モブモンスターですが何か? ~VRMMOで魔物ロールプレイを満喫していたら、いつの間にか災害級になっていた件~

夏見ナイ

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エピソード42:遺跡の深層、原初の囁き

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蒼き疾風アルトとの激闘、そしてジャッジメントの追跡。それらを振り切り、ゼロは忘れられた王国跡の広大な地下遺跡網に再び身を潜めていた。【万象擬態】で完全に周囲の岩壁と同化し、気配を消しながら、先の戦闘を反芻する。

アルトの実力は確かだった。究極進化を遂げた自分でさえ、容易には圧倒できない。彼の神速と洗練された技術は、ゼロにとって大きな脅威であり、同時に超えるべき目標ともなった。『ウロボロス』という呼び名も、どこかゼロの本質を突いているようで、奇妙な感覚を残した。

ジャッジメントの存在も、より重くのしかかる。セラフィナという切り札に加え、組織的な探知・追跡能力は極めて厄介だ。地上での不用意な行動は、即座に彼らの網にかかるだろう。

『この地下遺跡網を最大限に活用し、力を蓄えつつ、情報を集める。それが最善策か』

ゼロは、改めてこの忘れられた王国跡の探索に集中することにした。エルミナから得た知識、氷漬けの書物の記録、そして自身の起源に繋がる『虚ろなる器』の欠片。この遺跡には、まだ多くの秘密が眠っているはずだ。

【魔力感知(上級)】を広範囲に展開し、地下深くに存在する魔力の流れを探る。王国時代の遺構と思われる通路や部屋に加え、それよりもさらに古く、異質な魔力を放つ区画が存在することに気づいた。それは、まるで遺跡の中に、さらに古い時代の遺跡が内包されているかのようだ。

『原初の種族の遺産……あそこか』

ゼロは、その異質な魔力の源を目指し、地下迷宮を進み始めた。【物質潜行(低級)】スキルで崩落した通路を抜け、【石材知識(上級)】で隠し扉を発見し、【封印解除(低級)】で古代の封印を解きながら、深部へと進んでいく。

道中、遺跡を守るガーディアンや、地下環境に適応したモンスターにも遭遇したが、それらはもはやゼロの敵ではなかった。【形態変化戦闘(竜技)】で形成した竜腕の一撃で粉砕し、【捕食】しても得られるものは僅かだ。ゼロは戦闘よりも、むしろ【万象擬態】で完全に存在を消し、無駄な争いを避けて進むことを選んだ。

やがて、ゼロは目的の区画へとたどり着いた。そこは、周囲の石造りの遺跡とは明らかに異なり、まるで生体組織と水晶のような物質が融合したかのような、奇妙な素材で構築された空間だった。壁や床は脈打つように微かに光り、空気中には未知のエネルギー粒子が漂っている。

『これは……創造主の時代の技術か? あるいは、原初の種族自身の……?』

【魔法工学知識】や【錬金術知識】では解析できない、異質なテクノロジー、あるいはバイオロジー。ゼロの【混沌核】Lv.1が、この空間に満ちるエネルギーに強く共鳴しているのを感じる。

空間の中心部には、巨大な円筒形のカプセルのようなものがいくつも並んでいた。カプセルの中は液体で満たされ、その中には、不定形の影のようなものや、あるいは失敗作と思われる歪な生物の残骸が浮かんでいる。まるで、生命創造の実験施設跡のようだ。

『ここで……虚ろなる器が作られた? あるいは、研究されていたのか?』

ゼロは、カプセルの一つに近づき、内部の液体や不定形の影を【捕食】してみた。流れ込んできたのは、純粋な生命エネルギーと、断片的な設計情報のようなものだった。

【スキル】
・**生命工学知識(初級) Lv.1 (New!)**
・**エネルギー変換効率(微弱) Lv.1 (New!)** (捕食や光合成などで得たエネルギーの変換効率を向上させるパッシブスキル)

新たな知識スキルと、基礎能力を底上げするパッシブスキルを獲得した。この場所での捕食は、ゼロのさらなる進化に繋がる可能性が高い。

ゼロが他のカプセルも調査しようとした、その時。

ガシャァァン!!!

空間の奥にある巨大な扉が開き、中から一体の異形が現れた! それは、複数の異なる生物のパーツを強引に繋ぎ合わせたかのような、禍々しいキメラだった。獅子の頭、竜の翼、蛇の尾、昆虫のような多足。それぞれのパーツが不協和音を奏でるように動き、その全身からは制御不能なほどの混沌とした魔力が漏れ出している。おそらく、この施設の防衛システム、あるいは失敗した実験体が暴走したものだろう。

キメラは、ゼロの存在を認識すると、複数の口から異なる属性のブレス(炎、酸、電撃)を同時に吐き出しながら襲いかかってきた!

