性操作(初級)】でガスの流れを変え、直撃を避ける。そして、【地中潜行(低級)】で足元から奇襲を仕掛け、【腐食毒液】Lv.2で硬い甲殻を溶かしながら【捕食】した。

【スキル】
・毒耐性 Lv.4 → Lv.5 (高レベル熱毒への耐性獲得)
・**熱毒生成(低級) Lv.1 (New!)** (高熱と毒性を併せ持つ液体の生成)

毒スキルがさらに強化され、新たな複合属性攻撃手段を得た。

ゼロは、竜骨山脈のモンスターを次々と狩り、捕食していくことで、着実にこの環境に適応し、力を蓄えていった。燃えるコウモリ、溶岩ゴーレム、火山灰に潜むサンドワーム。それらを喰らうことで、【火属性耐性】は『中級』へ、【熱エネルギー吸収】は『低級』へと成長した。

そして、新たなスキルとして、

・**溶岩操作(微弱) Lv.1**
・**噴火予知(低級) Lv.1**
・**硬質化(熱)(初級) Lv.1** (高温下での装甲化強化)

なども獲得していった。

竜骨山脈の奥へ進むにつれて、地形はさらに険しくなり、溶岩流が川のように流れる危険なエリアへと差し掛かる。空気中の熱も尋常ではなく、並の耐熱装備では瞬時に燃え尽きてしまうだろう。

ゼロは【熱エネルギー吸収(低級)】スキルを常に発動させ、周囲の熱を自身のエネルギーへと変換することで、この過酷な環境をものともせずに進んでいく。時折、溶岩流の中に潜り込み、【溶岩操作(微弱)】スキルで溶岩の流れを操って移動したり、【捕食】で溶岩そのものを取り込み、地熱エネルギーを吸収したりもした。

『竜種……本当にこんな場所にいるのか?』

これほどの過酷な環境に生息できる存在がいるとすれば、それは間違いなく強大な力を持っているはずだ。

ゼロが溶岩流のほとりで周囲を警戒していると、不意に、空気を震わせるような重々しい翼の羽ばたき音が聞こえてきた。見上げると、噴煙を上げる火山の頂上付近から、巨大な影がこちらに向かって降下してくるのが見えた。

それは、全身が黒曜石のような硬い鱗で覆われ、翼の縁からは溶岩のような光が漏れ出している、巨大な竜だった。体長はアストラル・ドレイクには及ばないものの、それでも30メートルは超えているだろう。その威容は、まさしく伝説の生き物と呼ぶにふさわしい。

『ドラゴン……! これが、この山の主か?』

エルミナの知識にあった竜種とは、少し姿が異なるようだ。古代種そのものではなく、この火山環境に適応進化した亜種、あるいは末裔なのかもしれない。仮に、マグマ・ドラゴンと呼んでおこう。

マグマ・ドラゴンは、ゼロの存在を明確に認識すると、威嚇するように天に向かって咆哮した。その声は地鳴りを伴い、周囲の火山活動を活性化させるほどの力を持っている。そして、大きく開かれた口の中に、灼熱のエネルギーが急速に集束していくのが見えた。

ブレス攻撃だ!

ゼロは即座に【飛行】Lv.2スキルで空中へ退避し、【装甲化】Lv.2と【硬質化(熱)(初級)】を重ねがけして防御を固める。

ゴオオオオオオッ!!!

マグマ・ドラゴンから放たれたのは、溶岩そのものを凝縮したかのような、極太のマグマブレスだった! それはゼロがいた地点を直撃し、地面を溶解させ、巨大なクレーターを作り出す。

『凄まじい威力……! 直撃すれば、いくら耐熱性を上げても無事では済まない』

ゼロは空中を旋回しながら、反撃の機会を窺う。マグマ・ドラゴンは、巨体に似合わず素早い動きでゼロを追尾し、爪や尻尾による物理攻撃も繰り出してくる。その一撃一撃が、空気を切り裂き、衝撃波を生み出す。

『硬い、強い、速い。そして、圧倒的な熱量……!』

これほどの強敵と戦うのは、千貌の守護像以来かもしれない。だが、ゼロは怯まなかった。むしろ、その強大さ故に、捕食への渇望が燃え上がる。

ゼロは【風属性操作(初級)】で上昇気流を作り出し、マグマ・ドラゴンの頭上を取る。そして、【混沌弾】Lv.1と【腐食毒液】Lv.2を雨のように降らせた!

混沌弾はドラゴンの硬い鱗に弾かれるものも多かったが、いくつかは命中し、小規模な爆発を起こす。腐食毒液は、鱗の表面をわずかに溶かし、持続ダメージを与えているようだ。

「グルオオオォォッ!」

マグマ・ドラゴンは怒りの咆哮を上げ、再びマグマブレスを放つ! ゼロは【時間操作(断片)】スキルを使い、自身の時間を一瞬だけ加速させてブレスを回避! 同時に、ドラゴンの背後へと回り込む!

そして、ゼロは最大級の攻撃を放つ! 【形態変化戦闘(上級)】で体全体を巨大な螺旋状の杭と化し、【電撃操作】による電磁加速と【戦技:強襲】スキルを乗せ、さらに先端には【腐食毒液】と【亡者の剣】の負のエネルギーを纏わせる! 目標は、ドラゴンの背中、翼の付け根付近にあると思われる逆鱗、あるいは弱点!

「喰らええええっ!!」

ゼロ(杭)は、音速を超える速度でマグマ・ドラゴンに突き刺さった!

ギャリリリリ!!! バキィィィ!!!

硬い鱗が砕け散り、杭はドラゴンの肉体に深々と食い込む! 腐食毒液が内部を蝕み、負のエネルギーが生命力を削ぐ!

「GYAAAAAAAAAAAA…………!!!!!」

マグマ・ドラゴンが、山全体を揺るがすほどの、凄絶な断末魔を上げた。その巨体は力を失い、ゆっくりと地上へと墜落していく。

ゼロは杭状態を解除し、墜落していくドラゴンを追いかける。そして、まだ息のあるドラゴンの頭部に覆いかぶさり、最後の抵抗を【生命力吸収】で奪いながら、【捕食】を開始した!

竜の血肉、硬い鱗、内なるマグマの如きエネルギー、そして、古代から受け継がれてきたであろう竜種の誇りと記憶。それら全てが、ゼロの中に流れ込んでくる。

これは、ゼロにとって、アストラル・ドレイク捕食に匹敵する、あるいはそれ以上の、飛躍的な進化の瞬間だった。竜の力を取り込んだゼロは、一体どのような存在へと変貌するのか。

灼熱の竜骨山脈に、新たな伝説が生まれようとしていた。それは、竜すらも喰らう、不定形の捕食者の伝説――。

---

名前: ゼロ
種族: 名無し(進化体・時喰)
称号: 千貌を喰らう者、星屑を宿す者、竜を喰らう者 (New!)
所属: 未定義

【能力値】
(※大幅上昇・詳細は次回)

【スキル】
(※大幅な進化・統合・新規獲得あり・詳細は次回)
感想 4

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