モブモンスターですが何か? ~VRMMOで魔物ロールプレイを満喫していたら、いつの間にか災害級になっていた件~

夏見ナイ

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エピソード45:混沌の図書館、三つ巴の邂逅

古代図書館、大アーカイブ室。書紡ぎのゴーレムが残骸となった静寂の中、ゼロは予期せぬ闖入者たち――リリアとそのパーティ、そして急速に接近するジャッジメント主力部隊――に挟まれるという、最悪の状況に陥っていた。

「おいおい、マジかよ……。これが噂の『プレイヤーイーター』か? デカすぎんだろ……」
リリアの前に立ちはだかった盗賊風の男が、ゼロの竜化進化体の姿を見上げ、冷や汗を流しながら呟く。その隣の女戦士も、巨大な戦斧を握りしめ、強い警戒心を露わにしている。

「あ、あの、待ってください、カイトさん、サラさん! この方は、私を助けてくれたことがあって……!」
リリアが慌てて仲間を制止しようとするが、その声は緊迫した空気の中ではかき消されそうだ。

『助けた、ね……。まあ、結果的にはそうだが』
ゼロは内心で毒づく。リリアのお人好しさが、この状況をさらに厄介にしている。

その時、吹き飛ばされた入り口から、銀と白の鎧に身を包んだジャッジメントの部隊が雪崩れ込んできた。数は10名ほど。先頭に立つのは、歴戦の風格を漂わせる壮年の騎士で、セラフィナではないが、かなりの手練れであることは間違いない。彼らはゼロの姿を認めると、即座に陣形を組み、敵意を剥き出しにした。

「目標発見! コードネーム:キマイラスライム(※彼らの認識)! 全員、攻撃準備!」
壮年の騎士が号令を発する。聖属性のオーラを纏った剣や槍がゼロに向けられ、後衛のメイジたちが魔法の詠唱を開始する。

リリアのパーティ(カイト、サラたち)は、突然現れたジャッジメント部隊と、彼らが敵意を向けるゼロとの間で、完全に板挟みになっていた。

「な、なんだよ、ジャッジメントまで……!?」
「どうする、カイト!?」
「くそっ、状況が読めねえ! だが、あの化け物が敵だってんなら……!」

盗賊カイトと女戦士サラは、ジャッジメントの登場により、ゼロへの敵意を強めたようだ。リリアは「待って!」と叫ぶが、もはや彼女一人の声では、この場の流れを止めることはできない。

三つの勢力が睨み合う、一触即発の状況。だが、ゼロの思考は冷静だった。【並列思考】Lv.1スキルを活用し、複数の状況を同時に分析する。

(リリアのパーティは、まだ敵と決まったわけではないが、状況次第では攻撃してくる可能性が高い。ジャッジメントは明確な敵。そして、目的はあの書物……)

ゼロの視線が、部屋の奥にある祭壇のような書架、そこに収められた古びた本へと注がれる。あれを手に入れなければ、ここに来た意味がない。

(ジャッジメントとの全面衝突は避けたい。だが、書物は確保する。ならば……)

ゼロは一瞬で行動方針を決めた。

まず、ジャッジメントの先制攻撃が放たれるよりも速く、ゼロは動いた! 【飛行(竜翼)】Lv.2で床を蹴り、弾丸のように書架へと飛翔!

「なっ!? 逃がすか!」
ジャッジメントの騎士が叫び、矢や魔法がゼロを追う!

しかし、ゼロはただ飛んだだけではない。【万象擬態】Lv.1を発動し、その姿を書紡ぎのゴーレムが射出していた『紙片』そのものへと変化させたのだ! 巨大な竜の姿が一瞬で無数の紙片となり、ひらひらと舞いながら書架へと殺到する!

「な、なんだ!?」
「目標を見失ったぞ!」
ジャッジメントの面々が混乱する。彼らの攻撃は、目標を失い、空を切るか、書架に命中して本を散乱させるだけだった。

紙片の群れ(ゼロ)は、目的の書物に到達すると、一瞬で元の不定形の姿(ただし小型化している)に戻り、その本を体内に取り込んだ! 【情報吸収(中級)】スキルを使い、本の内容を高速で吸収し始める!

「あそこだ! 攻撃しろ!」
ジャッジメントの騎士がゼロの姿を再発見し、指示を飛ばす。

だが、ゼロは再び動いていた。【死霊魔法(中級)】Lv.1を発動! この図書館に漂う無数の知識の残滓や、書物に取り憑いていた霊的なエネルギーを呼び覚まし、ペーパー・デーモンや、書物のページの怪物などを大量に召喚! それらをジャッジメント部隊へとけしかけたのだ!

「ぐわっ! なんだこいつら!?」
「図書館の防衛システムか!?」
ジャッジメント部隊は、突如現れた大量の敵に足止めされ、混乱に陥る。

その隙に、ゼロは書物の情報吸収を完了した! その内容は、やはり原初の種族と虚ろなる器、そして『星の災厄』の真実、さらにエルミナの役割と、創造主たちの意図に関する、極めて重要な情報を含んでいた!