『面白い……! まさに混沌の体現か!』

ゼロは【装甲化(竜鱗)】を展開し、ブレスを受け止めながら突撃する。キメラもまた、複数の腕や爪、尾を振り回し、物理攻撃を仕掛けてくる。その動きは予測不能で、力も強い。

ゼロは【形態変化戦闘(竜技)】で竜の形態を基本としつつ、状況に応じて触手や刃、槌などを瞬時に形成し、変幻自在の攻撃を繰り出す。【腐食毒液】、【マグマブレス】、【氷結ブレス】、【電撃操作】、【闇属性操作】、【混沌弾】。持てる限りの攻撃スキルを叩き込み、キメラの異形な体を破壊していく。

キメラもまた、驚異的な再生能力を持っているのか、破壊された部位がすぐに別の生物のパーツとして再生し、反撃してくる。まさに、混沌と混沌のぶつかり合い。

だが、ゼロには【混沌核】がある。混沌を制御し、自身の力へと変える核。ゼロは、キメラが放つ混沌とした魔力の一部を【クロノ・イーター】ならぬ【カオス・イーター】(捕食スキルの応用)として吸収し、自身のエネルギーへと変換していく。

徐々にキメラの再生速度が鈍り、動きが弱々しくなっていく。ゼロは好機と見て、最大出力の【マグマブレス】を至近距離から叩き込み、キメラの体を半ば溶解させる! そして、まだ動いている核――複数の生物のコアが歪に融合したような部分――に【生命力吸収】の触手を突き刺し、その混沌としたエネルギーを根こそぎ奪い取りながら、【捕食】を完了した!

【能力値】
体力: 103 → 108 (+5)
魔力容量: 80 → 85 (+5)
物理攻撃力: 36 → 38 (+2)
物理防御力: 60 → 62 (+2)
魔法攻撃力: 41 → 43 (+2)
魔法防御力: 55 → 57 (+2)

【スキル】
・**キメラ化(低級) Lv.1 (New!)** (捕食した生物の特性を一時的に自身の形態に付与・複合させる能力)
・**再生能力向上(中級) Lv.1 (New!)** (自己修復スキルを補強するパッシブスキル)
・**複数属性同時操作(初級) Lv.1 (New!)** (異なる属性のスキルを同時に、より効率的に扱える)
・生命工学知識(初級) Lv.1 → 生命工学知識(中級) Lv.1

キメラを捕食したことで、ゼロの不定形能力はさらに異次元の領域へと足を踏み入れた。【キメラ化】スキルは、ゼロの変幻自在な戦闘スタイルをさらに強化するだろう。複数の属性を同時に扱えるようになったことも大きい。

キメラが守っていた扉の奥には、広大なデータバンクのような部屋が広がっていた。壁一面に水晶のような記録媒体が埋め込まれ、それらが明滅しながら膨大な情報を保存しているようだった。

ゼロは【アイテム鑑定(低級)】と【古代言語解読(断片)】を使い、いくつかの記録媒体にアクセスを試みた。【封印解除(低級)】も併用し、プロテクトを解除していく。

読み取れた情報は、やはり断片的だったが、衝撃的な内容を含んでいた。

『……『名無し』サンプルNo.0……自己進化プログラム『ウロボロス』起動……』
『……外部因子(プレイヤー)との接触による予期せぬ進化を確認……危険度分類をカテゴリーXに引き上げ……』
『……調律者エルミナによる監視を継続……必要に応じて『断罪』シークエンスを発動……』
『……最終目的:『器』の完成、あるいは『リセット』……』

ウロボロス。アルトがゼロに付けた呼び名。それは偶然ではなかったのか? ゼロは、何らかの自己進化プログラムが組み込まれた、最初の『名無し』サンプル?

危険度分類カテゴリーX。断罪シークエンス。リセット。これらの言葉は、ゼロの存在が、この世界の運営、あるいは創造主にとって、極めて危険視されていることを示している。エルミナの監視も、決して友好的なものだけではないのかもしれない。

そして、『器』の完成。これは、神を生み出すという実験の目的と関係があるのか? ゼロがその『器』になるということなのか?

謎はさらに深まった。だが、同時に、ゼロは自身の進むべき道が、より明確になった気がした。システムに利用され、都合よく『器』にされるつもりはない。運営や創造主の思惑を超え、自分自身の意志で、この世界の頂点を目指す。

ゼロは、データバンクから得られる限りの情報を【捕食】し、自身の知識ベースを更新した。【魔法工学知識】や【機械知識】、【高度魔術知識】などがさらに向上した。

遺跡の深層で得た力と知識。それは、ゼロをさらなる高みへと押し上げたが、同時に、より巨大な敵との対決を不可避なものとした。

『ジャッジメント……セラフィナ……そして、運営、創造主……。面白い。全て喰らってやる』

ゼロは、原初の不定形としての本能的な衝動と、元・人間としての冷静な思考を融合させ、静かな決意を固めた。

遺跡を出て、地上へと戻る。空を見上げると、ジャッジメントの斥候らしき飛行生物が旋回しているのが見えた。彼らは、ゼロが遺跡から出てきたことに気づいているだろうか?

