モブモンスターですが何か? ~VRMMOで魔物ロールプレイを満喫していたら、いつの間にか災害級になっていた件~

夏見ナイ

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エピソード54:原初の記憶、虚ろなる守護者

忘れられた王国跡の地下深く、生体組織と水晶が融合したかのような異質な空間。ゼロは、ジャッジメントの追跡網から逃れ、この古代の遺跡の深層部で知識という名の『餌』を漁っていた。壁画や記録媒体から吸収した情報は、ゼロの起源とこの世界の成り立ちに関する、驚くべき事実を次々と明らかにしていく。

【古代言語解読(初級)】と【情報吸収(中級)】スキルを駆使し、ゼロは壁に刻まれた記録を読み解いた。そこには、「星の災厄」と呼ばれる現象が、単なる異次元侵略ではなく、より高次の存在による『世界の法則の書き換え』、あるいは『リセット』に近いものであった可能性が示唆されていた。そして、原初の種族たちは、その災厄に対抗するため、自らの存在や知識を様々な形で『遺産』として残したのだという。

『虚ろなる器』――ゼロの同類は、その中でも特殊な存在だった。あらゆる法則やエネルギーを取り込み、無限に進化する可能性を持つ一方で、制御不能に陥り、災厄そのものよりも危険な存在になり得る。多くの『器』は、その危険性ゆえに封印されたか、あるいは自滅した。ゼロが以前捕食した『欠片』は、その封印された存在の一部だったのかもしれない。

(俺は、成功例なのか、それとも、ただの制御不能な失敗作なのか……)

自身の存在意義について、答えの出ない問いがゼロの思考を巡る。だが、感傷に浸る時間はなかった。【魔力感知(上級)】が、この区画のさらに奥、巨大な球状の広間のような場所から、強烈で異質なエネルギー反応を捉えていたからだ。それは、これまでのどのモンスターとも違う、純粋なエネルギー体、あるいは精神生命体に近い存在の気配だった。

『この遺跡の守護者か、あるいは……遺産そのものか』

ゼロは【万象擬態】で壁の一部と同化しながら、慎重にその広間へと侵入した。

広間の中央には、巨大な水晶柱が聳え立ち、周囲には無数の小さな光球が漂っていた。そして、その水晶柱を守るかのように、半透明で、定まった形を持たないエネルギー体が浮遊していた。それは人の形を取ることもあれば、幾何学的な模様に変化したり、あるいは霧のように拡散したりもする。その存在からは、物理的なプレッシャーは感じられない。だが、脳髄に直接響くような、強力な精神的な圧力が放たれていた。

《……侵入者……異物……混沌の匂い……》

精神体が、【精神感応(テレパシー)】で直接語りかけてくる。その思考は、個人の感情というよりも、システム的な判定に近い、冷たく無機質な響きを持っていた。

『俺はゼロ。この遺跡の知識を求めている』
ゼロもテレパシーで応じる。

《知識は守護されるべきもの。汝の如き混沌は、触れる資格なし。排除する》

問答無用。精神体――アストラル・センチネルと仮称しよう――は、その不定形の体から強力な精神衝撃波を放ってきた! 【精神耐性(極級)】を持つゼロでさえ、一瞬意識が白むほどの威力だ!

ゼロは即座に反撃する。【感情波(中級)】を放ち、センチネルの精神に干渉しようとするが、センチネルは感情を持たないのか、あるいは精神構造が違いすぎるのか、ほとんど効果がない。

ならば、とゼロは物理的な攻撃を試みる。【形態変化戦闘(竜技)】で竜爪を形成し、センチネルのエネルギー体を切り裂こうとするが、爪は抵抗なくすり抜けてしまう。実体を持たない相手には、物理攻撃は無効に近いようだ。

『厄介な相手だ……! 物理も精神攻撃も決定打にならない』

センチネルは、さらに攻撃を仕掛けてくる。周囲の空間を歪ませ、ゼロの動きを封じ込めようとしたり、ゼロ自身の過去の記憶――捕食した者たちの断末魔や、神代零としての断片的な記憶――を幻影として見せて精神を揺さぶろうとしてきたりする。

ゼロは【時間歪曲耐性(中級)】と【精神耐性(極級)】で抵抗しつつ、有効な攻撃手段を探る。エネルギー体ならば、【電撃操作】や【光操作】、【闇属性操作】などが有効かもしれない。ゼロは複数の属性エネルギー弾を同時に生成し(【複数属性同時操作(中級)】)、センチネルに叩き込んだ!