【スキル】
・古代言語解読(断片) Lv.1 → 古代言語解読(初級) Lv.1 (Level Up!)
・**世界知識(EFO)(中級) Lv.1 (New!)** (この世界の歴史、種族、法則に関する知識体系が大幅に向上)

『目的は達成した。離脱する!』

ゼロは召喚したアンデッドたちを盾にしながら、吹き飛ばされた入り口へと向かう。

その時、リリアのパーティがゼロの前に立ちはだかった!

「待ちな!」盗賊カイトが短剣を構える。「あんたが何者かは知らねえが、その本はギルドの依頼品だ! 置いていってもらうぜ!」
「悪いけど、そういうわけにはいかないわね!」女戦士サラも戦斧を構える。

リリアは「やめてください!」と叫ぶが、二人は聞く耳を持たない。彼らにとって、ゼロは危険なモンスターであり、依頼の達成を阻む敵でしかないのだ。

『……邪魔だ』

ゼロはもはや、彼らに構っている時間はなかった。【竜の威圧(低級)】を発動! 究極進化したゼロが放つ威圧感は、低級とはいえ、彼らのような中級プレイヤーには十分すぎるほどの効果を発揮した。

「ぐっ……!?」
「な、なんだ、このプレッシャー……!」
カイトとサラは、竜の威圧に動きを止められ、金縛りにあったかのように硬直する。

ゼロはその横を素通りし、入り口へと向かおうとした。

「待って……!」

リリアが、震えながらもゼロの前に再び立った。その瞳には、恐怖と、困惑と、そして何かを訴えかけるような強い光が宿っていた。
「あなたは……敵じゃないですよね……? 私を、助けてくれた……。お願い、もう誰も傷つけないで……!」

リリアの言葉が、ゼロのコアに響く。敵ではない? 傷つけないで? ゼロは自分が何者なのか、改めて自問した。捕食者であり、破壊者。だが、同時に、この少女にとっては救い主でもあるのか?

ゼロの思考が一瞬、揺らいだ。

その隙を見逃さなかったのは、ジャッジメントだった。混乱から立ち直った壮年の騎士が、ゼロに向かって突進してくる! 手にした槍には、セラフィナほどではないが、強力な聖属性の光が宿っている!

「異物め! ここで断罪する!」

槍がゼロのコア目掛けて突き出される! リリアが悲鳴を上げる!

ゼロは咄嗟に【時間操作(初歩)】スキルを発動! 時間を減速させ、槍の軌道を見極める。そして、【形態変化戦闘(竜技)】で形成した竜尾を鞭のようにしならせ、槍の穂先を正確に打ち据えた!

バキンッ!

聖属性の槍が、ありえない角度に弾き飛ばされ、騎士は体勢を崩す!

『……借り、は返したぞ』

ゼロは、リリアに向けて、テレパシーでそう伝えた(伝わったかは分からないが)。そして、今度こそ入り口から飛び出し、【飛行(竜翼)】スキルで一気に空へと舞い上がった!

眼下では、ジャッジメント部隊がゼロを追おうとするが、もはや追いつけるはずもない。リリアは、呆然と空を見上げている。カイトとサラも、ゼロの圧倒的な力と、リリアとの奇妙な関係に言葉を失っているようだった。

ゼロは、古代図書館を後にし、再び雲の中へと姿を消した。手に入れた古代の書物の情報、そしてリリアとの再会。それは、ゼロの探求と、心の在り方に、新たな波紋を投げかけていた。

ジャッジメントとの対立は決定的となり、世界の秘密にもさらに近づいた。だが、それ以上に、ゼロはリリアという存在を通して、『人間』というものを、そして自分自身の内にあるかもしれない『何か』を、改めて考え始めていたのかもしれない。

孤独な捕食者の道は、複雑な感情と、避けられぬ宿命を孕みながら、さらに続いていく。

---

名前: ゼロ
種族: 名無し(原初の不定形)
称号: 千貌を喰らう者、星屑を宿す者、竜を喰らう者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 108
魔力容量: 85
物理攻撃力: 38
物理防御力: 62
魔法攻撃力: 43
魔法防御力: 57
素早さ: 17

【スキル】
▼知識・解析スキル
・石材知識(上級) Lv.1
・ゴーレムコア解析(上級) Lv.1
・植物知識(中級) Lv.1
・錬金術知識(初級) Lv.1
・魔法工学知識(上級) Lv.1
・アイテム鑑定(低級) Lv.1
・機械知識(中級) Lv.1
・金属操作(微弱) Lv.1
・アンデッド知識(上級) Lv.1
・骨操作(初級) Lv.1
・高度魔術知識(上級) Lv.1 (Level Up!)
・地脈同調(微弱) Lv.1
・星核知識(初級) Lv.1
・竜種知識(中級) Lv.1
・封印解除(低級) Lv.1
・**古代言語解読(初級) Lv.1 (Level Up!)**
・生命工学知識(中級) Lv.1
・情報吸収(中級) Lv.1 (Level Up!)
・**世界知識(EFO)(中級) Lv.1 (New!)**
・**並列思考 Lv.1**
・**高速学習 Lv.1**

(※その他のスキルは前話からの変化なし)
感想 4

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