どちらにせよ、もはや隠れ潜む必要はないかもしれない。究極進化したこの力があれば、ジャッジメントの部隊程度、正面から蹂躙することも可能だろう。

ゼロは、あえて【万象擬態】を解き、巨大な竜化進化体としての姿を晒した。そして、【竜の威圧】を最大限に放ち、自らの存在を宣言する。

忘れられた王国跡に、かつてないほどのプレッシャーが満ちる。斥候たちは明らかに動揺し、慌てて退避していく。

ゼロは、彼らが報告に向かうであろう方向――おそらく、ジャッジメントの前線基地か、あるいはリューンの街――を見据えた。

そろそろ、反撃の狼煙を上げる時かもしれない。まずは、あの蒼き疾風との決着か、それとも、断罪の女神への挑戦か。

究極の力を手に入れたゼロの、次なる一手は――。

---

名前: ゼロ
種族: 名無し(原初の不定形)
称号: 千貌を喰らう者、星屑を宿す者、竜を喰らう者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 108
魔力容量: 85
物理攻撃力: 38
物理防御力: 62
魔法攻撃力: 43
魔法防御力: 57
素早さ: 17

【スキル】
▼基本・進化スキル
・捕食 Lv.5
・自己修復 Lv.6
・**万象擬態 Lv.1 (究極進化!)**
・**原初の不定形 Lv.1 (究極進化!)**
・**混沌核 Lv.1 (究極進化!)**
・生命力吸収 Lv.2

▼戦闘・攻撃スキル
・腐食毒液 Lv.2
・形態変化戦闘(竜技) Lv.1
・電撃操作 Lv.1
・混沌弾 Lv.1
・感情波(中級) Lv.1
・戦技:強襲 Lv.1
・剣技:亡者の剣 Lv.1
・闇属性操作(初級) Lv.1
・死霊魔法(初級) Lv.1
・竜爪 Lv.1
・風属性操作(中級) Lv.1
・光操作(微弱) Lv.1
・念動力(サイコキネシス)(微弱) Lv.1
・マグマブレス Lv.1
・熱毒生成(低級) Lv.1
・氷結ブレス(低級) Lv.1
・凍傷呪詛(低級) Lv.1
・**キメラ化(低級) Lv.1 (New!)**
・**複数属性同時操作(初級) Lv.1 (New!)**

▼防御・耐性スキル
・装甲化(竜鱗) Lv.1
・毒耐性 Lv.5
・電撃耐性 Lv.2
・水属性耐性 Lv.1
・魔法耐性 Lv.4
・精神耐性(極級) Lv.1
・魔力抵抗(中級) Lv.1
・冷気耐性 Lv.2
・呪詛耐性 Lv.2
・光属性耐性(低級) Lv.1
・時間歪曲耐性(中級) Lv.1
・火属性耐性(上級) Lv.1
・硬質化(熱)(初級) Lv.1
・聖属性耐性(微弱) Lv.1
・**再生能力向上(中級) Lv.1 (New!)**

▼移動・補助スキル
・水中適応(中級) Lv.1
・粘性操作 Lv.1
・光合成(中級) Lv.1
・魔力感知(上級) Lv.1
・物質潜行(低級) Lv.1
・振動感知(低級) Lv.1
・飛行(竜翼) Lv.2
・飛行戦闘(極級) Lv.1
・精神感応(テレパシー)(初級) Lv.1
・時間流感知(上級) Lv.1
・時間操作(初歩) Lv.1
・クロノ・イーター(初級) Lv.1
・熱エネルギー吸収(中級) Lv.1
・溶岩操作(初級) Lv.1
・噴火予知(低級) Lv.1
・竜の威圧(低級) Lv.1
・氷操作(初級) Lv.1
・空域認識(初級) Lv.1
・**エネルギー変換効率(微弱) Lv.1 (New!)**

▼知識・解析スキル
・石材知識(上級) Lv.1
・ゴーレムコア解析(上級) Lv.1
・植物知識(中級) Lv.1
・錬金術知識(初級) Lv.1
・魔法工学知識(中級) Lv.1 (Level Up!)
・アイテム鑑定(低級) Lv.1
・機械知識(中級) Lv.1 (Level Up!)
・金属操作(微弱) Lv.1
・アンデッド知識(上級) Lv.1
・骨操作(初級) Lv.1
・高度魔術知識(中級) Lv.1
・地脈同調(微弱) Lv.1
・星核知識(初級) Lv.1
・竜種知識(中級) Lv.1
・封印解除(低級) Lv.1
・古代言語解読(断片) Lv.1
・**生命工学知識(中級) Lv.1 (New & Level Up!)**
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