エネルギー弾はセンチネルの体に命中し、その不定形の体をわずかに乱す。効果はあるようだ。だが、センチネルはすぐに体勢を立て直し、吸収したかのように、同じ属性のエネルギー弾を倍加して撃ち返してきた!

(エネルギー吸収・反射能力まで持っているのか!?)

まるで、書紡ぎのゴーレムとサイコ・クリスタルを合わせたような能力だ。しかも、実体がないため捕縛も難しい。

ゼロは思考を巡らせる。このセンチネルは、おそらく原初の種族が遺した、純粋な知識や情報を守るための防衛プログラムのような存在だろう。物理的な破壊ではなく、そのプログラムの『核』、あるいは情報の『源流』に干渉する必要があるのかもしれない。

『法則への干渉……捕食の本質……』

ゼロは、アストラル・ドレイク戦で掴みかけた感覚を呼び覚ます。センチネルを構成するエネルギー、その精神波、空間歪曲。それら全てを、単なる攻撃や現象として捉えるのではなく、それを成り立たせている『情報』や『法則』そのものとして認識し、【捕食】する!

【混沌核】Lv.1をフル稼働させ、【捕食】Lv.5の能力を最大限に引き出す。ゼロは、センチネルから放たれるあらゆる攻撃――精神波、空間歪曲、エネルギー反射――を、その身に受けながら、その情報を貪欲に吸収し、解析し始めたのだ!

《!? ……異物……我が法則を……喰らう……のか……?》

センチネルの思考に、初めて動揺の色が見えた。自らが拠って立つ法則そのものを侵食してくるゼロの存在は、センチネルにとって理解不能な脅威だったのだろう。

センチネルは抵抗を試みる。ゼロのコアに直接アクセスし、その存在情報を破壊しようと、強力な情報汚染攻撃を仕掛けてくる! ゼロの意識の中に、膨大な量のノイズデータや、破壊的なミームが流れ込んでくる!

だが、ゼロの【混沌核】は、それすらも『餌』として吸収し、解析し、自身の力へと変えてしまう。混沌は、混沌によって打ち消され、あるいは、より高次の混沌へと昇華される。

「……理解不能……解析不能……エラー……エラー……」

センチネルの思考が、徐々に崩壊していく。法則の守護者たる存在が、法則の外側を歩む存在によって、その根幹を揺るがされているのだ。

やがて、センチネルのエネルギー体は輝きを失い、不安定に明滅を繰り返した後、霧散するように消滅した。後に残されたのは、ゼロのコアに取り込まれた膨大な情報と、そして広間の中央に静かに浮かぶ、純粋なエネルギーでできた小さな結晶体だけだった。

【スキル】
・**精神攻撃(中級) Lv.1 (New & Level Up!)** (感情波(中級)が進化。より直接的な精神ダメージを与える)
・**空間認識(中級) Lv.1 (New!)** (空間の歪みや次元の繋がりをより正確に認識する)
・**因果律干渉(微弱) Lv.1 (New!)** (確率や事象の繋がりに対して、極めて限定的ながら干渉する能力の萌芽)
・魔法耐性 Lv.4 → Lv.5 (Level Up!)
・精神耐性(極級) Lv.1 → 精神耐性(超越級) Lv.1 (Level Up!)

精神系の能力がさらに進化し、空間や因果律といった、より根源的な領域に触れるスキルを獲得した! これは、ゼロの存在が、もはや物理法則だけでは説明できない領域へと足を踏み入れたことを意味する。

ゼロは、センチネルが遺したエネルギー結晶体に近づいた。【アイテム鑑定(中級)】で調べると、「原初の記憶結晶:原初の種族に関する膨大な情報と、失われた法則の一部が封じ込められている」と表示された。

これを捕食すれば、さらに多くの秘密を知ることができるだろう。ゼロは躊躇なく結晶体を【捕食】した。

流れ込んできた情報は、世界の創造、原初の種族の栄枯盛衰、星の災厄の具体的な脅威、そしてエルミナの孤独な戦いと、ゼロのような『名無し』に託された、あるいは押し付けられた役割について、より詳細な内容を含んでいた。そして、その情報の中に、次の目的地を示唆するものが含まれていた。

それは、『魔境領域ネザーヘイム』と呼ばれる、魔物たちが独自の社会を築き、世界の法則すら異なる異界に近い場所の存在だった。そこには、原初の種族の遺産の中でも特に強力なものが眠っており、そして、エルミナがゼロに接触を期待しているかもしれない、別の『監視者』が存在するという。

『魔境領域ネザーヘイム……魔物の社会……監視者……』

新たな情報、新たな目的地。ジャッジメントの追跡をかわし、力を蓄えながら、ゼロは着実に世界の核心へと近づいている。

遺跡の深層部から脱出する際、ゼロは地上でのジャッジメントの動きを感知した。彼らは依然として王国跡周辺に戦力を配置しているが、ゼロの正確な位置を特定できず、苛立ちを募らせているようだった。しばらくは、この地下遺跡網に潜伏し、新たな力を完全に我が物とするのが賢明だろう。

ゼロは、遺跡のさらに別の区画へと移動を開始した。原初の記憶がもたらした知識を反芻し、獲得した新たなスキル――特に、因果律干渉という未知の力――を理解し、制御するために。

究極進化を遂げ、法則すら喰らう存在へと変貌したゼロ。その次なる一手は、世界にどのような波紋を広げるのか。混沌の捕食者の探求は、まだ終わりを知らない。

---

名前: ゼロ
種族: 名無し(原初の不定形)
称号: 千貌を喰らう者、星屑を宿す者、竜を喰らう者、嵐を喰らう者、法則を喰らう者 (New!)
所属: 未定義

【能力値】
(※前話から微増、特に魔法・精神系が向上)
体力: 114
魔力容量: 92 → 95 (+3)
物理攻撃力: 40
物理防御力: 68
魔法攻撃力: 45 → 48 (+3)
魔法防御力: 64 → 67 (+3)
素早さ: 19

【スキル】
▼基本・進化スキル
・捕食 Lv.5
・自己修復 Lv.6
・万象擬態 Lv.2
・原初の不定形 Lv.2
・混沌核 Lv.1
・生命力吸収 Lv.2

▼戦闘・攻撃スキル
・腐食毒液 Lv.2
・形態変化戦闘(竜技) Lv.1
・電撃操作 Lv.1
・混沌弾 Lv.2
・**精神攻撃(中級) Lv.1 (New & Level Up!)**
・戦技:強襲 Lv.1
・剣技:亡者の剣 Lv.1
・闇属性操作(初級) Lv.1
・死霊魔法(中級) Lv.1
・竜爪 Lv.1
・風属性操作(上級) Lv.1
・光操作(低級) Lv.1
・念動力(サイコキネシス)(微弱) Lv.1
・マグマブレス Lv.1
・熱毒生成(低級) Lv.1
・氷結ブレス(低級) Lv.1
・凍傷呪詛(低級) Lv.1
・キメラ化(低級) Lv.1
・複数属性同時操作(中級) Lv.1

▼防御・耐性スキル
・装甲化(竜鱗) Lv.1
・毒耐性 Lv.5
・電撃耐性 Lv.2
・水属性耐性 Lv.1
・**魔法耐性 Lv.5 (Level Up!)**
・**精神耐性(超越級) Lv.1 (Level Up!)**
・魔力抵抗(中級) Lv.1
・冷気耐性 Lv.2
・呪詛耐性 Lv.2
・光属性耐性(中級) Lv.1
・時間歪曲耐性(中級) Lv.1
・火属性耐性(上級) Lv.1
・硬質化(熱)(初級) Lv.1
・聖属性耐性(微弱) Lv.1
・再生能力向上(中級) Lv.1

▼移動・補助スキル
・水中適応(中級) Lv.1
・粘性操作 Lv.1
・光合成(中級) Lv.1
・魔力感知(上級) Lv.1
・物質潜行(低級) Lv.1
・振動感知(低級) Lv.1
・飛行(竜翼) Lv.2
・飛行戦闘(極級) Lv.1
・精神感応(テレパシー)(初級) Lv.1
・時間流感知(上級) Lv.1
・時間操作(初歩) Lv.1
・クロノ・イーター(初級) Lv.1
・熱エネルギー吸収(中級) Lv.1
・溶岩操作(初級) Lv.1
・噴火予知(低級) Lv.1
・竜の威圧(中級) Lv.1
・氷操作(初級) Lv.1
・空域認識(初級) Lv.1
・エネルギー変換効率(低級) Lv.1
・並列思考 Lv.1
・高速学習 Lv.1
・岩石操作(初級) Lv.1
・天候操作(低級) Lv.1
・**空間認識(中級) Lv.1 (New!)**
・**因果律干渉(微弱) Lv.1 (New!)**

▼知識・解析スキル
(※前話から変化なし、ただし原初の記憶結晶捕食により知識量が大幅増加)
感想 4

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